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読んだ本の感想あれこれ。
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51Sym-oyUML__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年8月


この国には古来、「不思議」が満ちていた――京都の旧家で長子誕生の際に行われる謎の儀式を描く表題作ほか、節分の夜に鬼がやって来るという信州の「鬼宿」、長崎に伝わる不老長寿をもたらす秘密の石「崎陽神龍石」など、各地の“伝説”を訪ね歩いて出逢った虚実皮膜の物語。ゾッとするほど面白く、ホロリと沁みる奇譚集!

                    (新潮社HPより)



日本各地の言い伝えに纏わるお話6つ。
どこまで本当?と思ってしまう。
ノンフィクションっぽく書かれているのですが・・・・。

<第一話 はかぼんさん>がやはり一番、印象的でした。
舞台は京都。白衣袴姿の少年の遺体が川に浮いていたという事件が背景にあって・・・
その地方で行われている儀式に、ビックリ。
亡くなった少年は、その儀式での「はかぼんさん」だったのでは?という推理。
今も何処かで実際にあるのかな?なんて本気で思ってしまった。

<第二話 夜神、または阿神吽神」
金沢の漁師町でのある儀式。

<第三話 鬼宿>
信州のとある地方の節分の夜、鬼宿の家では鬼のための寝床を用意するという儀式。

<第四話 人魚の恋>
青森に伝わる人魚の肉を食べるといつまでも若くいられるという言い伝え。

<第五話 同行三人>
四国のお遍路先で遭った行者は、人が入るべきでない場所に立ち入った人間に神罰が下るのを避けるためのお祓いをするという話。

<第六話 崎陽神龍石>
長崎の不思議な力が宿る石の話。


本当かどうかわからないけれど、恐れや感謝を持って人々が言い伝え通りの儀式を行っていることって日本全国には沢山、あるんだろうなぁ~。

不思議なお話でしたが、面白かった。
さださんの語りには惹きつけられるものがあります。


★★★★
 
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51Uyh2b6UCL__SL500_AA300_.jpg
発行年月:2012年10月


関西の山奥の集落で、新型と思われる強毒性の鳥インフルエンザが発生した。一人、また一人と犠牲者が出る。医療チームが派遣されるが、感染経路をつかめないどころか、都市への感染拡大を恐れ、集落から出る唯一の道が警察の手で封鎖された。このまま自分たちは見殺しにされるのか……。
「明日現実に起こるかもしれない恐怖」を医療サスペンスの第一人者が渾身の力で描く衝撃のヒューマン・ドラマ!


                                            (徳間書店HPより)


表題どおりの封鎖された、とある集落。
強い毒性を持つ病原菌により、次々と悲惨な死を迎える人たち。
住民たちのなかには、パニックを起こす者も。
いつ自分も犠牲になるかわかならい状況のなかで、右往左往。
一家揃って、車で強行突破を図ろうとする者がいる反面、亡くなった人はキチンと葬ってあげなければ・・・と自分が犠牲になるのを覚悟で、遺体の焼却を任せてほしいと申し出る高齢者もあり。

そんななか、集落の医師・新島は、看護師・静香とともにほかの地にいる知り合いの医師に真相究明を依頼する。
国立研究機関室長の女医・紺野がその助けをする。
集落に足を運び、現状を視察。

そして、国際的にも新型インフルエンザ対策で有名な医師・松下が率いる医療チ-ムも派遣されてくる。

封鎖され見捨てられた感じだった集落の住民は、少し安心するが・・・・

松下医師の下した対策は、究極の策だった!
紺野医師の起こした行動も凄い。


それぞれの医師の立場で、行う行動は、どれもその立場に自分がなったら?と考えたら
真っ当なものなのかも。
医師たちの心の葛藤を想像すると辛い。

生き延びた看護師・静香が今後、この経験を活かし、辛いけれど意義ある仕事に進んでいこうと
する姿にはエ-ルを送りたい!
 

似たような話は過去にも読んだけれど、最初から最後まで引き込まれるように読んだ。


★★★★
                                  

 
 
41GSCX03FYL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2003年2月


「文革が始まってから、私はいつも独りぼっちだった。」
 文化大革命のさ中に多感な少女時代を過ごした中国人作家が、
瑞々しい日本語で綴る自伝的長編。



                    (幻戯書房HPより)



図書館の棚を見て廻って、なとなくピン!と来た本。
大抵こういう本は当たりなのです。

著者の名前から「中国の人の話?」と想像出来ました。
そして表題の「父の帽子」の意味は、文化大革命により、右派のレッテルを貼られたことを意味する言葉でした。

著者は、北京で幼少期を過ごす。
近所の子達と遊ぶ和やかな様子や両親に愛され育つ著者の様子が微笑ましい場面が先ずは描かれている。しかし、その背景にある文化大革命が、著者の暮らしのなかに少しずつ暗い影が広がっていく。

著者の両親は、知識人で
父親は、大学で教えていたり、仏中辞書の編集に関わったりしていた。
母親も女学校の教師。
そして、父親は、母親がいうところの出しゃばりであったため、帽子を被せられることになったと。

文化大革命は1966年~1976年。
著者の父親は、共産主義を信じ共産党に入党し、毛沢東を信じていたのに、裏切られることになった。
そして、母親の同僚たちも革命の犠牲になった。
父親の従兄弟は、小心者ゆえ、自分の過去も問題にされるのでは?と不安に耐え切れず自ら命を絶った。

そんな状況が日常のなかに起きているのに、著者は周りの空気に感化されず、母親の言うところの犯罪分子の頭とされた女リ-ダ-・大洋馬(ダ-ヤンマ-)を慕ったりしていた。
そのために学校や周囲から忌み嫌われる存在になってもいつも平常心でいられるところが凄い!
強い女性なんだな・・・。

学校の革命教育の一環として、死刑公開判決大会に参加するよう先生に言われてクラス長と一緒に見学に行った先でも、家から離れようと辿り着いた駅で眠ってしまい、警察の事情聴取を受けたときにも、恐れを知らない行動にはビックリ!

ひとつ間違えば命も落とすことになったのでは?と思われる出来事も実に淡々と書いている。

日本語も上手。
只者じゃないな・・・・この人!

1977年、文革で廃止されていた大学入試試験が再開されると同時に試験を受けて大学生となり、その後、日本に渡り日本人と結婚し日本に住んでいるそうです。

名誉を回復した父親は教授として勤務する大学の宿舎で母親と暮らしているとか。


1997年、再びかつて住んでいた地をたずねたときのことが最後に書かれていたけれど、その辺をもう少し詳しく書かれたものもあるようなので、また読んでみたいと思う。

読み応え十分の書でした!!


                                      ★★★★★
 
418jWT7167L__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年1月


医療ミステリーの第一人者である仙川環氏の初となる短編連作小説が登場!『STORYBOX』誌で連載した同名作品7話と、連載では読めなかった文庫書き下ろしの最終章を加えた新しい試みの作品。
 著者の大ヒット文庫作品『感染』『繁殖』『転生』『再発』『潜伏』に続く話題騒然必至の力作。
 連作のテーマは、身近にある「薬」。風邪薬、ピル、向精神薬、花粉症治療薬……。正しく使えば問題ないこれらの薬を巡り、8組の男女が織りなす黒い人間模様を活写。
 登場するのは、リッチな医療カウンセラー、失業中のDV夫、美貌の女性カウンセラー、さえない精神科医……。日常に潜む悪意と偶然に翻弄され、ごく普通の家庭、人間関係が崩壊していく恐怖をスピード感溢れる筆致で描いています。仙川環ファンにはたまらない、ひりひりする読後感に快感を味わってください。


                                            (小学館HPより)


8章からなる短編連作集。

<第一章 藤本洋文>
医療コンサルタントをしている主人公。
妻とは再婚で子どもは要らないと合意していたはずが、最近になり子どもを欲しがる妻。
ビタミン剤と偽り、ピルを与える。

<第二章 小野恭子>
DV夫の元で暴力に怯えながら娘・真奈のためになんとか耐えて暮らしている。
インフルエンザ予防の薬を手に入れ、娘をインフルエンザから守れと言われる。

<第三章 木島博人>
抗インフル剤を譲って欲しいと医療機関受診後に小野恭子から声を掛けられる。
薬を欲しいひとに譲るとお金が儲かると思い、恋人・亜美の助言もあり精神科受診し、薬を処方してもらうことに。

<第四章 林崎洋子>
病院でカウセラ-をしているが、自身はヘビ-スモ-カ-で、禁煙をしたいと焦っている。
知り合いの医師から禁煙に効果ありという開発中のサンプル薬を貰う。

<第五章 松原延彦>
医療コンサルタントの藤本の妻・秋江に好意を抱いている。
会話のチャンスを窺い、話をする機会を得る。
自身は、薄毛治療薬を飲んでいる。

<第六章 沢村亜美>
第三章の木島の恋人。
料理屋の厨房でバイト中。そこに新しく入ってきた小野恭子。
花粉症らしい小野が花粉症の薬を貰いに行きたいので、早く帰らせてほしいという。
が・・・一向に症状がよくなっているかんじがせず、不審に思う亜美。

<第七章 小野厚之>
第二章の小野恭子の夫。
妻に対して、また職場でも部下に対してつい暴力行為に及んでしまうことを後悔しているが、反面自分は悪くないとも思っている。
電車のなかで急に腹痛に襲われ、見知らぬ女性から痛みがひくという薬を貰う。

<第八章 三田秋江>
第一章の藤本とは離婚した秋江。
そして、好意を寄せてくれていた松原と付き合いはじめる。



第一章から八章までの人物が少しずつ繋がっていく。
そして最終章では、その繋がりがひとつの薬が渡って行く。

ラストに書かれたあとのことをあれこれ想像しちゃう面白さがあった。

しかし、安易にみな、人から貰った薬を飲み過ぎてる(笑)。
それがないと成立しないお話だから仕方ないし、ま、面白かったからよいか?


                                          ★★★

416wissq44L__SX230_.jpg   発行年月:2012年1月


   この世はすべて幻影?
   震災後の生と死を鋭く問う問題作

   郷里を離れ東京で酒造メ-カ-に勤める熊沢武夫。
   震災後に起きた不思議な出来事をきっかけに、
   ある女性の顔が浮かぶ・・・・


                                         (文藝春秋HPより)



予備知識なしで読んだので・・・^^;
冒頭に、起きた不思議な現象を読んで、パラレルワ-ルド的なはなし?と思ってしまった。

郷里の母から電話で、「こっちに帰って来てたのなら、知らせなさい」と言われ「?」と思う主人公・武夫。
バス停付近にあったネ-ム入りのレインコ-トを駐在さんが届けてくれたという。
そして、ポケットには子どもの頃からの好物m&mが入っていた。

郷里に帰った覚えは全くない武夫は混乱する。
そして、そのコ-トを送ってくれるように母親に頼む。
届いたコ-トは、自分が少し前に百貨店で購入したものと同一で、自宅にちゃんとそれはあった。
そして、m&mのほかに、内ポケットから、SDカ-ドも出てきた。
そして、そのなかに入っていたデ-タは、武夫が仕事用に使っているSDカ-ドと全く同じであった。
ただ、知らない女性の写真など、自分で撮った記憶がない画像もあった。

不思議なことが次々起きながら、その真相ははっきりとはわからない。
でも、そんなことがあっても別に不思議じゃないのかも・・・・なんて物語を読んでいくうちに思ってしまった。

物語のなかには、3.11の震災も出てくる。
武夫の祖父が話してくれた過去の大水害の悲惨な状況も。

人が死ぬことについて書かれていた。

死だけが誰にも訪れる平等なこと。
そのほかのことは幻影のようなものなのかも。
そんな風に考えると、どんな辛く哀しいことが目の前に起きても少し受け入れられるかも。

読みながら、「死」とか「時間」について、考えさせられた。

なかなか深い話でした。


                                         ★★★


 
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