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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2024年1月


問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度――補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!

                   (中央公論新社HPより)



今までは、ちょっと重たい事件などを扱うものを読んで来たので
ちょっと、違う作家さんみたいだと思った。
でも惹き込まれる文章は流石です。

岩手県盛岡市で南部鉄器工房を営む小原孝雄(72歳)が16歳の庄司春斗の
補導委託を受け入れる。
息子の悟は最初、納得できず、出来るだけ少年に関わらないでいようとする。
工房の職人・林健司(60歳)は、最初から春斗に積極的に関わる姿勢。
短期で時々、働く八重樫(20代?)も春斗に気楽に話しかける。


春斗の抱えるものが徐々にわかってくる。
父親は弁護士で経済的には恵まれた環境だけど、両親の期待に応える
ことが辛くなっていたみたい。


結果的には、弁護士の父親も子どもの頃は貧乏であったため息子には
苦労してほしくないという思いから春斗に厳しく要求していたのだと
わかって、この親子の関係は良い方向に向かいそうでよかった。

そして父親のことを何も理解していなかったとわかった悟も
父親へ対する気持ちが大きく変わっていく。


ハッピーエンドの最後は、よかった。


でも、実際、補導委託を受け入れるって、凄く大変なんだろうな。
引き受けている人たちは、凄いと思う。




                     ★★★★
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発行年月:2024年9月


温かな手により紡ぎ出される「喪失と再生」の物語。
ほのかな寂しさと静かな優しさが織りなす、
服飾にまつわるオムニバス短篇集。


                (河出書房新社HPより)

・光枝さんの指と口笛
・率子さんの風の家
・メルさんの羽根
・チタン先生の蜘蛛の巣
・マルちゃんのリボン
・ココさんの心臓
・ストライプさんのストライプ
・ミルミルさんの安眠枕
・シェリーさんのコスチューム
・イルさんのたんぽぽ畑
・サラ&アンのランジェリー
・鉄人さんのプリーツ
・シーさんのハートスカーフ
・カト姉ちゃんの「このこ」たち
・ヤンさんの白いハンカチ
・雲さんのもくもくちゃん
・スナノリさんのマントブリーチ
・ライムさんの帽子





18の短編集。

刺繍、編み物、人形づくり、安眠枕、衣装づくり、オーダーメイドの下着
ブローチづくりなどなど。。。。


それらを作っている人、それらを愛用する人たち、
丁寧に人の手で作られたものたちは、やはり特別。
よく知っている人から作って贈られたのなら、ずっと大切にしたいもの。


ひとつひとつのお話がとても、温かく素敵だった。

装画の牧野千穂さんの画もすき。
牧野さんの画の本を今度は探して読んでみよう。



                      ★★★★★



発行年月:2023年5月


読めば心が躍り出す。
ほっこり&胸キュン全十篇の物語!
 
SNSの猫
SNSで目にした保護猫に心を鷲づかみにされた主人公。ある日、事件が起きて……。
レンゲ赤いか黄色いか、丸は誰ぞや
祖母を亡くした妻、父を亡くした旦那。二人の会話から見えてきたのは……?
胡瓜と白菜、柚子を一添え
静岡生まれの旦那の実家にて、高知生まれの妻は何を思う?
我らを救い給いしもの
中学の社会の時間にクラスメイトが発したある意見に、主人公は痺れた。
ぷっくりおてて
小学生の夏休みに祖父の家に預けられた主人公の、ほのぼのハッピーな成長譚。
Mr.ブルー
ある家電メーカーで出世街道驀進中の研究所長には、意外な秘密があった。
百万本の赤い薔薇
ある夫婦の、40年にわたる結婚記念日の物語。
清く正しく美しく
エステサロンに勤める主人公。強欲な店長の元で働くことに悩んでいて……。
ゴールデンパイナップル 
祇園祭によさこい祭。祭の復活は、やっぱり嬉しいもので。
恥ずかしくて見れない
ある家電メーカーで働く主人公は、3歳年上の先輩のことが気になっていた。


                     (幻冬舎HPより)




読者から集めた物語の種を小説に・・・・なかなか面白い。

有川さん、宝塚ファンなんだっけ?
そんな話が多かったけれど、特に思い入れがないので、よくわからず
他の話の方が楽しめた(^^ゞ

好きなのは
<レンゲ赤いか黄色いか丸はなんぞや>
99歳の祖母が亡くなり、遺影になる写真を探す。
レンゲ畑のなかの祖母の写真を見つけ、会話が弾み・・・
結局、父も一緒に撮った旅行先での写真に。
そして父も亡くなり、同じ写真の父を遺影に

家族の会話がいい。
亡くなっても、思い出話をこうやって明るい会話をしているのがいいな。

自分の遺影・・・・考えておかないと^m^



<百万本の赤い薔薇>
これは夫婦の話。
結婚記念日1年目の日は、会社の泊りの出張。
主張先で妻へのお土産を選ぶ。
選んだのは、椿の絵の文箱。
薔薇の花と勘違いしていたのだけど・・・・
結婚1年目は紙婚式だから文箱はぴったりと妻は喜んでくれる。

その後も夫婦は結婚記念日に贈りものを考えてプレゼントし合う。
やがて、子どもも2人生まれ成長して結婚40年。
ルビー婚式だけど、ルビーの代わりに薔薇の花束を渡す。


理想的な夫婦!
物語の種として、送った男性の40本のバラの写真も綺麗!


<我らを救い給えしもの>
これも面白かった。
読者の送った<種>がよかったから、こんな物語が生まれたんでしょう。



こういう企画、またやってほしいな。
出来れば宝塚ネタは少な目で・・・(^^ゞ



                      ★★★



発行年月:2008年4月

誰もがかつて手にしたことのある、国語教科書。
その中から珠玉の名作を、佐藤雅彦が選んでいます。
読書の時間におすすめです。

               (ポプラ社HPより)


とんかつ・・・三浦哲郎
出口入口・・・永井龍男
絵本・・・松下竜一
ある夜・・・広津和郎
少年の夏・・・吉村昭
形・・・菊池寛
良識派・・・阿部公房
父の列車・・・吉村康
竹生島の老僧、水錬のこと・・・古今和歌集
蠅・・・横光利一
ベンチ・・・リヒター 
雛・・・芥川龍之介





短いお話だけれど、どれもよかった。
特に印象的だったのは<絵本>。
著者の名前も知らなかったけれど、感動した。

内容は、病気で余命短いと悟ったFは、自分の親友が結婚し、子どもが
産まれて3歳くらいになったら読める絵本を贈ることを思いつき
父親に何か買って来てと頼み「ももたろう」を父親が買ってくる。
そして、自分の死後、友人に子どもが生まれその子が3歳になったころに
贈ってほしいと頼んで亡くなる。

それを受け取った私。
Fが亡くなって12年。


亡くなった友人・Fの優しさが沁みる。
そして、その父親も亡くなる前に誰かにFとの約束を言い継いでいたんだろうと
思うと、本当に胸が熱くなる。良い話。

著者の松下竜一・・・知らなかった作家さんだけど、他の作品も
是非、読んでみたいと思った。



戦時中のなんとも切ない場面が描かれた
<父の列車>も印象的。
出征している父が輸送列車で近くの駅を通過するという情報を得た母とともに
10歳の僕は1歳の妹をおんぶして母は生後2か月の弟を背中に4歳の妹の
手を繋ぎ、6歳との妹と家族6人で懐中電灯を手に夜の道を急ぐ。
偶然、父の姿を見られ、父もこちらに向かって手紙を投げてよこす。


この先、この父親はたぶん、戦死したんだろうけど、家族皆で
会えた夜のことはずっと心に残るだろう。



<ベンチ>は、ユダヤ人の僕とそのガールフレンド・ヘルガのやり取り。
ユダヤ人は迫害されていた時代。
黄色いベンチ以外に座れない。
ヘルガは緑色のベンチに一緒に座ろうというけれど僕は座れない。
次に黄色いベンチ(ユダヤ人専用と書かれている)のところで
「ここのほうが落ち着いてかけていらっしゃれるの?」と。
ヘルガは次の日曜も一緒にどこかへいこうと言うけれど・・・


ああ、哀しすぎる。



巻末に、どの教科書に載ったのかその年月も記されている。
平成時代の教科書に載ったものが殆どだった。

こういう作品集は他にもあるのかな?と調べたら結構、あるみたい。
また探して読んでみたい。




                    ★★★★★



発行年月:2024年10月


部屋を満たすようにして流している音楽は「まだ完全な恋ではない、でも絶対に、淡いあこがれとか、片思いとかじゃない、なんて言えばいいのだろう、色濃く漂ってくる恋の気配みたいなものを感じさせる主旋律。そのあとに続くのは、春の嵐だ。(本文より)
春の嵐のように自信満々な初恋、友達以上恋人未満の遠距離初恋、球根のように地中深くうめておきたい秘密の初恋、運命の初恋、ひそやかにふくらむ初恋。五粒のチョコレートボックスのような10代の恋のせつなさがつまった五つの物語。
第一話 春の嵐と夏の約束
第二話 秋の竜巻と冬の薔薇
第三話 猫の天気予報
第四話 七つの「好き」の物語
第五話 晴れ、ときどき雪
エピローグーーあとがき、ときどきエッセイ


                    (講談社HPより)




これは、ヤング向けかな?
高校生たちの初々しい恋バナというかんじだったけれど
意外と楽しかった。

<第一話 春の嵐と夏の約束>
ピアニストになりたい高2の江森愛理と同級生で小説家になりたい岩本雄大は
お互いが好意を持っている。
二人は小学校時代からの友人。


<第二話 秋の竜巻と冬の薔薇>
第一話の愛理と雄大の小学校時代からの友人・竹之内春樹と伊藤みなみ。
この二人もお互いが好き。


<第三話 猫の天気予報>
高校2年生の世緒莉は、親友の菜々花がすき。
友達としてではなくそれ以上の感情を持っている。
菜々花はバイト先の男子大学生に恋をしているのを知っている。
それでもそばにいようと思っている。


<第四話 七つの「好き」>
小学生のとき偶然、宝石と鉱物の博物館で知り合い、意気投合して仲良くなった
ジェイク(母親が日本人)と手紙で交流し、お互いの家族も仲良しになっている
愛美。翻訳家になるのが夢で高校の夏休み、アメリカへ語学留学する。
ジェイクの家にホームステイ。



<第五話 晴れ、ときどき雪>
定時制の高校2年生のまりな。
昼間はベイカリーカフェでバイトをしている。
店主の「雪」に憧れているけれど、婚約者のソフィアが店に来る。
ソフィアは素敵な人。
まりなの初恋は失恋に。



うまくいく恋、実らない恋、色々あるけれど、まだ高校生だもんね~。

最後に著者がこの物語を書こうと思った情景が、なんとなく頭にうかぶ。

ササ~ッと読めて、読後感もよく、よかった。




                      ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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