忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8]  [9]  [10



発行年月:2023年11月


大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中に話しかけてきた女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗は――「違う羽の鳥」
調理師の職を失った恭一は、家に籠もりがち。ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣に住む老人からもらったという。翌 日、恭一は得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れると――「特別縁故者」
渦中の人間の有様を描き取った、心震える全6話。


                    (光文社HPより)




直木賞受賞作というので、期待大で読み過ぎたか・・・・。

6つの短編の前半3つの話が、ゾゾッとするもので苦手だったなぁ~
物語としては面白いのかもしれないけれど・・・

後半も同じような感じだったら嫌だな・・と恐る恐る読んだけど
後半は、最初、不穏だったりするが次第に良い方向に向かうものだったので
ホッとした。



<違う羽の鳥>
居酒屋の客引きのバイトをしている優斗(20歳)に声を掛けてきた女性は
中学時代の同級生だった。
が・・・彼女(井上なぎさ)は線路に飛び込んで死んだはず。

なぎさ真偽がよくわからない。
自殺したのは、自分の名前を語って死んでくれた別の子だという。
自分は親の元から逃げ出し自由になりたかった。
こういう虐待もあるのか・・・それは辛かっただろうな。



<ロマンス☆>
デリバリーしているイケメンの男の子に惹かれ、夫と子ども(4歳の女の子)に
内緒で注文し続ける。
けれどなかなか目当ての子が担当にならず・・・
幼稚園が感染で休園になり昼食を注文できない。娘に告げ口されるのは困る。
小児用の睡眠導入剤を娘に飲ませ、眠っている間に注文。

ラストに「え?」。
配達によく来る男の子に気があると勘違いされた挙句、部屋のなかに強引に
入られ抵抗しているうちに殺害しちゃうって・・・恐ろしい。



<憐光>
15年前の豪雨災害の日に、亡くなった唯。
自分の親友と担任教師が一緒にいる場に。
自分が白骨化された姿で見つかったらしい。
そして思い出す、15年前、自分が亡くなった経緯を。

二人によって殺害されたってこと?
憐れ過ぎる・・・(/_;)



後半3編は、まあまあだったかな?
<特別縁故者>
コロナ禍で職を失った恭一(元調理人)。
小学1年の息子が知り合ったおじいさんの家にあがることになり
肩もみをしてあげたらお礼にと1万円を貰ったと。
それは聖徳太子の1万円で息子は「閻魔様の顔が書いてある紙」という認識。
自分もその人に取り入ることを考え、魔法瓶にすまし汁を持っていく。

よこしまな考えから近づいたけれど、結果オーライになってよかった。



<祝福の歌>
達郎の17歳の娘が妊娠した。
相手は同じ高校の同級生で18歳になったら結婚したいと。

マンションで一人暮らしの母親の元へ。
隣室に越して来た夫婦が挨拶にきたとき、もうすぐ赤ちゃんが増えるといっていた
けれど、その後、赤ちゃんが生まれた様子はなく、その奥さんの様子がなんだか
変なのが気になるという。


代理母がウクライナ人・・・凄い話だな。
そして達郎の本当の母親は別にいるという事実にもビックリ。
でも、50過ぎて知る事実なら受け入れるしかないもんな~。
本当のことが知れてよかったんだと思う。



<さざなみドライブ>
ツイッターの「パンデミックに人生を壊された人」として一緒に死ぬ仲間を
募集しているのを見て集まった5人。
それぞれのことを話し、さて今から・・・・と思ったとき、
1台の車のなかで自殺しているのでは?という2人の姿を見つけてしまう。

なんやかんやで、皆がもう少し生きようと思ってよかった。
一人は、それを阻止するために活動していた人だったけれど、一人は
自分は死ぬつもりはなく、そんな最期をみることを目的としている人だった。




パンデミックな世界で色々な罪が描かれた短編集。

でも正直、直木賞に選ばれたことが、不思議。
面白くなくはないけれど・・・・



                     ★★★





PR



発行年月:2023年12月


第60回谷崎潤一郎賞受賞
第74回芸術選奨文部科学大臣賞受賞
あれから何年経っただろう。あれからって、いつから? どのできごとから?
日本を襲った二つの大震災。未知の病原体の出現。誰にも同じように流れたはずの、あの月日──。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、叙事的長編小説。


                   (集英社HPより)


2020年3月~2022年2月までを男女三人の日常を追いながら綴っていく。

石原優子・・・東京の大学で別の学部(工学部)だった直也と知り合い結婚。
       東京で働いていたが直也が地元(滋賀県)に就職していたので
       結婚を機に 滋賀県で暮らす。7歳と3歳の子あり。
       パートで働いている。


小坂圭太郎・・・働いていた居酒屋の客としてきていた貴美子と付き合い
 (33歳)       貴美子の妊娠を機に結婚。
        貴美子は中古マンションのリノベーションを手掛ける会社に勤務。
        こどもは4歳になり保育園に通園中。


柳本れい・・・・小1のとき、両親が離婚。父親の兄が傷害罪で逮捕され父も
 (46歳)       警察に呼ばれた。

        写真の専門学校に進み、知り合いの写真館で撮影したり、雑誌の
        取材時の写真を撮ったり。



阪神淡路大震災を思い出したり東日本の震災を考えたり、コロナ禍のあれこれを思ったり
三人三様の日常を描きながら、自分のそのときも振り返る。
淡々としている日常のなかにも、いろいろな複雑な思いが描かれていて
心に残る本だった。


バラバラの3人に少し接点が見えるラストもよかった。

ポーランドの詩人、ヴィスワヴァ・シンボウルスカの詩がいくつかあって
どれも印象的。
表題になっている「始まりと終わり」もそのうちの1つの詩(p153)。

夢が狂っているわけではない
狂っているのは現実のほうだ
たとえそれが、物事の流れについていこうとする
頑固さのせいだとしても

夢のなかではまだ
最近死んだ人が生きている
それどころか、若さをとりもどし
健康であったりもする
現実はわたしたちの目の前に
死んだ人の死んでいる体を置く
現実は一歩も後に引こうとはしない


詩集も読んでみたいと思う。





                       ★★★★★



発行年月:2006年10月

30の掌篇小説

いしいしんじ・・・ミケーネ
石田衣良・・・・・おねがい
伊集院静・・・・・仔犬のお礼
歌野晶午・・・・・永遠の契り
大岡玲・・・・・・ピクニック
大崎善生・・・・・神様探索隊
片岡義男・・・・・目覚まし時計の電池
勝目梓・・・・・・夜尿
玄侑宗久・・・・・猫雨
小池昌代・・・・・名前漏らし
佐伯一麦・・・・・焼き鳥とクラリネット
佐野洋・・・・・・あり得ること
重松清・・・・・・それでいい
高橋克彦・・・・・たすけて
高橋源一郎・・・・凍てつく
高橋三千綱・・・・パリの君へ
嶽本野ばら・・・・pearl   parable
筒井康隆・・・・・出世の首
西村賢太・・・・・悪夢___或いは「閉鎖されたレストランの話」
橋本治・・・・・・関寺小町
蜂飼耳・・・・・・繭の遊戯
平野啓一郎・・・・義足
古川日出男・・・・あたしたち、いちばん偉い幽霊捕るわよ
星野智幸・・・・・雛
堀江敏幸・・・・・樫の木の向う側
又吉栄喜・・・・・コイン
三田誠広・・・・・彼女の重み
矢作俊彦・・・・・globefish
吉田篤弘・・・・・曇ったレンズの磨き方


                    (発行/角川書店)



知っている作家さん、知らない作家さん。
どれもインパクト大で、癒されるものより、驚くものや切なくなったり
謎過ぎると思うものだったり・・・・


蜂飼耳の「繭の遊戯」が今年の大学入試共通テストに出題されていて
全部読んでみたいと思ってこちらを借りた次第。

親戚中から厄介者扱いされているおじさん(30歳くらい?)のことを
5~6歳のわたしが語っているはなし。
おじさんは、わたしにとっては遊んでくれるし、いつも熱心に何かを創作していて
なかなか興味深い大人。
でも、おじさんの行動はやや不可解。
突然、いなくなってしまったのは、哀しかったな。


最初の3篇までは、動物が出てきたり、心温まるような、おはなしで
こういう作品集?と思っていたら・・・・歌野さんからやはりホラー色が出て来て
うわ~っ!とビビリながら読んだ。
高橋三千綱さんの話は、やや切ないな・・・。去ってしまった恋人へ向けての言葉。
嶽本さんの話はグロイ・・・似たような話、何処かで読んだような・・・?

ま、色々な感情が沸き起こる短編集でした。


たまには、いいかも。




                   ★★★★



発行年月:


2021年、2022年本屋大賞2位受賞作家・青山美智子さんが贈る『木曜日にはココアを』に繋がる温かな物語。累計26万部を突破した『木曜日にはココアを』。その12編の物語に登場したワタル、朝美、えな、泰子、理沙、美佐子、優、ラルフ、シンディ、アツコ、メアリー、そしてマコ。これは彼、彼女たちがあの日に出会う前の物語。そんな前日譚を田中達也さんが作ったミニチュアとともに読む、絵本のような小説です。カップにココアが注がれるその瞬間を味わってください。


                       (宝島社HPより)



「木曜日にはココアを」に引き続き、読んだので、その後日談や前日談が読めて
よかった。
登場人物たちは、みんなそれぞれ幸せそうで、こちらまで嬉しくなる。


本の表紙には、NHKの朝の連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバックになった
田中さんの可愛いミニュチュア人形たちが・・・。
それぞれの登場人物たちのイメージもし易かった(^^)

関連本、まだあるようなので、そちらも読んでみよう



                      ★★★★



発行年月:2017年9月


川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店
「マーブル・カフェ」。
そのカフェで出された一杯のココアから
始まり、東京とシドニーをつないでいく
12色のストーリー。
卵焼き作る、ココアを頼む、
ネイルを落とし忘れる……。
小さな出来事がつながって、
最後はひとりの命を救う――。
あなたの心も救われるやさしい物語。
 
                  (宝島社HPより)


12の短編が順番にリンクしていく。
最初の<木曜日にはココアを>では、マーブル・カフェの雇われ店長になった
ワタルの話。
いつも木曜日の大抵決まった午後の時間に、決まった席で海外の誰かに
手紙を書いている女性に惹かれる。
名前がわからないので密かに「ココアさん」と呼ぶことに・・・

その女性が最後の方で登場して、彼女・マコも実はワタルに好意を抱いていて
意を決して、ラブレターを書いて渡そうとしている。

あ~この後は・・・・。


各おはなしに出て来る人が、次の話の主人公になっていく楽しい連作でした。


関連本も手元に借りてあるので、続けて読むのが楽しみ♪



                      ★★★★
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
2 4 5
6 8 9 11 12
13 14 15 17 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]