なにげない日常の隙間に口を開けている闇。
それを偶然、覗いてしまった人々のとまどいと恐怖。
夢とうつつの狭間を描く傑作短篇集
(文藝春秋HPより)
8つの短編集
「おみちゆき」 「同窓会」 「闇の梯子」 「道理」 「前世」
「わたしとわたしでない女」 「かなたの子」 「巡る」
どれも怖かったけど、わたしは前半3つが特に怖かったぁ~!!
夜、一人でいる居間で読んだので、相乗効果もあったかも。
最初の「おみちゆき」は特にゾゾッ~とした。
ちょっと田舎のちょっと昔の雰囲気。
昔から伝わる村の儀式が「おみちゆき」
寺の和尚さまは、皆の願いを叶えるために、自ら生きたまま土の奥深い棺のなかに入った。
村人が当番制で、和尚さまの生存確認に出向く。
棺から出ている筒の先から声をかけ、和尚さんの返事である鈴の音の有無を聞く。
その様子を想像するだけでも、何か背筋が凍る。
そして、和尚様が亡くなったあとの村人たちの反応も・・・・恐ろしかった。
あ~これ読んで、夜読んじゃいかん本かも!と思ったけれど、怖いものみたさと
角田さんの文章がペ-ジを捲る手を止めてくれなかった(笑)。
次の「同窓会」も閉じ込めてしまった話で・・・・次の「闇の梯子」も暗いところの話。
後半の短編も怖いけど、慣れて来たのか、意外と普通なかんじで読めた(笑)
で、何と言っても、怖いのがこの表紙!!
全部読んだあと、本を閉じるのが怖かった!
話の内容は、どこかで既に読んだり、聞いたりしたようなものでしたが、
角田さんの文章がそんなことはチャラにしてくれる。
なかなか楽しませてもらいました。
著者初の推理小説、いよいよ登場!
東京湾で発見された2つの遺体。
殺人事件の鍵を握るのは、銅鐸と、
遥か昔の哀しき“夜空の記憶”。
充実の一途を辿る著者初のミステリが登場
(文藝春秋HPより)
久しぶりに手に取った伊集院さんの作品。
初めての推理小説とか。
物語の冒頭は昭和42年の夏。
3人の高専生(美智子・建侑・康次郎)が夜空の星を見ながら、将来の夢をお互いに叶えようと誓うその場の情景が目に浮かぶようなシ-ン。
それが突如、時代が変わり現在へ。
東京湾で若い女性と老人が一緒に繋がれた遺体が発見される。
二人の被害者の因果関係は?
冒頭、登場の3人は、この事件に何か関わりがあるのか?
謎だらけで読み進めました。
登場人物ばかりが、どんどん増えていき、誰が誰と繋がっているのか、混乱するので中盤くらいまでは、なかなか読むスピ-ドが上がらずでしたが、それ以降、少しずつ繋がっていく登場人物たち。
被害女性は、19歳の佐藤可菜子。
両親は三陸沖地震の二次災害で亡くなり、祖父に引き取られ高校までを一緒に過ごし、その後、好意を抱いていた先輩が東京に出たのを追って上京していた。
孫の行方が心配で、上京し手がかりを掴もうと警察に出向き、警視庁鑑識課の皆川と葛西と知り合う。
やがて東京湾の遺体が可菜子だと知ったあとの老人が痛々しかった。
もう一人の被害者は、85歳の佐田木泰治。
鍛治職人であり、捜索願が孫娘である由紀子から出されていた。
一見、何ら関連性のない、少女と老人ですが、犯人がわかると同時に、二人が最初の昭和の話の人物達と深い関わりのあることがわかりました。
そこに辿り着くまでが長かったけど、なるほど・・・・そういうふうに繋がっていたのか!?と納得。
推理小説ではあるけれど、事件そのものよりもそこに居る人物達の気持ちなどを想像して、事件に至るまでの出来事に、なんとも切ない気持ちにさせられた。
犯人の犯行動機はちょっとよくわからないけど、そこは想像するしかないか?
孫娘を亡くした老人が、かつて可菜子と耕した棚田にいるラストの風景も目に浮かぶようだった。
警察官の皆川と葛西が、それを思いやる言葉かけにもジ~ンと来るものがあった。
文章の美しさはさすがだなぁ~と久しぶりに読んで思った。
また推理小説を書かれるのかな?
次回作も期待したいと思います。
★★★★
憶えていてね、と彼女は言った。
忘れないで。
美しく純粋な魂が奏でる、
せつない祈りに満ちた純愛小説集。
(祥伝社HPより)
表題作を含む4つの短編集。
どの話も、美しい純愛だけど、儚げで切ないかんじ。
植物園や赤道儀室など共通のシチュエ-ションが出てくるけれど、主人公たちが全て繋がっているというわけではない。
前の日に読んだ恩田さんの「夢違」と、なにか被るようなものがあったので、比べてしまったのがイカンかんったか?
話はどれもそれなりに良いのですが・・・・ちょっと飽きてしまった^^;
暫く経ってから読めば、違った感想を持ったかも。
表題作より<夜の燕>が、印象的だった。
家が隣同士の少年・幸生と美織の恋。
お互いを意識しながら何故か素直に接することを拒んでしまう思春期を経て、大人になり夫婦になる。これはハッピ-な話?と期待したけど、幸せは長く続かず・・・・
あぁ~辛いな。
読み終えると、なんだかズ~ンと暗い気持ちになってしまった。
物語の主人公達は、彼らなりに幸せだったのかもしれないけれど・・・・。
★★★
「何かが教室に侵入してきた」。学校で頻発する、集団白昼夢。
夢が記録されデータ化される時代、
「夢判断」を手がける浩章のもとに、夢の解析依頼が入る。
悪夢は現実化するのか?
戦慄と驚愕の幻視サスペンス。
(角川書店HPより)
面白かったぁ~!
恩田さんらしい物語でした♪
人類が夢を映像デ-タ化することに成功した。
物語は、夢診断をする男・野田浩章が主人公。
そして、物語の鍵を握る存在はかつて、兄の婚約者だった古藤結衣子。
予知夢を幼いときからみるという能力を持っていたが、交通事故で亡くなった・・・・とされている。
予知夢を何らかの悲劇が起きる前に利用できないか?と自らの夢を研究者に提供することで、悲劇から人を救いたいと思っていた。
亡くなったはずの結衣子らしい人を浩章が目撃。
そして、飛び込んで不可解な事件。
最初から、なんだか不気味なものが潜んでいるような、嫌なかんじ。
正体のわからないものって、怖い。
そして、終盤、舞台が奈良に飛ぶ。
奈良という土地柄は、不思議な話が似合う。
ゾクゾクするような不穏な気配が始終つきまとう物語だったけど、ラストは、ハッピ-エンドと捉えて良いかな?
わたしはハッピ-エンドだとしたいけど。。。。
読み手によって、いろいろな解釈が出来そうな終わり方も、また良いな・・・・。
ガリレオシリーズ待望の最新長篇!
夏休みに美しい海辺の町にやってきた少年。そこで起きた事件は、事故か殺人か。少年は何をし、湯川は何に気づいてしまったのか
(文藝春秋HPより)
夏休み、父親の姉夫婦が経営する宿<緑岩荘>にひとりで宿泊するために来た小学5年生の恭平。
向かう電車のなかで湯川博士と居合わせる。
湯川は緑岩荘のある場所で開催される海底鉱物資源開発をすすめようとする企業の説明会に出席するために向かっていた。
そして、宿泊先を恭平が滞在する宿に決めた。
そして同じ宿の宿泊客・塚原正次が墜落死したという事件が起き、物語が始まる。最初は、ただの事故死と思われたものが、他殺の疑いが出て、事件の真相が追求されていく。
事件は背景にあるけれど少年・恭平と湯川のやりとりが微笑ましい。
子ども相手でも喋り口調が変わらないのが可笑しいけど、少年からしたら、そういう湯川だから信頼に値する人物だと思ったのかも。
事件の真相が近づくにつれ、段々、嫌な雰囲気になってきた。
え?まさか?
う~ん。
事件の真相がわかったら、なんとも辛い。
殺された元刑事・塚原正次には何ら非はないのに・・・・。
気の毒としかいいようがない。
大切な人を守るために犯してしまった罪が、後々、その大切な人を苦しめることになる。
少年・恭平も成長する段階で、大きく悩むだろうな。
そのことを憂いながら、少年に言葉をかけた湯川の優しさに感動・・・・(/_;)
話の展開にはいつものことながら、さすがと思わせるものがあったけど、ちょっとどこかで読んだようなオチだったし、事件解決の後味がよくなかったので、★少なめでご勘弁^^;
★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;