発行年月:2013年8月
他人の顔を移植されたら、心は「自分」のままでいられるのだろうか?
交通事故によって脳死となった親友の顔が、大火傷を負った私の顔に移された。彼女の家族は、恋人は、私の親は、そして私は、これまでと同じように、暮らしていけるだろうか? 「顔移植」の可能性と抱える問題点について、医師であり作家である著者が、短編、戯曲、詳細な解説、と縦横無尽に語り尽くした類書なき作品集。
(新潮社HPより)
顔の移植手術を受けることになった2人の女性の話を別々に。
<顔のない顔>
アルコール中毒の夫から猟銃で撃たれ顔が粉砕した主婦。
夫は、裁判で殺人未遂の罪で8年の禁固刑が確定する。
離婚も成立し、事件後1年半で職場復帰する。手術の跡も生々しいが
恥じることはないと生活していた。
そして、7年半後、医師の勧めで顔の移植手術を受ける。
<移された顔>
看護師のユミは、職場の医師・リョウを友人のリナに紹介し、二人は恋人同士になる。
そしてユミの2人と共に出かけることが多かった。
ある日、3人で車に乗っているとき、事故を起こし
リナは脳死状態。ユミは顔面を広範囲に重度の火傷で覆われる。
リナの両親の希望と、医師の説得もあり、悩んだ末、リナの顔を移植する手術を受ける
ことに決めたユミ。
2人とも壮絶な人生を歩むことになったわけですが、
二番目のユミの方が、抱えるものがより多かった気がする。
親友の顔を持つことになった気持ち。
想像しようと思っても、なかなか想像し得ない。
しかし、医療の発展はすごいな。
あとがきで、医師である著者が、実際の顔面移植手術の歴史を語りながら
今後の課題(医療現場、法律など)について語っていました。
いろいろと考えさせられる書でした。
★★★★
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発行年月:2013年7月
捜査一課の犬養隼人が高速バス事故現場でみた真相とは?(「赤い水」)。話題作『切り裂きジャックの告白』の犬養隼人が「色」にまつわる難事件に挑む、どんでん返し満載の全7編からなる連作短編集!
(角川書店HPより)
俳優養成所出身の渋い二枚目刑事・犬塚隼人が真相究明に挑む7つの事件。
<一、赤い水>
高速バス運行中の事故で死亡したのは、多々良という男性。
運転手・小平は勤務態度も良好、会社側の運行状況も運転手の勤務スケジュールも
何ら違法なしの状況。
事故を起こした小平は事故直後のマスコミの取材にも落ち着いて、自分の落ち度を
謝罪する言葉を述べていた。
その落ち着いた態度に違和感を抱いた犬塚は・・・
<二、黒いハト>
中学校の屋上から飛び降り死亡した雅也。
彼はイジメられていて、親友として助けてやれなかったことを悔やんでいると
言う春樹。
イジメの張本人は都議会議員の息子。
学校の担任も校長もイジメの事実を知らされながら、何の対策もしなかった。
しかし、雅也が飛び降りる前に母親に遺した電話の声の後ろに聞こえた声は・・・・
<三、白い原稿>
ロック歌手でありながら新人文芸賞を受賞した桜庭巧巳が公園脇のベンチで
遺体となって発見される。
死因は泥酔したうえでの凍死。
被疑者は嵐山シュウト。彼も小説家として世に名が知れることを目標としていた。
怨恨か?
<四、青い魚>
釣具店を営む45歳の帆村亮。
そこに客として来た20代の恵美とやがて生活を共にする。
そして、恵美の兄という男・由紀夫も転がり込んで3人での共同生活が始まる。
帆村は、恵美と由紀夫との楽しい生活に満足していたが、
帆村の暴力団員になった弟・照之は、そんな兄の生活を非難し、
2人を追い出せと忠告する。
そして、ある日、3人で船で沖合いに釣りに出て・・・
<五、緑国の主>
ホ-ムレス狩りをしている中学生グループ。
主犯格の少年は14才の小栗拓真。
その少年はホームレスの住処に放火。
そしてその後、殺害された。
死因は毒殺。
<六、黄色いリボン>
10歳の翔は大人しい子どもだが、女の子の格好をしてミチルとして行動すると活発に振舞える。
ワンピースを着て、かつらを被り、髪にトレードマークにしている黄色いリボンを付けて。
両親もそんな行動を認めてくれているが、団地のなかだけという決まり。
両親と自分しか知らない秘密のはずが、ある日、ミチルの名前のダイレクトメールが
届いたり、公園でミチルの名前を呼ぶ男に話しかけられたり、刑事まで翔に
妹のミチルについて知りたいと言われ混乱する。
ミチルは架空の人物のはずなのに・・・
<七、紫の献花>
67歳の独り暮らしの高瀬昭文が包丁で刺されて死亡。
高瀬は第1話で出てきた高速バス事故を起こした会社のバス運行管理担当者だった。
バス会社が倒産し、その後は、タクシー会社の配車担当として勤務していた。
勤務態度は良好でとても有能、人柄も温厚で何故殺されたのか?と同僚たちも不思議がる。
そして、高瀬にはは死亡時1億円の保険に加入しており、その受取人は
陸上選手として将来有望だったが高速バス事故により陸上人生を絶たれた樫山有希になっていた。
どの話もとても面白かった。
いろいろな殺人事件に絡む人々の思惑が、徐々に明かされ、最初の被疑者のほかに
新たな被疑者が現れ、意外な人が犯人だったり、読みながら、いろいろと推理
しながら楽しめた。
でもやはりイジメが絡む第二話の<黒いハト>は、辛い話だった。
★★★★
発行年月:2013年5月
駅前の寂れた通りの地下にある「スナックひばり」。そのママは身長2メートルを超えるマッチョなオカマ・通称ゴンママ。彼(彼女?)の周りに集まるのは、一癖も二癖もある「変わり者」ばかり。エロジジイ社長、金髪モヒカンの歯科医師、シャイで生意気な男子高生、謎のセクシー美女、うだつの上がらない中年サラリーマン…。いつもは愉快な彼らも、それぞれ人知れず心に傷を抱えていて―。心の垢を洗い流す感涙小説。
(BOOKデータベースより/幻冬舎)
スポーツクラブのジムで筋肉を鍛える者たち。
会えば、冗談連発、下ネタ披露の愉快な仲間たち。
けれど、それぞれは、心に重たいものを抱えていた。
<第一章 本田宗一の追伸>
45歳の課長補佐。
職場の同期たちは、みな補佐がつかない。
自分だけが出世に遅れたかんじ。
家のなかでは、高校2年の娘に疎まれる。
お腹まわりにも脂肪がついて情けない姿。
そんなとき新聞の折込広告でスポーツジムの勧誘のことばに惹かれ
ジムで体を引き締めようと決心し、入会。
そこには変わったメンバーたちがいた。
<第二章 井上美鈴の解放>
25才の見た目、麗しき女性。
職業は見た目に反してハードなバイオレンス系の少年漫画家。
締め切りに追われる日々に辟易。
しかし、ジムで利き手の指骨折の事態!
<第三章 国見俊介の両翼>
16歳の男子高校生。ジム仲間にも素っ気ない態度。
10歳のとき両親が離婚し、父親と2人暮らし。
仕事の忙しい父は帰りが遅く、家で独りの夕食の日々。
紙飛行機づくりが趣味。
ある日、ジムに小学校時代の同級生の恵那が入会してくる。
恵那は小学校で転校するとき、俊介から貰った紙飛行機を大事にしているという。
<第四章 四海良一の蜻蛉>
歯科医師。5歳で病死した娘のことが今も頭から離れない。
生きていれば小学校3年生。
娘が亡くなってから、妻との関係がギクシャクしている。
<第五章 末次庄三郎の謝罪>
ジムでは下ネタ連発の通称シャチョー。
仕事は、広告制作会社の社長。
しかし社員は4人。
新しい仕事の依頼は、老人ホームのパンンフレット作成。
2人の若い社員がやりたいと意欲を見せるので、少々不安だがやらせてみることにする。
<第六章 権田鉄雄の阿吽>
ジムではひときわ目立つ存在。
身長は2m超え。胸板は厚く、見た目は怖いマッチョ。
しかし、オカマでおねえ言葉。
駅近くの地下で「スナックひばり」を営んでいる。
従業員はバーテンダーのカオリ。
ジムではいつも明るくバイタリティ溢れる強烈なキャラクターだけど
夜、独りになると孤独に苦しむ日々。
どの話も良かった~。
ジムとは違う顔を持つメンバー。
しかし、スナックひばりに集い、ほかのメンバーの言葉を聞いて励まされたりしながら
なんとか自分の抱えている問題を解決していく様子が良かった。
特に第四章の歯科医の四海の抱えているものは深刻で、胸が痛くなるほどの
辛さを感じた。
でも、亡くなった娘のことを夫婦でとことん話し、共に泣き感情をぶつけ合い
新たな気持ちで2人一緒に進んでいこうと思えるようになったのは、嬉しかった!
感動的な話でした!
家族とか、職場とか学校とは、違った場所で、年齢もバラバラな友達が出来るって
なんだか羨ましいな。
権田の店の看板ネコ、チロちゃんの出番はあまりないけれど、そこに居ることを
想像するだけでネコ好きにはニンマリ。
この表紙もメチャクチャ可愛い♪
★★★★★
発行年月:2013年2月
恋に墜ちたことが、罪だったのか。恋愛捜査シリーズ「ドルチェ」感涙必至の極上長編。
41歳の純粋な男と27歳の儚い女。二人の不器用な恋愛が犯罪を導いたのか――? 中野署管内で身代金目的の誘拐事件が発生した。被害者は新鋭の飲食チェーン店専務の副島。提示された身代金は二〇〇〇万円。練馬署強行犯係の魚住久江は、かつての同僚・金本と共に捜査に召集される。そして、極秘裏のオペレーションが始動した
(新潮社HPより)
魚住久江が主人公の刑事物。
今回の事件は、身代金誘拐事件。
誘拐されたのは2人。
一人は、外食系チェーンの専務取締役・副島。
もう一人は、その関連の外食店に勤務する村瀬。
2人の接点になるのは、中国人の女性・楊白瑶(瑶子)。
事件解決の捜査にあたる魚住は、かつての同僚・金本健一と再びコンビを組むことになる。
金本の強引で乱暴なかんじと久江の後輩・峰岸のスマートなかんじは対照的。
どちらも久江にとっては、頼もしい仲間なんだけど・・・・。
事件を追う側の刑事たちより、その関係者である3人の事件までの経過を追うかたちの物語
の進行が気にかかった。
副島は悪い奴だったなぁ~(怒)
それに振り回された、白瑶と村瀬だったけれど、これからはきっと本物の夫婦に
なれるかな?と思うラストはホッとした。
★★★
発行年月:2011年3月
『珈琲屋の人々』が好評だった著者の最新作は、様々な家族の情景を切り取った短編集。娘を嫁に出す父親、自身の再婚と息子の問題で揺れる女性、不倫を清算したい会社員、食堂を切り盛りする女将と従業員の微妙な関係など、背筋が凍るような物語から心温まる物語まで8編を収録。
(双葉社HPより)
心が温まるものは少なかったかも・・・^^;
一家団欒楽しい家族という場面はなく、両親のどちらかしか居ない家族が
多かった。片親だけじゃ幸せになれないというわけじゃないと思うけれど、
それ故に感じることとかが、ちょっと重たい問題を孕んでいる気がした。
<父の遺言>
母親が早くに亡くなり、父親が自分を育ててくれた。
そのことに感謝はしているが、結婚を控えた自分に父も再婚したいと言われ
そのことに嫌悪感を抱く娘。
<いやな鏡>
義父が宝くじの1千万円を当てた。
そして、そのお金を隠し子にあげたいと義父母がいう。
<若い愛人>
妻に先立たれた男。娘くらい年の離れた広美と知り合い、愛人とする。
月に決まった額のお金を渡していたら、ある日、通帳を見ると
そのまま手付かずのまま残してある。
<紅の記憶>
痴呆が進んだ元教師の母。
介護に疲れた妻は施設入所を希望する。
そして、息子は父が亡くなって2年後のある日のことを思い出す。
<不鈴>
妻子ある男が不倫相手の女性と、そろそろ別れようと思っている。
しかし、別れ話を切り出しても、逆に結婚話を切り出され困惑。
<十年愛>
17歳だった男は当時37歳だった女性とバイト先で知り合い、好きだと告げるが
女性から10年後にまた会ってみようと提案する。
そして10年後27歳になった男が待ち合わせ場所で女性を待つ。
<薄いカツレツ>
元気食堂の厨房担当の多津子と接客担当の育枝。
2人は同い年。
そして多津子はかつて店の主人だった夫と育枝の仲をずっと疑っている。
夫は1千万円の借金を残し失踪中。
<バツイチ>
母子家庭の麻子と小学3年生の武。
麻子は再婚を考えている男性がいるが、男性は結婚はしたいけれど、
自分の子どもでない子どもを育てる自信がないという。
再婚したい麻子は悩み・・・
感動したのは最初の話<父の遺言>。
自分勝手な娘のことを十分、理解しながら、娘の幸せを願っていたんだな~と
思ったら泣けて来た。
ほかの話は、それぞれ物語としては面白いけれど、重たい。
最後の<バツイチ>は、最初の話とは違う意味で泣ける。
武くんが健気。
その健気さに気づいた母親がこの先、武くんと幸せになることを考えて欲しいな。
読み終えると、この本の表題の意味がわかるかんじ。
★★★
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★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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