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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年12月


「誰にでも境界線がある。
越えるか、踏みとどまるか」
中山七里
2018年刊行の『護られなかった者たちへ』と同じく宮城県警捜査一課を舞台に、東日本大震災による行方不明者と個人情報ビジネスという復興の闇を照らし出していく。震災によって引かれてしまった“境界線”に翻弄される人々の行く末は、果たして。「どんでん返しの帝王」・中山七里が挑む、慟哭必至の骨太の社会派ヒューマンミステリー小説。
《あらすじ》
2018年5月某日、気仙沼市南町の海岸で、女性の変死体が発見された。女性の遺留品の身分証から、遺体は宮城県警捜査一課警部・笘篠誠一郎の妻だったことがわかる。笘篠の妻は7年前の東日本大震災で津波によって流され、行方不明のままだった。遺体の様子から、妻と思われる女性はその前夜まで生きていたという。なぜ妻は自分のもとへ戻ってこなかったのか――笘篠はさまざまな疑問を胸に身元確認のため現場へ急行するが、そこで目にしたのはまったくの別人の遺体だった。
妻の身元が騙られ、身元が誰かの手によって流出していた……やり場のない怒りを抱えながら捜査を続ける笘篠。その経緯をたどり続けるもなかなか進展がない。そのような中、宮城県警に新たな他殺体発見の一報が入る。果たしてこのふたつの事件の関連性はあるのか? そして、笘篠の妻の身元はなぜ騙られたのか――。


                   (NHK出版HPより)



なんとも切なく哀しい物語だった。


震災で行方不明になっている人の身分証を携帯していた遺体が発見。
一人は、女性で自殺。
もう一人は男性で他殺。


津波で流されたと思われる妻の免許証を持っていた、女性は鬼河内珠美。
両親は凄惨な殺人事件を犯した人物だった。

他殺された男性は、真希竜弥。コンビニ強盗に入り、店員を刺して懲役9年の
過去があった。



二人に共通しているのは、本来の名前では生き難いいうこと。
別の名前で生活していきたいという気持ちは理解できる。


二人に別の名前を与えていたのは、誰なんだ?となって
浮かんできたのは、闇の情報屋・五代良則。
彼の過去を調べるとともに、NPO法人<キズナ会>代表の鵠沼駿。
そして二人は、高校の同級生という接点。



二人の高校時代の話は、ちょっと青春小説みたいで良かった。
不良の五代と飄々と正論を述べる鵠沼が、あることを機に、接近。


3.11の震災の起きたとき、五代は、詐欺で刑務所の中。
塀のなかで悲惨な状況を見て、鵠沼の安否を気にしていた。




鵠沼は、大学卒業後、地元の税理士事務所で働いていた。
震災さえなければ、犯罪とは無縁の普通の暮らしを送っていたはず。


正しいことを常にしてきた鵠沼にとって、これは犯罪だけれど
彼なりの意義はあったのだと思うと尚更、切ない。


う~ん。
本当に重たい話だったな。


でも、こういう物語、読まないと、震災を実際に体験した人の
苦悩とかに気づかなかったりする。


最後の鵠沼の涙にも泣けた。


いろんな意味で、余韻が残る作品。


                     ★★★★
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