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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:1955年12月


 世界の「MISHIMA」、この時29歳。純潔無垢でパーフェクトな恋物語。

文明から孤絶した、海青い南の小島――潮騒と磯の香りと明るい太陽の下に、海神の恩寵あつい若くたくましい漁夫と、美しい乙女が奏でる清純で官能的な恋の牧歌。人間生活と自然の神秘的な美との完全な一致をたもちえていた古代ギリシア的人間像に対する憧れが、著者を新たな冒険へと駆りたて、裸の肉体と肉体がぶつかり合う端整な美しさに輝く名作が生れた。

                       (新潮文庫HPより)




山口百恵さんと三浦友和さんで演じられた映画「潮騒」は見ました。

読んでいると自然に二人の俳優さんの顔が浮かんで来ちゃいましたが・・・^^;
とても綺麗な純愛ストーリーでした。

やはり三島由紀夫の文章は美しいな~。
美しい海辺の風景も目に浮かぶようで、若い二人が惹かれあう様子も
なんだかドキドキしました。
恋愛小説は、いくつも読んでいますが、なんだろ?凄い新鮮なかんじ。


「金閣寺」をこの前読んで、あちらは暗く影のある主人公の行き場のない運命を
切なく描いていて、胸が苦しくなりましたが、こちらは180度違う作品。
明るく希望に満ちた若い命が惹かれあい、これからひとつになって進んでいくだろうという物語で、爽やかな読後感でした!

三島由紀夫という人は、本当に素晴らしい作家だったんだな・・・・。
まだ2作品しか読んでないけれど、違う作品も読みたい。
さて、次は何を読もうかなぁ~?


                       ★★★★★
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発行年月:1968年7月


 少年は覗き穴から母の裸を凝視した――。
大人の世界を許せない少年たち。その心理を克明に描く問題作。


船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実の挑戦であった。登は仲間とともに「自分達の未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃する――。少年の透徹した観念の眼がえぐる傑作。

                    (新潮社文庫HPより)



読む本が手元になくなり・・・自宅本棚にあった本を読んでみました。
「金閣寺」が面白かったので・・・。

とても薄い本で、頁数は168頁。
すぐに読み終えましたが。。。。面白かった!!
三島作品に今更ながらのめり込みそうな予感(笑)。


これは、13歳の少年たちの持つ残虐性も描いていて、大なり小なり
男の子にはこういう気持ちを秘めているものなのかも・・・なんて思った。

主人公の黒田登は、父親を亡くして、家には母と使用人が住む。
母は登が寝る時間には部屋の外から鍵をかける。
そんな彼はある日、母の寝室と通じる壁に穴を見つける。
その穴は普段は気づかない大抽斗の棚を引き出したところにある。
母親の裸体を偶然見て、その後、母が連れて来た二等航海士の塚崎竜二との
様子も覗き見る。

竜二の前では、子どもらしい屈託ない明るさを演じる登。

そして、物語の結末は・・・おぉ~そう来たか!?というかんじ。
読み終えてみると、この表題は、凄い!巧い!

 
 
ウキペディアで調べたら・・・これ日米英合作で映画化されているんですね!
ちょっと見てみたいなぁ~。

海が見える景色が、どんな風に映像では写っているのかな?
ラストシーンも気になるし・・・。
小説では舞台は横浜の港町でした。
日本の景色でも十分美しいものは出来たと思うのだけど、俳優陣を見ると
外国が舞台でしょうね。


                            ★★★★



発行年月:1960年9月

コンプレックス。挫折。美。23歳の男は、なぜ金閣を炎上させたか。

一九五〇年七月一日、「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」という衝撃のニュースが世人の耳目を驚かせた。この事件の陰に潜められた若い学僧の悩み――ハンディを背負った宿命の子の、生への消しがたい呪いと、それゆえに金閣の美の魔力に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたった悲劇……。31歳の鬼才三島が全青春の決算として告白体の名文に綴った不朽の金字塔。

                        (新潮文庫HPより)




先に読んだ次女が「読むべき!」と言ったので・・・
今まで恥ずかしながら三島由紀夫は読んだことがなかったのですが読んでみました!

そして・・・・その文章力に感動!!
日本語って、こんなに素晴らしいんだ!
人の気持ちとか、目に見えないものをこんな風に表現できる人だとは知らなかった!!



物語は、1950年7月2日に起きた金閣寺放火事件が基。
犯人の青年の告白文という形で描かれている物語です。

主人公・溝口がその美しさに魅了されていた金閣寺を焼失させようと決心する
までの心の変化が丁寧に描かれている。
大学で知り合った、柏木との関わりも物語の中では重要な転機となっていた。
柏木は強度の内飜足(内反足?)。
溝口は、彼の不具が私を安心させたと語り、声を掛けるが、そんな心のうちを見事に
言い当てられ逆に「吃音をそんなに大事に思っているのか」と侮蔑される。

柏木の鋭い物の捉え方は、読んでいて「おぉ~!」と感心することが多かった。
この考え方は、著者の物の考え方に通じるものがあるんじゃないかな?
なんて想像もした。



溝口は金閣寺をどうして焼いたのか?

魅了されてはいても、終戦間際には、空襲で焼けてなくなることを想像し喜々としていたり
どこか破滅願望的なものを感じた。
なくなってしまったことで、より強く残る、そのものに対する意識。
幼い頃、恋心を抱いた有為子の死。初めて自分に優しく接してくれた鶴川の死。
そして、父・・・・亡くなった後でも何度も溝口は思い出す。

 そして、見知らぬ人の言葉から老師の金銭感覚やその他のことでも違和感を感じる。
そして、柏木に借金して出奔したあとから老師との関係が冷え込むが
金閣寺の僧侶になることを期待している母親の父が死んでからの行動にも
何か自分勝手さを感じる。


幻想のなかの金閣寺をそのまま留めるには、現実の金閣寺は要らない?
金閣寺が存在するから、自分は不自由。


いろいろな考えがあっての結論が燃やす(ないものにする)ことだったんでしょうか?
なんとも切ない話です。
溝口が寺の子どもに生まれなかったら?
吃音じゃなかったら?別の生き方が出来たんでしょうね・・・・。



物語の最後、主人公は生きることを選んだかんじだったが、実際の犯人は
ウィキペディアで調べたら・・・自殺を図りながらも命は助かったんですね・・・。

同じ事件を扱った、水上勉の「五番町夕霧楼」「金閣炎上」も読んでみたくなった。


いや~しかし、衝撃的な話で、三島由紀夫の文章に魅了されました!!


                          ★★★★★



発行年月:2014年3月


 ファッション誌の編集者になる!という夢を抱えて出版社に就職した河野悦子(こうの・えつこ)が配属されたのは校閲部だった! 担当する原稿や周囲ではたびたび、ちょっとした事件が巻き起こり……!?
読んでスッキリ、元気になる! 最強のワーキングガールズエンタメ☆

===
憧れのファッション雑誌の編集者を夢見て、根性と気合と雑誌への愛で、 激戦の出版社の入社試験を突破し 総合出版社・景凡社に就職した河野悦子(こうの・えつこ)。
しかし、「名前がそれっぽい」という理由で(!?)、悦子が配属されたのは校閲部だった。

入社して2年目、苦手な文芸書の校閲原稿に向かい合う日々。 「こんなところ早く抜け出してやる」とばかりに口が悪い演技をしているが、 段々自分の本性がナマイキな女子であるような錯覚に陥ってくる毎日だ。
そして悦子の原稿や周囲ではたびたび、ちょっとしたトラブルや事件が巻き起こり……!?

                 (メディアファクイトリーHPより)





今まで文芸編集者のお仕事小説は幾つか読んだけれど、校閲のお仕事小説は初めてだったので、

仕事の内容も非常に興味深かった。
国語力がないと務まらないお仕事ですね~。
いや、大変そうだわ!

そんな校閲部に入社以来配属されて2年の河野悦子24歳が主人公。
ふつう校閲担当者は、担当した作家さんの前に姿を現すことはないそうだけど、
悦子の場合、みんなと会っちゃうのが可笑しい。
そして、結構、私生活の方でも関わることになって・・・。


早く校閲部を抜け出し、元々希望だったファッション雑誌の編集に関わりたいと願って
わざと口が悪いキャラで上司や作家に接するけれど、それが意外にも受け入れられちゃう。
元々、良い人なんだろうなぁ~。
嫌だといいながらも、しっかり校閲の仕事はこなしているし、
結構、担当の作家さんからも頼られたりして。


文芸部で働く東大文学部出身の藤岩とのやりとりも楽しかった。


お仕事小説は、はずれがないな。
途中にあった、登場する作家さんたちが書いた文章もユニークで楽しめた。

是永是之の文章、なんじゃこりゃ?だけど、意外と好き。
クールに振る舞うムール貝・・・このゴロ合わせ最高♪





                            ★★★




発行年月:2014年4月


 成績優秀、容姿端麗なエンドーくんて何者?

創立99周年を迎える市立緑山中学校の職員室を舞台に、14歳という繊細で多感な年齢の子どもたちと日々真剣に向きあう中学2年担任教師たちの姿を描く。
そして、伝説のヒーローとして代々語りつがれる「エンドーくん」が、なぜ伝説になったのか? その秘密が、創立100周年記念式典で明かされる。
坪田譲治文学賞作家、まはら三桃の最新作。


                      (小学館HPより)





教師たちが主人公の連作小説。

市立緑山中学校に40年ほど前から伝わる伝説のヒーロー「エンドーくん」。
緑山中学の卒業生で、成績優秀、スポーツ万能、性格は優しく正義感が強く
イケメンで背も高い無敵の人物だったとか。

校内にはエンドーくんにまつわる落書きが多数存在。
消してもまた書かれるため今では教師も黙認。
しかも教師がその落書きの言葉に勇気づけられたりする。

いろいろな教師が登場するけれど、先生たちもいろいろな悩みを抱えて
大変な仕事だなぁ~と改めて感じた。


最後に伝説のヒーローの正体が明かされるけれど、それは薄々、途中で気づくこと。
けれど、わかっていても嬉しい最後のシーンでした♪

あとがきを読んでまた感動。
著者のまはらさんの中に印象深い先生が記憶にあって、こういうお話が
出来たんですね~。


わたしには、あまり良い印象が残っている先生が居ないけれど・・・^^;


素敵なお話でした!!


                         ★★★★★

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