(双葉社HPより)
殺人事件の被害者・高村小夜。
犯人を追ううちに小夜の生い立ちがわかっていき、犯人も判ってくる。
そこには、何とも哀しい事実。
小夜は殺されたのは、いろいろなことが誤解されたことにもある。
また誤解されるような行動、言動をしてるし・・・^^;
けれど犯人の気持ちは、ちょっと理解し難いなぁ~。
そういう精神的な病なんだろうか??
怖い人だ。
事件の真相には切なく哀しく、暗いものがあるけど、それを追う刑事・目黒とその部下・山名のやりとりは明るく結構、笑わせてくれて、重苦しいかんじが中和されていた。
この表紙の絵は幻想的で、物語を読むと、この絵の意味がわかる。
いま届けたい希望の物語
でも、それが生きるってことなんだから
途方にくれたとき、背中を押してくれる一杯のうどん。あたたかくて、涙がとまらない----。
重松清、渾身の長編!
極上の物語は、静かに最終章を迎える。
五十年前の大水害の翌日、若いうどん職人が路上でふるまったうどんは、まずくて、おいしくて、希望の味がした。空襲から、まだ十数年しかたっていないのに。
一面の焼け野原からせっかくみんなでがんばって復興したのに、今度は一面の海になってしまって、やり直し……。
それでも、ひとびとはくじけなかった。いま一生懸命に生きているひとたちを、あたたかく、そして力強く包み込む-----。
(講談社HPより)
下巻では、うどん屋のおじいちゃん・修吉さんとおばあちゃん・駒子さんの若い頃の話も知れて、うどん屋の歴史がわかった!
修行時代の仲間・源さん。
そして若い頃の友達・わびすけさん。
二人との思い出話にも感動。
友情はずっと変わらずで、おじいちゃんの心の優しさがよ~くわかるエピソ-ドが満載。
そんなおじいちゃんを今でも大好きで、ずっと支えるおばあちゃん。
素敵だなぁ~。
中学3年生で受験生なのに、祖父母を気にかけて、時間があれば店の手伝いに通う淑子も優しい子だなぁ~と感心。
人の心がよくわかる子。
それと・・・・町医者の榎本先生の話も切ないものがあった。
優し過ぎるゆえの苦悩・・・。
淑子の同級生・大友くんも再び登場。
今回は弟子入りしたいとうどん屋を手伝うことになって・・・・
あ~この後の峠うどんに関わる人たちは、どういう人生を歩むんだろう?
気になるなぁ~。
続編はないのかな?
今回の話の最初は、戦争の空襲で壊滅的被害を受けた地が、なんとか復興したと思ったら今度はその10年後くらいに水害で再び多大な被害を受けた地で、それでも前を向いて頑張って来た人たちの様子が書かれていた。
たぶん、3.11のことを頭に置いて書かれたのでしょう。
いつも心が綺麗になるようなお話を読ませてくれて、感謝です!
創業49年(株)カキツバタ文具の社内運動会。
ノリはいまいち。
その分金くれ、が本音……のはずがなぜか大盛上がり。
うちの会社ってこんなだった!? 痛快会社小説。
(筑摩書房HPより)いや~愉快!
会社の運動会が小説になって、こんなに面白いなんて!
社員以外にもその家族が競技に参加したり、そこで新たな人間関係が出来て、なんだか読み進めるとどんどん面白くなる展開でした。
女子社員に人気の女性・高城輝(あきら)のお母さんが最高~♪
表紙絵の真ん中サングラスをかけているおばさまがたぶん、その人。
一番、運動会を盛り上げたのはこのお母様かもしれない。
競技自体の描写も面白いけど、それを囲んでいる応援席でのあれこれも面白い。
後半では、その会場には居ない、元社員の奥さんまで物語に登場したりして・・・。
社内では嫌われ者に近い存在の千葉課長だったけど、そんな課長までもなんだか良い感じで
あ~なんて楽しい会社なんだろ~
こういう物語を見ると、働くって大変だけど、人間関係が円滑だと明日も頑張ろう!って思えるものだなぁ~なんて思った。
お仕事シリ-ズまた次も期待してます♪
愛しい人を守るため、追いつめられていく私
心から逃げたい
優しい夫と愛しい子供との日々に、突然襲いかかる父との再会。
忌まわしい過去を、おぞましい父の存在を、決して知られてはならない。
家族を捨て、憎しみを胸に、死と隣り合わせの父親と彷徨う生活が始まる。
どこへ行けばいいのか、いつまで逃げればいいのか……。
追いつめられた女の苦渋の選択も切ない、哀しみの長編サスペンス!
(光文社HPより)
途中までは、サスペンス要素が大きく、主人公の澪が逃げるのをハラハラドキドキしながら読んでいた。
「逃げる」・・・・最初は、自分の記憶のなかにある嫌悪してきた父親・伊作から、そして、そんな父親がいることを夫や義母に隠すため、家族からも逃げる。
澪はどうなるんだろ??と思って読んでいたら・・・・父親と対面し、一緒に暮らすことになる。
最初は、殺すために会うことにしたけれど・・・いざそのタイミングになると実行できなかった。
父親は肺がんを患っていて、余命は1年未満と知る。
自分の記憶にある思い出したくないこと。
母親や祖母から聞かされた父親のこと。
父親と暮らしながらいろいろな場所を転々とし働き、伊作の病状を気にしながら生活を共にする。
そして、段々と真実が明らかになっていく。
一方、逃げている澪を心配して、必死に探す夫・昌彦。
昌彦の母も、まだ幼い娘の雪那も澪のことを心配している。
澪の記憶のなかの忌まわしいことは、誤解だった。
自分の母親が全ての元凶だったと知る。
ラストは、ハッピ-エンド。
あ~良かったとホッとする結末。
まだ澪の心の中の不安は、少し残っているけれど、温かい家族が見守ってくれているから、きっとこの後は大丈夫!と思えた。
この本を読み終えて、永井さんが2010年の9月に亡くなっていたことを知りました。
ショックです(/_;)。
まだお若いのに・・・・・。
次はどんな作品を書いてくださるのか、まだまだ楽しみにしていたかったのに・・・・。
ご冥福をお祈りします。
★★★
人を生かすために学んだ知恵が、戦場では何の役にも立たぬ----身捨つるほどの祖国はありや?

勤務医の「私」も、帝大を卒業したばかりの「私」も、国家によって今日から軍医になる----。眼前で消えていく助けられたはずの命。広島、沖縄、満州、樺太、大刀洗、極限状況の戦地で最善を尽くした先人たちに、現役医師の著者が捧げる鎮魂歌。「あの戦争」を十五人の軍医の視点で重層的に描く、戦争文学の偉大なる到達点!
(新潮社HPより)
軍医たち15人の見た戦争を綴った物語。
場所はいろいろ。
日本国内だったり、樺太付近、東南アジア周辺、満州周辺。
医学生であったのに、突然、軍医として戦地に向かう若い医師たち。
人の命の尊さを学んでいながら、アッという間に死んでゆく者たちを見ながら、黙々と傷の手当、病気の治療に当たる。
国外で軍事活動のなか、敗戦を迎えた医師たちには、その後も過酷なことが待っていて、その辺のことは今まであまり知らなかったので、悲痛な気持ちが伝わってきて読むのも辛かった。
医師ということで、班のリ-ダ-的位置づけもされ、戦争が終わり敗者となっては、戦犯関係者とみなされてしまう。
自分の関知しないこととはいえ、部下が行った他国民への暴行の責任を取らされる。
自分は医師として日本人であろうとなかろうと目の前の患者に真摯に向き合っていたのに・・・
戦争なんて、やはり何も得るものがない行為だ。
いろいろなものを奪うだけのもの。
読むのが辛くて、読み終えるのに時間がかかってしまった。
あとがきの著者の言葉もジ~ンとした。
この書を書いた真意がわかる気がした。
そして巻末の参考資料の多さには驚愕!
物語のかたちを取ってはいるけど、膨大な資料から得られた事実に基づくものなのだ!
いろいろな意味で、驚くばかりの書でした。
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;