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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2017年2月


 手が好きなので、あなたの手を見せてください!――不思議なノリで盛り上がる、深夜の掲示板。そこに集う人々は、日々積み重なっていく小さな違和感に、窮屈さを覚えていた。ほんとの俺ってなんだ――「小鳥の爪先」女という性になじめない――「あざが薄れるころ」不安や醜さが免除されている子はずるい――「マリアを愛する」社会の約束事を無視するなんて――「鮮やかな熱病」俺はいつも取り繕ってばかりだな――「真夜中のストーリー」連作短篇集。

                       (徳間書店HPより)




5つの短編、どれもそれぞれ良かった!


今の状況に少し居心地の悪さを感じている人たちが、人との関わりのなかで
少し気持ちが楽になる様子を描いていて、読んでいて最後はホッとするかんじが
心地よかった。


それぞれの話に共通して出て来る、ネットのなかの悩み相談の掲示板。
そこに出て来た「手がすきなので・・・・」という書き込みに反応する
それぞれの主人公たち。

そして最後の<真夜中のストーリー>でその最初の書き込みをした者が
登場するお話。

巧いなぁ~と思った!

お話として好きだったのは<マリアを愛する>。
恋人の元カノ・マリアのことが気になる香世子。
マリアは事故死している。
そんなある日、マリアが香世子の前に現れて・・・

マリア、いい子だなぁ~。可愛い。


この短編集は、また暫くしたら読み返したい!


                         ★★★★★
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発行年月:2016年9月


 高校の廊下にうずくまる、かつての少女だったものの影。疲れた女の部屋でせっせと料理を作る黒い鳥。母が亡くなってから毎夜現れる白い手……。何気ない暮らしの中に不意に現れる、この世の外から来たものたち。傷ついた人間を甘く優しくゆさぶり、心の闇を広げていく――新鋭が描く、幻想から再生へと続く連作短編集。

                   (新潮社HPより)


不思議な話。
ちょっとホラーっぽい描写もあるけれど、なんだか惹きこまれていく物語たち。
6つの短編それぞれの主人公たちは、死を感じさせる者たちと触れ合う。
それぞれの主人公たちの置かれた立場がとても痛々しい。
けれど、絶望のなかから少しだけ救いが覗くのが読んでいるこちらにも救い。

<君の心臓をいだくまで>
夫は出張中の日菜子。
妊娠中だけど、胎児の心音が確認されず様子をみましょうと医師から言われる。
その後、帰宅すると見慣れぬ女が食事を作って待っていてくれる。
女は大きな黒い鳥。


<ゆびのいと>
まだ新婚なのに突然、妻は突然、脳梗塞で亡くなった。
けれど、帰宅すると料理を作って待っていてくれる。
料理のなかには何かすごく生臭い肉の塊のようなものが必ず入っているのだが、
妻はそれが一番大事という。


<眼が開くとき>
カメラマンの瑠璃は、仕事で偶然、阪口暁と再会する。
小学5年生のときに転校してきた美少年は今はモデルとして瑠璃の前に。
子どもの頃、暁を頭からバリバリ食べてしまう夢をみた。


<よるのふち>
10歳の宏之は母親を交通事故で亡くす。
8つ年下の弟を放課後に保育園に迎えにいく。
夜中、弟の頭を撫でる白い手。
母のハンドクリームのにおい。


<明滅>
大雨で避難勧告が山すその住民に出ているが、自分たちのところは大丈夫と
自宅で夜を迎えている夫婦。
夫が中学生のとき、川に落ちて流され怖い思いをしたことがあるという話をする。
妻はそのあと、怖い夢を見たと起きて、真っ暗ななんの救いもない場所に
連れていかれる恐怖について話し合う二人。


<かいぶつの名前>
学校の屋上から落ちて亡くなった少女。
昼間は学校の廊下にじっとしていて、夜になると歩き廻る。
女子トイレで感じる人の気配。
噂があったトイレで手首を切った女の子だろうけど、関わらないようにしている。
そして、新しく赴任してきた女教師が少女を見つけ自身の教員室に招き入れ
話をする。
かつての名前〇〇さんと呼ばれる。


独特の雰囲気。
表題の意味も全部読んだあとなら、なんとなく理解できる。
どうしようもない心の中の暗くて重たい思いを共有して
そばにいてくれる人の存在が、その人を救うってことかな?


                          ★★★★★



発行年月:2013年3月


 私って「かわいそう」だったの? 「女による女のためのR‐18文学賞」受賞第一作!

ずっと穏やかに暮らしてきた28歳の梨枝が、勤務先のアルバイト大学生・三葉と恋に落ちた。初めて自分で買ったカーテン、彼と食べるささやかな晩ごはん。なのに思いはすぐに溢れ、一人暮らしの小さな部屋をむしばんでいく。ひとりぼっちを抱えた人々の揺れ動きを繊細に描きだし、ひとすじの光を見せてくれる長編小説。

                   (新潮社HPより)



28歳独身の野坂梨枝。
母親と二人暮らし。
幼い頃、両親は離婚し、兄は家庭を持ち、離れてたところで暮らしている。
過干渉ぎみの母親に辟易する毎日だったが、兄家族が実家で同居する
ことになり、それを機に1人暮らしを始める。

ドラッグストアの店長を務める梨枝。
そこに新しいバイトとして来た20歳の大学生・三葉。
梨枝に親しげに接し、最初は仕方なく夜勤のバイト終わりにごはんを一緒に
食べたりしているが、徐々に彼との関係を特別なものと考える。

ドラッグストアに定期的に来る女性は、バファイリンを過剰に服用している様子。
気になり再三声を掛けるが、彼女は反論。
それでもまた店に来る。

兄の妻・雪ちゃんは、梨枝が幼いころから知っている小さい時からもお姉さんとして
接していた存在。
母は同居してから、雪ちゃんの作る食事がマズイことを梨枝になんとか言って欲しいと。



身近だから言えないことって確かにあるよなぁ~。

母親に、恋人に、兄嫁に・・・

ラスト、実家で餃子を作る場面は、ほんんわかして良かったなぁ~。
ギクシャクしていたかんじが取れたみたいで。


バファリン常用の彼女との関係も良い方向に行きそうで
梨枝の周りの人間関係が一挙にうまくいきそう。

あ、でも蜘蛛を潰せなかった柳原は、その後どうしたんだろ?


途中まで嫌な雰囲気だったけど、ラストは明るく終わってくれて良かった。


                          ★★★★



発行年月:2016年2月


 地震の前日、すみれは遠野くんに「最近忙しかったから、ちょっと息抜きに出かけてくるね」と伝えたらしい。そして、そのまま行方がわからなくなった――(本文より)

すみれが消息を絶ったあの日から三年。
真奈の働くホテルのダイニングバーに現れた、親友のかつての恋人、遠野敦。彼はすみれと住んでいた部屋を引き払い、彼女の荷物を処分しようと思う、と言い出す。
親友を亡き人として扱う遠野を許せず反発する真奈は、どれだけ時が経っても自分だけは暗い死の淵を彷徨う彼女と繋がっていたいと、悼み悲しみ続けるが――。
【死者の不在を祈るように埋めていく、喪失と再生の物語】

                       (講談社HPより)




著者自身も3.11の時、被災地で大変な思いをされたと後で知りました。

物語の主人公・湖谷真奈は、友人のすみれを地震のあった日以来失った。
何処にいるのか、わからず3年の時が過ぎ・・・・・。

そして、すみれの恋人・遠野は、すみれの荷物を処分したいと言い、真奈に
残したいものを選んで欲しいと。

すみれを死者とすることにまだ抵抗がある真奈は、そんな遠野の言動に違和感を
覚えてしまう。

う~ん。
当事者ではないと自分が同じ立場だったら、どういう気持ちになるか
想像するのは難しい。
どちらの考え方もあり得る。

物語は、まだ彷徨う、すみれのことを描いた部分もあって、その部分が凄く
切なく、自分がどういう状況にいるのかわからないまま居るのは気の毒でならなかった。

3.11以降、こんな気持ちのまま亡くなった人を想う人や、彷徨い続けている
魂があるのかな?なんてことを考えちゃいました。


辛い物語ですが、心にず~んと残ります。


                         ★★★



発行年月:2015年3月

面倒だけれど愛おしい――「ふるさと」をめぐる5つの物語

桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人それぞれの行先で待つものは――。婚約者の実家を訪ねて郡山へ。亡くなった母の七回忌に出席するため仙台へ。下級生を事故で亡くした小学4年生の女の子は新花巻へ。実家との確執、地元への愛着、生をつなぐこと、喪うこと……複雑にからまり揺れる想いと、ふるさとでの出会いをあざやかな筆致で描く、「はじまり」の物語。ふるさとから離れて暮らす方も、ふるさとなんて自分にはない、という方も、心のひだの奥底まで沁みこむような感動作。

                  (実業之日本社HPより)




ふるさとを思いながら、東北に新幹線で向かう人々の物語5つ。

その話も人を想う優しさがあって、温かい気持ちにさせてくれる。


<モッコウバラのワンピース>
千葉から宇都宮に1人で暮らす祖母を訪ねる大学生の智也。
祖母は、50歳を過ぎてバスツアーで旅した栃木県で出会った男と再婚した。

<からたち香る>
婚約者の実家、福島に挨拶に行く律子。

<菜の花の家>
母の法要で4年ぶりに故郷の仙台に向かう。
機嫌が悪くなった姉の一人娘・百花(4歳)を気を紛らせるため連れ出す。
話のなかで、「おばあちゃんと緑色のお団子を一緒に作って食べたよ」と。

<ハクモクレンが砕けるとき>
叔母の結婚式のため、家族で岩手に向かう小学2年生の知里。
旅の途中、思い出す事故で亡くなった同級生のみどりちゃんのこと。

<桜の下で待っている>
新幹線の車内販売をしている、さくら。
成人してすぐに両親が離婚し、母は別の家庭を持っている。
離婚当時はまだ中学生だった弟・柊二が相談したいことがあると言い会うと・・・



東北新幹線、乗ったことないので、東北地方に新幹線で行ってみたくなった。
最後の話の、さくらが、前の話の主人公たちと車内ですれ違っていると
思うと楽しい。


                           ★★★




 

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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