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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:1931年7月

大正時代、貧困と虐待に抗して懸命に生き、
のち朝鮮人革命家朴烈と共に大逆罪に問われ獄中で自死した女性が綴る自らの生涯。
近代日本の抑圧と差別を鋭く告発



                   (春秋社HPより)


少し前の読んだ「両手にトカレフ」の中で、貧困のなか生きる少女が
ある老人から薦められて読む「カネコフミコ」の書に興味を覚え
本人・金子ふみ子の獄中手記を読んでみた。


獄中で自死したのが、1926年で、そのあと割とすぐに本になっているのは
凄いなと思った。

正直、この人のことは知らなかった。
この時代、政治とか社会に対して異議を唱える人たちは沢山いて、逮捕され
重い刑に処された人たちもいた中で、恩赦で無期懲役になっている。
それを幸いとせず、自ら命を絶つというのも、ふみ子の手記を読んだ後は
納得してしまう。

生まれてからずっと、ふみ子は不条理のなかにいた。
少し好転するかと思えば、再び逆戻りの繰り返し。
10代の時、あまりの自分の置かれた状況に疲れ果て、死を選び実行しようと
するが・・・・その瞬間、再び生きようと考えを変える。
これもまた凄いことだと思った。
ふみ子は、自分の力で何とかしようといつも懸命だった。
愛おしささえ感じるほど。

手記は、自らの力で生きられるようになって、学問も学び始めその場でであった
朝鮮人の朴烈と知り合う。
それが死を早めてしまうことになるのだけど
「共の生きて共に死にましょう」と思える相手に出会えたことは、幸せだった
んじゃないか。


手記は、朴烈とのことは詳しく描かれてはいないし、獄中でのことも
どうして恩赦で命が助かったのに死を選ぶことにしたのかなどは書かれていない。

結局、何が私をこうしたのかの簡潔には述べていないし、本人も手記の最後に
それについては語らないとある。
ふみ子が書かずとも読者はこの記録によって充分、これを知ってくれると
あるように、わかった気がする。
こうするよりほかなかったんだなと。


ふみ子と朴烈の映画があると知ったので、それも見てみたい!

ふみ子がここでは語らなかったことが知れるだろうか。


    

                  ★★★★★
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