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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年9月  (1947年刊行)


194*年4月、オラン市に突如発生した死の伝染病ペスト。病床や埋葬地は不足、市境は封鎖され、人々は恋人や家族と離れた生活を強いられる。一方、リュー医師ら有志の市民は保健隊を結成し、事態の収拾に奔走するが.......。不条理下の人間の心理や行動を恐るべき洞察力で描いた長篇小説。
アルベール・カミュ    Albert Camus
[ 1913 - 1960 ]   
仏領アルジェリア出身のフランスの作家。家庭の貧困や結核に苦しみながら、アルジェで大学までの教育を受ける。演劇活動や新聞社での仕事などを経て、1942年に人間存在と世界の不条理を主題として小説『異邦人』と哲学エッセー『シーシュポスの神話』を刊行。戦中・戦後はパリでレジスタンス的姿勢の新聞「コンバ」の編集に携わり戦争についての論説を発表した。1947年に小説『ペスト』で高い評価を得た後も、長篇『転落』、短篇集『追放と王国』、戯曲『戒厳令』『正義の人びと』、哲学エッセー『反抗的人間』などを発表し、1957年にノーベル文学賞を受賞した。1960年、自動車事故により46歳で死去。

                  (光文社古典新訳文庫HPより)



有名だけど、なかなか手を出せずにいた本が幾つかあるけれど、これもそのひとつ。

光文社の古典新訳で読んでみた。


今のコロナの時代をそのまま描いているようで驚く。
この時代のペストの方が、1日の死者数からみて、凄く深刻な状況だけれど。
そんな時代でも、今のように情報がすぐに得られなかったことが幸いしてか人々は
割と呑気。

けれど、やがて身近に迫る死を誰もが感じとるようになると恐怖心から
いろいろな混乱が生じてくる。

そんななか、冷静に行動する医師・リュー。
淡々と自分の職務に向かうのだけど、段々と苦悩が。
自分のしていることは治療ではなく、ただ診断し、人々を隔離するべきか否か
選別することのみだと。
それも立派な仕事だと思うけれど、快方に向かうことなく死に向かう人たちの
姿だけを見ているのは、相当なストレスだろう。

それでも、仲間がいるのが救い。
ペストに襲われた街の様子を詳細に記録するタルーや、他所から来た新聞記者のランベール。
文筆の隙間時間に役所の保険隊の仕事を手伝うグランなど。


神父のパヌルーは、ペストは神から出たもの。我々は懲罰を受けていると民衆に説く。
自身もペストに倒れるわけだけど、純真無垢の幼い子どもが
苦しんで亡くなる姿を読むと、この説法に反感を抱く。


最後は、やや収束に向かうような場面で終わる物語だけど、最後の最後に
リューにとっては辛い友との別れは、辛い。
そして最後の文に底知れない不安感を漂わせて終わる。
凄い小説だ!

読むのに多少の根気を要したけれど、読んで良かった。


このシリーズでまだ未読の作品を色々、読んでみたい。



                      ★★★★★

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