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読んだ本の感想あれこれ。
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51ZV8SGZS5L__SX230_.jpg    発行年月:2001年10月


   ぼく、夢をみているんだろうか、それとも……。
   空想少年ピーターのスリリングでちょっぴりせつない秘密の冒険。
   ブッカー賞作家が贈るとっておきの物語。


                         (中央公論新社HPより)




マキュ-アンの作品は幾つか読んでどれもかなり好みです。
ちょっと重苦しいかんじの物語でしたが、児童書を書いていると知り、興味があって
図書館で検索し借りて来た次第。

主人公は10歳の少年・ピ-タ-。
両親と7歳の妹・ケイトと、母親が高校生の頃から可愛がって飼っている
猫のウィリアムと暮らしている。

ここでは7つの冒険の話が短編連作の形で進行。
ピ-タ-は、感性が豊かで、目の前の情景からふと何かを思いつき、そうすると自分の世界のなかでの冒険が始まってしまう。
授業中であったり、動かないで座っていてと頼まれているときであっても・・・・・。
なので、他人からは「何を考えているのかわからない」と言われてしまうのだけれど・・・。

どのお話も良かったけれど、二番目の<ネコ>が一番好きだな。
ちょっと切ないかんじもするけれど、ネコのウィリアムと体が入れ替わってしまうお話。
ウィリアムが亡くなったとき、家族が哀しむなかで「新しい冒険に出発したんだよ」と言ったピ-タ-。
そしてウィリアムに感謝する。
優しい男の子だなぁ~。

ほかの話にも違うものに変身するお話がありますが、そういえば子どもの頃は
「もしも自分が〇〇だったら・・・」と想像して楽しむことがあったなぁ~なんて思ったりして
ちょっと懐かしい気持ちにもなれた。


著者のあとがきもよかった!
著者が言うとおり、子どもにもわかる文章で大人が楽しめる物語でした!

ますますマキュ-アンが好きになれた気がします。


★★★★★
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51da0g--m4L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年5月


彼女の波瀾万丈の人生が、全くの嘘だったとしたら!

ジェーニャの家に毎晩やってきては、ポートワインを飲みながら辛い人生を涙ながらに語るアイリーン。ところがその話はほとんど嘘。彼女は結婚したことも子供を亡くしたこともない。真実を知り打ちのめされるジェーニャ。だが嘘にも効用があって……。もう一人の自分の物語を生きる女たちの、面白く哀しくときに微笑ましい人生。


                                         (新潮社HPより)


主人公・ジャ-ニャの関わる女性たちのお話6つ。
最後の話は、ジャ-ニャ自身のこと。
女たちはいろいろな話をジャ-ニャに聞かせてくれるが、後々わかるのはその話には嘘が多いということ。

<ディアナ>
4人の子どもを産んだけど皆亡くなってしまったと語ったアイリ-ン。

<ユ-ラ兄さん>
綺麗で可愛い女の子ナ-ジャはいろいろな話をしてくれるけれど、その大半は嘘だと周りの大人たちは気づいている。
一番よくお話に登場するのは、ユ-ラ兄さんのこと

<筋書きの終わり>
いとこの子どものリャ-リャは13歳でジャ-ニャの息子と同い年だけど、妻子あり画家と恋愛関係にあるという。

<自然現象>
高齢の女性・アンナはジャ-ニャが大学院生のときの先生。
ある日、高校生のマ-シャは公園のベンチでたまたま隣に座っていたアンナと知り合う。
聡明そうなその老婦人から詩の話を聞き、自身の詩だと幾つかを朗読してもらう。
感心しきりのマ-シャだったが、アンナが亡くなったあと、それは既に発表されている著名な詩人たちの
作品だったと知る。

<幸せなケ-ス>
ジャ-ニャが学問に見切りをつけテレビ界で仕事をしていたときのはなし。
ドキュメンタリ-映画のシナリオを手掛けた経験を買われて出稼ぎのロシア人娼婦の私生活を
ドキュメンタリ-として放送するという企画に雇われる。
そして娼婦たちのいろいろな話を聞く。

<生きる術>
ジャ-ニャ自身の物語。


5つの話はジャ-ニャが聞き役という感じで出て来る女性たちのいろいろな嘘の話が語られる。
そして最後は、ジャ-ニャ自身が物語の中心。
学生時代は勉学に励み、かなり成績もよかったようだけど、あることをキッカケに学問の世界から身を引く。
このあたりは、なんだか著者自身の経歴に被る。
自分が接した女性たちの話には嘘が多かったけれど、そこには誰かを貶めるような悪意はない。
自分の生きるため、前に進むためについている嘘が多いかんじで、ジャ-ニャ自身も嘘をつかれたことを特に気にしてはいない。
そして、最後の<生きる術>では、ジャ-ニャ自身がいとこの子どもリャ-リャが語る悲劇の主人公に酔ってるようなお喋りに救われて自分自身も強く生きていこうと思う。

物語は、時代を追って流れていて最初の話のころは、まだジャ-ニャも35歳と若く息子のサ-シャは3歳で癇癪持ちで苦労していたのに最後の話では、優しい大人に成長した様子が読み取れた。

物語は20年間くらいの時間の流れ。
舞台のロシアもチェチェン紛争などがあったりと激動の時代だった。
そういう時代背景もよく現している物語でもあったと思う。

海外の物語は、その時代のその国を知ることが出来るのも興味深いところだな・・・。


                                       ★★★★


 
41gxt2tlKsL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年2月


忘れたい、忘れたくない、ぼくの過去。ベルギー発、あまりにも面白い自伝的作品集。

母に棄てられ始まった、父の一族とのとんでもない日々。貧しい実家にベッドを並べ、カフェに繰り出しては夜な夜なビールをあおりつづける父とその弟たち。甲斐性なしの息子どもを嘆きつつ、ひとり奮闘する愛情深い祖母。ベルギー、オランダでベストセラー。フランダース文学界の俊英による、笑いと涙にみちた自伝的物語。

                                            (新潮社HPより)


著者自らの少年時代の思い出を記したらしいけど、変わった家族のなかで過ごしていたんだなぁ~。
両親が離婚して、父親と祖母の家で暮らすようになるのだけど、
そこには同じように、パ-トナ-と問題を起こして実家に戻って来ている3人の叔父が居た。
一時期、さらにそこに叔母とその娘まで転がり込んでの生活があり、ハチャメチャなかんじ。

叔母といとこは、すぐに離れていったけど・・・・・。

3人の叔父と父親は、大酒のみ。
お酒を飲むお金を稼ぐために働き、毎日飲んだくれては潰れている。

ついに家財差し押さえの目に遭ったりするのだけど、不思議なことに悲壮感が全くない彼ら。
貧乏であることを全く憂いることがない。
逆に親戚が高級車を家の前に止めることに抗議したりして・・・全く変な人たちなのです。
しかし、ディミトリ-は父親に愛されていた。
叔父たちも彼を可愛がっていたし。。。

成人したディミトリ-が最後のほうでは父親になるという話があって・・・
自分の子どもを愛せないことを悩みながら分娩台に乗っている恋人のいる病院の玄関前で佇む。
でも、ラストは5歳になった息子を父親のお墓のある故郷に連れていき、叔父たちとも再会する。
このラストの場面は温かいものを感じられてよかったなぁ~。


過酷な生い立ちだとは思うけど、ユ-モアを交えて語るのは凄いな。

フェルフrスト家の人々の語りが関西弁なのも面白く、これは訳者のナイスアイデア!!


★★★★

 
 
51IJ04F3BtL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年4月


夜だけ開く、たとえようもなく豪奢で魅惑的な夢のサーカス。
そこを舞台に競い合うよう運命づけられた、二人の天才魔術師を待つものとは。
世界30カ国で刊行、映画化決定の傑作ファンタジー、ついに登場!



                    (早川書房HPより)





このタイトルと表紙の絵から、ファンタジックな世界を想像して、ワクワク。
夜だけ開くサ-カスなんて・・・・。


でも読み始めたら、想像と違ってました。
今まで見てきたサ-カスの世界とは全く異質な世界。



日暮れに開場、夜明けに閉場 侵入者は放血される


そこは魔術師同士の対決の場になっていたのです!


天才魔術師を父に持つ、シ-リアとマルコは対決を運命付けられた2人。
しかし、やがて、2人は惹かれあい愛し合うようになる。
2人が対決をやめれば、サ-カスは崩壊してしまう。
さてさて、どうなる??

登場人物たちは多く、軽業師のツキコ、占い師のイゾベル、サ-カスの時計を作った時計職人のフリ-ドリッヒ・ティ-セン、サ-カス内で生まれた双子のウィジットとポペット。

人間の男の子・ベイリ-が物語の最初の方でサ-カス内にもぐりこみ、双子の女の子・ポペットと出会うけれど、それが後々まで親交を深めてサ-カスの危機も救うことになる。

最初から最後まで、ファンタジックな雰囲気で、夢のような美しい世界観に浸りながら楽しめた。

こういう物語は、やはり海外の作家さんでなくては書けないかも・・・。

映画化決定と知り、映画も是非、観たい!!と強く思いました。



★★★★
 
51dW9HhtDhL__SX230_.jpg   発行年月:2012年2月


   罪人になるのは簡単なのに、世界は何も変わらない。
   ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。「このミステリーがすごい!」第二位など、年末ベストを総なめにした『犯罪』に比肩する傑作


                                        (東京創元社HPより)


15編の犯罪話。
著者は作家兼弁護士。
自分が関わった事件を元に書かれた話のようです。
なので、それぞれが物語とはいえ、事件の記録を読んでいるようなリアル感がありました。

最初の話「ふるさと祭り」から、イヤ~な気分になりました。
祭りの最中、バンド演奏をしている男達が休憩時間に17歳の少女に集団で暴行の事件。
そのうちの一人が警察に通報した。
当然、男達は捕まり、当然の罰を受けるだろうと思いきや・・・・

他の話にも大罪を犯しながら、罰されない事件があったりで、読んでいて嫌なかんじになる話が多い。
だけど、不思議と次の話も読んでみたいと思わせる。
残酷な場面もあるけれど、意外とサラリと書いてくれてあるので、まあ、よかった。


唯一、ちょっとホッとした話は13番目の話「清算」。
ちゃんと裁判所が正しい判断で無実を言い渡してくれてホッとした。
彼女がその後の人生、幸せでありますように・・・と思った。


この書の前に書かれた「犯罪」も評価が高いようなので、そのうち読んでみようかな?
続けてはちょっとヘビ-だから・・・・^^;


★★★
 
 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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