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ee77b2ac.jpeg 発行年月:2010年6月


著者初の自伝的小説
遺品の中から見つかったテープは、文字の書けなかった母から息子への遺言だった…。社会全体が貧しく、家族間の体温が熱かった時代の感触が濃密に甦る。「在日」の運命を生き抜いた親子二代の物語。


                      (集英社HPより)



「悩む力」で有名な、姜尚中さんの自伝的小説。
在日韓国人ということは知っていましたが、自身の生まれる前からの家族の歴史が綴られています。

韓国人の両親が日本に来るのは母が16歳のとき。
既に日本に渡り仕事を見つけていた父・姜大禹(カン・デウ)に見初められ、韓国に留まるより、少しは楽な暮らしが出来るかもと父親と共に日本へ。
そして、それは太平洋戦争が勃発する年の初めだった。

東京で暮らしていた二人だったが、父親の妹夫婦も一緒に尾張一宮(愛知県)へ疎開。
東京大空襲は逃れたが、その間もなく、名古屋大空襲に見舞われることになる。
そして、父の弟・テソン(大学の法学部に通い、憲兵となって熊本に赴任中だった)の元へ。
しかし、熊本でも大空襲に遭うがなんとか生き延びる。
そして終戦。
テソンは軍からの呼び出しを恐れ、祖国に戻る。残されたテソンの妻と娘は、父が面倒を見ると約束。
いつか日本に迎えに来ると約束したが・・・・・。

そして熊本で生活を始める。
空襲から逃れる最中に亡くした長男・ハルオの次に生まれたのが賛中(日本名・正男)。
そして鉄男(尚中)は三男。

貧しい暮らしのなかでも、困った家族が居れば助け共に生きる。
日本人でも敗戦後は食べるのがやっとの時代のなかで、食べて行くのは容易ではなかった様子。
しかし、母親は逞しい。
また日本人からは蔑みの言葉や不当な扱いを受ける。
それについては、日本人として申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
けれど、日本人を恨むようなことばが一切、ここには出て来ません。
そのことがさらに申し訳ない気持ちを強くさせました。


辛く厳しい生活のなかで、それでもへこたれず、前だけを向いて生きる家族たち。
そして、「永野商店」を建てる。
廃品を集めて廻る仕事。
トラックがあれば・・・と思い、懸命に勉強して車の免許を取る父。

商店はやがて兄が引き継ぎ、三男の著者が勉学に励む。
そして大学進学、海外留学・・・・。

両親の頑張りがあってこその今に感謝している気持ちがよく伝わって来た。
素晴らしいご両親だなぁ~。

とても感動しました!!


                                         ★★★★★


 
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