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38e1f48e.jpg   発行年月:2008年11月


   昭和39年夏、オリンピックに沸きかえる
   首都東京。

   開催妨害を企む若きテロリストと警視庁刑事たちの
   熱い戦いが始まる---------。

                            (本の帯文より)


奥田さんの社会派の小説。
読む前から期待していました。
図書館から借りて、手に取り、その本の厚さ、中は二段書き。字がビッシリ!にはちょっと驚き。
これは読了までに時間がかかりそうだなぁ~と覚悟して読み始めました。
読み始めたのが丁度、週末だったので、予想通り読了までに時間はかかりましたが、面白くて長さは全く気になりませんでした。

時間さえあったら一日で読み終えられる面白さ!

でも、内容は真面目。リアル感もありました。

昭和39年東京オリンピック開催の年。
戦後の貧しかった日本がここ東京に限ってはもはやウソのよう。
ビルが建ち、首都高速が走り・・・。
これでオリンピックが無事に開催されれば、日本も世界に認められた一等国になれる!

が、その裏には、それを実際に造っている数多くの貧しい日雇い人夫たちの壮絶な働きがある事を多くの豊かな暮らしをする者達は知らない。

東大で経済学を学ぶ島崎国男の兄もそんな人夫のひとりとして、過酷な労働に日々追われる生活を強いられていた。
国男は秋田の貧しい農家の生まれ。
早くに父親を亡くし、兄が一家を養うために出稼ぎで仕送りをしてくれていた。
自分が学問を学べるのは兄の犠牲があるから。

そんな兄が突然、東京の仕事先で亡くなる。

死因は心臓病ということらしいが、本当にそうか?
疑問を感じながら、国男は兄が同じ出稼ぎ人夫として働いていた飯場を訪ね、兄と同じように働きたいと言う。
東大の学生が物好きに・・・と最初は浮いた存在だったが、真面目な働きぶりや、実家は秋田の貧しい農家で兄の代わりに自分が送金してあげなくてはならないなどの話から次第に周りの労働者たちにも受け入れられる。
しかし、仕事はとてもキツイ。
それを紛らすためにヒロポンに手を出す。
もはやそれは人夫たちの間では珍しくないこと。
皆、その力を借りない限り続けられない労働の過酷さ。

富める者と貧しい者は、いつの時代にも存在するという不平等さ。
そして、東京は、その富める者たちが暮らす都市。
自分の故郷との格差にもやり切れなさを痛感する国男。

東京だけが富と繁栄を享受している事に怒りを覚え、ついにオリンピックを阻止しようと大胆な結論に達する。
開会式の10月10日の前に、何度か爆破事件を起こす。
が・・・・不思議なことに報道されない。

事件の真相を明かすことは、オリンピックを前には出来ない。
なぜなら、日本は国の治安においても一等国と国際社会にアピ-ルしなくてはならないときだから。

犯人と警察の度々の交渉は、リアルでハラハラドキドキ。

国男を手助けする東大の学生運動に力を注ぐものたちや、スリの男の生活は、今にはないその時代背景が感じられて興味深かった。
互いに不平等な資本主義に向う日本に対しての反感を抱いていることで仲間意識を持つ。
ある意味、真面目に社会のあり方を考えている彼ら。


ラストは、意外とあっけない結末。
しかし、それも仕方ないか?と思わせるそれまでの流れ。
そして、現在の日本の状況を考えたら、この結末は、闇に葬られた事実として、逆にリアリティあるかもなぁ~とも思いました。

犯人が警察に送る犯行声明文の名前が「草加次郎」。
ん?ちょっと聞いたことあるなぁ~と少し調べたら、実際の連続爆弾事件の犯人が名乗っていた名前なんですね?
こちらは、迷宮入りなんだそうですが・・・。


東京オリンピックの頃の日本にタイムスリップしたような感覚(まだわたしは生まれて数年ですが・・・^^;)にもなりました。


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