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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年5月

今がどれだけキツくてもー
“おいしい”が、
きっとあなたの力になる。
食を通して変わっていく人間関係、
ほろ苦く、心に染み入る極上の食べものがたり
「遠くへ行きませんか」「行くー!行きましょうぞ!」
スポーツ用品販売会社に勤める素子は、同じく保育園に通う子供を持つ珠理を誘って、
日帰り温泉旅行に出かけることに。ずらりと食卓に並ぶのは、薬味をたっぷり添えた
鰹のたたき、きのこと鮭の茶椀蒸し、栗のポタージュスープ。季節の味を堪能するうち、
素子は家族を優先して「自分が食べたいもの」を忘れていたこと、母親の好物を知ら
ないまま亡くしてしまったことに思いを巡らせ……(「ポタージュスープの海を越えて」)
彼女が大好きな枝豆パンは、“初恋の彼”との思い出の品。
病に倒れた父の友人が、かつて作ってくれた鶏とカブのシチュー。
ーー“あのひと口”の記憶が紡ぐ6つの物語

                      (祥伝社HPより)



<ひと匙のはばたき>
人に嫌われないようにと気を遣い過ぎる清水さん。
可愛らしくて素敵な女性なのに・・・。
煮込み料理とお酒を出すお店を経営している伯父の手伝いをしている沙彩は
そんな清水さんと親しくなり料理を出しながら彼女の心を少しずつ軽くしていく。

出てくる煮込み料理が美味しそう(^^)
ビーフストロガノフ、手羽先とゆで卵の甘辛煮、牛すじピリ辛煮、鶏肉とセリの
さっぱり煮、チキンのトマト煮などなど。



<かなしい食べもの>
一時期家族の問題でいとこの家にいたとき、パン屋でアルバイトしていたいとこが
作ってくれた枝豆のパン。
今も時々、食べたくなる。
恋人につだけお願いを聞いて欲しいと頼んだのは枝豆のパン。

かなしい食べものが嬉しいたべものに変わりそうで良かったね。と思った。



<ミックスミックスピザ>
既婚者の早百合だが、仕事終わりに、彼女ありの後輩とラブホへ。
ラブホで後輩が注文したミックスピザ。
夫は仕事のストレスで会社にいけなくなった。
子どもを実家の両親に預け、早百合は夫をピクニックしようと
コンビニで好きなものを買ってラブホへ。

いきなり不倫?と思ったけど、そうじゃなかった。
早百合は夫の気持ちをちゃんとわかっているいい奥さん。



<ポタージュスープの海を越えて>
珠理と素子。
中学の同級生で、それぞれ保育園の年中さんに息子を預けて働いている。
素子が誘ってふたりで温泉へ。

こんな友達が居たら、どんな困難も超えていけそう。


<シュークリームタワーで待ち合わせ>
同級生の幸が4歳の息子を亡くした。
夫が見ている目の前で大型の遊具から頭から落下して。
哀しみのどん底にいる友をただ自分のそばに置き、食べ物を提供する夜子。

この友人関係も素敵だと思った。
哀しみのどん底から少し這い上がった幸も偉い!



<大きな鍋の歌>
入院中の友(万田)を見舞う。予後が悪い病気で退院は難しいのだという。
二人は調理師学校で一緒だった。

これも泣ける友情話。
遺した鍋を譲りうけて作る料理はどれもきっとおいしいだろうな。



どの話も美味しそうな料理と人の優しさが沁みる良い話だった。



                         ★★★★
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発行年月:2019年8月


作家の夫に小説の題材にされ、書くことを通じて奪われ続けてきた主婦の琉生はある日、
大量の植物の種を飲んで発芽、やがて家をのみ込む森と化し――

夫婦の犠牲と呪いに立ち向かった傑作。

                          (河出書房新社HPより)




最初は、作家の夫、その担当編集者、夫の不倫相手の女性の話で

植物と一体化していく、作家の妻、瑠生の苦悩などは、物語の終盤の方で語られる。

なぜ、植物と一体化して森を形成していくのか?その森がどんどん大きくなっていく様子は
瑠生の苦悩がそうさせていて、その原因は、夫にある。

そもそも、なぜ、こんな男と結婚したんだ??
ものわかりよさげに心にもない優しいことばで近づく男のことを
ルイは、それを愛されていると思ったのかもなぁ~。


家業を継ぐつもりでいたのに、自分より無能な兄が家業を継ぐことになったって
自分の無能さには全く気付かず、痛い人だな・・・


でも、今後は、少しずつ対等に話し合うことが多くなって二人の関係が変わりそうかな?

不思議な話ではあったけど、面白かった!



                                       ★★★★



発行年月:2018年12月

ファッションデザイナーの歩が経営するブランドは地味と皮肉られ人気が無く、さらには相棒に見限られて経営困難な状況だった。歩自身も、「ファムファタル」と称され没後も語り継がれる歌姫だった祖母とは似ても似つかない容姿で、そのことから他人の美貌に辟易し、なるべく目立たぬように生きていた。そんなある日、ハーフのモデル・ジョージと出会う。自分が常に悩まされてきた外見を武器として使う彼の生き方をずるいと感じ、信用できずにいた。しかし、仕事を失ったジョージは歩の仕事を強引に手伝うようになり……。自らの弱さに目を瞑ってきた登場人物たちが一歩ずつ成長する姿を丁寧に描いた物語。 

                    (双葉社HPより)




祖母は没後も語り継がれる美しい歌姫だった。

歩はそんな祖母や母親の容姿とは似つかない自分の容姿を憂い
自身のファンションデザイナーという仕事にも自信を失いかけている。

そんな歩と出会うハーフのモデル・ジョージ。
彼も美しい容姿で最初は警戒心で接する歩。

でもジョージ、人柄もいいかんじ。

2人が協力して新しいことを始めていく様子はワクワクする。


歩のことを見守っている、真珠のキシとカリンが可愛い。
最初、登場したとき「だれ?」と思ったけど、真珠たちの会話だったと知り
なんだかアニメの場面のようで微笑ましかった。



                       ★★★




発行年月:2018年6月


 

愛による呪縛と、愛に囚われない生き方とを探る。野心的長篇小説!

長らく疎遠だった父が、死んだ。「明日香を除く親族は屋敷に立ち入らないこと」。不可解な遺言に、娘の明 長らく疎遠だった父が、死んだ。「明日香を除く親族は屋敷に立ち入らないこと」。不可解な遺言に、娘の明日香は戸惑いを覚えたが、医師であった父が最期まで守っていた洋館を、兄に代わり受け継ぐことを決めた。25年ぶりに足を踏み入れた錦野医院には、自分の知らない父の痕跡が鏤められていた。恋人の冬馬と共に家財道具の処分を始めた明日香だったが、整理が進むに連れ、漫画家の仕事がぎくしゃくし始め、さらに俳優である冬馬との間にもすれ違いが生じるようになる。次々現れる奇妙な遺物に翻弄される明日香の目の前に、父と自分の娘と暮らしていたという女・妃美子が現れて――。愛情のなくなった家族や恋人、その次に訪れる関係性とは。気鋭の著者が、愛による呪縛と、愛に囚われない生き方とを探る。喪失と再生、野心的長篇小説!

                   (角川書店HPより)




幼い頃、暮らしていた洋館を父の遺言に従って整理する明日香。

一緒に暮らしていて結婚まで考えていた冬馬とは、軋轢が生じ別れる。
父親が母親にしていた暴力を口論の末、自分もしてしまったことに
ショックを受けつつ、父親と似ていることを他の人からも指摘され
今まで気付かなかった父親の真意を考える明日香。


なんだか重苦しい話だった。
こういう家庭環境に生まれたら窮屈だろうな~。
同じような家庭環境の人なら少しわかるのかな?

遺品整理しながら、時々、現れる謎の男の子は気になった。
単なる好奇心旺盛な男の子?
それとも・・・・・。
でも男の子と明日香のやり取りの場面は結構、好きだった。


家族って不思議。
家族に愛されなかったとか愛されたとか、考えたことない
わたしは幸せなのかな~?
そういう人間には、この物語の言おうとしている事がよくわからないのかも?


今までの彩瀬さんの本は、面白かったけど、これはちょっとよく分からなかった^^;


                         ★★★



発行年月:2017年10月

著者の新境地を開く七編

別れた不倫相手の左腕と暮す「くちなし」、
運命で結ばれた恋人に会うと体に花が咲く「花虫」など
繊細に紡がれる傑作短編集。

                    (文藝春秋HPより)




直木賞候補だったんだぁ~と読んでから気づく。


独特な妖しい世界観で統一された短編集。
SF?ホラー?
今まで読んだ彩瀬さんと少し雰囲気違って、これはこれで面白かった。


最初からインパクト大の表在作<くちなし>
別れを告げられ、何か贈らせてほしいという恋人に左腕が欲しいと頼み
その希望を叶えられる。
腕は十分に私を褒め、いたわり、甘やかせてくれた。


<花虫>
お互いの体の一部に咲く花を見つけ結婚した男女。
体のなかに侵入した羽虫によりコントロールされる一生。


<愛のスカート>
学生時代好きだった恋人と偶然、再会。
元恋人が今、好きなのは普通の主婦。
デザイナーの彼にスカートをプレゼントしてあげたらどうかと提案し
彼もその提案に乗る。


<薄布>
家庭を顧みない夫を憎む。
ママ友の集まりで知った:人形遊び:。
北から来た綺麗な少年との逢瀬を楽しむ。


<茄子とゴーヤ>
3か月前に夫が不倫相手と一緒に交通事故死。
髪を切って、カラーをしようとお店を探し、近所の床屋に入ってみる。
禿げ頭の無愛想な男に相談。
カラーは取り寄せるから先ずはカットだけと。
その後、茄子色に髪を染めて貰い、なかなかの出来映え。
禿げ頭の男が育てているゴーヤを食べないからと店に行くたび貰う。
男と普通に会話するほどの仲になる。


<山の同窓会>
3回目の産卵を果たした女は大抵、力尽きて死んでしまう。
3回目の妊娠をしている彼女たちに会うのは、最後のお別れのチャンス。



人ではない異形なものの話が多かった。
ちょっと不気味だけど、先が気になるのでスラスラ。

そんななか、<愛のスカート>と<茄子とゴーヤ>は
ちょっと微笑ましい人と人のやり取りなので、楽しく読んだ。
こういう話の方が、わたしは好きだな。

表題作の<くちなし>は、妖しく怖かった。
やはり一番、印象に残る話だった。



                         ★★★★

 

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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