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読んだ本の感想あれこれ。
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ba208d8d.jpg発行年月:2012年1月


彼は世界に愛された、だが――。

突然この世を去ったスーパースターが残した愛娘をめぐり、大人たちの欲望と思惑が交錯する。最愛の人を失い傷ついた少女の悲しみと回復、そして再生を丹念な筆致で描き出す。

この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕まえることができないままだった。娘の名前は、傷痕。多くの人が彼について語り、その真相に迫ろうとする。偉大すぎるスターの真の姿とは? そして彼が世界に遺したものとは?


                                 (講談社HPより)


世界的なス-パ-スタ-の死。
そこから、始まる物語。

舞台は日本だけど、ニュ-スなどで見たり聞いたりしたマイケルジャクソン関連のことが出てくる。
赤坂プリンスホテルの最上階を貸切、住まいとしていたが、やがて廃校になった小学校を買い取り、観覧車や動物園を設置し「楽園」という名の住まいを作り、そこに子どもたちを招待して寝泊りさせたりしていた。

表題の「傷痕」は、遺されたス-パ-スタ-の娘の名前。
外に出るときには、仮面をつけるように言われていて、世間の人たちには、その素顔は知られていない。

娘である「傷痕」が父親を語ったり、ジャナ-リストの男、かつて楽園に招待されたことのある「復習」、ス-パ-スタ-と良きライバルだった「孔雀」、
ほかにも楽園で働いていた者や孔雀の女性運転手などが、代わる代わるに亡きス-パ-スタ-との思い出を語る。

世間では、歌は評価されたが、奇行も目立ったス-パ-スタ-のことをいろいろに言っていたけれど、近くで彼を見ていた者たちは、それとはまた別の面を見ている。

追悼式で話す傷痕の挨拶は、テレビで見たマイケルの娘の挨拶の場面を思い出してしまった。

傷痕の将来が明るいものであることを願います。
実際のマイケルの子どもさんたちは、今、どうしているんだろう。

マイケルの特別なファンでは、ないので物語として淡々と楽しめました。
ファンだったら、もっと違う何かを感じるでしょうか?

しかし、こんな発想で物語を書ける桜庭さんって面白いな。
きっとマイケルのファンなんでしょうね~。


★★★

 
 
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51b8IHcFRxL__SS400_.jpg発行年月:2011年11月


母を持つすべての大人たちへ。自伝的長編
38歳で離婚歴のある女流作家・夏帆。自由奔放に暮らす一方で、実は長年抱えこんできた秘密があって…。今だから見えてきた、母娘の愛憎と家族の歴史。共感と感動をよぶ、衝撃の自伝的長編小説。



                        (集英社HPより)



強烈な個性のある母親だな。
でも、自分の母親にもあてはまるような部分もある。

夏帆にとって、幼いときの母親というのは、抵抗できないくらいに怖い存在だった様子で、結構、従順にしている。
もう少し、反発して、納得できないことには反論すればよかったのに・・・・と思うけれど、そうすることが無意味な相手と割り切っているから仕方ない。
実際、こんな母親を持ったことがない人には、母親が忌み嫌っていることを選んでしていりような夏帆の行動には、嫌悪感すら覚えるかも。

わたしは、わからなくもないな・・・・という感想を読みながら持ったので、夏帆に対しては嫌悪感はないけど、共感もしなかった。

まあ、こういう母と娘もいるということね・・・と大した感情も抱かずササッと読みました。

村山さんの半自叙伝ということですが・・・

小説家というのは、私生活をも暴露しお金に変えるのか?と思ったらちょっと興ざめしちゃいました。

自叙伝と謳わなければ、結構楽しめたかもしれないけれど・・・


★★

 
41AKwe5YbjL__SX230_.jpg     発行年月:2011年10月

    人気作家が挑む、3.11以後の物語

3月11日以前と以後で、世界は一変した。この圧倒的な現実を前にして、小説に何ができるのか。『亡国のイージス』の人気作家・福井晴敏氏が、はじめて「現実」に挑んだ『週刊ポスト』連載作品である。
 東京に住む平穏な家族を、あの震災が襲った。エコ担当社員の主人公・野田圭介は、3.11以後、元防衛庁職員の父の不穏な様子や、ネットにはまる中学生の息子の心境の変化に戸惑い、翻弄されていく。大震災と原発事故に見舞われたこの国で、彼は家族の危機を乗り越えることができるのか。


                                         (小学館HPより)


物語は2011年の3.11を体験した、東京に住む野田家の物語。
震災当時の様子は、リアルで、幸いにして大して被害のなかった我が地域とはまた違う恐怖の瞬間だったのだとわかる。

野田家は、会社員の野田圭介、妻・美希。
圭介の父・輝夫、長男・弘人、長女・千里。

震災後、高校生の弘人の様子が前と違ってくる。
何かふさぎ込んでいる様子で、パソコンに向かうことに夢中。

祖父・輝夫の発案で、5月の連休に被災地に一家でボランティアに向かう。
家が残っているために避難所に来ないで家で暮らしている人の手助けをして欲しいと現地で言われ、家々を訪ね、一人の老婆が暮らす家の掃除・片付けをすることになる。
弘人が黙々と作業をし、被災地に来て良かったと思う両親と祖父だったが・・・・
一段落し、休みも終わるので帰ろうと言う時に「ここに残っていい?」と言う弘人。

一旦は帰ってまた来ればいいと説得し帰ったけれど、ボランティアシンドロ-ムに陥ってしまう。
そして、そんな鬱積した思いがある事件を起こしてしまう。

どうやって弘人の気持ちを救えばいいのか?
悩む大人たち。

そんな悩みに上手く対処する術もなく、間違った行動だけを批判するPTA。


父親である圭介は、そして決断する。
子どもたちの前で今、話しておかなければならないことを話そうと。

その話は、著者が伝えたいことに繋がっている。
結構、長い演説。
そんなこと出来るのかな?と思うこともある。

原発反対派がいて、推進派もいる現在。
いつまた日本の何処かに大きな地震がくるかわからないのに、今回のような原発被害が起きたら日本は滅亡してしまうという危惧。
原発がなくなったら日本の経済が立ち行かなくなるという懸念。
う~ん、どうしたらいいのか?
原発のリスクを背負いながら、少しずつでもほかのエネルギ-供給の方法に変えていくのか?


これから先、何十年か経ったとき
原発がなくても経済が潤っている日本があったらいいな・・・。


自分たちは老いるばかりだけど、子ども達が、そんな未来を作ってくれると信じたい。

この物語を読んで、いろいろなことを考えました。
これは、未来を作る若者たちに多く読んで欲しい書だと思う。



 

★★★★★  

 
51bJOBY-n2L__SL500_AA300_.jpg発行年月:2009年12月


病床の父と二人の弟を抱える極貧生活の中、
少年は将来を見据えてひとつ、またひとつと誓いを立てる----
武家・農村復興に並外れた手腕を発揮した二宮金次郎(尊徳)若き辛苦の日々



                         (中央公論新社HPより)



名前は、おそらく誰でも知っている人。
でも何をしたか?改めて問われると・・・・。

早春録ということで、幼い頃から成人したあとくらいまでが丁寧に描かれている。
5歳のときに大水で死ぬ思いを経験し、その後も小田原の村は、大水で田畑の大部分が流されてしまい、村人たちは米の収穫も出来ない窮地に立たされた。

貧しかった家で、父親が病死、その後、母親も病死し、まだ乳飲み子の末っ子の弟を抱え、長男である金次郎は大人並みに働く。
伯父の家で面倒を見て貰うのだけど、父が遺した書物を読むにも油を無駄使いするなと窘められ、何かと衝突。
そんな金次郎に村の名主・岡部伊助が自分の家で奉公したらよいと声を掛けてくれる。

最初の奉公先である岡部家で、その妻・お佐久から節約術を学んだことが、後の金次郎の出世の手助けになる。
『積小為大』の教え。



田畑を大水から守るには、放水路による治水が必要・・・でもそれには膨大な金がかかる・・・小田藩にはその金がない。

成長した金次郎は、藩の経済再建にまで関わっていく。
小さなところからコツコツと無駄を省き、お金の収支を明らかにし、出る金が少なくなるように。


そして、荒廃した農地の開拓にも力を注いでいく。

全て幼い頃に、自分に関わった人から学んだこと。

70歳で亡くなるまで、人々のために働き続けた人。
その殆どが苦労の連続。

最初の妻には、自分の志が理解して貰えず、辛い思いもした金次郎だけど、二番目の妻に支えられ迷いながらも自身の志を通し続けた。
正に達成の人!!


凄い人だなぁ~。


植松さんにまた勉強させていただきました。


★★★★


 
 

51zNcvkHieL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年12月


封印された過去が、新たな「罪」へ。「正義」と「贖罪」の意味を問う驚愕のミステリー。
どんでん返しが止まらない! 怒濤のリーガル・サスペンス!!
『さよならドビュッシー』で「このミス」大賞受賞の作家による新たな傑作誕生!

弁護士・御子柴礼司は、ある晩、記者の死体を遺棄した。死体を調べた警察は、御子柴に辿りつき事情を聴く。だが、彼には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁のアリバイ」があった――。


                                           (講談社HPより)


これは最高~♪
主人公のキャラクタ-が個性的で魅力的!
主人公・御子柴礼司は気鋭の弁護士だけど、26年前に幼女殺害事件の犯人である。
当時少年だったため、少年院に送られたが、刑期を終え、社会復帰している。

重い十字架を背負ったような過去を持ちながら、弁護士になっているのは、なぜ?
凶悪犯でも法廷の場で、減刑を勝ち取ってしまう。
贖罪の気持ちはあるのか?

冒頭から、いきなり御子柴が遺体を遺棄する場面で、これはいったいどういうこと?と先ずは大きな疑問。
その疑問を、ず~っと抱えながら読んでいました。


事件を追う警察側の人間にも魅力的な人物が登場!
刑事の渡瀬。
鋭い洞察力で御子柴とも対峙する。
二人の個性的なキャラクタ-が、物語を面白くさせてくれた。

御子柴は犯人を庇う側。
渡瀬は犯人を追い詰めていく側。

でも、御子柴は庇うだけでなく、法廷の場では自分の仕事を淡々とこなすが、そこから離れた場所では犯人を強く責める。
そして、渡瀬は犯人を追い詰める側だけど、そうしてしまった背景をみながら犯人の気持ちに沿うこともする。
それぞれに格好良い!!

御子柴の少年院時代の話も、よかった。
少年院のなかで知り合った同じような罪を犯した者や担当教官とのやりとり。
それらがあって、弁護士・御子柴が成立しているんだな・・・。

そして、冒頭の死体遺棄での殺人を犯した者は・・・・意外な人物だった!
全くの予想外!

表題の奏鳴曲を奏でた人物との再会が、なかったのが残念。
期待していたんだけどなぁ~。

これは、もしかしてシリ-ズ化されるのかな?
一回で終わるには惜しい!


ミステリ-好きには、これはお薦めです!!


                                        ★★★★★

 
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