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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年10月


辛かった哀しかった寂しかった。痛みを理由にするのって、楽だった。でも……。千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、自分を捨てた母・聖子がいた。他の同居人は、娘に捨てられた彩子と、聖子を「母」と呼び慕う恵真。「普通」の母娘の関係を築けなかった四人の共同生活は、思わぬ気づきと変化を迎え――。町田そのこ 2021年本屋大賞受賞後第1作目は、すれ違う母と娘の物語。

               (中央公論新社HPより)


主人公・千鶴の冒頭の暮らしぶりが壮絶でびっくり!
離婚した夫から金の無心と暴力を受けながら、その日に食べるものもないくらい
の困窮ぶり。

ラジオで募集していた「夏休みの思い出」を賞金欲しさに応募すると
準優勝の報せ。
その思い出とは小学生に上がってすぐの夏休みに母と二人だけで旅行した1か月のこと。
その旅行中に母が自分を捨てたということ。


千鶴は、ずっと母親を恨んでいたけれど、1か月も娘と楽しく旅行した人が
娘を捨てるには、きっと何か事情があったのだろうと思いながら読んだ。


成り行きで、母が住む「さざめきハイツ」で暮らすことになる千鶴。
母・聖子はまだ50代だったが若年性認知症を患っているということで
時に記憶が飛んでしまうことも。
千鶴のことを娘とわかっているようなわかっていないような・・・・。

さざめきハイツには、聖子に高校生の頃から親代わりして貰っているという
芹沢恵真と家事全般をしてくれる九十九彩子が住んでいる。

芹沢恵真は幼い時に両親を交通事故で亡くし、親戚宅で育ったがそこの姉妹に
虐められた過去がある。
九十九彩子は結婚し、娘がいたが、姑と母親が何かにつけて育児に干渉し
夫に3人で暮らしたいというが拒否され離婚して一人で家を出た。
娘・美保は姑に可愛がられ、懐いていて自分の元には来たがらなかった。

みんなそれぞれ家族のことでうまくいかず、さざめきハイツのなかで
寄り添っているかんじ。
その暮らしは平穏そうだったけど、彩子の娘・美保が来たり、
千鶴の居場所を美保のあげたインスタからばれて、終盤は修羅場に・・・( ゚Д゚)


どうなることかと思ったけれど、無事に色々なことが落ち着いたラストが
ホッとした。

これからは、それぞれが少し前を向いていけそう。

聖子が娘のことをホントは凄く考えていたとわかって良かった。

自分は施設に入りたいいう考え方も共感できる。


家族仲良く平凡に暮らせることが本当にありがたいことだと
つくづく思う内容だったな・・・・。



                     ★★★★


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発行年月:2022年3月


『恍惚の人』から半世紀。現役医師作家による衝撃のメディカル・サスペンス!
高齢者だけが身を寄せ合って暮らす山間の村。そこは楽園か、遺棄の地か。
夫の暴力から逃れ、幼い娘を連れて家を出た主婦・明日香。
迷い込んだ山奥の村で暮らし始めた明日香は、一見平和な村に隠された大きな秘密に気付き始める。
住民はどこから? 村の目的は?
老老介護、ヤングケアラー、介護破綻……世界一の認知症大国、日本。
人生を否定される患者。生活を破壊される家族。
認知症の「いま」に斬り込む衝撃作!

                 (講談社HPより)


最初から衝撃的で、どうなる?とハラハラドキドキ。
夫のDVから7歳の娘を連れて逃げて、たどり着いたのが、アルツ村。
認知症患者ばかりが暮らす村。
そこの老夫婦宅の孫ということで自然に受け入れられた明日香とその娘・リサ。

村人のなかでも会話が成立する人から情報を得て、なんとなくこの村の
様子がわかってきた明日香。

中盤以降、どんどん村の存在する意義がわかってきて、
それを悪とは言い切れないと思いながら読んだ。


最後、明日香自身もレビー小体型認知症というのには驚いた。
夫のDVも、娘のリサの存在も病気が生み出した妄想?幻覚?


認知症にならないには、長生きしないこと・・・・なんだか切ない。
でも現実・・・。



                     ★★★★



発行年月:2020年7月


医大の解剖学実習で組まれたのは、異例ともいえる女性4人だけの班だった。
城之内泰子教授の指導の下、優秀な成績で卒業した彼女たちは、真摯に医療の道を歩む。
長谷川仁美・高いオペ技術を持つ眼科医。けれど医局での出世すらできない現実に突き当たる。
坂東早紀・循環器内科医だったが、認知症の父親のためにフリーランスの健診医となる。
椎名涼子・救命救急医。夫との不仲に悩む折、エスコート・ドクターの依頼が舞い込む。
安蘭恵子・新生児科医であり、一児の母。勤務中、突然身体に異変が生じて……。
それぞれが直面する現実との闘いは、いつから始まっていたのだろう。
やがて明らかになる城之内教授が秘め続けた衝撃の真実とは――。

                     (光文社HPより)


医大時代、同じ解剖学実習の班だった4人は、大人になった今も連絡を取り合う
仲間。


女性医師って独身時代はいいけれど、結婚して子どもを持ってとなると途端に
自分のやりたいことを考えなおさないとならない時が来る。
それって、すごく不公平。
出産は仕方ないことだけど、その他は、女性ばかりが担うことでもないのに・・・


4人の女性医師も、それぞれ立ち止まって、この先のことを考える時期が来る。
それでも、医師であり続けるために努力する姿は本当に凄い!

社会問題になった大学医学部の入学試験での女子受験生に対する不正操作。
合格ラインに達していたにも関わらず女子が不合格になりその分、
男子受験生を合格としていたという事実。


今はどうなんだろう?

優秀な女性の医師が、医師して望む分野で活躍できるようになってほしい。


                       ★★★



発行年月:2022年2月


使えないやつは、生きてちゃダメですか?
書店に勤めていた妹が、ビルから飛び降りた。相談したいことがあるとメールをしてきたその日に。結婚と同時に上京し平穏に暮らしていた姉・梢子は、妹に何があったのかを探るため、地元に戻り同僚たちに会いに行く。妹を追い詰めたものは何なのか? 母の過剰な期待と父の無関心、同僚からぶつけられた心ない言葉、思うようにいかない恋愛……。妹の過去を辿ることは、梢子自身の傷に向き合うことでもあって――。

                  (角川書店HPより)



あずさ(25歳)がビルの屋上から落ちるところから始まる。

あずさの姉・梢子(28歳)は、メールで妹から「相談がある、電話していい?」
と言われていたのに忙しいを理由に断ってしまっていた。
妹がなぜ、ビルから転落したのか?
自殺?事故?事件?
その真相を探るため、妹と接点のある人たちに話を聞き始める。



表題から、マイナスのイメージを持って読んでいた。

姉妹の両親、特に母親は、自分の考えを押し付けて子どもを追い詰める人の
印象。
そんな母親や家族からの厄介ごとから逃げている父親。

梢子は、結婚するとき、やっとこの家から解放されると思った。
母親や妹と接することも極力避けてきた。


姉妹の関係や母親とのことが、姉妹が生まれるときからのことでわかってくると
息が詰まるようなかんじがした。
母親の「わたしはふつうじゃない」という言葉も気になった。
母親なりに子どもたちのことを考えていたようだけど、このやり方は
間違っていたと思う。

けれど、妹は、少しずつ、人間関係を広げて考え方も前向きになっていた
ことがわかり、ホッとした。

ビルから落ちた理由もわかり、自殺じゃなかったことにホッとした。

この先、家族は新たな関係を築いていけるといいな。


タイトルは、良い意味だったんだなと理解した。


初めて読む作家さんだけど、ほかの作品も読んでみようかな?



                        ★★★


発行年月:2021年8月

 二子玉川グレース病院で看護師として働く堤素野子は、31歳になり今後のキャリアについても悩みながら忙しい日々を過ごしていた。患者に感謝されるより罵られることの方が多い職場で、休日も気が休まらない過酷なシフトをこなすが、整形外科医である恋人・翔平と束の間の時間を分かち合うことでどうにかやり過ごしていた。
 あるとき素野子は休憩室のPCで、看護師と思われる「天使ダカラ」という名のツイッターアカウントを見つける。そこにはプロとして決して口にしてはならないはずの、看護師たちの本音が赤裸々に投稿されていて……。心身ともに追い詰められていく看護師たちが、行き着いた果ての景色とは。
 映画「いのちの停車場」やNHK連続ドラマ「ディア・ペイシェント」など、数々の話題作を送り出してきた、現役医師でもある著者の最新作!終末期の患者が多く入院する病棟で働く女性看護師の目を通して、医療現場の現実や限界をリアルに描いたエンタメ長編!
 患者さんに、最期まで笑顔でいてほしいから--

                    (小学館HPより)



卒業して最初の職場は総合病院で3交代勤務をしていた。
まさに、ここに書かれている通りのことを4年間続けて、一緒に働く人たちには
申し訳ないけれど、こんな労働していたら、壊れると感じて転職した。

感謝されることもあって、その時は嬉しいけれど、そうじゃないことの
方が断然、多い職場。


主人公・素野子(31歳)は、良い看護師だと思う。
でも、あまりにも理不尽なクレームが続けば精神的にかなり追い詰められる
のは当然。
人間だから、感情のコントロールが難しいときも出てくる。
読んでいると、辛くなる。


恋人の翔平との別れもダメージ大。
優しくて素野子のよき理解者だと思っていたのに、がっかり。


新人看護助手の小山田貴士(29歳)は、いい助手になりそうで
素野子のよき理解者にもなっていて、唯一の希望かな?



                        ★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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