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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2003年4月


 逃げ出した小鳥のピッピ。迷い込んできた九官鳥のQちゃん。
冬じゅう詰め襟の袖口から濃緑色のセーターをのぞかせていた同級生の浦くん……。
記憶の宝石箱からとりだした“わたし”の物語。

                   (河出書房新社HPより)



3つのお話。
<小鳥の時間>
<子どもだっていろいろある>
<子どもは急に止まれない>

主人公は、マボちゃん。
4つ違いの妹リーちゃん

最初の話<小鳥の時間>では、マボちゃん13歳。
リーちゃん9歳。
妹が友だちからインコの雛・ピッピを貰って来て、大事に育てる話。
マボちゃんは学校の美術部に所属。
親友は、エツコとユカリ。3人のうちで一番家のなかが洒落ているユカリの
家で持ち寄ったお菓子を出す場面は、自分も同じような思い出あり懐かしく思う。
ライオネスコーヒーのキャンディ、日清のココナツビスケット

ピッピが逃げて行ってしまったのは残念でした。


<子どもだっていろいろある>は、小学校時代の思い出。
1年間のいろいろな行事を中心にその時々の思い出話。

遠足、運動会、クリスマスのおたのしみ会などなど。
マボちゃんの暮らしているのは、東京だからかな?
作法の時間なんて、ハイカラな行事が小学生であるんだぁ~と驚いたけど
そこで、本当はやったらダメな食べ方だけど、ついやりたくなる食べ方というのには
うんうん、やったなぁ~と懐かしくなった。
ロールケーキをうずまきに沿って食べる、バウムクーヘンが輪っかを外す、
ホワイトロリータやフィンガーチョコは周りのチョコを先に舐める、
不二家のノースキャロライナのうずまきがどう小さくなるか確認しながら舐める、
パイナップル飴は指輪になる・・・ああ、本当に子どもの頃、やったなぁ~^m^


<子どもは急に止まれない>も2つ目の話と同じような子ども時代のことだけど
不思議な転校生・静ちゃんの思い出と共に、高校2年生の時、再会した静ちゃんから
知らされた衝撃の事実は、何となく予測していたことだけど、
マボちゃんにとっては驚いたことでしょう。

小学校からずっと続いていたバン君との交流は微笑ましい(^^)


楽しい物語でした♪


                       ★★★★★
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発行年月:2014年3月


 古い団地に移り住んだ青年がめぐりあう、なつかしくも奇妙な昭和の暮らし。誰もが団地生活にあこがれた“あの頃”が鮮やかによみがえる、著者初の団地小説!

                    (毎日新聞社HPより)




20代後半の安彦くんが1960年~1970年代に集中的に建設された

旧来式の森中団地に引っ越し、そこでの暮らしぶりを描いた物語。
とはいえ、安彦くんの話よりも団地雑学が主なかんじかなぁ~。

安彦くんのお隣の是清昭子さんは80歳。
昭和38年に入居した時には、ご主人と息子さんの3人暮らしだったそう。
是清さんから昭和30年~40年くらいの団地が語られる部分は面白かった。
なるほど・・・そういうかんじだったのかぁ~と団地暮らしの経験のない
わたしには初めて知る事実。

昔は、内職の斡旋などもあったとか。

今は、我が家の近所にある公営の団地も見た感じから寂れている。
だんだんと入居数も減ってきているかんじ。
今の若い夫婦はなかなか住みたがらないかもね~。


安彦くんの話をもっと展開させてくれたら面白かったのになぁ~。
長野さんの作品にしては、ちょっと残念なかんじ。


                             ★★





発行年月:2013年10月


 色とりどりの白昼夢

よく耳にするありきたりなひと言。しかしその言葉の裏にはじつに奇妙な物語が潜んでいるものだ。白昼夢のような短篇25篇が色とりどりにきらめき連なる小説集。

                 (筑摩書房HPより)
               




25編から成る短編集。
よく耳にする言葉がお話の題になっているけれど・・・・
表題作であり、一番最初の話<ささみみささめ>は、奇妙なことば。

<ささみみささめ>
これからナイショ話をするぞ-------それは身内だけで通用する隠語。
その言葉を聞いたら、同じ言葉で返す-------承知した、誰にも言わないと約束をして
話を聞く。
父が祖父から亡くなる寸前に聞いたこと。

ちょっとした謎があって、真相はハッキリしないけれど、なるほどと思えた。


他には・・・
<ああどうしよう><ちからしてるけど><あしたは晴れる><行ってらっしゃい>
<おかけになった番号は><ママにはないしょにしておくね!>
<きみは、もう若くない><あなたにあげる><ウチに来る?><名刺をください>
<一生のお願い><ヒントはもう云ったわ><ありそうで、なさそうな>
<もう、うんざりだ><わたしに触らないで><ウチ、うるさくないですか?>
<ドシラソファミレド><すべって転んで><ここだけの話><スモモモモモ>
<春をいただきます!><最後尾はコチラです!><悪いけど、それやめてくれない?>
<こんどいつ来る?>


サスペンスっぽい話、主人公がお気の毒な話、オチが不気味な話、ちょっと心温まる話
いろいろな要素で楽しかった♪

お気に入りは、表題作。
あとは、似たようなシチュエーションなんだけれど、
<ヒントは云ったわ>
祖母から結婚が決まったら、七色の宝石で飾った冠をつけた天女像をあげると云われていた親戚で唯一の女の子だったエリカ。
5歳年下のボーイフレンドに婚約者のふりをさせて祖母に会いに行き、天女像の
ある場所を聞き出そうとする話。

おばあさんの粋な計らいがいいなぁ~。

<ドシラソファミレド>も良かった。
こちらは施設入所している父と娘の物語。
小さいころの優しかった父親の姿って、いくつになっても思い出として
残っているもので、心通う会話が久しぶりに出来てよかったぁ~(;_;)
ちょっと感動の物語。
「もろびとこぞりて」が「ドシラソファミレド」とは、気づかなかったぁ~。


長野さんファンには嬉しい短編集。
長編とは違う魅力が詰まっていました♪


                          ★★★★

41x0oArIO9L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月
 

ビルから転落し、一時記憶喪失となった経験を持つ男。自らの事故の理由を知るため、その目撃者を捜し出したが……。謎が響きあう九つの物語。日常の風景に潜む不条理を描き、著者の新境地を示すスタイリッシュでミステリアスな最新連作短篇集。


                      (講談社HPより)



とっても不思議なお話ばかりが9つ。
タイトルも変わってました。

「11:55」
約束の時間11:55に店に行くと、中学時代嫌な思いをさせられた川上の姿を見つける。
なんと自分を呼び出したクレハチ(呉服千帆)とその男が会話をしている。

「45゜」
駅前のモスバ-で後ろの席で会話する声が気になり、ついつい聞き耳を立ててしまう。
聞こえすぎる耳を持っているので、内容がよく聞こえる。
振り向いてどんな人物か確認したいが出来ない。
そして、人の気配が消えたのでその席を見ると・・・・

「/Y」 スラッシュワイ
認知症の元鳥類研究者の先生。
話にたびたび出てくる三叉の橋の話。

「・」 クロボシ
電車のなかで小学生の男の子2人が曇ったガラス窓に指で落書きしているのを見ている。
一人の少年のランドセルにある名前「ホシノソラ」。
そして思い出すかつての知り合い「ホシノフルサト(星野降里)」とその姉「ホシノナギサ」のこと。

「十一」 加減
ぼくと日奈田とカコの小学生時代からの話。
日奈田とカコは、はとこ。
ぼくはカコを名乗る日奈田と今、暮らしている。

「W.C.」
トイレを探している夢を、よくみる。
トイレは見つかるが、用を足そうとは思えない変わったトイレばかり。

「2゜」 フォリオ
二軒長屋の半分を店舗として改装し、<2゜>と名づけた。
半分は知人が借りている。
リサも夫・遼一と同じように二世帯住宅を造り、一方は賃貸住宅とする。
そして入居して来たのは谷村六実。
性別不詳。

「×」 閉じる
葬儀社で働いている男。
記憶喪失でフラフラしているところを社長に拾われた。
ある日、会社に訪ねてきた自殺願望のある女性が死後、家財道具の焼却処理をして欲しいと依頼する。
見積もりをして来てと社長に言われ女性の家に行くが・・・

「P.」 ピ-ドット
上下の二世帯住宅の上に住んでいた義兄が行方不明になる。
姉は元のように1階でぼくと父と住む。
義兄の免許証が運河から見つかるが、警察の調べで偽造だとわかる。
二階を人に貸すことにし、入居してきたのは、着ぐるみのウサギ。
人前では決して着ぐるみを脱がない。


どれも変わった設定で変わった話だった。
変で、ちょっと理解に苦しむんだけれど・・・・長野さんの文章のなかに時々、すごく良いことばが
あるので、やっぱり、好きだなぁ~と思ってしまった。

表題作の「45゜」は、最後のオチが好き。
話として面白かったのは「W.C.」尿意を我慢しながらトイレを探すのに、まともなトイレが見つからないという夢を見る女性の話。
現実の話でW.Cからトイレを連想するのは古いんだと知り軽くショック。
最近では、ウォ-クイン・クロ-ゼットの略なんだとか。
へ~知らなかったぁ~。


軽く読めて、なかなか楽しかった♪


                                           ★★★

 
51JfHEo55RL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年8月


昭和のよそゆきのお出かけとは、家族でデパートに行くことでした──。

大食堂でお子様ランチを食べたら、屋上遊園地へ。かつて家族の贅沢な楽しみだったデパートも、時代と共に変わってきました。百貨店の成り立ち、包装紙のオキテ、店員のおじぎの角度や独特の言葉遣い、店内アナウンスや雨が降った時にかかる曲名まで、勤務経験者でないと知り得ないデパートの秘密いっぱいの愉しい読み物。

                                           (新潮社HPより)


著者とは確か同年だったと思う。
なので、昭和の時代の懐かしいデパ-トでの思い出話を語る気楽なエッセイかな~?なんて思っていましたが・・・・結構、深いデパ-トのお話で大変、勉強になりました。
80年代前半ころには、実際にデパ-ト勤務の経験のある著者。
知らなかったぁ~。へ~そうなの?と驚きの裏話も多く楽しかった。

そして、デパ-トの歴史も詳しく解説。
老舗百貨店の前身は呉服店だったんですね~。

昔の呉服屋さんは、商品が並べてなくて、お客さんの求めに応じて品物を出して見せて
値段は、掛け値。正札はなかった。
なるほど、お客とお店の交渉による取引だったんですね。
それを正札をつけ現金取引に限定して、その後は陳列販売を始めたそうで、その形が出来たのは
1900年(明治33年)だとか。
そのとき、女子3名を採用しこれがデパ-トガ-ルと呼ばれる最初だそうです。
1904年に三井呉服店は三越呉服店と名を変え百貨店として開店。
三越が老舗百貨店と言われる所以がよ~くわかりました。

ちょっと堅めの百貨店の歴史のほかに、著者が勤務していた百貨店での決まりごとなどもあれこれ語っていて、どれも興味深かった。
包装紙はゴミ箱に捨てない。
なぜなら会社の大事な顔だから。
包装作業で失敗して破けてしまったりしたものも保管しておき決まったところに集められていたとか。
今はそうではないようで、ちょっと微妙な気持ちになると書いていたのが印象的だった。

また子どもの頃のデパ-トの思い出は、わたし自身も共通の思い出があり、懐かしく自分の子どもの頃が自然と頭に浮かんできた。
そうそう、子どもの頃はデパ-トに行くって、ワクワクしたなぁ~(^^)

今は、地元に百貨店と呼べるお店は1つだけ。
政令指定都市で人口も80万人を超えたのに・・・。
郊外の大型ショッピングセンタ-はどんどん増えるのに・・・・。
しかし、ネットショッピングも出来る時代に変わったのだから仕方ないか?
なんて、自分なりにもあれこれ考えてしまった。


そうそう、この表紙絵もよく見ると実に楽しい。
アドバル-ン、お子様ランチ、店員のおじぎ。
表紙がそのままデパ-トの包装紙みたいなデザインなのも素敵です♪


                                         ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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