忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8]  [9]  [10]  [11]  [12



発行年月:2022年5月


美人画は「色気がない」、役者絵は「似ていない」と酷評されてばかりの歌川広重。鳴かず飛ばずの貧乏暮らしのなか、舶来の高価な顔料「ベロ藍」の、深く澄み切った色味を目にした広重は、この青でしか描けない画があると一念発起する。葛飾北斎、歌川国貞が人気を博した時代に、日本の美を発見した名所絵で一世を風靡し、遠くゴッホをも魅了した絵師の、比類なき半生を描く傑作長編。
受賞
第42回 新田次郎文学賞
テレビ化
特集ドラマ「広重ぶるう」(2024年3月放映)


                   (新潮社HPより)



先に「ふたりの歌川」を読んで、広重のことを更に読みたくなり、こちらを
手に取った。

絵師として少し仕事を始めた頃。
師匠の豊広は一昨年に亡くなったところ。


絵だけではまだ食べて行けず、定火消同心としても働く身。

同い年の国芳は自分を弟子にしなかった豊国の元で既に世に名を知られる
絵師になっているし、70歳の北斎もまだまだ新しい作品を出し人気は
衰え知らず。
それに比べて、自分は・・・・と鬱々とする気持ちもありの広重。

それでも広重の絵を評価してくれる者も出て来て弟子にしてほしいと次々に
若者が来る。

が、そんなとき、どんな時も笑顔で寄り添ってくれていた妻が亡くなり
気落ちする広重のもとに師匠・豊広と親しかった喜三郎が弔問にきて
師匠の話、妻・加代の話を聞き、自分は色々な人に見守られていたのだなと
つくづく感じ、師匠に対しての感謝の気持ちを強く抱く。


祖父の後妻が生んだ仲次郎が30歳を超えたあたりで急死。
遺された嫡男はまだ幼い。

妹のさだが赤子・辰を産むが、辰が6歳の頃、夫の了信(僧侶)と別れ再婚したいが
嫁ぎ先には4人の子があり、辰を預かってほしいと言われる。
そして辰を預かったあと、了信には50両の借金があり、借金取りが・・・


波乱万丈な広重。
借金を返すために嫌々、描くことになった枕絵。
元々、女性を描くのは苦手な広重が豊国に指南して貰って、なんとか
描いて借金を返済。

絵師にも得意分野があるんだな・・・^m^


加代がなくなり家の細々したことをしてくれる女性・お安が来て加代とは
性格は真逆ながら、こちらもしっかり広重を支えていて
結構、人間関係には恵まれていたんだなと感じた。


絵師として成功するには、良い版元、彫師、摺師に巡り会うことも必要だった
んだと思う。

先に読んだ「ふたりの歌川」同様、楽しかった。


「広重ぶるう」が以前、NHKでドラマ化されていたと知り、見逃したと
がっかりしていたら、明日BSで再放送の情報を得て、うれしい!!
なんともラッキー!


梶よう子さんの作品、今まで読んでなかったけれど、これから
読んでいこうかな?



                     ★★★★★
PR



発行年月:2025年8月


「東海道五拾三次」など当時の日本の情景を描いた武家出身の歌川広重、
常識破りの奇想絵で人気を博す歌川国芳─
切磋琢磨しあう好敵手でもある二人の天才に、
葛飾北斎の娘・お栄も絡んで描かれる秀逸な青春物語にして
絶品の成長小説でもあり、究極の芸道小説。


                  (朝日新聞出版HPより)



初めて読む作家さんだったけれど、とても読みやすかった。

歌川広重と歌川国芳って同年だったのか~。
子どもの頃から知り合いで、そこに葛飾北斎の娘・お栄も加わって
三人集まって絵を描いていたなんて、想像するだけで微笑ましい。


そんな3人がバラバラになって、それぞれの絵師としての道に進む様子が
描かれる。

先に世に名前が知られたのは国芳で、そんな様子を見ながら焦る広重。

広重は幼い時から自分に好意を寄せてくれていた、ゆうを妻にする。
祖父の代か定火消しとして働き、家督を譲られた広重は定火消同心として
働きながら絵描きをする生活。
祖父が若い嫁を貰い、そこに息子が誕生してよかった!
絵描きの仕事に没頭できるようになって旅をしながら東海道五十三次を描いた。
旅に必要なお金は、ゆうが工面して出してくれて、いい女房だったんだな・・・

国芳より、師匠や人間関係には恵まれていたかんじがする。
だからなのか、国芳の絵より、優しい穏やかな印象。

わたしは広重の絵の方が断然、好きなので、この物語を読んで、なるほど・・・と
納得する部分があった。



表紙の絵も、二人の絵でいい。

この作家の作品、他にも読んでみたくなった。




                      ★★★★★



発行年月:2025年7月


「雨は、なぜ降るのだろう」。少女時代に雨の原理に素朴な疑問を抱いて、戦前、女性が理系の教育を受ける機会に恵まれない時代から、科学の道を志した猿橋勝子。戦後、アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」による放射能汚染の測定にたずさわり、後年、核実験の抑止に影響を与える研究成果をあげた。その生涯にわたる科学への情熱をよみがえらせる長篇小説。


                   (新潮社HPより)



猿橋勝子さん、名前を初めて知った。
これを読んで、こんなすごいことやった女性がいたんだと驚き感動した。


大正9年(1920年)生まれで2007年9月に87歳で亡くなっている。
生涯、独身で、研究することが大好きで、結婚することで発生する
いろいろなことに時間を取られるのが惜しいと感じて
一時、いいなと思った人はいたみたいだけど、その人との時間にも距離を
置いて、科学の道に全力を注ぐ。


最初は、医者になることを目指し勉強し憧れた吉岡彌生を
目指し、東京女子医学専門学校入学を希望したけれど、面接で実際に
吉岡彌生に会い、「どうしてこの学校を受験したのか?」の質問に
「先生のような女医になりたい」と答えたら
「なりたいと言って
、そうたやすくなれるものではありませんよ」と冷たく返され失望し
医者の道を諦めたとか。


でも、そこで4月開校の帝国女子理学専門学校に入学したことで
偉業を成し遂げることになったとは。
この人なら、女医になったとしても立派に活躍したと思うけれど・・・。


戦後のアメリカが行った水爆実験を危険だと訴え、禁止させることの方が
やはり凄いことだと思う。

最後、女性ひとりでアメリカに行き、アメリカの科学者と
対峙して汚染水の分析を数値化してみせた場面は、圧巻だった。


アメリカの水爆実験により日本のマグロ漁船の乗組員が被災したビキニ環礁での
ことは知っていたけれど、その後、その海水調査もやって
その結果から核実験を食い止めなければ大変なことになると結論が出てのこと。

アメリカ側からしたら煙たい存在だっただろうが、最後はアメリカの科学者にも
認められてた。
そうじゃなかったら、今頃、世界中の海はどうなってしまったんだと
考えると恐ろし過ぎる。


著者は理学部卒の人。
内容には専門的なことも書かれていたけれど、素人でも飽きずに読めた。


表題も表紙の絵も素敵。



                    ★★★★★



発行年月:2021年4月


老舗・桜山ホテルで、憧れのアフタヌーンティーチームへ異動した涼音。
でも初めて提出した企画書は、シェフ・パティシエの達也に却下される。
悩む涼音は、お客様、先輩、そして達也の隠れた努力を垣間見ることで、
自分なりの「最高のアフタヌーンティー」企画を練り直し……。

    
                 (中央公論新社HPより)


連作方式で話が進む。
老舗ホテルのアフタヌーンティーかぁ~。
素敵だろうなぁ~。
もう甘いものとかそんなに食べられないけれど・・・。



遠山鈴音・・・就職して7年。今まではホテル棟ではなくバンケット棟の
宴会接客係として働き、今年、ついに念願のアフタヌーンティーチームへ
異動。
張り切って企画書を提出したもののスイーツ担当のチーフ・飛鳥井達也に
冷たく却下されてしまう。
嫌な奴!と思ったけれど、鈴音はその後、達也が識字障害ではないかと気づく。

二人の関係が少しずつ変わっていく様子も楽しかった。


他のスタッフたちとのこと、常連客の二人。
それぞれ一人で来て楽しんで帰るのだけど、それもいい。


最後は、スタッフの関係者たちを招待してのアフタヌーンティー。


続編では飛鳥井達也と遠山鈴音の新たな生き方が読めそうだな。




                       ★★★★



発行年月:2025年6月


 伊坂幸太郎デビュー25周年に贈る、「幸せ」な短編集!
 【パズル】悩みを抱えた「僕」は、マッチングアプリでしか出会えない「名探偵」に依頼する。
 【竹やぶバーニング】出荷した竹にかぐや姫が混入!?  仙台七夕まつりで大捜索が始まった!
 【透明ポーラーベア】動物園で会ったのはシロクマ好きで行方不明になってしまった姉の、元恋人だった。
 【イヌゲンソーゴ】花咲か爺さん、ブレーメンの音楽隊……俺たちの記憶を刺激するあの男は誰だ?
  【Weather】友人・清水の結婚式に参加した大友は新婦からある相談を持ち掛けられていて――。


                 (PHP研究所HPより)



どの話もよかった。
一番、楽しかったのは<イヌゲンソーゴ>かな?
犬たちが、共通して恨みを抱く男性をいざ、退治!と向かうまでの話。
犬たちの会話が可笑しい。
こんなふうに会話しているのを想像するだけで楽しい。

会話をしていくと最後は、皆が知っている昔話のオチ。


どうしてこんな話を思いつくんだろ?と思っていたら・・・最後に
それぞれの短編を書くことになった経緯があって、<イヌゲンソーゴ>は
「犬についてのアンソロジー」の企画で書いたものだとか。
著者名が犬に変えられる作家を集めて
大崎梢は犬埼梢、木下半太は木下半犬、横関大は横関犬
一番笑えるのは貫井徳郎は・・・貫井ドック郎って・・・・
犬に変えられないからって・・・('◇')


5つ目の話<weather>はふつうに感動する話だった。

表紙も5つの話が表されていてたのしい。


次は長編を読みたいな。




                       ★★★


カレンダー
10 2025/11 12
S M T W T F S
1
2 3 7
11 13 14
18 21 22
23 29
30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]