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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年6月


この物語は、あなたの人生を支えてくれる
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。

   
                    (小学館HPより)


保育園の年長さんの時から調理師専門学校を卒業して社会人になった宙の
成長の物語。

最初、なぜ、産みの親がいるのに、その妹の叔母の元で暮らしているのかなぁ~?
と疑問だった。
途中、育ての親家族が海外に行くことになり、宙は産みの親である花野(カノ)
の元で暮らすようになる。

最初はイラストレーターとして働く花野のあまり親らしくない行動に
「この人、大丈夫か?」と宙の今後が心配になった。
でも、ちゃんと手助けしてくれる頼りになる佐伯恭宏(やっちゃん)の存在が
大きかった。
一緒に暮らしていなくても父親の役目を十分に果たしてくれていた。
料理を教えてくれたのはその後の宙の生き方にも影響。

色々な人に助けられて成長する宙は、中学で知り合った神丘鉄太と親しくなる。
彼の家庭は父子家庭でそこに離婚した姉が3歳の娘・葵を連れて戻ってきたが
元夫により精神的ダメージが強く育児もままならず・・・

宙は鉄太の精神的支えになっていた。


高校では父親が刃傷沙汰を起こし高校を退学した遠宮廻と親しくなる。

心が弱っている人の力になれる宙は自身は強くなったなぁ~。


このまま平穏に・・・・と思った終盤に事故死してしまった、やっちゃん。
えぇ~っ!
その加害者は飲酒運転で過去にも同じ事故を起こしていたという
腹立たしい!!
そんな加害者の家族にも優しく接する宙。
まあ、確かに奥さんと子どもには罪はないのだけど、なかなかこういう行動は
出来ないかもな。。。。


ラストは宙が未来に向かって前向きに頑張ろうとしているところで
終えたのは良かった。


温かい物語だった。



                    ★★★★
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発行年月:2023年3月


初めて、もっと勉強したいって思った。
女子ゆえに進学に苦労した曾祖母つる子は、ひ孫のわかばと樹に奨学金をだすという。
ただし、そのためにはひとつ条件があって……。
高校受験とバレー部の両立、応援し心配する親からのプレッシャーに悩みながらも、わかばは挑戦するおもしろさを感じていく。
::::::::::::::::::::::::
つる子はこほんと一つ咳払いをして言った。
「奨学金をだすことにしたよ。」
奨学金?
わかばはきいたばかりの単語を心の中でくりかえした。(略)
座敷の空気は一気になごんだ。というか、軽々しいばかりにはずんだ。
だが、次の一言でまたピンと張りつめた。
「ただし、それにはひとつ条件があるよ。」
つる子がぴしゃりと告げたからだ。
(本文より)


                    (偕成社HPより)


99歳のつる子さんから呼ばれた中学2年生のわかばと、樹家族。

「高校の学費を出すけれど、今の学力よりもひとつ上の学校を目指すこと」


わかばと樹は、それぞれの目標に向かって努力する。

樹は、成績優秀でレベルの高い高校にも進学できる実力。
わかばは、バレー部の練習と勉強の二つを頑張る。

主にわかばの頑張りが物語の軸になっている。
勉強をするうちに成績が上がり、志望校のレベルも上がる。

樹は将来、やりたい仕事のために高校を選ぶ。

学力に見合った学校を選ぶというより、将来のための勉強ができる学校を
選ぶ樹のような子もいいと思う。

わかばの最後の選択も、長いこの先の人生を考えたら、ありだと思う。

何より、自分で選んだ道なら、一層の努力をしていけると思う。


つる子さんは、二人にとって、素敵な大おばあちゃんだなぁ~。



                       ★★★



発行年月:2020年2月


単調でストレスフルな日々をキュートな妄想で脚色して何が悪い!
さまざまな世界との対峙の仕方を描く、衝撃の短編集!
村田沙耶香ワールドの神髄を堪能できる4篇を収録。
■「丸の内魔法少女ミラクリーナ」
OLの茅ヶ崎リナは、日々降りかかってくる無理難題も、魔法のコンパクトでミラクリーナに“変身”し、妄想力を駆使して乗り切っている。そんなある日、元魔法少女仲間のレイコが、恋人の正志と喧嘩。よりを戻すためには「レイコの代わりに魔法少女になること」を条件に出すと、意外にも彼は魔法少女活動にのめり込んでいくが……。
■「秘密の花園」
「見ているだけでいいから」と同じ大学の早川君を1週間監禁することにした千佳。3食昼寝付きという千佳の提案に、彼は上から目線で渋々合意した。だが、千佳の真意は、小学3年生からの早川君への初恋に終止符を打つため、「生身の早川君がいかにくだらない男か」を目の当たりにし、自分の中の「幻想」を打ち砕くことにあった――。
■「無性教室」
髪はショートカット、化粧は禁止、一人称は「僕」でなければならない――。「性別」禁止の高校へ通うユートは、性別不明の同級生・セナに惹かれている。しかし女子であろう(と推測される)ユキから、近い将来、性別は「廃止」されると聞かされ、混乱する。どうしてもセナの性別が知りたくなるが、セナは詮索されるのを嫌がり……。
■「変容」
母親の介護が一段落し、40歳になって再び、近所のファミレスで働きはじめた真琴は、世の中から「怒り」という感情がなくなってきていること、また周囲の人々が当たり前のように使う「なもむ」という言葉も、その感情も知らないことに衝撃を受ける。その矢先、大学時代の親友から「精神のステージをあげていく交流会」に誘われるが……。


                     (角川書店HPより)


表題作が一番、好き。
こういうごっこ遊びは、子どもの頃(小学校低学年くらいまで)

よくやっていたから懐かしい感じ。
でも、大人(36歳)になるまで、ずっと一人で密かに続けているのは
ある意味、尊敬。
それが、良いように生活のなかに活かされているうちは良かったけけれど・・・。


あとのも面白いけれど、ちょっと気持ち悪いかなぁ~?
それでも、独特の雰囲気は楽しめた。

村田さんって、こういうシュールな話、ほんと、巧いなぁ~。



                       ★★★



発行年月:2023年2月

恋人に紹介できない家族、会社でのいじめによる対人恐怖、人間関係をリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずだった不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れ――いまは人生の迷子になってしまったけれど、あなたの道しるべは、ほら、ここに。もつれた心を解きほぐす、ぬくもりに満ちた全五篇。
目次
おつやのよる
ばばあのマーチ
入道雲が生まれるころ
くろい穴
先を生くひと

                   (新潮社HPより)




5つの短編集。

どのお話も大切な誰かとの別れがある。

最初の話から良かった。
<おつやのよる>
94歳の元気だった祖母の訃報を知り慌てて大阪から九州の実家に帰る清陽(きよい)。
恋人の章吾が一緒に行くというのに振り切って。。。

おばあちゃんは、きっと章吾が追いかけて来てくれて喜んでいるだろうな。


<ばあばのマーチ>
庭先でいっぱい並んだ食器たちを叩きながら一人オーケストラをしている
通称・オーケストラばばあ。

香子は恋人の浩明がもっとちゃんとした仕事にとバイトで菓子工場に勤めて
いることをよく思っていない様子。
結婚したら子どもは3人で夫婦共働きで十分な教育を受けさせたい・・・云々。

うん、別れていいよ


<入道雲が生まれるころ>
萌子は恋人の浩斗に別れましょうとメモを残し帰る途中、実家の母から
親戚のおばあさんが亡くなったと報せが入り、実家へ。

親戚だと思っていた藤江さんは、実はなんら関係ない他人だったとわかる。
死亡届を役所に提出しに行って、その人物には行方不明の末に
亡くなったことになっていると。

藤江さんを巡る謎をあれこれ推察する面々。
萌子の妹・芽衣子は、そんな藤江さんを慕っていたのだと萌子に話す。
遺品の処分も芽衣子は頼まれていたという。


藤江さんにどんなことが実際あって北海道から九州まで来たんだろ?
謎は残るけれど、ここでは穏やかに暮らせていたんだろうな。

萌子の気持ちにも少し変化が見られたのも嬉しい。


<くろい穴>
不倫相手の奥さんが食べたがっていると彼が言うので栗の渋皮煮を作る。
作ったことが何度かあるので、その工程の面倒くささがわかって
面白かった。
わざと虫喰いのような穴のある栗を残して彼に渡す。

奥さんが癌で亡くなり亡くなる前、虫喰いの栗を彼がつまんで穴に気づいたら
「自分で責任もって食べて」と言われたと。
奥さんはお見通しだったんだな。
それを聞いて彼と別れることにしたのも偉い!


<先を生く人>
加代は幼馴染のあおいが、最近、冷たいと感じている。
その真相は、老女の澪が偶然会ったあおいを見て初恋の人・正臣にそっくりだと驚き
その人の名前で呼びたいと。
快諾し、度々、家を訪ねていた、あおい。
加代も正臣の妹という設定で一緒に澪さんの元へ行くようになる。


澪さん、少女みたいでかわいいな。

そして、いい子だなぁ~あおいくん。
加代ともずっと仲良しで居られたらいいね~


ほっこりする短編集でした♪



                   ★★★★





発行年月:1963年5月



「贅沢貧乏」「紅い空の朝から…」「黒猫ジュリエットの話」「マリアはマリア」など、
森茉莉のゆるぎない個の精神が反映した連作小説集。

                  (発行/新潮社)


初版が60年前の本。
買ったのは、いつだったっけ?

森鴎外の娘で晩年まで文筆活動をしていたらしい。
ほかの小説は読んだことがないけれど、この本が何となく好きで
今回、また何年かぶりに読んでみた。


安アパートで一人暮らしをしながら、貧乏だけど空想の世界では贅沢品に
囲まれて生活していると空想する生活。
短篇集だけど、この本の中の牟礼摩利(マリア)の日常が描かれている。

特に二番目の<紅い空の朝から・・・>がすき。
硝子窓を通して入ってくる朝の光の色の表現が綺麗。

オリイヴ色(実際は難しい漢字)、鈍く透き通った紅、黄薔薇色
薄れた黄金などと光を表現している。

<黒猫ジュリエット>では、自身のことを愛猫の目線でやや自虐的に
書いているのも可笑しい。


最後の<青い栗>は、結婚していて息子たちや女中さんたちと賑やかに
奥様として暮らしていたころのことを書いていて、ああこういう暮らしも
していたのか・・・・と


森茉莉さん、最期は安アパートで死後2日ほど経過しているのを見つけられた
そうだけど、若い頃は、そういうのは寂しいなとか思ったけれど
今は、そういうのある意味、理想的かもと思ってしまう。



さて次に手に取るのはいつかな?


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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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