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読んだ本の感想あれこれ。
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41aJGbw6yZL__SS400_.jpg発行年月:2011年8月


悪夢の事故が町を呑み込み、その直後、春子は生まれた。私は人の面を身につけながら、私と妻と娘、3人の家を守る。そう決めたのだ……
震災後の世界に贈る、破壊と再生の物語。



                      (河出書房新社HPより)




主人が図書館から借りて来ていたので、読んでみた。
表紙のかわいらしいかんじとは、全く違う内容で、ビックリ!

そうか~これは3・11のことを思って書いた物語だったのかぁ~と後で納得。

最初は、ほのぼのとした父と娘の描写。
母親はどうしたんだろ?と思っていたら・・・
え?天井と同化してる!?

そして、オバケの存在が普通にあって・・・見た目は人だけど、違う者の存在があり・・・・
SFのような、ホラ-のような・・・
幻想的な部分もあったりで、とても変わった世界がありました。

まさに想定外の物語。

物語のなかで、そんな世界が出来たのは、巨人化したものが起こした事故が原因とされている。
それは原発と置き換えられる。

そんな不思議な恐ろしい現実のなかにあっても春子の無邪気な可愛らしさがまぶしい。
子どもって、やっぱり希望なんだなぁ~なんてしみじみ感じた。


★★★★
 
 
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315D7MD914L__SL500_AA300_.jpg発行年月:2003年1月


はたちになる直前、ハムスターとマンションを相続した、まちる。実家を出て、一人暮らしを始めるが…。奇妙な設定を静かなユーモアで包んだ、注目作家のデビュー作ほか『豆姉妹』収録。
第26回すばる文学賞受賞作



                      (集英社HPより)

栗田さんの変な話が好きです・・・・笑

デビュ-作をまだ読んでなかったので、読んでみました。
やはり変な話で期待通り^^;

表題作と「豆姉妹」の二編。

どちらも良かった!(変なんだけどね)

「ハミザベス」って何!?と思ったら、ハムスタ-の名前でした。
1歳のとき、別れた父親が亡くなったと知らせれ、その遺産相続手続きを執行する女性・あかつきからの手紙で父親の遺志であるマンションを主人公のまちるが相続する事になる。
マンションの33階の部屋で一人暮らしを始めるのだけど・・・あかつきからいままで飼っていたハムスタ-の世話が出来なくなった状況なので代わりに育てて欲しいと言われ、その名前を「ハミザベス」とする。
まちるとあかつきの会話も可笑しい。
でもなんだかホッとするのは何でだろ?

そして、まちるの生い立ちには隠された真実があって。。。。。
なかなか波乱万丈の様子だけど、まちるの何事も平然と受け止めている姿が良かった。


「豆姉妹」は、7歳違いの姉妹、永子と末美のお話。
両親は離婚。
姉妹は母親と暮らしていたが、永子15歳、末美7歳のときに母親が再婚。
やがて永子と末美は二人で家を出て、永子が末美を養う生活が始まり、現在末美は16歳。
永子は看護師だったけど・・・・・SMクラブに職を変える。
この動機が、笑える。
なるほどね~なんて思ってしまった(笑)

永子の性格も面白いけど、末美もとんでもない行動に出て、なんと長い髪の毛をアフロにしちゃう。
学校で問題になるでしょ!?と思いきや・・・OKになっちゃう。
良い学校だなぁ~。
担任の先生も教師っぽくないけど、なんだか憎めないかんじ。


これがデビュ-作なんだ~!
いや、素晴らしい!!


変な小説だなぁ~と思うけど、やはりこの作家さん面白い!!


 

★★★★★


 
31Z5G7N4T9L__SL500_AA300_.jpg発行年月:2005年3月


チェックイン・・・日没後
チェックアウト・・・日の出まで
最高の眠りを提供するホテル・・・
オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン

ホテルのフロントで働き出した希里が知る、優しい対峙の仕方。


                                           (本の帯文より)

いつもちょっと不思議な雰囲気を描く作家さん。
過去の作品が気になり、図書館棚で見つけた1冊。
表紙の絵からして、ちょっと期待できるかんじなのも◎。

23歳の希里が、初めて職に就く。
面接に行くまでの様子もなんだかちょっと不思議。
そして、めでたく採用されホテルのフロント係りとしての日々が始まる。

ホテルは少し変わっている。
会員制で一見さんはお断り。
地下にあり、最下階は13階。客室数は99。
一泊8400円で食事提供はなし。
特に宣伝もしていないのに、稼働率は99%を維持し、リピ-タ-率は88%という。

ホテルのモット-は最高の眠り、最良の夢を提供すること。

そんなホテルでのあれこれ。


ホテルの従業員らしき人は、面接官であった客室係り兼、ホテル営業者の外山さん以外出てこない。
希里と外山さんのやり取りも、ほのぼのしていて、ちょっと不可解で、なんとも言えないかんじ。
その感じそのものが眠りを誘うような心地よさ。

希里の家庭環境は、ちょっと複雑なものを抱えていて、そのことで希里自身にかかる負担も多そうですが、このホテルで働き始めたことにより、そんな問題も少し良い方向に向かいそうな気配。

これは、ちょうど、寝る前(1時間ちょいで読了)に読んだので、その後、なんだか気持ちよく眠れた気がする(笑)。


★★★★


 
51vOrAFxzzL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年8月

えっ、前の先生は失踪したんですか!?

 突然、小学校三年生の担任をすることになった日野晃道(ひの・あきみち)。引き継ぎらしいものもないまま、いきなりの赴任。聞けば、晃道が受け持つ三年生は、前年に学級崩壊を起こし、問題視されている学年だった。そのときの先生は失踪したという。新人の晃道を手助けすると言ってくれた校長は、飄々(ひょうひょう)としていて、どこか頼りない。それでも、憧れの「教師」という職に就いた晃道は、まっすぐな気持ちを胸に児童たちとぶつかっていく。「てるてる先生」という愛称も子どもたちからもらい、教師になった悦びを実感する晃道。ところが、はじめはうまくいくように思えた学級も、徐々に乱れはじめてしまう。さらには、児童たちの親との問題も持ち上がってしまい……。

 「学級の再生という物語」を通じて、学校の「いま」と家族、地域の「在り方」をリアルに描く。授業風景の描写にも注目の長編エンタテインメント。


                                       (PHP研究所HPより)


教育現場の様子がリアルに描かれていました。
憧れの教師像を胸に小学校の教師になり3年2組を担当することになった日野晃道。
夢と希望に満ち溢れていた若い教師を段々と追い詰める事態が発覚!

学級崩壊。
授業を進めたくても授業にならない教室内。

こういった問題は、今ではさほど珍しくないみたい。
幸い自分の子どものクラスでは経験ないのですが、話にはよく聞きます。

教師の何かが悪いと決めつけてしまう保護者に一番、問題があるとわたし自身は思っていましたが、やはりそういうことが大きいのでは?と改めて思いました。
親が家庭で(子どもの前で)教師を批判すると、子どももその影響を受けてしまうのは当然。

そして、地域の人たちの影響力が強い場所では、そこからの目も厳しく、教師って本当に大変だと思う。
若い日野先生は、でも精神誠意、子どもたちに向き合っていた!
がんばれ!!と応援しながら読んでいた。
幸いなことに同僚や新しく変わったばかりの校長先生が若い先生を懸命にフォロ-してくれていたので救われた。

精神的に追い詰められた状況にまで陥ってどうなることか?と心配したけど、ちゃんと見ていてくれる人も居た!
そして、物語のラストには、日野先生の前任の教師・レイコ先生の失踪の真実も明かされ、再びレイコ先生が戻ってくるという嬉しい展開もあり、読後感は良かった!


子どもを学校に預けている親は、読むといろいろ考えさせられることが多い書だと思う。



 

★★★★★

41OCPcrMiDL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年5月


飛びこみ出産の身元不明の妊婦が急死。
それにかかわった「聖職者」たちは、
小さな嘘を重ねるうちに、人生が狂っていく……。
妊婦は誰なのか? 新生児は誰の子か?
傑作医療ミステリ。


                      (幻冬舎HPより)



面白かった!
医療現場を知ってる人なら、このリアル感には引き込まれるかも。

善良でプロ意識の強い、外科医の司馬健吾は、飛び込みの妊婦の帝王切開術を行う。
が・・・妊婦は原因がよくわからないまま血圧低下、意識レベル低下の後、術中に死亡。
新生児は未熟児だったが無事に保育器にて治療され、やがて退院を迎える。

この最初の場面だけで、実際の現場の様子がリアルに浮かんで、自分がそこに居るかのようなハラハラとした緊迫感に襲われました。

司馬医師は、超過勤務続きで疲れていた自身のコンデションから、もしかしたら何かミスを犯したのか?と疑心暗鬼になり、医師としてやってはならない検査デ-タ-などを隠匿してしまう。
この心理は、すごくよくわかる!
こういう状況だったら・・・・・誰もが同じ行動に出てしまうかも。


そして、ほかの登場人物たち。
病院長の大久保、
学校教育では知られる日向夫妻(敏夫・圭子)、
司馬の手術に立ち会った看護師長の春日井と
司馬の恋人でもある看護師の平井瑤子、

司馬を含めた6人の人物たちが、この妊婦死亡の事態に大きく関わっていく。
死亡した妊婦・有馬三恵の人物像も亡くなった後で、段々にわかる。

6人がそれぞれに嘘をつく。
自分にとって大切なものを守りたいために。

しかし、そのことが、自分以外の者を辛い状況に陥れていく。

6人がつく嘘には、ちゃんとした理由があり、それぞれ自分が同じ立場だったら、もしかしたら同様のことをしてしまうかも?と思ってしまうようなこと。
それが怖い。


病院経営の実態、夜間当直の医師や看護師の過酷な労働状況など医療現場の緊迫した問題点などにも触れていてノンフィクションの要素もちょっと感じた。

読後感はすっきりとは言えないけれど、リアリティさはあったかも。

そして、表紙が凝っている!!
広げると白鳥が6羽!
くら~い水辺のなかを漂っているこのかんじは物語の内容そのものだと思う!


初読みの作家さんだけど、なかなか良かった!
違う作品も読んでみたい!


★★★★
 
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