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読んだ本の感想あれこれ。
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61fo1brOfPL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年3月


13世紀、フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。彼らの目的は聖地エルサレムの奪還。だが国家、宗教、大人たちの野心が行く手を次々と阻む―。直木賞作家・皆川博子が作家生活40年余りを経て、ついに辿りついた最高傑作。 



                       (ポプラ社HPより)



少年十字軍のお話。
悲劇的な最後が待っているのかなぁ~と思いながら読み進めたけれど
史実に基づきながらも、悲しいだけでない物語だったので、最後はちょっと救われた。

ある日、神の啓示を受けた貧しい羊飼いの少年・エティエンヌ12歳と彼の力を信ずる子どもたちが聖地エルサレム奪還を目的に旅を続ける。
彼が本当に神に選ばれた者なのか、疑う者もあり、信ずる者もあり。
少年たちに付き添う形で大人も数人、途中から旅に加わる。

そしてエティエンヌに対抗心を燃やし、自ら胸に十字の焼印を押し、自分こそが神に選ばれた者であり
エティエンヌは偽者と申し出たレイモン。

レイモンとは対照的にエティエンヌは、始終、穏やか。
仲間のなかにけが人が出れば、癒しの力を使い、レイモンの瀕死状態も救う。

レイモンに仕えていた者もエティエンヌのほうを心の中では認めたり・・・・

そして、旅の仲間で唯一の女の子・アンヌ(13歳)の洞察力は鋭い。
アンヌ視点の、エティエンヌとレイモンについての語りの部分が興味深かかった。

聖地に向かう難所、海を目の前にしてのラストの場面は
現実と空想が入り混じるような不思議な感覚で果たして少年十字軍たちは、この先どうなる??と
はっきりした終わり方ではない。
けれど、史実通りならば・・・・・・・とあれこれ想像。

もう少し、別の書物でも少年十字軍について学んでみたいと思った。


読み応え十分でした!
表紙の絵も素敵です。

                                          ★★★★

 



 
PR
51KE2H2G6SL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2003年3月(文庫本)
        
単行本は2000年3月発行


あなたの中にも「共生虫」がいる!

体内に謎の「虫」を宿した、引きこもり青年ウエハラ。彼はネットを通じ、インターバイオと名乗るグループから、その虫が殺戮と種の絶滅を司る「共生虫」であると教えられる。選ばれた存在であることを自覚した彼は、生贄を求めて外の世界に飛び出してゆくのだが……!?
衝撃のインターネット文学、ついに文庫化。


                                     (講談社HPより)




引きこもり青年が主人公。
彼が引きこもりになった最初の原因は、教師の整髪料の臭いが我慢出来なかったからとか。
精神科受診して、自分のなかにいる「虫」のことを話すが医師は、信じてくれない。

こんな状況に置かれたらと思うと、苦しくなってくる。
ウエハラ(本名は全くちがう名前らしいけれど・・・)の苦悩が伝わり、読むのが辛くなってくる。
でも、そんなウエハラが外に向かう辺りから何か希望が見えて来るのか?と期待した。
ある意味、ウエハラは引きこもりから脱出するのだけど・・・・
ちょっと恐ろしい顛末。
この後、ウエハラはどんな人生を送るのだろうか?

ラストの著者のあとがきもなるほど・・・・と興味深かったけれど
これをフランス語に翻訳しているシルヴァン・カルドネル氏の解説が更に印象的だった。
フランス語のタイトルは「PARASITES」らしい。


読後感は良くないけれど、なかなか面白かった。


                                          ★★★

 
 
610bypObCXL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年3月
 

「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」-----
親の介護から夫婦の危機、忍び寄る更年期、
老後資金の計算までを、自身の体験を交えて赤裸々に描いた話題作。
大佛次郎賞受賞。


                  (中央公論新社HPより)




ちょっと長かったな。
母親が亡くなったところから始まるけれど、その母親がまだ元気だった頃の話に戻り、
また母親の祖母の代まで遡り、母親のル-ツも描かれる。

主人公は、美津紀。
フランス留学中に知り合った夫・哲夫は大学教授で外国滞在中。
子どもは居ない。
美津紀も大学の非常勤講師をしていたが、現在は自宅で翻訳の仕事をしている。

姉の奈津紀は、資産家の夫と玉の輿婚。
娘と息子がいる。

年老いた母親の世話は美津紀が主にしていた。
が、認知症を患い体も不自由になってしまったため、施設入所になる。

まだ母親が母親らしいとき、尊厳死を望み、胃ろうなどはしたくないと文書で書き留めていた。

しかし、胃ろうのような経管栄養は延命措置とはみなされないと知る。
延命処置の拒否は人工呼吸器や心臓マッサ-ジに限られるのが一般的。

入院させている以上、医療期間側も利益がない状態で置く事はないというわけですね。
自然死を望むならば自宅で看取ることが美津紀のいうとおり、最悪で最善の判断。

運よく、その気持ちを理解してくれる医師が見つかり最期はクリニックで迎えたのだけど・・・
こういうことは、まだ先のことと思わず、ちょっと親の意見とか聞いておいた方がいいかもなぁ~
なんて読みながら思ってしまった。

母親の世話をよくしていた美津紀だけれど、本音ははやく逝ってくれないかな?と思っている。
それは介護を経験していない人には薄情なことばに聞こえるけれど
実際、美津紀のような経験をし、同じ立場になったら、自分もそう思って不思議じゃない。

これは自伝的物語?
とちょっと調べたら、お母さんも作家としての作品を遺されていました。
水村節子/著の「高台にある家」・・・・だそうです。

う~ん、これもちょっと気になるな。


                                         ★★★

61VyjNuLYlL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年7月


3.11後の夏。
伊豆の海を舞台に、ひとりの少女の心の
成長をみずみずしいタッチで描いた生命キラメク物語!



                        (出窓社HPより)



お友達から薦められた本。
舞台は伊東市八幡町。
著者自身がその土地に思い入れがある様子で、物語の主人公・太田翼(通称ツ-ちゃん)と同様
伊東の海を愛しているのがよ~く伝わって来た。

ツバサは、夏休みの自由研究に海女漁をテ-マにする。
父親は漁協に勤めていて海女保存会を作り、海女漁存続のために現役で海女漁をしているエツコ(通称:エッちゃん)に後進を育てるための手助けをして欲しいと交渉中。
しかし、エツコには、30年前、哀しい事故の経験があった。
海女漁で娘を亡くしている。
そして、その漁のとき船に居たのはツバサの祖父であった。

辛いことがあったけれど、今は70を過ぎたけれど漁を続けているエツコ。
ツバサの自由研究にも協力してくれる。
海の話を沢山してくれて、物言いが優しい。

海で知り合った高校生の小川アツコとの出会いもツバサを大きく成長させてくれた。
アツコは環境問題を学ぶために大学に行くと言い、学んだことをこの伊東の海を守ることに役立てたいと思っている。
アツコの先輩のマサルも海洋大学で栽培漁業について勉強しているという。


地元を愛し、自分がそこの環境を守っていくために何が出来るか?を真剣に考えて
行動している若者ばかりが登場する。

これは若者に読んで欲しい!
と著者が強く思って書かれたんだろうな。


磯焼けという言葉、恥ずかしながら初めて知りました。
物語のなかで、ツバサの小学生の弟が「海草が枯れちゃうことだよ」みたいな話をしてましたが
今の小学校では、習っていることなのかな?
日本全国の海で問題になっていることらしいけど、原因がはっきりせず、対策を立てるのが難しいとか。


読んでいて、勉強になることも多かったし
一人の少女の成長を描いた物語としても、とてもよかった!

3.11のことも触れて東北に暮らす人のことは、ずっと忘れず意識し続けていかなくてはいけないとも思った。


ササッと読めるのに、すごく内容の濃い1冊でした!!

多くの人に読まれるべき本です!!
とりあえず、家族に薦めてみよう。

★★★★★

 
 
51lVywD9BtL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年6月
 

信長亡きあと、清須城を舞台に、歴史を動かす心理戦が始まった。
猪突猛進な柴田勝家、用意周到な羽紫秀吉。
「情」と「利」の間で、どちらに付くか迷う、丹羽長秀、池田恒興ら武将たち。
愛憎を抱えながら、陰でじっと見守る、お市、寧、松姫ら女たち。
キャスティング・ボートを握るのは、誰なのか?
歴史の裏の思惑が、今、明かされる。


                       (幻冬舎HPより)


これは映画化が決まっているようですね。
清須城で開かれた信長亡きあとの織田家をどうするか?の会議の様子に焦点を当てての物語。
信長の後継者は誰?
長男・信忠は既に亡き者。
次男・信雄か、三男・信孝か?

出来の良さでは三男・信孝だが・・・・
そこにはいろいろな思惑が絡み、統一した意見にはならず。

信雄を後継者にし、その後見人として名乗りを上げる羽柴秀吉に対するは
信孝を後継者にし、その後見人として名乗りを上げる柴田勝家。

両者の心理作戦に加えて、それを見守る織田家の面々。

それから・・・信長の妹・お市。

三谷氏にかかるとこうも可笑しくなるのか?
感心するやら呆れるやら。。。。。
表紙の絵もスマホ片手だからね~^^;

でも面白い。

特にお市の心の声がいい!!
秀吉を憎んで、どうしたら懲らしめてやれるか考えた末の柴田勝家に嫁ぐ場面は、凄いな。
秀吉が悔しがるエピソ-ドも可笑しい。


史実を知った上で楽しむのにはいいかも。
映画はあまり興味ないけれど・・・・^^;


                                           ★★★

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