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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年9月


 高校の廊下にうずくまる、かつての少女だったものの影。疲れた女の部屋でせっせと料理を作る黒い鳥。母が亡くなってから毎夜現れる白い手……。何気ない暮らしの中に不意に現れる、この世の外から来たものたち。傷ついた人間を甘く優しくゆさぶり、心の闇を広げていく――新鋭が描く、幻想から再生へと続く連作短編集。

                   (新潮社HPより)


不思議な話。
ちょっとホラーっぽい描写もあるけれど、なんだか惹きこまれていく物語たち。
6つの短編それぞれの主人公たちは、死を感じさせる者たちと触れ合う。
それぞれの主人公たちの置かれた立場がとても痛々しい。
けれど、絶望のなかから少しだけ救いが覗くのが読んでいるこちらにも救い。

<君の心臓をいだくまで>
夫は出張中の日菜子。
妊娠中だけど、胎児の心音が確認されず様子をみましょうと医師から言われる。
その後、帰宅すると見慣れぬ女が食事を作って待っていてくれる。
女は大きな黒い鳥。


<ゆびのいと>
まだ新婚なのに突然、妻は突然、脳梗塞で亡くなった。
けれど、帰宅すると料理を作って待っていてくれる。
料理のなかには何かすごく生臭い肉の塊のようなものが必ず入っているのだが、
妻はそれが一番大事という。


<眼が開くとき>
カメラマンの瑠璃は、仕事で偶然、阪口暁と再会する。
小学5年生のときに転校してきた美少年は今はモデルとして瑠璃の前に。
子どもの頃、暁を頭からバリバリ食べてしまう夢をみた。


<よるのふち>
10歳の宏之は母親を交通事故で亡くす。
8つ年下の弟を放課後に保育園に迎えにいく。
夜中、弟の頭を撫でる白い手。
母のハンドクリームのにおい。


<明滅>
大雨で避難勧告が山すその住民に出ているが、自分たちのところは大丈夫と
自宅で夜を迎えている夫婦。
夫が中学生のとき、川に落ちて流され怖い思いをしたことがあるという話をする。
妻はそのあと、怖い夢を見たと起きて、真っ暗ななんの救いもない場所に
連れていかれる恐怖について話し合う二人。


<かいぶつの名前>
学校の屋上から落ちて亡くなった少女。
昼間は学校の廊下にじっとしていて、夜になると歩き廻る。
女子トイレで感じる人の気配。
噂があったトイレで手首を切った女の子だろうけど、関わらないようにしている。
そして、新しく赴任してきた女教師が少女を見つけ自身の教員室に招き入れ
話をする。
かつての名前〇〇さんと呼ばれる。


独特の雰囲気。
表題の意味も全部読んだあとなら、なんとなく理解できる。
どうしようもない心の中の暗くて重たい思いを共有して
そばにいてくれる人の存在が、その人を救うってことかな?


                          ★★★★★
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