主人公・佃航平は宇宙工学研究の道をあきらめ、東京都大田区にある実家の佃製作所を継いでいたが、突然の取引停止、さらに特許侵害の疑いで訴えられるなど、大企業に翻弄され、会社は倒産の危機に瀕していた。
一方、政府から大型ロケットの製造開発を委託されていた帝国重工では、百億円を投じて新型水素エンジンを開発。しかし、世界最先端の技術だと自負していたバルブシステムは、すでに佃製作所により特許が出願されていた。宇宙開発グループ部長の財前道生は佃製作所の経営が窮地に陥っていることを知り、特許を20億円で譲ってほしいと申し出る。資金繰りが苦しい佃製作所だったが、企業としての根幹にかかわるとこの申し出を断り、逆にエンジンそのものを供給させてくれないかと申し出る。
帝国重工では下町の中小企業の強気な姿勢に困惑し憤りを隠せないでいたが、結局、佃製作所の企業調査を行いその結果で供給を受けるかどうか判断するということになった。一方、佃製作所内部も特に若手社員を中心に、特許を譲渡してその分を還元してほしいという声が上がっていた。
そうした中、企業調査がスタート。厳しい目を向け、見下した態度をとる帝国重工社員に対し、佃製作所の若手社員は日本のものづくりを担ってきた町工場の意地を見せる。
(小学館HPより)
この著者の作品は売れているらしいと知っていながら、なかなか読まずにいました。
が・・・今年度上半期の直木賞受賞作品のこの作品は読まなきゃ!!と図書館に予約しやっと順番が来て読みました。
主人公の佃航平は、43歳。
以前は宇宙科学開発の研究員だったが、自身が手がけた人工衛星の打ち上げ失敗で研究から退き、父親が亡くなったことも重なり、その会社・佃製作所を引き継ぐ。
競争相手の企業から特許訴訟を起こされ、資金繰りに四苦八苦。
相手企業のアクドイような戦法にはハラハラしたけど、なんとか優秀な弁護士が窮地を救ってくれた。
会社経営って大変なのね~。
良い物を作っていれば成功するという単純なものではないんだとわかった。
作っているものが、莫大な価値のあるものだから、余計にそれを狙う企業もあって・・・。
でも対する企業のなかにも本物を認める者が、居たのが救いだった。
そして、ロケットエンジンを作ることへの夢とプライドが見事に成功への道を歩ませてくれたラストは清清しい気持ちになれた。
こういう企業のなかのお話ってあまり今まで読んだことが無かったので、新鮮だった!
面白かったぁ~。
さすが直木賞受賞作品!!
ほかの作品も読んでみなくちゃ!
★★★★★
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「博士の愛した数式」「猫を抱いて象と泳ぐ」など、その美しく詩的な小説世界に絶大なファンの多い小川さんの小説の中の言葉たちを“標本にする”というユニークな試み。電子書籍の波が押し寄せる今、失われつつある「紙の本」の中から言葉を取り出し、紙の上の博物館のように、分類、保管、展示する。小川洋子作品の小宇宙を存分に楽しめる、ビジュアルなガイドブックであり小川洋子論。
(文藝春秋HPより)
小川さんの遊び心がいいなぁ~。
小説のなかの言葉にも、センスの良さが窺える小川さんの作品ですが、この本には、そういう言葉がいっぱい詰まっている。
まさに言葉の博物館!
本をめくると・・・博物館館長からのご挨拶があり、小川さんの挨拶が綴られている。
そのなかに、小川さんの幼少期のことが書かれていて、なんとも微笑ましい。
生まれて初めて作ったクッキ-缶のなかの標本・・・あ~なんだかワクワクするなぁ~。
自分も似たようなことはやっていたっけ。
過去作品を紹介しながら、その作品のなかに出てくる言葉も披露していて、
まだ未読の作品もここで内容が少し知れたのは嬉しかった!
そんな未読作品のなかでは官能小説をというリクエストの元に書いたという「海」のなかの「バタフライ和文タイプ事務所」が一番、気になった!
物語の場面がタイプ事務所のなかというのもなんだか異質だし、新人タイピストと活字管理人との会話がユニ-ク。
こういう官能小説もありか?とこのセンスに脱帽!!
博物館内を巡りながらという進み方も面白く、よく考えたなぁ~、さすが!
写真も綺麗で幻想的で良かった。
ファンには嬉しい一冊でした(^^)
★★★★★
くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めて――。
1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わった――。「群像」発表時より注目を集める話題の書!
2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。――<「あとがき」より>
(講談社HPより)
神様をまだ読んでなかったけど、この本には先ず「神様」があり・・・
その後「神様2011」があり、二つを続けて読むと、平和でほのぼのとした日常が、変化してしまったことの怖さや切なさや哀しさや・・・いろいろな感情が沸いてきました。
短いお話なのに、そういう複雑な気持ちを抱かせる物語って凄いなぁ~。
すごく深い意味を感じた書でした!
★★★★★
嫉妬、妄想、昂奮。その愉楽に、医師は溺れた。暗い衝動をえぐる邪心小説!

妻あり子なし、39歳、開業医。趣味、ヴィンテージ・スニーカー。連続レイプ犯。。水曜の夜ごと、川辺は暗い衝動に突き動かされる。救命救急医と浮気する妻に対する、嫉妬。邪悪な心が、無関心に付け込む時――。
(角川書店HPより)
嫌な話だったなぁ~。
医師が他人の家に忍び込み薬を静脈注射し強姦するなんて・・・。
気持ち悪くて吐き気がした。
でも、このバカ医者・川辺康之がどういう裁きを受けるのか、どんな天罰を桐野さんが与えてくれるのか、期待して読んだ。
被害者女性たちが、うまい具合に繋がっていき・・・・
川辺のクリニックで働く職員が医師が怪しいと気づく。
さてさて、どんな風に女性たちが川辺を懲らしめるのか!?
面白くなってきたぁ~と思ったけど・・・・・
こんな罰じゃまだ生ぬるいよぉ~桐野さん!
こんなバカ医者もっと痛めつけなきゃ!!
流行のツイッタ-で医師を追い込む過程は今時の方法で面白い!と思ったけど、これじゃまだまだ破滅という風でもない。
う~ん、ちょっと期待はずれだったな。
ぐいぐい読ませる力はさすがだったんだけど・・・
★★★
自然を切り崩し、ロックフェスを誘致する以外に取柄もない山村。狭い日常に苛立つ高校生の広海は、村出身の女優・由貴美と出会い、囚われてゆくが、彼女が戻ってきたのは「村への復讐のため」。半信半疑のまま手伝う広海だが、由貴美にはもう1つ真の目的があった。そしてフェスの夜、取り返しのつかない事件が2人を襲い――。今年、吉川英治文学新人賞を受賞するなど注目の著者による傑作長篇
(文藝春秋HPより)
村で開催されるロックフェスで高校生の広海と村の出身だが芸能界に入り村を出て行った由貴美が出会うことから物語が始まる。
広海は由貴美を見た瞬間から惹かれる。
そして、あるとき、偶然に村にあるダム湖で再会。
二人は急速に距離を縮めるが、広海はそのことを周囲には内緒にする。
クラスメイトや村の友達との間にも由貴美が村に戻ってきている噂が広がるが、大人たちは由貴美に対しては良い印象がない様子。
由貴美が村に戻ったのは、ロックフェスが見たかったからでもあるが、それよりも大きな目的が村に復讐をすることだと知る。
どんな恨みがあるのか?
父親が村長の広海には、由貴美の話は意外なことばかり。
村の選挙の不正により多額の金が動いているとか、村全体が隠蔽体質によって成り立つ人間関係だとか。
そして、そんな広海と由貴美に起きる悲劇。
あ~そんなぁ~!!
村の不正を一緒に暴こうと団結した広海と由貴美だったけど、やはり大人のル-ルに潰されたかんじで悔しい。
善人だと思っていた村長であり広海の父親・飛雄も実は怖い人だったんだ~。
なんだか、やるせない哀しい物語だったなぁ~。
ラスト、広海はこの後、どう行動するのか?
少し気になる。
続編はないのかな?
★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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