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読んだ本の感想あれこれ。
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51QCZQ7FVYL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2004年9月


日系2世の語学兵の苦悩を描く戦争長編。

日本人と同じ顔、同じ言葉を喋るがアメリカのために戦う二世の語学兵・ショ-ティの栄光なき孤独な戦い。アメリカ以上にアメリカ合衆国への忠誠を要求される日系人の苦悩を描く戦争長編。



                  (集英社HPより)

サイパン島での激戦。
アメリカは日本軍を追い詰めるが、玉砕を覚悟の日本兵や民間人は、なかなか降伏しない。
そんな日本人の心理をアメリカ人たちは理解できず、苛立つ。
日系二世のショ-ティは、語学兵として激戦地に就いている。
そして、そんな理解不能な日本人の心理を多少なりとも分かっているため、一人でも多くの日本人を
無傷のまま降伏させたいと奔走する。


戦争が始まる前、日本人の両親はアメリカに渡った。
ショ-ティはそんな日本語しか知らない両親の元、アメリカ人と関わっていくが、差別による理不尽な目に幾度も遭って来た。

戦争で日本を敵にしなければならないことは、両親には複雑な思いがあっただろう。
しかし、ここでアメリカのために仕事をすれば日本人でも認めて貰える。
そんな気持ちがあってか、両親はアメリカ兵として戦う息子を送り出す。
ああ、その気持ちを考えるだけで苦しくなる。

そして、語学兵として、ショ-ティは奔走。
アメリカ人では理解し難い日本人の心理を予測しながら、上官にもアドバイスを提言したり
自ら、危険を冒して日本兵と民間人が潜む場所に先頭をきって、降伏の説得に当たる。


自分の命を取られることより、生きて捕虜になることを恐れる日本人。
生きて捕虜になることは、恥であるという考えから、自分が捕虜になったことを祖国に知らされることを一番恐れる。
切羽詰まれば、自分の命をかけて敵に突進していくのが日本人だとアメリカ兵も恐れる。

日本人とショ-ティの関わる場面は、少し温かい気持ちの交流みたいなものも感じられ、一瞬、気持ちが和んだけれど
やはり、戦争は惨い。

命の危険にさらされるという恐怖のほかにも、いろいろな恐れがあって
こんな時代を生きなければならなかった人たちを本当に気の毒に思う。

日系のアメリカ人・ショ-ティみたいな人たちが実際に何人も居たんでしょうね。
その人たちのことは、今回の物語で初めて知り、その苦悩の様子も胸が痛くなった。


古処さんの書はいつもズ-ンと胸に残る物語だ


★★★★★




 
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41VVT1EPY1L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2004年11月


世間のしがらみに縛られ、煮詰まっている30代半ばの信用金庫職員・基子。
他人とのしがらみを持つことを恐れる、20代後半の売れない漫画家・絆。
時代からこぼれ落ちたような二人が、今どき珍しい賄い付き下宿で出会い
共同生活を始める。他の下宿人は、謎めいた年齢不詳の大学教授・夏子と大家を務める明るい大学生・ゆか。
年齢も境遇もばらばらな彼女たちが、お互いの存在を通して、
それぞれに新たな生き方をみつけていく-------。
2003年夏に放映され、話題を集めた同名テレビドラマのシナリオを完全収録。


                                     (発行:日テレ)


default02.jpg



大好きだったドラマ「すいか」。
放送は2003年って、もう10年も経ったんだぁ~!?

ハピネス三茶という名前の下宿屋で共同生活する4人の様子が面白くて・・・。
それぞれ抱えているものはあるんだけれど、何気ない食事の風景とか、ちょっとした
会話のやり取りのなかに、「そうそう!!」って同意したくなるような
良いことばがいっぱい出てきて、良かったんだよね~。




ichi.jpg 芝本ゆか(市川実日子)

スリランカ在住のいい加減な父親から
ハピネス三茶の大家を任された大学生。







koba.jpg 早川基子(小林聡美)

34歳のまじめな信用金庫職員。
煮詰まった生活を変えようと「ハピネス三茶」で
暮らし始める。






tomo.jpg  亀山絆(ともさかりえ)

27歳の売れない漫画家。
4年前に双子の姉・結を亡くし、未来に希望が
持てないでいる。






asa.jpg  崎谷夏子(浅丘ルリ子)

俗世を超越した、でも実はお茶目な大学教授。
長年ハピネス三茶に住み続けている。
年齢不詳。






kyon.jpg  馬場万里子(小泉今日子)

基子の同僚。
会社の金・3億円を横領して逃亡中。







shira.jpg  早川梅子(白石加代子)

基子の母親。
口うるさく、いまだに子離れできない。







ほかにも、バ-「泥沼」のママにもたいまさこ。
度々、ハピネス三茶に登場の夏子の教え子で、出版社編集長の間々田役には、高橋克美
などなど。


シナリオ本を読んでいると、ドラマの場面が頭に浮かんで来て、すごく楽しかった!!
再放送してくれたら、録画して永久保存にするのになぁ~。
あ、DVDがあるか?
ドラマがまた見たくなった!!


最高だな。これ。



 
★★★★★





 
51y9-ek296L__SX230_.jpg    発行年月:2011年1月
 


   「魔女の宅急便」の著者が、死別した母との再会を描く自伝的小説! 


74歳のイコさんは東京から岡山まで、5歳の時に死別した母の生家をバイクで訪ねるという、思い切った行動に出る。イコさんはその家で、自分は幽霊だという子供の頃の母そっくりの少女に出会うが…!?


                                       (角川書店HPより)


74歳の山野イコ。
母親の生家をバイクで訪ね、そこで出会った少女・ふみこ(通称:ふーちゃん)。
ふーちゃんは12歳。
自分が唯一持っている母親が子どもだった頃の写真と同じ顔。
ふーちゃんはイコさんの母親!

母親と娘なのに、12歳と74歳という年齢が面白い♪
幽霊のふーちゃんが素直で可愛い。

2人で居ると、見えないはずの幽霊になった人たちと出会ってしまい、幽霊たちの未練を断ち切る
アドバイスなんかしたりして・・・。

あの世に行けない幽霊は、未練を残しているから・・・・・
ならば、ふーちゃんの未練は??

幼いイコさんを残して逝ってしまったこと?と予想していたら、
見事にハズレでしたが、なんだか、ふーちゃんらしい。

イコさんのことを娘と気づいて良かった(^^)

さて、2人でこれから、どんな風に暮らすのやら?
想像するだけで楽しいな。

素敵なファンタジ-でした!

70歳過ぎても、こんなユ-モアと元気を持っていたいものです!

角野さんの自伝的小説とあるけれど・・・・角野さんもこんなバイタリティ溢れる方ということかなぁ?


                                           ★★★★
 
51UZn9brltL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年1月


出口なし、人生も台なし! ローン地獄、建替え問題、娘の将来……「住」に翻弄される家族の真っ暗な現実を描く長篇小説。

バブル崩壊前夜、都心から1時間の分譲団地を購入した織部家。広大な敷地には緑があふれ、「ニュータウン」と持て囃されたが、築30年を越え、妻の頼子は理事会で建替え問題にかかわる。が、住民エゴで理事会は紛糾、娘の琴里は資産家の男とつきあい、一家は泥沼から脱出を試みるが……。社会問題を炙り出す気鋭の長篇エンターテインメント。

                                         (新潮社HPより)



織部家は前途多難・・・・うぅ~暗い話だ・・・・と冒頭から思った。
分譲団地の資産価値が急落し、住民の間で持ち上がった、建て替えにして新たな住民を呼び寄せようという意見が多く出てきた。

団地内の自治会役員になり、会合に出るたび、建て替え問題、賛成派、反対派の意見は平行線。
役員の一員である、織部頼子は、頭のなかで、建て替えされたら即、売ってしまうのもいいか?と考える。

その建て替え問題と平行して進む・織部家の長女・琴里(27歳)の話。
中学時代、同じ分譲住宅内に住んでいた同級生の坂本三起子と小川朋美。

3人で会う約束をしたが、朋美が来られず、三起子はイケメンの彼・黛環を連れてきた。
戸惑う琴里だが、ひょんなことから、黛とデ-トすることに・・・・そして三起子は別の男と海外へ行き、結婚したと後日、黛から聞く。
黛の実家は代々続く資産家でありことが判明。
黛は働かなくても、不動産を管理しているだけで食べていけるそう。

そして、黛からしつこく付きまとわれることになる琴里。
黛の本性が段々と分かってきて、お金持ちでも自由がないのは我慢できないと、別れを切り出す。
黛みたいな人が居たら、イヤだな。

悪い人じゃないかもしれないけど、自分を過大評価している姿が滑稽。
後半、黛の同級生から明かされた彼の本性を知って・・・ああ、なるほどね~と納得。

でも、その黛をうまく利用したのが朋美。
本性を見破ったうえで、それを利用して自分の夢を叶えてしまったのは、凄い!
マネできないけど、こういう選択もアリかな?


最初は、お先真っ暗な織部家だったけど、最後は、なんとか明るい展望も見えてきてホッ。
垣谷さんのお話は、最後にちょっと救われるから好き♪


★★★★


 
31lm6cHA3hL__SX230_.jpg    発行年月:2013年1月

  
    芥川賞受賞! 75歳の「新人女性作家」鮮烈なデビュー作

    蓮實重彦・東京大学元総長の絶賛を浴び、
    「早稲田文学新人賞」を受賞した75歳「新人女性作家」の、
    若々しく成熟したデビュー作。


                          (文藝春秋HPより)



芥川賞受賞の表題作「abさんご」は、ひとりの子どもが成長するまでの話。
「昭和」の時代の懐かしいかんじが読んでいる間、心地いい。
内容は・・・・よくわからない。
大して重大なことが起きるわけでもなく・・・日常のひとコマひとコマを描いたようなかんじなので
ちょっとエッセイのようなかんじもした。
物語を楽しむよいうよりは、文章を愉しむというかんじで、こういう文章には、今まで出会わなかったので、
なんだか新鮮でした。

それに比べて・・・表題作のほかの3篇
「鞠」
「タミエの花」
「虹」
は、タミエという同一人物が主人公。
幼いころの話では、なんだか懐かしい遊びも出てきて微笑ましい。
けれど・・・最後の虹で明かされるタミエの告白には、ビックリ!!
全く想像しなかったラストでした。


ちょうど中ほどにある「なかがき」が、面白かった。

これがデビュ-作ということですが・・・ず~っと文章を書き続けて来た方なんですね。

好きか嫌いかを問われたら、割と好きな文章ですが
万人受けはし難いかも・・・・。



 

★★★



 
    
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