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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2013年3月


第49回谷崎潤一郎賞受賞!『ヘヴン』『すべて真夜中の恋人たち』と一作ごとに新境地を拓く川上未映子の多彩な魅力が一冊になった初めての短編小説集!何気ない日常がドラマに変わる瞬間をとらえて心揺さぶる7ストーリーズ。

                  (講談社HPより)


まあまあかなぁ~?

<アイスクリーム熱>
アイスクリームを定期的に買いに来る彼に好意を持ち、アイスクリームを作るのが得意
と嘘をつき、彼の家までいく

<愛の夢とか>
隣に住む婦人のピアノ演奏を聴きに行くのが日課となった。
「愛の夢」という曲を一度も間違えずに演奏できるまで

<いちご畑が永遠に続いてゆくのだから>
彼にいちごを用意する。
どうでもいいような話をまた始めるきっかけになるかもと。

<日曜日はどこへ>
高校3年から21歳まで付き合った彼。
ある作家の本を薦めてくれたのがきっかけだった。
彼とは別れる前に、その作家が亡くなったときには会おうと約束していた。
そしてその作家が亡くなり約束の場所に向かうけれど・・・

<三月の毛糸>
妊娠8か月。
子どもが毛糸で生まれてくる夢をみる。

<お花畑自身>
売った家を見にゆく。
自分が丹精込めて造った庭。
家を買った女に「お花畑の一部になるんです」と言われそれに従ってみる。

<十三月怪談>
病でこの世を去った自分。
亡くなったあとも家に留まり、夫の暮らしを見守る



ここに登場する女性たちの感性・・・ちょっと変わってる。
最後の話は、でもちょっとジュ~ンとしたなぁ~。


短編のところどころに震災が登場して、亡くなったものたちの思いみたいな
物を大事に忘れないでいてあげたいなと思わせるものがあった。


                        ★★★


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発行年月:2013年7月

刑務所に送るか送らないかを決めるのは、遺族。

 裁判で執行猶予がついた判決が出たときに、被害者や遺族が望めば、加害者の反省具合をチェックし、刑務所に入れるかどうかを決定できる制度「執行猶予被害者・遺族預かり制度」が始まって38年がたっていた。30年前、その制度の担当係官だった経験があり、今は大学の講師として教壇に立つ井川。彼は、「チャラン」と呼ばれるいい加減な上司とともに、野球部の練習中に息子を亡くし、コーチを訴えた家族、夫の自殺の手助けをした男を憎む妻など、遺族たちと接していた当時のことを思い出していた。

 加害者を刑務所に送る権利を手に入れた時、遺族や被害者はある程度救われるのか。逆に加害者は、「本当の反省」をすることができるのか。架空の司法制度という大胆な設定のもとで、人を憎むこと、許すこととは何かを丹念な筆致で描いていく、感動の長編小説。 

                    (PHP研究所HPより)




執行猶予被害者、遺族預かり制度・・・・こんな制度あったっけ?

と思っていたら・・・架空のでした^^;

でも凄く考えさせられる物語で、読み応え十分!

被害者と加害者を結ぶ、遺族預かり制度。
被害者や遺族がこれを望めば、2年間、加害者の生活状況を知ることが出来る。
そして2年後、その報告を元に、刑務所に送るか否かの裁決権を得られる。

そして、加害者の生活状況を半年に一度、報告書によって被害者の元に届けるのが
係官の役目。
井川敬治は、30年前、その係官だった。
先輩係官、岩崎進(通称・チャラン)について研修をしていた。


加害者たちは、人の命を奪ってしまったけれど、そこには哀しい事情があった。
不運な偶然だったり、精神的に追い詰めた末だったり・・・。
当事者にしたら、許せない加害者でしょうけれど、第三者として事件を知ると
加害者に同情する気持ちもある。
それだけに、なんだかとても辛かった事件ばかりでした。


井川が係官時代のことを、大学の法学部の学生に講義する形で進む。
先輩係官、チャランのことが段々魅力的な人物に思えてくる。
ちゃらんぽらんのチャランなのに・・・・。
チャランの存在がが重たい話に少し息抜きさせてくれたかなぁ~。
そして、考え方には、なるほど~と納得する部分もあって

物語の終盤で、今も尚、チャランと交流があることがわかって
微笑ましく思う気持ちで終われてよかった。


とても巧い話のまとめ方だ!


面白かった!


                        ★★★★★
 



発行年月:2009年1月


 居心地の悪さを感じながらも井戸端会議に参加する、子どもを持たない主婦。
三島賞作家が描く、ありふれた者に訪れる奇蹟。

                 (河出書房新社HPより)




以前読んだ「冥途めぐり」が、まあまあ面白かったので、図書館棚で

見つけたこちらを読んでみた次第。

中編作2つは収められていました。

表題作の「女の庭」は、マンションで夫と暮らす主婦。
子どもはまだ居ない。
近所の人たちが集う井戸端会議に参加するが、子どもの話が中心で
話に入れない。
普通の主婦になることに結婚したときは喜びを感じていたのに・・・

けれど隣に白人の外国人女性・ナオミが一人で越して来てから、少し生活が変わる。
ナオミの行動を観察し、あれこれ空想する。

そして気づく。
結婚して主婦という人種に囲まれている自分と
移住して外国人に囲まれているナオミは、似ていると。


う~ん、何となくだけれど、主人公の気持ちがわかって切ない気持ちになった。
こんな風に人の気持ちを描けるって凄いなと思った。


けれど。。。次の「嫁入り前」は、凄く変な話。
結婚が決まっている姉とその妹が、嫁入り前に通うといいという教室に
母親の勧めもあり通う。
何を教わっているのやら????
先生も意味不明の発言するし、姉妹とのやり取りもナンのコッチャ???

何が言いたいんだろ???
この物語を理解できる能力が、わたしにはなかった^^;

無茶苦茶過ぎて、最後には笑えたけど・・・・^^;

う~ん。好きなタイプの作家さんじゃあないけど
たまにならこういうのも面白いか?

でも結構、いろんな賞を貰っているんですね~。

今度は賞を貰っている作品を読んでみようかな?


                          ★★



発行年月:2014年12月


 私は書きたい。夫であった「彼」のことを。
老作家・藤田杉のもとにある日届いた訃報― ―
それはかつての夫、畑中辰彦のものだった。
杉は回想の中にあらためて辰彦の姿を 探す…。

                   (文藝春秋HPより)



久しぶりに愛子さんの本を読んだ。
もう90歳を超えられたんだ~。
それにしてもこんな長編を書けるなんて、やはり凄い。
老作家・藤田杉は、愛子さん自身のことですね。
元夫だった作家とは、15年間一緒に暮らし、その後別れていますが
全く音信不通だったわけではない様子。

確かに、夫・畑中辰彦は、不可解な人。
悪い人でないのは、よくわかりますが、こんな人を夫にしたら共倒れしそう。


夫を介して知り合った人たちがまた、皆、可笑しい人たち。
他人であるから、気楽に楽しめるけれど、入れ替わりこういう人たちが訪ねて
来たら疲れちゃうなぁ~^^;
この人たちも名前は変えていても実在した人物たちなんでしょうね。


最後のあとがきに、たぶん最後の小説なんてことを書かれていましたが
まだまだ書いて欲しいな。


                           ★★★



発行年月:2014年5月

母が殺された――その悲しみの葬儀の席で逮捕連行されたのは、弟だった。

大企業勤務のエリートサラリーマンの父、良妻賢母を絵にかいたような料理上手の母、幼いころから両親の期待を一身に背負い、溺愛されてきた弟、そして彼らのなかで、ひとり除けものであるかのように成長した主人公、葉山和弘。
遺棄死体となって発見された母親の被疑者が弟であったことで、父親は頑なにて弟の無実を信じ、反証を得ようとするのだが――。

                   (文藝春秋HPより)




主人公の葉山和弘(35歳)は、大学時代に知り合った妻と盆栽を栽培し

販売する仕事をしている。

ある日、突然の弟・秀弘が殺人容疑で逮捕される。
母・直子を殺害したという。
そんなはずはないと疑う和弘。
弟は母が大好きだったし、母も弟を溺愛していた。
そして、一流証券会社勤務だった父も子どもの頃から出来が良い弟を溺愛し
家族内で自分だけが、なんだか疎外されたように感じていた。

父は弟は冤罪だと信じ、弁護士を探し無実を勝ち取って欲しいと望む。

和弘も弟の無実は信じたいが、過去の出来事などを思い出し、もしかしたら
弟が殺したのは間違いないかもと思いはじめる。



子どもの頃からずっと感じていた疎外感が大人になっても消えないって辛いだろうな。
裁判が進むにつれ、わかってくる真実。
今まで知らなかった母のことや弟のこと。


そして、幼い頃から感じていた自分の疎外感は勘違いだったこと。

ワンマンな父親が和弘の妻・久美子の言葉がキッカケで態度を柔らかくしたとき
から少しホッとしました。

まだまだ裁判は続き、和弘たち家族には辛い戦いが待っていそうですが
和弘の気持ちが以前と変化したことは良かった。

妻の久美子の存在が大きい。
そして生まれてくる子供の存在もこれから大きな支えになりそう。

なかなか面白かった。


                          ★★★★
 
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