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読んだ本の感想あれこれ。
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51U9DhbI8QL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年4月


曙光の人もある。夜陰を照らす月のごとき、脇役の人生もある。
「私は歴史の敗者を描きたい。彼らの存在に意味はなかったのかと」
50歳で創作活動に入り、アラカン世代で直木賞を受賞した歴史・時代小説家、初めての随筆集。

ひたむきに生きる人々の姿を、和歌や漢詩を引用しながら香り高く描いた作品がファンを広げている葉室麟氏。
小説のモデルとなった人物や、敬愛する作家、自身の読書遍歴、
50代で創作活動に入った思いなどをつづった。
直木賞受賞後に書かれた随筆のほか江戸時代の福岡・博多を舞台にした短編小説「夏芝居」も収録。



                                        (西日本新聞社HPより)


こんなに格調高いエッセイは、今まで読んだことないなぁ~。

歴史は学校で習ってはいるけど、人物については意外と深くは知らない。
葉室さんの本では、今までの知っている歴史上の人物のほかにもあまり聞き馴染みのない人物も多々登場。
そして葉室さんの取り上げる人物たちに共通しているのが、ひたむきさ。
真摯に自分のできることを世のため、人のために黙々とこなしていく。

この随筆集を読むと、葉室さん自身にそんな雰囲気がみえる。


北重人さんとの思い出を語った箇所は感慨深かった。
北さんの作品をわたしも幾つか読んで、まだまだ作品を読ませて貰いたいと思っていたのに61歳という若さで2009年に亡くなって、とても残念に思っていたので、その北さんとのエピソ-ドを読んで、ジ~ンと来るものがあった。


そして、若い頃、読んだ書をもう一度読むことにより、記憶のなかの懐かしい自分と対話する時間を持てるという部分には、なるほど~!と思った。

葉室さんが若い頃に読んだという「心変わり」(ミシャエル・ビュト-ル/著 清水徹/訳)を、読んでみようかなぁ~。


最後の短編「夏芝居」も良かった!
若い頃、夏芝居を父親と見に行き、そこで知り合った男性と駆け落ち騒動まで起こしたことのある、お若が10年ぶりにその男性・市助と再会する話。
お若の夫・治三郎が粋だなぁ~。

短編は読んだことないけれど、面白かった!
過去の作品には短編集もあるのだろうか?
探してみようかな?

表題の意味も随筆を読むとよくわかる。

どうか長く作家活動を続けてください!!と言いたい作家さん。


★★★★★
 
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51QACxQQTmL__SX230_.jpg   発行年月:2007年7月


   家老と一藩士の、少年時代からの友情と相克を描く松本清張賞受賞作

  江戸中期、西国の地方藩で同じ道場に通った少年二人。
  不名誉な死を遂げた父を持つ藩士・源五の友は、いまや名家老となっていた



                            (文藝春秋HPより)



素晴らしかった!!
なんと美しい文章なんでしょう。

葉室作品を読むようになったのは、最近なので、まだ読んだ作品数が少ないのですが
ハズレにない作家さんですね!

この書は、3月24日の記事同一著者の「無双の花」にコメントを下さった、ひろさんから薦められたものです。
薦めてくださってありがとうございますm(__)m


物語は、家老となった松浦将監が領内の新田の様子を視察に来て、郡方側の日下部源五がその案内役を命じられ二人が久しぶりに顔を合わすところから始まる。

将監と源五は12歳~13歳頃、剣術を学ぶ道場で知り合い、それ以後親しくなったが、ある事を境に二人の間には隔たりが生じていた。

そして、物語は、まだ二人が知り合った頃の出来事から語られていく。
現在の身分が違う二人の姿を織り交ぜながら。

二人が出会った頃に知り合った十蔵と3人で夏祭りに行き、夜空を見上げて話す場面が印象的。
それがは、その後の成長した3人にも同じように思い出深い場面として心に留められていたのだとわかる場面では、ジ~ンと胸が熱くなった。

十蔵が大切に保管していた蘇軾(そしょく)の「中秋月」という漢詩

暮雲収め尽くして清寒溢れ
銀漢声無く玉盤を転ず
此の生、此の夜、長くは好からず
明月、明年、何れの処にて看ん


日暮れ方、雲が無くなり、さわやかな涼気が満ち
銀河には玉の盆のような明月が音も無くのぼる。
この美しい人生、この楽しい夜も永久につづくわけではない。
この明月を、明年はどこで眺めることだろう。


これを持っていた十蔵の気持ちを思うと泣けた。

将監に絶縁状を送った源五の気持ちもわかったけれど、将監の立場ならば十蔵に行ったことも仕方のないことだったとわかる。


ところどころに漢詩が出て来るのですが、これがとても効果的だった。
漢詩はよくわからないのですが・・・ちゃんとどんな意味か書いてくれているので助かります。
詩の言葉がそのときの登場人物の気持ちや情景がよく表していました。


終盤、脱藩し、江戸に向かうという将監を助ける源五。
無事に果たせるのか?ハラハラドキドキ。
緊迫感が終盤で増して、盛り上がりました!


葉室作品にハズレなしの予感。
まだまだ未読の過去作品がたくさんあるので、これから読んでいこう!
たのしみ♪たのしみ♪

これは文句なしの★5つ・・・以上だな。



 

★★★★★

b787c02e.jpeg   発行年月:2012年4月


   美人ベストセラー作家は、なぜ突然絶筆したのか?

   突然筆を折ったベストセラー作家・咲良怜花。
   執筆復活を願う編集者に対し怜花が告白した衝撃の物語。
   甘美で残酷な究極のラブストーリー


                             (文藝春秋HPより)



かなり厚い本(560頁)ですが、一気読みでした!

入社3年目の編集者・渡部敏明が、8年前に絶筆宣言をしたままの作家・咲良怜花に連絡をとり、個人的にもずっと気になっていた「なぜ、絶筆宣言をしたのか?」を問う。
そして、始まる怜花(本名は後藤和子)の過去の話。

驚くほどの美貌を備えた作家という評判どおり、57歳になった咲良怜花は美しかった。
しかしその美貌にも隠された秘密があった。

和子が自らが語る過去の物語がこの本の殆ど。
ひとりの女性の一途な恋愛話と言ってしまえば何処にでもあるような話だけど、作家として成功したのもその恋愛があったから。
作家という仕事は、やはり私生活で経験したことが大きく関わるんだろうな・・・・。


和子が一途な想いを寄せる男性・木之内徹は、優しいけれど、それは誰に対してもであり何だか嫌なかんじ。
ほかにも和子のことを想ってくれた男性は居たのに、ずっと想い続けている健気さが哀しい。
本人はそれで十分幸せだったのかもしれないけど。

若い編集者になぜ、自分がずっと秘めて来た思い出の一全てを語ったのか?
疑問だったけど、最後に、そういうことだったのか?と思うことが出て来る。

そして最後のエピロ-グが衝撃的。

特に感動するとかの要素はなかったけど、なかなか面白かった!

今までの作品とは、ちょっと違った路線だけど、こういうのもいいな。



 

★★★★

 

51JK81pAG9L__SX230_.jpg   発行年月:2012年2月


   生きるのか死ぬのか、愛すのか憎むのか、
   あさのあつこが放つ江戸の巷の物語 

   「断ち切れ、断ち切れ、過去の一切を断ち切って生きろ」
   宿命に抗う男たちの悲痛な叫び

   ニヒルな同心・木暮信次郎、闇を抱えた商人・遠野屋清之介。

屍体に隠された瑠璃石が、因縁の男二人を突き動かす!



                                       (光文社HPより)




待ってました!シリ-ズ4作目の本作。
今回も面白かった!

小間物屋問屋の遠野屋清之助と同心・小暮信次郎。

「梅屋」という小料理屋を妻のおふじと息子夫婦に任せ、信次郎の手助けをしながら事件解決に奔走する伊佐次。

今回は、遠野屋清之助の話が中心。
清之助の過去には、かなり込み入ったものがあり、そのせいか何処か掴みどころがない人としての温かみに欠けるような印象だった。
しかし、今回は、その清之助の心の中にあるものが少し理解できた。

清之助の過去を語りながら、商人として全うするのか、再び刀を握ることを選ぶのか?
どっちもありえそうな状況で内心ハラハラ。
でも、結果、穏便にことが済んでホッとした。

このシリ-ズはこれで完結かな?


個人的には、伊佐次とおふじの掛け合いが好きだったなぁ~。
言いたいことをお互いポンポンいいながら、内心はとてもよくお互いのことを理解し大事に想っている、理想の夫婦の姿を毎回、楽しく読ませて貰えた♪



                                            ★★★★
51LRVqFeR0L__SX230_.jpg   発行年月:2012年10月


   恋ではなく、愛でもなく、もっと不純で、純粋な欲望

  東京のアンティーク着物店に京都の葬儀社。
  2組の夫婦関係が交差し、秘めた性的嗜好があらわになる。
  堕ちていく男女を描く問題作


                           (文藝春秋HPより)



話の展開は面白く、文章も読みやすいのだけど・・・・・。
やや辟易しちゃう、男女の絡みの部分・・・・^^;

東京の夫婦
結城麻子と誠司・・・麻子は実家の老舗呉服店で働き、やがて自分のアンティーク着物を扱う店を出す。
誠司とは、元の職場であるブライダル専門のプロデュ-ス会社勤務時代に知り合い結婚。


京都の夫婦
桐谷千桜と正隆。
千桜の実家である葬儀会社に勤務していた正隆はその営業の手腕を見込まれて社長の娘である千桜と結婚。
7歳の息子あり。


簡単に言えば、この物語は・・・
この二組の夫婦のダブル不倫の様子を描いている。
小説だから、こういう偶然はあってもよしとするとして・・・・
この4人がお互いの夫婦の異性に惹かれる要因ちょっとイマイチわからない。
お互いの配偶者に隠していた、性癖がドンピシャ一致ということらしいんだけど、
なんだかなぁ~・・・・・。


ただ、今回は着物の話がよく出てきて、呉服屋さんのトキ江さん(麻子の祖母)は、粋なかんじで好きだった。
トキ江さんの恋バナをもっと知りたかったなぁ~。


しかし、文藝春秋の特設サイトにはビックリ!!
あの刺青は本物なんだ!!!

ちょっとわたしの中の村山さんのイメ-ジが180度変わったわ~。
ちょっと前は、田舎で野菜づくりとかやってますみたいなインタビュ-見てたんだけど・・・・。


ま、書く力はすごくある作家さんだと思うので、今後の作品も読ませていただきますが・・・。
こういう路線のは、ごく、たまにでいいかな?


                                             ★★★

 
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