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読んだ本の感想あれこれ。
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d53e1c07.jpg発行年月:2010年5月

SF・ファンタジー界の巨匠として半世紀を超える創作活動を経てなお、瑞々しくも壮大なヴィジョンを抱き続けるブラッドベリの最新作。イノセンスと生の再発見の物語「どこかで楽隊が奏でている」、メルヴィルの『白鯨』の舞台を宇宙空間におきかえて構想された「2099年の巨鯨」 -----永遠をテーマに、豊かな創造力に満ちた中篇二作を収録

                                           (晶文社HPより)


1920年生まれのブラッドベリ。今年で90歳!まだまだ健在は、ファンには嬉しい。

この作品は、未発表の2つの作品が収められている。
書かれたのは、若い頃かな?

どちらもブラッドベリらしい、不思議で壮大なものがテ-マの話だった。

「どこかで楽隊が奏でている」は、記者のカ-ディフが何かに導かれるように訪れた不思議な町・サマ-トンでの話。一見普通の町なのに、滞在しているうちに、違和感を感じる。
子どもが居ない。町の人たちは年を取らない。
そして、カ-ディフを追って、町を訪れた記者仲間のマッコイとのこと。
町にある希望記念図書館の真実。
どこかで「死」を意識づけさせるような気がした。

もう1編の「2099年の巨鯨」は、舞台が壮大な宇宙。
宇宙船のなかでの人間関係。
白い彗星が出てきたり、神が出現したり・・・・自分のなかでの想像が追いつかない^^;

ブラッドベリって、やっぱり何か凄い!
内容を正しく、自分のなかで消化しきれないんだけど、読んでる間は幸せ。
雰囲気に酔うかんじかな?
言葉遣いが、崇高なかんじも好き。
これは訳者の北山さんの力も大きいのでしょうが。

贅沢な願いを言えば、今度は90歳過ぎて書く新刊が読めるといいなぁ~

★★★
 
PR
bf3c853e.jpg発行年月:2010年4月


不老不死以外のどんなことでも叶えてくれる不思議なびん。
欲のために、幸せのために、そしてときには愛のために、
ケアウエはそのびんを手に入れようとするが……。


                       (福音館書店HPより)



作者のR・L・スティ-ブンソンは世界的ベストセラ-『宝島』 『ジキル博士とハイド氏』などで知られるイギリスの作家。
この物語は19世紀末に南太平洋の島々を舞台に書かれ、当時は宣教師によりポリネシアの言葉で訳されたそうです。


お話は、ガラスの小瓶をめぐる不思議なお話。
主人公の男・ケアウエは、ある日、お金持ちの男から不思議な瓶の話を聞きます。
この瓶のおかげで金持ちになったんだと。

瓶の中には小鬼が住み、寿命を延ばすこと以外の望みなら、なんでも叶えてくれると。
ただし、死ぬときまで瓶を持っていると、永遠に地獄の炎で焼かれることになる。
瓶を人に譲るには、自分が買った金額より安い金額で売ること。そうしないと、再び瓶は自分の元に戻ってきてしまう。

話を聞いたケアウエは、条件さえ守れば、自分も金持ちになり何不自由ない暮らしが出来ると瓶を男から買います。
長年、瓶は人の手に渡ったので、瓶の値段はとんでもなく安く、90ドルで買ったという男からケアウエは50ドルで買います。
ただし、まだ条件があり、売り買いは硬貨でなくてはならない。


さて、ケアウエは瓶をどうするか?
勿論、すぐお金持ちの象徴である豪華な家を手に入れます。
でも、ずっと瓶を持っているわけにはいかないと友人のロパカに瓶のことを詳しく説明し売ります。
友人は悩みながらも、自分の夢を叶えたらすぐ瓶を手放すと瓶を買ってくれる。
その後、美しい妻・コクアを迎え幸せの絶頂のケアウエですが不治の病に罹ってしまう。

慌ててケアウエは、瓶を探し小鬼の力で病を治してもらう。

再び瓶を手に入れたケアウエだが、既に瓶の値段は5セントだった!

どうする?ケアウエ!
妻に瓶の秘密を全て話し、どうしたら良いか相談。
そして二人で瓶を手放す事を計画する。


ハラハラドキドキ。
一体どうなるんだ~?と思いながら読んでいました。

最後は、二人にとっては、ハッピ-エンドなんですが、その後のことのほうが気にかかって
ハッピ-な気分になれない。
不思議な物語でした。

わたしは、要らない!絶対そんな小瓶。

児童書なので、すぐ読めるけど、かなり深いものが詰まってる本だと思います。
面白かった!!

★★★★

e5781c85.jpg発行年月:2000年11月


「あなたはぼくを愛しているんだ」バリ-はそう言う。
「バリ-なんてそんな男、存在しないのよ」クラリッサは言う。
ぼくに執拗につきまとい、脅し、病的なまでに愛を乞う男の出現で、ぼくとクラリッサの生活は歪んでいった-----最悪なまでに。

ブッカ-賞作家が洗練され筆致でスリリングに、エレガントに描き切り絶賛を浴びた崩壊する「愛」という名の物語。

                                              (本の帯文より)

マキュ-アンの本は、読む前からワクワクします。
過去に読んだどの本も自分の好みだから♪

今度の話は、ジャ-ナリストとして社会的にもある程度認められているジョ-・ロ-ズが体験した悲運としか言えない気の毒な話でした。

恋人クラリサッサと一緒にピクニックを楽しもうと訪れたのびやかな草地の広がるだろう場所で、ある事故に遭遇してしまう。
気球に乗って、子どもが大空に飛ばされてしまう!
大変だ!
同じように、その場所に居合わせたジョ-を含む男性4人が気球を地上に引き止めておこうと必死にロ-プを掴む。
が・・・ずるずると引きづられ遂に気球は飛んでいく。
男たちは次々、力尽きロ-プから手を離したが、ただ一人最後までロ-プから手を離さなかった気球に乗っている子どもの父親・ロ-ガンは転落死してしまう。
なんとも痛ましい光景。
気球に乗って行った子どもはその後、無事、地上で保護され無事だっただけに、ロ-ガンの死が辛い。
ジョ-はロ-ガンを死なせず済んだ方法があったのに・・・と自責の念に苦しむ。

が、ジョ-をもっと苦しめるものが現れてしまう。

一緒にロ-プを掴んでいた男・バリ-から突然の求愛。
戸惑うジョ-。

バリ-の言葉がジョ-に言う言葉は、明らかに異常。

でも・・・・それはジョ-の語りだから?本当はジョ-の精神状態が良くないから、そんな風に受け止めてしまうだけ?と途中で考えちゃって、本当に異常なのは、誰??と混乱しました。
その辺、マキュ-アンの狙いでしょうか?

しかし、不気味で怖い話です。
一方的に好きだと言われるだけでも驚きですが、あなたもわたしを好きなはず。とか自分が全くその気がないのに、あの時のあの眼差しで愛を気づかされたとか言われちゃうと・・・ゾゾ~ッ(怖)

一緒に暮らすクラリッサとの関係もギクシャクして、一体、ジョ-はどうなっちゃうの?と心配になりましたが・・・最後は救いのあるものでホッとしました。


やっぱりマキュ-アンって、わたしにとっては、凄い好みの作家さんだ!

★★★★
3d9f499d.jpg発行年月:2007年12月


別格の地位を誇る英文学界の手練れマキューアンが贈る最新作、
全英ベストセラー。


突発的なテロ、見知らぬ若者の激発、親友との仲違い。なにが起こっても起こらなくとも不思議ではないその日、ヘンリーの周囲は危機の予兆に満ちていた。そう、世界はあの日以来変容してしまったから----。果たして安息の日曜日は訪れるのか。名匠が優美極まる手つきで鮮やかに切り取る現代ロンドンの一日、ブッカー賞候補作。

                         

                                         (新潮社HPより)


主人公のヘンリ-・ペロウンは、48歳の脳神経外科医。ロンドンの病院で日夜治療に追われる医師。
妻・ロザリンドは、弁護士。長女のデイジ-は詩人としての道を歩み始めた成績も優秀な大学院生。
長男のシ-オは勤勉な両親とはやや異質ながらもミュ-ジシャンとしての道を歩み始めている。

夫婦仲はよく、子どもたちとは、時々、激しい議論を交わすが、決して相手を叩きのめすものではなくお互いが信頼しているからこその言い合いかな?と思えるもの。

特に問題ない家庭で、むしろ恵まれて過ぎている印象のヘンリ-の日常。

そんなヘンリ-のある土曜日の一日が描かれた物語。

妻と一緒に眠るベッドから起き上がり、窓辺に立ち、偶然目にした事故と思われる火を噴きながら空を横切る飛行機。
それが、その土曜日の始まり。
その事自体が、ヘンリ-に直に関係するものはないけれど、幸せな日常生活に、やや不安な要素が入り込む最初。

1日をただ追うのではなく、そこに入り込む、ヘンリ-の過去。
子ども達の幼いころの記憶、それぞれの子どもが今の道に進むことになったキッカケと思われる思い出。
夫婦の出会い。二人の結びつき。

ヘンリ-の母親、ロザリンドの父親のこと。

そして、起こるある出来事。
一旦は、無事通り過ぎたかのように思ったその出来事が
久しぶりに集まった家族の中に大きな恐怖の時間をもたらす事になる。

どういう風に落ち着くのか?予想付かず、ハラハラしましたが、最後はホッとしました。


この物語の日時は、9・11の起きた約1年半後という設定。
なので、物語のなかでもイラク戦争について、父と娘が激しく議論する場面が印象的でした。

そして、驚いたのは、最後の方で、主人公・ヘンリ-が硬膜外出血の患者を執刀する場面。
実にリアル。
医療物を読んでいるかのようでした。

登場人物たちの心理描写が、細かいのはいつも思うけど、上手い!

読むたびに、いろんな感動を与えてくれる作家さんだと改めて驚愕しました!


★★★★★


9e699f07.jpg発行年月:2009年11月

あるいは二人は、ずっと一緒に歩いて行けたのかも知れない。あの夜の出来事さえなければ。

性の解放が叫ばれる直前の、1962年英国。結婚式を終えたばかりの二人は、まだベッドを共にしたことがなかった。初夜の興奮と歓喜。そして突然訪れた、決定的な不和。決して取り戻すことのできない遠い日の愛の手触りを、心理・会話・記憶・身体・風景の描写で浮き彫りにする、名匠マキューアンによる異色の恋愛小説。

                        (新潮社HPより)

以前、映画化もされた「贖罪」を読んで、巧みな心理描写に感激しました。
新刊が出ていたのを知り、期待いっぱいで手に取りました。

ちょっと表題のインパクト強し!
内容もそのもの。
ある一組の男女・エドワ-ドとフロ-レンスが結婚式を終えた日の夜の事を中心に描かれる。

マ-キュリ-が描く初夜の男女の様子には猥雑さが感じられないのが凄い。
ベッドで裸の男女が居るのに・・・。

そして、そんな時間のなかでごく普通のことが行なわれるわけですが・・・・その時に及ぶまでの男女それぞれの視点で表される内にある気持ちの変化の描写が見事!

どうなる?この二人は?と半分、覗き見気分で読むわけですが・・・^^;
心のなかでは、無事、終わりますように・・・・と祈りながら・・・・。


しかし、残酷な流れ・・・・・哀しい。

どっちが悪いわけではないけれど、お互いの心を傷付けてしまう。

わたしは女性だけど・・・これはエドワ-ドがとても気の毒だと思う。
でも、フロ-レンスの立場になれば、責められない。

時代背景を考えたら、こういう男女も珍しくないのかな?
今じゃ考えられないような話ですが・・・・。

ことが終わった後の二人の会話も切なかった。
人によっては、フロ―レンスのエドワ―ドに投げかけた言葉はヒドイ!と思うかもしれないけど、
フロ-レンス自身も内心では、酷い言葉だとわかっているんじゃないかな?

エドワ-ドがすぐに追いかけたのが、間違いだったかも・・・・。

読みながら、いろいろと、あの時、こうしていたら?なんて考えてしまいました。

物語の後ろの方には、それから後の二人がそれぞれどうなったかも描かれていましたが、
まあまあ二人とも充実したその後を送ったのかな?と思えたのでホッとした。

今回の話もなかなか面白かった!
過去作品もまた読んでみよう。

★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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