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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2004年4月


 風の音が聴こえますか、人には魂があることを信じますか。

初恋の人の記憶を辿る旅を続ける老婦人。夫の暴力から逃れて、沖縄へ舞い戻ってきた和江と息子・マサシ。新たな生き方を求めて動き出そうとする人々。戦争の傷跡をなでるように、それぞれの心に風音が鳴り響く。

「生活とは?沖縄とは?」日本にとって、日本人にとって、見過ごす事のできない問題小説となりました。人々の繊細な心情を丁寧に描いた本作は、心に深く深く刻まれます。常に沖縄から問いかけてきた、目取真 俊にしか書けない本当の沖縄の姿がここにあります。

【序章】村の風葬場には、戦時中命を落とした特攻隊員の頭蓋骨が置かれ、海からの風が吹くと頭蓋骨に空いた銃弾の跡を抜け、物悲しい音が鳴り響く。島の人々はその音を“風音(ふうおん)”と呼んでいた。風音に人は何を聞くのか、風の島の物語が今始まる。

自ら脚本を手掛けた映画「風音 The Crying Wind」も公開された

                  (リトル・モアHPより)




風音・・・なんだろ?と思って読んでいたら・・・

沖縄戦で亡くなった特攻隊員の頭蓋骨に海風が通って鳴る音だとか。

村のひとたちはその音に物悲しさを感じながらも大切に守りたいと思って居る。

そんな村に帰って来た女性・和江とその息子・マサシ
実家の母親・マカトが1人で暮らす家に戻って来た。
和江は高校卒業時にこの地を出て東京で暮らして来た。
マサシの父親と離婚後、再婚した男の暴力から逃げるため。

そして、もう一人、沖縄戦で命を落としたかつての想い人・加納真一を探したいと
毎年、沖縄を訪ねる藤野志保。


沖縄という地の哀しい歴史が胸に迫って来て、何とも切ない気持ちになるお話。

沖縄の海の景色など、読みながら頭に浮かぶのだけど
何処か哀しく切ない情景となっている。


映画にするために、本書は元の話を少し変えたものになっているという。
映画もちょっと興味ある。


                      ★★★★
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発行年月:2014年12月


 巨大外食チェーン店「肉弁慶グループ」の人事部に勤める倉本恭一は本人役で会社のCMに出ることになった…のだが、当日まさかの遅刻で大失態をおかして代わりに上司が出演することに。そこから恭一の「テレビに出たかった」気持ちが爆発、芸能事務所に入ることに。恭一の身辺が少しずつ変化する中、小学6年の娘、エリカの様子がだんだんおかしくなっていき……今まで普通に生きてきた恭一の人生の歯車が狂い出す。松尾スズキが描くサラリーマン小説! 朝日新聞夕刊連載の書籍化。著者10年ぶりの長篇小説。
松尾スズキが描く、家族冒険小説。

                   (朝日新聞出版HPより)




ハチャメチャ、コントみたいな物語。
これが朝日新聞の連載だったというのが驚いた^^;

43歳のサラリーマン・倉本恭一が主人公。
会社のCM撮影時に遅刻して出られなかったことからテレビに何とかして
出たいと思う様になったんだけど・・・はっきり言って意味不明な心理。

芸能事務所まで入って・・・

でも結果、念願が叶う。
人間関係に恵まれたからか?

好意を寄せていた元同級生が女優になっていたり・・・・
娘・エリカの同級生が子役で同じ事務所の所属だったり・・・・。


途中、娘・エリカの問題やら、妻の浮気疑惑なども出てきて盛りだくさん。
最初から最後までドタバタしてたなぁ~。



でも最後は、倉本の家族っていいな~と思えるほのぼのした雰囲気で
良かった。


                           ★★★



発行年月:2014年12月


人間の「生」の深淵を見つめて書き続ける宮本輝による随筆集。
異父兄との邂逅を描く「兄」、シルクロードへの旅にまつわる回想「星雲」など、
著者が白秋のときを迎えて命を想う、珠玉の14篇。      

                     (集英社HPより)




以前は、宮本さんの作品を読んでいましたが、最近読んでいないなぁ~と

思い、昨年12月に発行という新しめの作品を手に取りました。
小説だと思ったら・・・エッセイでした!
宮本さんのエッセイ・・・初めて読むな~と思ったら、あとがきに
エッセイは今まで断っていたとか。


ひとつひとつの話は短いのですが、それぞれに感慨深いものを感じました。


14編のうち特にジ~ンと来たのは、二番目の作品「ガラスの向こう」。
著者が12歳の時に家の近くに越してきた、何やらわけありの夫婦。
おでんやを営むその夫婦の間に生まれたSちゃんは、夫婦の夫が亡くなり
母親は育てられないとSちゃんを子どもが欲しい夫婦に渡す。
著者が18歳のとき、6歳になったSちゃんと再会し遊園地に連れていく。

そして、最後はSちゃんのその後のこと。
阪神淡路大震災で亡くなったSちゃん(当時35歳)との思い出は
著者にとって忘れられない出来事だっただな~ということがよくわかった。


あと、驚いたのは、作家になったキッカケにパニック障害を25歳で発症ということ。
社会人として働きながらの障害と向き合うのは大変だったでしょう。


エッセイで著者自身の実体験が読めるのは、その著者のことを知る上では
とても楽しい。

次は、小説のまだ読んでいないものを読んでみよう。


                            ★★★★



発行年月:2014年12月

なぜ私は、あの子と同じ名前になってしまったのだろう。篠田淳子は、中学時代の同級生、佐竹純子が伊豆連続不審死事件の容疑者となっていることをニュースで知る。同じ「ジュンコ」という名前の彼女は、淳子の人生を、そして淳子の家族を崩壊させた張本人だった。親友だった女、被害者の家族、事件を追うジャーナリストのアシスタント……。佐竹純子容疑者と同じ「ジュンコ」という名前だったがゆえに、事件に巻き込まれていく4人の女たちの運命は。

                   (徳間書店HPより)




5人のジュンコ。


佐竹純子・・・伊豆連続不審死事件の犯人
篠田淳子・・・佐竹純子と中学時代一緒に行動することが多かった
田辺絢子・・・佐竹純子の事件の真相を追う、人気ノンフィクション作家のアシスタント
守川諄子・・・息子は佐竹純子の被害者?自身は事故死する。
福留順子・・・逆恨みから息子を殺害されてしまう



まず思ったのは・・・ジュンコさんって、いろいろな漢字があるんだなぁ~ということ。
あまり本題には関係ないけれど・・・^^;


どのジュンコさんもあまり近づきたくないタイプの人たち。
大きな事件は2つ。
でも冒頭の熱海市で起きた連続不審死事件の犯人とされる佐竹純子が一番、気味が悪い。
こんな人関わらなかったら、篠田淳子は、違う幸せな道を歩めたんじゃないかな?と
思うと、淳子には同情する。

いろいろなジュンコさんが出てきて、それぞれ面白かったけれど(気持ちいい話じゃないけれど・・)、伊豆連続不審死事件の真相がもう少し知りたかったな。
気味が悪いけれど、佐竹純子の話がもっと深く知りたかったので、
彼女が関わったであろう不審死を遂げた5人の男性との経緯がもうちょっと
読みたかった。


もうひとつの八王子連続不審死事件の方はあまりインパクトなかったかも。
話が混乱しただけのような・・・。


                           ★★★




発行年月:2014年4月



 大洋新聞に連載されている「よろず相談室」には老若男女から様々な相談が寄せられている――。

「居候に悩んでいます」――自分たちの家に居候が住んでいて、あるとき主従が逆転してしまった。このままでは居候たちに追い出されてしまう!
「しつこいお客に困っています」――同僚に生理的に嫌なお客を押しつけられて困っているのだけれど……。
「隣の人がうるさくて、ノイローゼになりそうです」――25年住んでいる賃貸の部屋。今までは何もなかったのに、隣から急に壁をたたかれるようになり、生活もままならなくなってきたのですが……。
「セクハラに時効はありますか?」――14年前、残業後、8歳年下の後輩に思わず抱きつき、そのまま最後まで……。部長への昇進にあたっての、審査で、この点だけ気になっています。
「大金を拾いました。どうしたらいいでしょうか」――家の裏の雑木林で見つけたゴミ袋。その中には札束が! 持ち帰って1年そのままなのですがどうしたらよいのでしょうか。
「西城秀樹が好きでたまりません」――「傷だらけのローラ」は私のことを歌っているんです! 秀樹が呼んでいる! どうしたら秀樹に会えますでしょうか。秀樹に会わせてください!
「口座からお金を勝手に引き出されました」――1500万円ほどの蓄えがあったのですが、どうやら夫が勝手に引き出したようです。これって窃盗にあたりますか?
「占いは当たりますか?」――来年、結婚する予定です。祖父母が心酔している占い師に、この結婚は不吉だと言われたと告げられて。そのうち、私も不安になってきたのですが。 

一見、なんの連関性もない人生相談の数々。
ところがこの相談の裏には衝撃の事件が隠されていた!

                        (講談社HPより)




最初は、新聞の「よろず相談」コーナーに寄せられた読者からの相談の手紙を基に
した話を並べた短編集かな?
と軽く読んでいたのですが・・・・
そういう単純なものじゃなかった!

読書は、メモを片手にしているので、途中から
「あれ?この名前、前の話にも出てきた?」と気づき、そうするうちに
次々にバラバラだった前の話の登場人物たちがリンクして来て
最終的には、大金にまつわる殺人事件の真相に行きついてしまうという
凄いトリックが散りばめられた短編小説のかたちに見せかけた
長編ミステリーだったわけですね!!

いやはや、初読みの作家さんでしたが、この構成力には参りましたぁ~m(__)m。


面白かったなぁ~。

時間があったら読み返してみよう。


                          ★★★★★
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