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発行年月:2014年11月


 疑心の闇、緊迫する心理戦、知られざる真実をえぐり出す戦争小説!


ペスト収束に奔走する敗戦間近の英国領ビルマ・メダンサ部落。
武装強盗団に上官を誘拐され懊悩する軍曹――
否応なく膨らむ疑心の闇、緊迫する心理戦、知られざる真実。
人間の剥き出しの心に寄り添う戦争小説の白眉。

                   (角川書店HPより)



主人公は軍医の伊与田中尉。
ビルマの一部落のペスト収束にあたる医師。
その医師がある夜、武装強盗団(ダコイ)に拉致され、行方がわからないままとなる。
一緒に連れ去られた衛生兵二名はやがて見つかるのだけど・・・・


語りは、中尉を護衛する立場にあった尾能軍曹。
尾能は中尉を弱弱しい容姿と軍人らしからぬ部落住民と親しげに接する様子から
軽蔑の目で見ていた。
けれど、彼が自分の任務である部落に広がるペスト収束には立派にそれを果たしたと
評価している。
行方不明になってから、そうなるまでの様子を回想して語る。

派手さはないけれど、良い作品でした。
中尉の本当の行方は想像するしかないけれど、たぶん、ビルマ住民の一人として
残ることを選んだんじゃないかな?

婚約者も居たけれど、自分が戻らないことの方が、彼女の今後には良いのでは?と
思う気持ちは切ない。

中尉の優しい人柄ゆえの決意か?
切ない話だな。

映画「ビルマのたて琴」の映像が頭に浮かんで来ました。

著者の古処さんって高齢の方かと勝手に思っていましたが・・・
プロフィールをみたら、自分よりずっと若い!
戦争によって引き起こされるどうしようもない無念さみたいなにが伝わってきました。


                         ★★★★
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