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読んだ本の感想あれこれ。
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51JfHEo55RL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年8月


昭和のよそゆきのお出かけとは、家族でデパートに行くことでした──。

大食堂でお子様ランチを食べたら、屋上遊園地へ。かつて家族の贅沢な楽しみだったデパートも、時代と共に変わってきました。百貨店の成り立ち、包装紙のオキテ、店員のおじぎの角度や独特の言葉遣い、店内アナウンスや雨が降った時にかかる曲名まで、勤務経験者でないと知り得ないデパートの秘密いっぱいの愉しい読み物。

                                           (新潮社HPより)


著者とは確か同年だったと思う。
なので、昭和の時代の懐かしいデパ-トでの思い出話を語る気楽なエッセイかな~?なんて思っていましたが・・・・結構、深いデパ-トのお話で大変、勉強になりました。
80年代前半ころには、実際にデパ-ト勤務の経験のある著者。
知らなかったぁ~。へ~そうなの?と驚きの裏話も多く楽しかった。

そして、デパ-トの歴史も詳しく解説。
老舗百貨店の前身は呉服店だったんですね~。

昔の呉服屋さんは、商品が並べてなくて、お客さんの求めに応じて品物を出して見せて
値段は、掛け値。正札はなかった。
なるほど、お客とお店の交渉による取引だったんですね。
それを正札をつけ現金取引に限定して、その後は陳列販売を始めたそうで、その形が出来たのは
1900年(明治33年)だとか。
そのとき、女子3名を採用しこれがデパ-トガ-ルと呼ばれる最初だそうです。
1904年に三井呉服店は三越呉服店と名を変え百貨店として開店。
三越が老舗百貨店と言われる所以がよ~くわかりました。

ちょっと堅めの百貨店の歴史のほかに、著者が勤務していた百貨店での決まりごとなどもあれこれ語っていて、どれも興味深かった。
包装紙はゴミ箱に捨てない。
なぜなら会社の大事な顔だから。
包装作業で失敗して破けてしまったりしたものも保管しておき決まったところに集められていたとか。
今はそうではないようで、ちょっと微妙な気持ちになると書いていたのが印象的だった。

また子どもの頃のデパ-トの思い出は、わたし自身も共通の思い出があり、懐かしく自分の子どもの頃が自然と頭に浮かんできた。
そうそう、子どもの頃はデパ-トに行くって、ワクワクしたなぁ~(^^)

今は、地元に百貨店と呼べるお店は1つだけ。
政令指定都市で人口も80万人を超えたのに・・・。
郊外の大型ショッピングセンタ-はどんどん増えるのに・・・・。
しかし、ネットショッピングも出来る時代に変わったのだから仕方ないか?
なんて、自分なりにもあれこれ考えてしまった。


そうそう、この表紙絵もよく見ると実に楽しい。
アドバル-ン、お子様ランチ、店員のおじぎ。
表紙がそのままデパ-トの包装紙みたいなデザインなのも素敵です♪


                                         ★★★★

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41PJ0eF2xGL__SX230_.jpg   発行年月:2007年5月


   人間が駄目になってしまうのなんて、簡単だ-----

  せっかく正社員になって頑張っていた会社を
  リストラされた久里子は実は
  自主退職扱いになっていたことを知る-----
  その悲しい真相とは


                           (文藝春秋HPより)


「賢者はベンチで思索する」の続編。
図書館本を続けて借りることが出来てよかった(^^)

主人公の七瀬久里子は、前作のラストでやっと自身がやりたかった服飾関係の仕事に就けた。
しかし、2ヶ月で突然の上司・木村から解雇の通達。
木村のことは憧れていて自分も早く追いつきたいと思っていたのに・・・・。
再び就職先を探す立場になるが、両親にはなかなか本当のことを言えず、出勤時間に家を出て一日、時間を潰す日々。
そして、再び、赤坂氏と会う。
前作で行方がわからなくなってしまった赤坂氏登場!!
家族には言えないリストラのこともすんなり言えて、自分の解雇にまつわる疑問にも一緒に考えてくれる。
いつも冷静沈着なアドバイス・・・・心強い知り合いがいていいなぁ~。
そして、リストラに隠された真実。
ああ・・・・そんな理由だったとは・・・・。
久里子が気の毒過ぎる。
しかも受け入れるとは、ちょっと人好し過ぎないか?(笑)
でも、ま、戻ったところでややこしそうだからな~。

そして前作から、ちょっと良い関係になりつつあった弓田との関係は、彼が調理の勉強のためイタリアへという遠距離の関係になってしまっていたけど、親交は更に深まってよいかんじでした(^^)
一時ライバル登場か?と思う弓田実家の隣に住む明日香の登場があって、やきもきしたけど、それもなんだか新たな人間関係が出来た風で面白かった。

そして、ラストは、またまた赤坂氏がどこかに行っちゃったぁ~(;O;)
明らかに狙われたように車に当てられ入院し、その治療中だったのに。

入院中、久里子に頼んだ「歩道橋の街灯を壊してほしい」の依頼の意味も最後にわかった。

赤坂氏の優しさにジ~ン。
それにしても、赤坂氏の正体がますますわからなくなった。

なぜ、また姿を消したんだろう??
気になる!!

続きを早く読みたいです!

物語としては先の「賢者は・・・・」の方が面白かったかな?
こちらはミステリ色もやや薄いかんじなので・・・。



 

★★★

 

 

 
51VDTVFK57L__SX230_.jpg   発行年月:2005年5月


   公園のベンチに座る、気になる“あのひと”の正体は?

   ファミレス常連客のあの老人。
   でも公園のベンチで見かけるときとあまりにも印象が違うのはなぜ?
    日常を見すえた新感覚ミステリー


                        (文藝春秋HPより)



主人公の七瀬久里子(21歳)は服飾関係の専門学校を卒業したが、思うような会社に就けずファミレスでバイトをしている。
バイト先のファミレスに常連の気になる老人・国枝。
いつも同じ席で外を見ながらコ-ヒ-1杯で数時間。
そんな老人と飼い始めた犬の散歩で訪れた公園で会い、会話をするようになる。

会話する老人は穏やかで、久里子のちょっとした相談にも的確なアドバイスをくれる。

そんなとき、公園内で犬の死体を見つける。
明らかに誰かに頭を痛めつけられた様子。
老人の推理によって犯人がわかる。

次はファミレス内で起きた事件。
お客から食べたものが変な味がすると何度か指摘され、警告文のようなものが届く。
これは久里子の推理が働き解決。

そして、最後の事件は、ファミレス近くに住む小学3年生の男の子の誘拐事件。
久里子が親しくしている老人が容疑者になっている。
やがてそれも解決し、老人は犯人ではなかったが、老人が男の子を連れ出したのは事実で
それには理由があった。

それから・・・・久里子が親しくしていた老人は国枝という名前ではなく、赤坂一郎というらしい。
そして本当の国枝から聞いた彼とのこと。


ラストには、再び赤坂が登場か?という終わり方。
これは続編を続けて読まなきゃ!

ホントいうと続編の方を読もうと思っていたら・・・・
それが続き物と知ったので、慌ててこちらを先に読んだ次第です^^;


久里子も念願の服飾関係の仕事に就けた様子だし、浪人中でやや引きこもり状態だった弟・信にも少し明るい展開が起きそうなので次の話も楽しみです♪



 

★★★★

41fqhqAZfZL__SX230_.jpg   発行年月:2012年6月


   他人の秘密。それは、震えるほどの興奮------。



大学院生・白石珠は、ある日ふとしたきっかけから
近所に住む既婚男性・石坂を尾行、表参道で不倫現場を目撃してしまう。
同棲中の恋人・卓也への浮気疑惑にとらわれながらも、
石坂への尾行を繰り返す珠だったが------。


                                   (角川書店HPより)


なかなか面白い話でした。
ちょっと今までの小池作品とは違うかんじでしたが、わたしは楽しめました。

主人公・白石珠は25歳の大学院生。
母親は既に亡くなり、父親は遠くドイツで恋人と暮らしている。
珠は27歳の卓也とマンションで同棲中。
父親からある程度の仕送りを受けながら、結構、お気楽な身分というかんじ。
卓也は53歳の女優・三ツ木桃子の専属運転手兼雑用を仕事としている。

物語は、珠がかつて大学での講義で、篠原教授が言っていたソフィ・カルの<文学的・哲学的尾行」をふとしたキッカケで試してみたくなるというところから始まる。
尾行というと、何か下心ありのような感覚を覚えますが、こういう設定でだと何か正当化されてしまうようなかんじ。
しかし、尾行される側の近所の既婚男性・石坂史郎(45歳)にしたら迷惑な話。
浮気相手とのことまで知られてしまうのですから・・・・・^^;

そして珠自身も尾行をしながら、恋人の卓也と桃子の関係を妄想し、不安に駆られ悩む。

珠のいろいろな気持ちの葛藤が読んでいて面白かった。

意外だったのは、ラスト近く、ついに石坂に尾行を気づかれ、呼び出され「理由を教えてくれ」と言われるところ。
もっと修羅場状態になるかと思いきや・・・・・。

石坂って変な男だな。
妻に浮気がばれ(珠のせいでは決してない)、救急車で妻搬送の事件まで起きながら浮気相手との関係は続行されてるかんじだし・・・・。

そして、珠も尾行癖がついたのか??という終わり。

う~ん。よくわからない人たちの変な話だったな。

でも、物語としては結構、面白く退屈しなかったのは、やはり著者の筆の巧さかな?


物語のテ-マになっている「文学的・哲学的尾行」もよくわからないけど、なんだか気になる。
ソフィ・カルという芸術家にもちょっと興味を覚えた。
ソフィィ・カルの書いた「本当の話」も今度、読んでみようかな?


★★★
 
 
51R1MQVV56L__SX230_.jpg   発行年月:2005年10月


   天才絵師の名をほしいままにした兄・尾形光琳が没して以来
   尾形乾山は陶工としての限界に悩む。在りし日の兄を思い、
   晩年の「花籠図」に苦悩を昇華させるまでを描いた歴史文学賞受賞の表題作など、
   珠玉5篇を収録


                            (BOOKデ-タベ-スより)



表題作「乾山晩秋」は一番最初の話。
画家の尾形光琳は有名ですが、ここではその弟・尾形乾山の話。
乾山は陶工の道に進んだ人だが、晩年は絵筆をとることも多く後の文人画の先駆けと言われているという。
光琳が赤穂浪士と関わりがあったかも?
へ~そうなんだぁ~!

その後の話は・・・日本画の世界では有名な狩野派の人々の話。
「永徳翔天」
幕府の御用絵師となった狩野永徳の物語。
狩野派は教科書でも習ったので興味深かった。
この時代の絵師って、特殊な立ち場だったんだなぁ~。

「等伯簿影」
狩野と争う絵師の長谷川等伯の物語。
御用絵師になるかどうかでこんなにも違うんだ・・・なんだかかわいそう。

「雪信花匂」
女流画家・清原雪信の話。
17歳で狩野探幽の直弟子となる。20歳で流行画家となり狩野の女絵師と言われていた。
その後の雪信の恋、そして狩野派のなかでの諍い。それぞれの絵師として特殊な立場にある者達ゆえの思いが切ない。
お手本の絵を書き写すだけの絵師の育成に力を注いだ狩野派の末弟・吉信。
力を受け継いでいくのは大変だったんでしょうね・・・・。

「一蝶幻影」
一時は狩野派で絵を学んだ絵師・英一蝶(はなぶさいっちょう)の物語。
知らない絵師ですが、大奥とか赤穂浪士とかの関わりが出てきて面白かった。


馴染みがない絵師という特殊な世界の話なので、読むのにやや難儀しましたが
物語としては面白かった。


ここに登場の絵師たちが書いた絵を探してみてみよう!


                                            ★★★

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