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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2018年8月

アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。
肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、
アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、
そのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。
そして、勝敗の行方は?

                     (偕成社HPより)



興味深いテーマ。
日本に対する原爆投下の是非をめぐる公開討論会。


アメリカの高校生8人が4人ずつ、肯定派と否定派に別れて、
それぞれの意見を述べる。

歴史的な事実を写真や、数字で、論理的に意見を述べている。
アメリカ人のなかには、いろいろな人種がいるんだなぁ~
そして先祖の国の歴史的な事もちゃんと勉強して討論している。

ここで読んで初めて知ったこともあった。

中国系アメリカ人の肯定派の女の子は
第二次世界大戦中、日本兵に殺された中国人の数は原爆で亡くなった日本人の
100倍だと言いながら、原爆はそんな日本人への罰だというようなことを
言ったのは、ショックだった。

またユダヤ系の肯定派の子は
ドイツと同盟を結んでいた日本のことを悪だと。


なるほど。確かにそういう事実はあったし、それいついては心が痛む。
日本人として申し訳ない気持ちになる。


この討論会は結局、どちらが勝ちは問題じゃないんだと思う。
最初は自分たちが勝つと意気込んでいた生徒たち自らがそれに
気づいていることが素晴らしい。


世界平和を願う気持ちに人種は関係ないという結論。


多くの人に読まれるべき書だと思う。


                       ★★★★★
 
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発行年月:2018年5月


炎は消えてもその来歴は残る。ひとりの男の人生を根底から動かして、海の向こうへ、燃えさかる炎へと向かわせた、崇高なその行為とは。二人の間を流れた電流とは何だったのだろうか――。戦後の日本とヴェトナムを舞台に人間の尊さと愚かさ、平和と戦争、愛と憎しみを描き出す激しくも美しい物語。心震わせる著者入魂の飛翔作。

                     (新潮社HPより)



実話を元に書かれた物語。
フィクションだけれど、こういうことが実際にもあったんだと思うと凄い。

アメリカに住む平和活動家レナータ・ヴァイスと文通することになった北川。
彼女の求める日本の戦後の様子を知らせながら、彼女の平和に対する
熱い思いを知り、会ったこともない彼女にどんどん惹かれて行く。


そして、突然の彼女の焼身自殺。
アメリカがベトナムを攻撃し続けることに抗議する行動。
ヴァイスの娘だと言う人から届いた手紙には、彼女も北川に惹かれて
いたという。

実際に居た女性活動家・アリス・ハーズ。
そして、彼女と文通をしていた日本人は哲学者であり社会学者でもある芝田進午氏。


物語のなかの北川は、彼女の死後、妻子を残して、ベトナムへ向かう。
彼女が何のために死を選んだのかを知るため。
そして知るベトナムの惨すぎる現状。


北川の最期も哀しい。
でも妻子は、気の毒だな~。

こうして読むと、先進国の身勝手さに怒りが込み上げてくる。
ベトナム戦争の原因ってよくわからないけど、もう少し、ちゃんと調べてみよう。


あとがきを読んで、著者がなぜこの物語を書いたのか知り、
そういうことだったんだぁ~と驚いた。

いやはや凄い物語だった!


                        ★★★★★





発行年月:2017年9月


 日本人であることが、罪になる。
祖母は、母は、そんな時代を生き抜いた――

日本人というルーツに苦しめられた祖母、ルーツを捨てようとした母、そしてそのルーツに惹かれる私。
アメリカ在住日系人家族の三世代を描く百年の物語。

太平洋戦争を挟んでの日本とアメリカの姿とともに、時代に翻弄されながら生きる人々のアイデンティティのありようを描き出し、現在の世界に巻き起こる問題をも浮かび上がらせる骨太な感動作。

-----

1916年、既にアメリカに移住していた大原幹三郎のもとへ「写真花嫁」として嫁ぎ、海を渡った佳乃。
幹三郎と佳乃の末っ子として、戦争間際にオレゴン州で生まれたハンナ。
ハンナの娘である「私」、ジュンコ。
三世代の母と娘たちの関係には、「日本」と「アメリカ」、そして「戦争」が大きな影を落としていた。

                 (ポプラ社HPより)




日本からアメリカに渡った日本人。
そこである程度の成功を掴んだのに、日本が真珠湾攻撃したあたりから
それまでの人種差別が国絡みのものになる。

戦争により日本人というだけで、収容所送り。
不自由な生活を強いられ、17歳以上の男子には、
忠誠の証に命を懸けて戦地に向かうか、否かの二者択一を迫られる。


幹次郎と佳乃の次男・ケンは兵士として戦地で名誉の戦死。
死後、少尉に昇格。

長男のジョーは日本人ということで、暴行を受け大怪我を負う。

そして幹次郎はFBIに連れられ家族とは別の収容所送り。


戦争が終わり、家族は再会出来たけれど、失った物は大きい。

そんな時代と、現代を交互に語る物語。

辛い時代を経て幹次郎と佳乃の子どもたち、孫たちはそれぞれ立派に
成長。


今、アメリカで暮らす日系1世や2世たちは、不自由なく暮らしているんだろうか?
ふと、思った。


やはり戦争は醜いものを沢山、見なければならないもので2度と起きて欲しくない
と思う。

巻末の参考文献の量が凄い!
沢山の資料を基に書かれた物語なんですね。


                       ★★★★



発行年月:2017年7月


 

ユダヤ人への迫害が厳しくなるドイツで、親と離れ、ドイツ人の戦争孤児といつわり、
妹と二人で隠れ家にくらすユダヤ人の少女、ノエミ―。

 空襲が激しくなった東京から、家族と離れ、田舎に疎開している日本人の少年、風太―。
 戦争末期を生きる二人の少女と少年が見たものは?

                     (講談社HPより)


裏表紙は、風太の絵。

戦時下でドイツで辛い体験をしたユダヤ人の少女・ノエミと
日本で同じく辛い体験をした少年。風太。

それぞれの物語を交互に語りながら、戦争で辛い体験をしながらも
うさぎのミミちゃんを心の拠り所にして、なんとか耐えるノエミと風太。


全く別の場所なのに、二人の気持ちがリンクしているように感じる物語で
ちょっと今まで読んだ戦争の物語とは違っていて、新鮮だった。


やはり胸が痛くなる。
でも、こういう時代だからまた、こういう物語を読んで平和な世の中が
続くことを強く願う。


あとがきの文章から著者の思いが一層、伝わった。


                        ★★★




発行年月:2016年9月

「ある事故」で突然障害を負った幼馴染への心の葛藤を描く「小さな木の葉に宿る一本の木」他、「生きづらさ」を抱えた主人公たちの人生が、いつしかある小さな公園で交差する全5篇を収録した胸に迫る連作短篇集。書き下ろし。 

                  (原書房HPより)


本の表紙を開けると裏に書かれていた文

だれかの助けを借りなければいきていけない。
「自分はああならなくてよかった」
そんなふうに世の中から切り離されてきた人たち
---手足が不自由な人、目が見えない人、知的障害を負った人---
の日常に光を当てた、連作短編集。
「普通」とは何か。幸せな人生とは何かを、穏やかに問う。



5つの話、どれも障害のある人が出て来ますが、先天的だったり後天的だったり。

<小さな木の葉に宿る一本の木>
幼いとき自分に優しくしてくれた6歳年上の従兄弟の晴生のことを思う。
晴生は、両親の離婚後、祖父母の家で暮らしていた。
勉強が出来て優しくかったのに高校2年のとき、虐めから怪我をし
一時は意識不明になったが、なんとか意識を戻した。
けれど、言葉をなくし、表情も乏しくなってしまった。

イジメって本当に赦せない! 
最後は綺麗に終わっていたけど、腹が立って仕方なかった。



<たんぽぽと梅の木>
60歳になって亡き母のことを思い出す。
自分が生後5か月のときに父親が交通事故死し、苦労して育ててくれたが
大人になったら、あれこれ厳しく指図され嫌気がさす。
大学進学後は母から離れられてホッとしていたがある日、目が見えなくなると
母から電話。

う~ん。この話もなんだか違和感。
あまりにも冷たい娘じゃないか?


<恐竜と銀杏>
25歳の時、婚約者だった同級生の龍彦の車に乗って居て事故にあい足が不自由になり
車イスの生活に。
それでも結婚しようという龍彦と別れた。
その後、龍彦とも同級生のケンと交際し幸せな日々。
龍彦にちゃんと会って別れを言うため会いにいく。

龍彦にも幸せになって欲しい。


<神樹のゆりかご>
夫が海外に単身赴任中、4歳の息子と二人暮らし。
子どものために一番いいことをと育児書を参考に何事も完璧を目指すが
息子がある日、ストレスの反動で異常行動を起こす。

ああ、この話は嫌な話。
この母親の行動は異常だけれど、それに気づくほかの母親たちには
どうしようも出来ないことだから、可哀想な子供は耐えるしかない状況。
このあと、どうなるんだろ???恐ろしい話。


<木を抱きしめて生きる>
左手がマヒしている高校生。
いつも学校を抜け出し公園のベンチに座って昼食を一人食べる。
そこで知り合った老人と心を通わせる。

この話が良かった。
老人との会話が心地いい。
朗読してほしいと差し出した本の詩もよかった。


最後の話だけが心が温かくなった。
他の話は、なんだか胸が痛くなったけど。。。。



                        ★★★
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