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読んだ本の感想あれこれ。
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41x0oArIO9L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月
 

ビルから転落し、一時記憶喪失となった経験を持つ男。自らの事故の理由を知るため、その目撃者を捜し出したが……。謎が響きあう九つの物語。日常の風景に潜む不条理を描き、著者の新境地を示すスタイリッシュでミステリアスな最新連作短篇集。


                      (講談社HPより)



とっても不思議なお話ばかりが9つ。
タイトルも変わってました。

「11:55」
約束の時間11:55に店に行くと、中学時代嫌な思いをさせられた川上の姿を見つける。
なんと自分を呼び出したクレハチ(呉服千帆)とその男が会話をしている。

「45゜」
駅前のモスバ-で後ろの席で会話する声が気になり、ついつい聞き耳を立ててしまう。
聞こえすぎる耳を持っているので、内容がよく聞こえる。
振り向いてどんな人物か確認したいが出来ない。
そして、人の気配が消えたのでその席を見ると・・・・

「/Y」 スラッシュワイ
認知症の元鳥類研究者の先生。
話にたびたび出てくる三叉の橋の話。

「・」 クロボシ
電車のなかで小学生の男の子2人が曇ったガラス窓に指で落書きしているのを見ている。
一人の少年のランドセルにある名前「ホシノソラ」。
そして思い出すかつての知り合い「ホシノフルサト(星野降里)」とその姉「ホシノナギサ」のこと。

「十一」 加減
ぼくと日奈田とカコの小学生時代からの話。
日奈田とカコは、はとこ。
ぼくはカコを名乗る日奈田と今、暮らしている。

「W.C.」
トイレを探している夢を、よくみる。
トイレは見つかるが、用を足そうとは思えない変わったトイレばかり。

「2゜」 フォリオ
二軒長屋の半分を店舗として改装し、<2゜>と名づけた。
半分は知人が借りている。
リサも夫・遼一と同じように二世帯住宅を造り、一方は賃貸住宅とする。
そして入居して来たのは谷村六実。
性別不詳。

「×」 閉じる
葬儀社で働いている男。
記憶喪失でフラフラしているところを社長に拾われた。
ある日、会社に訪ねてきた自殺願望のある女性が死後、家財道具の焼却処理をして欲しいと依頼する。
見積もりをして来てと社長に言われ女性の家に行くが・・・

「P.」 ピ-ドット
上下の二世帯住宅の上に住んでいた義兄が行方不明になる。
姉は元のように1階でぼくと父と住む。
義兄の免許証が運河から見つかるが、警察の調べで偽造だとわかる。
二階を人に貸すことにし、入居してきたのは、着ぐるみのウサギ。
人前では決して着ぐるみを脱がない。


どれも変わった設定で変わった話だった。
変で、ちょっと理解に苦しむんだけれど・・・・長野さんの文章のなかに時々、すごく良いことばが
あるので、やっぱり、好きだなぁ~と思ってしまった。

表題作の「45゜」は、最後のオチが好き。
話として面白かったのは「W.C.」尿意を我慢しながらトイレを探すのに、まともなトイレが見つからないという夢を見る女性の話。
現実の話でW.Cからトイレを連想するのは古いんだと知り軽くショック。
最近では、ウォ-クイン・クロ-ゼットの略なんだとか。
へ~知らなかったぁ~。


軽く読めて、なかなか楽しかった♪


                                           ★★★

 
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51jq-peWK4L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月


子どもは育つ。こんな、終わりかけた世界でも。

七十代にして現役、マタニティスイミング教師の晶子。家族愛から遠ざかって育ち、望まぬ子を宿したカメラマンの真菜。全く違う人生が震災の夜に交差したなら、それは二人の記念日になる。食べる、働く、育てる、生きぬく----戦前から現代まで、女性たちの生きかたを丹念に追うことで、大切なものを教えてくれる感動長編。


                      (新潮社HPより)



二人の女性の生い立ちを描きながら、3.11を機に2人がより親密な関係になる。

吉川晶子は75才。
栄養士の資格を持ち、マタニティスイミングの指導員暦40年。
生徒たちとの昼食会では、食事指導もする。

平川真菜、カメラマン。
かつて、晶子の指導を受けていた。
母親は著名な料理研究家だが、子どもの頃から仕事が忙しい母親にあまり構って貰えず
母親の作り置きの食事を食べることにも途中から嫌悪感を抱いていた。
カメラに興味を持ち、指導を仰いだカメラマンだった男の子どもを妊娠。


晶子の生い立ちでは、戦争を体験し、物がなく特に食べ物がないことが辛かった時代のことを描く。
一方の真菜は、母親が料理研究家で美味しい食べ物はいつでも冷蔵庫にあるという生活。

対照的な二人の子ども時代。
晶子は食べるものがなかったけれど、家族たちや仲良しの友達と、
そのときあるものを分け合って食べた思い出がある。
そして、真菜は食べ物は沢山あるけれど、いつも一人という思い出。


食に関する人の記憶と言うのは、強烈なんだなぁ~。
晶子が勧めるタッパ-に入った食べ物を受けつけない意味が、
こんな風な生い立ちからだと知って、とても切ない気持ちになった。
子どもに食事を作る母親としては、その辺のことが一番、この物語から考えさせられた。
食べること=幸せ でない人間に育ててしまうことって怖い。


そんな2人が3.11の震災を機に再会し、晶子は、臨月近くの真菜のためにあれこれ世話を焼く。

真菜が晶子に出会えたのは、本当によかったと思った。
無事に子ども・絵莉奈も生まれて、ホッとした。
晶子が震災の日、心配になって家を訪ねなかったらどうなっていたんだろう?
それじゃあ物語は始まらないわけだけど・・・^^;


絵莉奈は、温かい人たちに囲まれて、美味しいものを沢山食べて、成長してくれるといいな~。

表紙の写真は、そんな未来を逞しく生きていく子どもを想像させてくれて良い写真だと思う。


                                            ★★★★


 

 
4169MrLowqL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年3月


失踪した友人を捜す早紀(さき)。祖父母秘伝の豆スープを配る咲(さき)。双子の兄を事故で亡くした崎(さき)の部屋に転がり込んだ、10歳の姪さき……。いま〈さきちゃん〉たちに訪れた小さな奇跡が、かけがえのないきらめきを放つ。きつい世の中を、前を向いて生きる女性たちに贈る、よしもとばななの5つの物語。

 
       
                       (新潮社HPより)


別々の<さきちゃん>が出てくるお話5つ。

「スポンジ」
早紀は、編集者。
以前、担当した作家の高崎くんが行方不明だと彼の恋人の飯尾くんから連絡を受け、高崎くんの
住んでいるアパ-トへ。


「鬼っ子」
沙季の伯母が亡くなった。
親戚づきあいを一切絶って、ひとり宮崎で暮らしていたおば。
おばが暮らしていた宮崎を訪ねる。
おばは鬼の人形を沢山つくって家の玄関だけでも小鬼が100体。


「癒しの豆ス-プ」
咲の亡くなった祖父母は、豆のス-プを毎週末、無料で提供していた。
同居していた祖父母はイタリアンレストランを経営する父親の両親。
しかし、両親は離婚していて、父親には新しい家庭が既にある。
母親が豆ス-プづくりを引き継ぐ決心をし、父親がその準備を手伝う。


「天使」
沙季は、子宮がんの手術をして子どもができない。
結婚には全く興味がなかったが、鈴木さんから「沙季さんは僕の天使でした」と告白される。


「さきちゃんたちの夜」
崎は、双子の兄を亡くした。
そしてその兄の娘・さきが母親に恋人ができたから・・・と崎のところに居候することに。


どの話も良かった。
大事な人を亡くしたり、何か気持ちが落ち込むような経験をしたいろいろな「さきちゃん」たちの話。
特に好きだったのは表題作の「さきちゃんたちの夜」かな?
叔母の崎は、姪のさきとの共同生活を面倒くさいな~と思いつつも楽しむ気持ちもあって
こんな関係いいなぁ~。と思えた。
さきちゃんと母親の関係も修復しそうなかんじで終わってホッ。

ほしよりこさんの挿画も素敵♪
物語の雰囲気に合っていました!


                                        ★★★★★


 

51OPvduDwQL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月

引っ込み思案な専業主婦・佐伯美菜子は「主婦力を生かしませんか」という募集チラシの言葉にひかれ、ハウスキーパーの会社「Team・HK」で働き始めた。代表の真冬野日向をはじめ、個性豊かなメンバーとさまざまな家を訪問するたび、美菜子のなかで少しずつ何かが変わり……。
『バッテリー』や、『M6』など少年や少女の世界をおもに描いてきたあさのあつこが、初めてアラフォー女性を主人公に描く期待のシリーズ。
 
                                       (徳間書店HPより)


主人公は15年間専業主婦をしてきた佐伯美菜子。
特別な資格はないけれど、働きたいとシュウカツを始めるが、なかなか見つからず・・・
そんなときに手に取った公募のチラシはハウスキ-パ-の会社の物だった。
そして美菜子もその会社「Team・ HK」の一員として働き始める。

チ-ムメンバ-は・・・・美菜子のほかに
真冬野日向・・・チ-ムの代表者
野端月子・・・あだなは体型からも納得の<満月>
近藤樹里・・・18歳
美杉杏奈・・・派手な顔立ちの美女
和泉初哉・・・超人見知り

お話は2つ。
お掃除依頼のお客の元で起きた、ちょっとしたミステリ-。

最初の話「魔女の腐乱死体」は、作家・那須河闘一の家での話。
この那須河先生がユニ-ク。
ミステリ-好きで、美菜子が中学時代に偶然、見てしまった腐乱死体発見現場の話で盛り上がる。
洋館で見つかった老女の死体についての話。
Team ・HKの得意様でもあり那須河先生は、気難しいところがある人だけど、美菜子が大のお気に入りに。


二つ目の話「訪問者は誰?」は
独り住まいの老女・香取末子の依頼で掃除に向かう美菜子たち。
そして、そこで転んで怪我をして倒れている末子を発見する。
すぐに救急車で病院に運ばれ大事には至らなかったけれど、末子が怪我をする前に
何者かが急いで逃げるのを目撃した美菜子。
さて、それは誰?と言うはなし。
一話で登場の那須河先生もその犯人探しに加わる。

真相がわかれば、納得。


軽いかんじのミステリ-で、ササッと読めました。
メンバ-たちのやりとりも面白いので、これはシリ-ズ化したら、また読みたい。

                                
美菜子の家族とのやり取りもなかなか興味深い。
高校生の長女・香音、キツイこともいうけれど、なかなか良い子だな~。
いまどきの高校生をよく表現していて面白い。
小学生の大吾くんは可愛いし。


★★★
2477f06d.jpeg    発行年月:2013年1月


    恩田ワールド全開のスペクタクル巨編!

    国家権力の及ばぬ〈途鎖国〉。
    特殊能力を持つ在色者たちがこの地の山深く集うとき、
    創造と破壊、歓喜と惨劇の幕が切って落とされる。


                       (文藝春秋HPより)



上巻に引き続き、一気読みでした!
途鎖国の山のなかに、潜む指名手配犯であり元夫でもある神山倖秀を見つけるために潜入する
有元実邦(警部補)とその部下・善法

そして、実邦に過去に目を潰され、雙眼となった葛城も実邦が山に入ったことをしり追いかける。

葛城が実邦を追っていることを知り、実邦の幼馴染でもある黒塚と軍勇司も山に入る。

他にも自称ジャーナリストであり、水晶を求めて山に入った青柳淳一。

不思議な力を持つ面々が得体の知れない力が潜む山の奥深くに集合する。

何が起きるのだろう?ハラハラドキドキ・・・・。

そして子どもなのに恐ろしい力で簡単に人や動物を殺してしまう少年の存在も不気味でした。
鹿ボ-ル・・・・怖すぎる~(;O;)

いろいろ知れたことも下巻では多かった。

神山倖秀は、子どものとき自分の父親・神山博士の実験台にされた
そのとき、一緒にいた子どもは、葛城晃と青柳淳一。

山で出会った老人の話。
先祖代々、水晶を発掘する仕事をしていた。
神山と娘の間に生まれた孫にある日、水晶の谷を見せてあげたら、その直後から様子が変わってしまった。


終盤、実邦がいよいよ神山を見つける!と思ったら・・・・
神山の姿を先に見つけたのは、葛城と青柳淳一のふたり。
そして実邦と善法もその場に来て・・・・

終盤は何が何やらわからないくらいドタバタ

神山は息子を呼び寄せたかったのかなぁ~?
最後、少年がお父さんと一緒になれて喜んでいるようなことばが、ちょっとホッとした。

でも、わからないことだらけだなぁ~。

実邦と敵対関係にあった葛城の関係がアッと言う間に大激変したのにはビックリ!
敵対しながらも一番、気にかけていた存在だったのか?


謎が残るんだけど、ま、面白かったからいいや。
恩田さんらしい世界を堪能させてもらったので満足(^^)



 

★★★
 

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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