著者初の推理小説、いよいよ登場!
東京湾で発見された2つの遺体。
殺人事件の鍵を握るのは、銅鐸と、
遥か昔の哀しき“夜空の記憶”。
充実の一途を辿る著者初のミステリが登場
(文藝春秋HPより)
久しぶりに手に取った伊集院さんの作品。
初めての推理小説とか。
物語の冒頭は昭和42年の夏。
3人の高専生(美智子・建侑・康次郎)が夜空の星を見ながら、将来の夢をお互いに叶えようと誓うその場の情景が目に浮かぶようなシ-ン。
それが突如、時代が変わり現在へ。
東京湾で若い女性と老人が一緒に繋がれた遺体が発見される。
二人の被害者の因果関係は?
冒頭、登場の3人は、この事件に何か関わりがあるのか?
謎だらけで読み進めました。
登場人物ばかりが、どんどん増えていき、誰が誰と繋がっているのか、混乱するので中盤くらいまでは、なかなか読むスピ-ドが上がらずでしたが、それ以降、少しずつ繋がっていく登場人物たち。
被害女性は、19歳の佐藤可菜子。
両親は三陸沖地震の二次災害で亡くなり、祖父に引き取られ高校までを一緒に過ごし、その後、好意を抱いていた先輩が東京に出たのを追って上京していた。
孫の行方が心配で、上京し手がかりを掴もうと警察に出向き、警視庁鑑識課の皆川と葛西と知り合う。
やがて東京湾の遺体が可菜子だと知ったあとの老人が痛々しかった。
もう一人の被害者は、85歳の佐田木泰治。
鍛治職人であり、捜索願が孫娘である由紀子から出されていた。
一見、何ら関連性のない、少女と老人ですが、犯人がわかると同時に、二人が最初の昭和の話の人物達と深い関わりのあることがわかりました。
そこに辿り着くまでが長かったけど、なるほど・・・・そういうふうに繋がっていたのか!?と納得。
推理小説ではあるけれど、事件そのものよりもそこに居る人物達の気持ちなどを想像して、事件に至るまでの出来事に、なんとも切ない気持ちにさせられた。
犯人の犯行動機はちょっとよくわからないけど、そこは想像するしかないか?
孫娘を亡くした老人が、かつて可菜子と耕した棚田にいるラストの風景も目に浮かぶようだった。
警察官の皆川と葛西が、それを思いやる言葉かけにもジ~ンと来るものがあった。
文章の美しさはさすがだなぁ~と久しぶりに読んで思った。
また推理小説を書かれるのかな?
次回作も期待したいと思います。
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;