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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年10月


 あれは、誰の灯籠だろう――。
またひとつ、赤い灯籠が流された。灯籠を見送っている人に、希未は見覚えがあるような気がした。

「悼む」とは、ずっと忘れないで伝えていくということ。
中学1年生の希未は、昨年の灯籠流しの夜に、見知らぬ老婦人から年齢を問われる。
仏壇の前で涙を流す母。同じ風景ばかりを描く美術教師。
ひとりぼっちになってしまった女性。
そして、思いを寄せた相手を失った人――。
希未は、同級生の友だちとともに、よく知らなかった“あの日”のことを、周りの大人たちから聞かせてもらうことに……。

真夏の夜、元安川に、人々は色とりどりの灯籠を流す。光を揺らしながら、遠い海へと流れていく――。
1945年8月6日。広島上空で原子爆弾が炸裂した。そこに暮らしていた人々は、人類が経験したことのない光、熱線、爆風、そして放射能にさらされた。ひとりひとりの人生。ひとりひとりの物語。そのすべてが、一瞬にして消えてしまった。
研ぎ澄まされた筆致で原爆をテーマに描いた『八月の光』の朽木祥が、今回、長編で原爆を描ききる。
日本児童文学者協会新人賞をはじめ、産経児童出版文化賞大賞など多数の賞に輝く朽木祥が、渾身の力で、祈りをこめて描く代表作!

                  (講談社HPより)


主人公は、広島に暮らす中学1年生の望未。
美術部に所属していて、文化祭では「あのころの廣島とヒロシマ」をテーマに
各自の取材を元に、あの日のヒロシマを元にした絵を描くことに。
それぞれが、あの日のことを身近な人から聞いたり体験者に話を聞きに行ったりするなかで
当時の人々の抱えている思いを表現していく。


主人公の望未は、美術部顧問の吉岡先生自身のことを題材にする。
あの日、許婚の聡子さんとちょっとしたことで気まずい気持ちをそれぞれが
抱えながら別れた。その直後、聡子さんは被爆して亡くなった。
先生は、聡子さんを探して、入市被曝した。
先生があげた櫛が焼けた状態で見つかっただけ。


ヒロシマやナガサキの原爆投下のことは、知っているけれど、そこに暮らしていた
人たちのその後のこと。
そのとき、亡くなってしまった人が、亡くなる前まで普通に生活していた様子を
こうして知ると、それぞれの哀しみや痛みが伝わってくるよう。

原子爆弾の熱で一瞬のうちに姿を消した人たち。
そして、その後で放射線を浴びて被曝した人たち、

生き残った人たちの多くは、体内に残った放射線の恐怖に怯えながら生活しなくては
ならなくなった。

恐ろしい。
とても怖い。

やはり放射能は、怖いな。

ヒロシマ、ナガサキ、そしてフクシマのこと、忘れたらいけないな。

文化祭という行事を通して、望未たちがヒロシマのことを深く考え
作成した作品も素晴らしいものだったでしょう。


表紙の灯篭流しの絵も物語のイメージを膨らませてくれた。


                            ★★★★★
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発行年月:2013年9月


 超ダメ男「電気ちゃん」に拾われた16歳の家出少女・鳥子(とりこ)。
乳がんの宣告をされた26歳OLの寿寿(じゅじゅ)。
凄腕の料理で男を次々と部屋に誘う38歳バツイチのきみ夜。
男性より女性を愛する超美人ホステス、紫(むらさき)。
「電気ちゃん」という奇妙な縁に引きよせられたのは、生きることがあまり上手ではない女たち。
ひとりぼっちの魂をそっと包み込む五つの物語。
気鋭のスト―リーテラーによる鮮烈な渾身作!

                    (毎日新聞社HPより)



最初の<電気ちゃん>を読んで次の<歯がた>に進んだら、
全く別の人たちの話になったので
「あれ?これは短編集なのか?」と思いつつ、
続けて読んで行くと
後半、登場人物たちが次々と繋がり始めた。

<電気ちゃん>だけ、何処かに行っちゃったままだけど・・・・
16歳で電気ちゃんに拾われた鳥子は、電気ちゃんの住むボロアパートで一人で
生活を続けている。
突然、耳の奥から響いてくる音は、治っていない様子だけど
今、周りにいる人たちの中では、逃げ出したくならないみたい。
両親も鳥子の居場所を知っていて、好きにさせてくれている。


同じアパートの住人・きみ夜や
電気ちゃんの知り合いで鳥子のことも気にかけてくれる紫。
それぞれ、抱えるものはあるけれど、鳥子は家族の元で生活していたときより
逞しくなったかんじがする。


でも鳥子がコンビニで出会った<ざらめ>は不思議な存在だったけど、何だったんだ?


奇妙な物語だけど、何とも言えない魅力がある物語だった。

初めて知った作家さんだけれど、他の作品も読んでみたいな~。


                          ★★★★





発行年月:2013年11月


 つらい時、いつも傍らにあった物語。もし、本当にその中で暮らせるなら――。

クリスマスイブの夜、最愛の娘が家出した。どこに? 六年前、父親が贈った童話の中に。娘を探すため、父は小説世界へと入り込む。しかしそこは、自らが作り上げた世界と何かが決定的に違っていた……。人は、どうして物語を読むのだろうか? その答えがほんの少し見えてくる、残酷で愛に満ちたファンタスティックな冒険譚。

                    (新潮社HPより)


クリスマスの季節に読みたかった!!
でも、十分にその雰囲気を楽しめました。

歴史小説家の男が読書家の娘が4歳のとき娘のために作った物語。
年に一度、贈り物を届けるために、金色配達員と銀色配達員は<外の世界>へ向かう。


そして、娘が10歳になったある日、天体観測に出かけると出かけたまま
戻って来ない事件発生。
娘は物語の世界へ・・・。
父親もその後を追うけれど・・・。

娘は銀色配達員の隠し子として、その世界で少しずつ馴染んでいくが
父親は、その世界では<影>として存在。
しかし、その姿を見られるものも。

不思議な雰囲気のあるファンタジーでした。

特別配達員のキツツキの子が、影と出会い歴史を学ぶ者同士だからと
意気投合する場面がユニーク。

女の子を<外の世界の子>と気付きながらも匿うように暮らす銀色配達員と
その手助けをする金色配達員の優しさ良かったなぁ~。

最後は、ハッキリ書かれていなかったけれど、元の世界に父と娘は戻ったのかな?
いろいろと想像するのも面白い。
こういう雰囲気、大好きなので、読んでいる間、とても楽しかった!


これがデビュー作で第25回ファンタジーノベル大賞受賞。
これからも、ステキな作品を読ませていただきたいです(^^)


                        ★★★★★





発行年月:2013年4月


悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ――。
7年前、25歳で死んだ一樹。
遺された嫁のテツコと一緒に暮らし続ける一樹の父・ギフとの何気ない日常に
鏤められたコトバが心をうつ連作長篇。


                  (河出書房新社HPより)



義父・寺山連太郎と二人暮らしのテツコ28歳。
夫の一樹を7年前に癌で亡くした後も、義父との暮らしを続けている。
最初は、なんで?と思ったけれど・・・
連太郎の人柄が、なんとも良い感じで、そしてこの家のかんじが安らぎを生む
雰囲気。
こんな状況ならば、居心地いいだろうなぁ~。

そしてテツコの恋人・岩井の存在も良かった!
義父とテツコとも関わりを持ちながら、このまま家族になっていって
欲しいなぁ~と思った。

そして、亡くなっている連太郎の妻・夕子の物語も良かった。
連太郎と見合いをするまでの経緯としてからのこと。
やはり連太郎は素敵だな。


ラストの話「一樹」は、表題に繋がるエピソード。
一樹とテツコの出会いの物語でしょうね。


どの話も心が温かくなる物語でした。

木皿泉さんって、ご夫婦で脚本を書かれているんですよね~。
1952年生まれの和泉努と1957年生まれの鹿年季子夫妻。

はじめて手掛けたというドラマ「すいか」も大好きでした!!
小説は今作が始めてだそうですが、これからも小説ぜひ書いて欲しいです!!


                           ★★★★★


発行年月:2011年9月

瑞々しくも恐ろしい子どもの世界。
「倦怠を知ったのは、八歳のときだ」
感情のみなもとに視点を注いだ14編。

            
  

               (筑摩書房HPより)




姉妹
ひよこにはならない
黒蜜
回る回る
九月の足音
黒い月曜日
雲雀
倦怠
砂のボ-ル
馬足街
どよどよ

おはよう


子どもが主人公のお話たち。
既に大人になった者が子ども時代を思い出したものもあり。
自分の子ども時代のことを、ふと思い出すような話もあった。


ちょっとした描写が、ホラ-っぽい作品も幾つか。
「姉妹」「回る回る」「馬足街」は、ちょっと不思議で怖いかんじ。
ホラ-とまではいかないけれど・・・。

表題作の「黒蜜」は、暗い過去も抱えた主人公・海人だけど
出会った少女とのやり取りはちょっとほのぼのしていて好き。
あんみつにかける餡は、白蜜か?黒蜜か?
わたしも断然、黒蜜だなぁ~^m^


いろいろな雰囲気のお話が、集まった短編集でした。
初めて読む作家さんでしたが、詩人でもあるそうです。
他の作品も読んでみようかな?


                             ★★★
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