この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない──。これは猫と戦争と、そして何より、世界の秘密のおはなし。どこか不思議になつかしいような/誰も一度も読んだことのない、破格の小説をお届けします。ジャンル分け不要不可、渾身の傑作。伊坂幸太郎が放つ、10作目の書き下ろし長編。
(東京創元社HPより)
国王・冠人が他国(鉄国)の者に殺され、国は鉄国によって支配されることになってしまう。
次期国王・酸人は、国民を裏切り、鉄国の者の言いなりに。
そんな人間たちのあれこれを冷静に見続け、時には意見する猫たち。
猫のトムの視線で物語が描かれ、また国に昔から居ると伝えられているク-パ-という怪物を退治するために送り出されたク-パ-の兵士の物語が織り込まれながら物語が進む。
途中、登場する名前が、これは猫なのか?人間なのか?とやや悩む箇所はあるものの、物語は面白く
ラスト付近になると、一挙にことの真相が明かされ、「なるほど!!そういうことだったんだ~」と気持ちよく今まで読んでいて「?」だった部分が解明された。
猫たちの会話が猫好きには嬉しい。
「舌が出たままだぞ」と仲間を注意する様子は、今まで飼っていた猫のそのときの表情が浮かんで、思わずニンマリ(笑)。
トムたち猫が、鼠と会話する様子も可笑しかった。
鼠がトムに「猫のみなさんが我々を攻撃しないように伝えて」と頼み、トムが「約束したところで、守る保証がどこにもない」という。
一見冷たいようだけれど、真実を述べて、それでも猫の仲間たちに冷静に向き合おうと言う。
猫と鼠でさえ、そんな風にするのなら、同じ人間同士で命を奪い合うような行為は愚行としか言えないな・・・・なんて改めて思った。
そして、語り伝えられてきたク-パ-のこと。
国王の企み。
終盤、トムが出会った謎の人間が物語のラストの鍵になっていた。
あ~面白かった!
こんな話をよく思いつくものだと毎回思う作家さん。
今回も期待を裏切らない作品を読ませてくれてありがとう~♪
とある町の図書館に出没する話虫(はなしむし)。
漱石「こころ」のなかに入り込み名作はメチャクチャに。
架空の物語世界を舞台に図書館員たちの活躍が始まる
(筑摩書房HPより)
本のなかに入り込み、物語の内容を変えてしまう話虫。
そして、話虫は夏目漱石の「こころ」のなかに入り込んだらしい。
その退治のため、図書館勤務のわたしは、話のなかに入り込み、登場人物たちの観察をしつつ、物語が元の内容に戻るようにしなければならない。
話虫を見つけたら、干さなくてはならない。
物語のなかに入り込んだのは、図書館員、糸井馨。
「こころ」のなかに入って、妹尾家に下宿する。
下宿屋の奥さんは、節子さん・・・・「こころ」でも「わたし」が下宿する家の奥さんは節子さん。
節子さんのお嬢さんは、静さん・・・・「こころ」では「お嬢さん」に当たる人。
そして、友達の圖中和生と桑島芳蔵・・・・桑島が「こころ」のなかで「K」とされる人。
それから・・・・夏目漱石やら、石川啄木、小泉八雲まで登場する。
原作の「こころ」では、下宿屋のお嬢さんを巡っての恋のかけひきがあり、それに破れた「K」は自殺するという内容。
その原因を作ってしまった若いころの「先生」はその後、罪を感じて行き、最後は自分も命を絶つというかんじだったと記憶している。
話虫が変えたらしい「こころ」では、そんな暗い雰囲気はなく・・・・話のなかに入り込んだ糸井も「K」は自殺することになっている、桑島を自殺に追い込まないといけないのか?と悩む。
さていったいこの物語はどうなる??
最終的には、誰も死なずによかった。
時空を超えた友情物語として落ち着いたかんじ。
素晴らしいアイデアから出来た物語でした♪
「こころ」をもう一度、読み返したくなります。
逆に読んでない人には、面白さ半減かも?
ハワイとフラとチビとわたし……
人気作家よしもとばななさんの最新エッセイ集
ハワイへのオマージュ、フラのある生活、息子さんとの微笑ましいやりとり、よしもとばななさんの日常がいっぱいつまった、あったかくてときどき切ないエッセイ。
(世界文化社HPより)
ハワイには行ったこともないし、とうぶん、行く予定もないけれど、良い所なんだなぁ~と
改めて思った。
ばななさんの日常を垣間見ながら、ゆったりとした時間が流れているようなハワイでの様子を
始終、心地よいかんじで楽しめる書でした♪
潮千穂さんの写真も素敵♪
知らなかった写真家さんですが、これで大好きになりました!!
ばななさんとの関係もいいなぁ~。
表紙裏の2人並んだ写真もいいかんじです(^^)
そうそう、ハワイ語で lino linoが きらきらということをこの本で知りました。
先に本を開いた長女が教えてくれて、大層喜んでいました。
長女のなまえにこんな素敵な意味があるとはね~。
★★★
近所の悪を斬る還暦三匹が帰ってきた!
武闘派のキヨとシゲ、頭脳派のノリ。
“三匹のおっさん”が万引き、不法投棄など地域の問題に立ち上がる!
痛快活劇小説第2弾
(文藝春秋HPより)
今回も楽しませていただきました♪
三人のおじさんたちの活躍は前作同様でしたが、それにくわえて、それぞれの家族の話も良かったなぁ~。
キヨさんちの嫁・貴子のパ-ト先での人間関係。
ノリさんちの高校生・早苗とキヨさんちの同じく高校生の裕希の仲良しぶり。
キヨさんの奥さん・芳江に恋していた松木の登場。
読んでいると、その先が気になる事が次々、起きて飽きない。
こんな風に町をも見守ってくれるおじさんたちが居たら、そこの住人たちには頼もしい存在だろうなぁ~。
ボ-ナストラックの
「好きだよと言えずに初恋は」も凄く良かった。
高校進学目前に引越しが決まった潤子に花の名前をあれこれ教えてくれる日下部くんの話。
高校生になって、現国の教科書、川端康成の『雪国』にあった文
別れる男に花の名前を一つ教えておきなさい。花は必ず毎年咲きます。
初恋っていいなぁ~(^^)と思わせてくれました。
★★★★
ネコのチマキの目から見た「宝来家」の毎日。
人間って、わからないけどたのしいかも……。
小巻おかあさんの家で飼われることになったチマキ、ノリマキの迷いネコ兄弟。複雑な関係だけど仲良しな大家族「宝来家」で、食事を一手に引きうけているのはおかあさんの息子・カガミさん。家族の健康を第一に、カガミさんは美味しくて身体にいい食事を黙々と作り続ける。もうひとつ、カガミさんが気になるのは、中学・高校の先輩で宝来家に居候している桜川くんの存在なのだが……。
春野菜のドライカレー、玄米甘酒ひんやりスイーツ、かぼちゃの豆乳ポタージュ、きのこたっぷりごはん……おうちの中はいつもいい匂い!
(講談社HPより)
猫目線で描かれる宝来家の人々の日常がとても楽しかった。
猫の名前は、チマキとノリマキ。
飼われることになった家のお母さん(小巻)は、翻訳家で、フランスの家庭料理本や手芸小物の翻訳を手がけ、自分の日常を「コマコマ記」として執筆中。
それを真似てチマキも宝来家の様子を「チマチマ記」として語る。
宝来家の家族は一風変わっている。
小巻の夫は既に亡くなっているが、その夫と前妻の息子・樹(いつき)夫婦の子どもで小学生の曜(ひかり)=(チマキはだんご姫と呼んでいる)が、同居。
曜の母親は美術商でパリ暮らし。父親の樹も単身赴任で京都に居て休みが取れると宝来家に戻ってくる。
で、一家の台所を預かっているのは、小巻の息子の鏡(かがみ)。
日夜、美味しい物を宝来家の家族のためにセッセと作る。
目次を最初に見たときからワクワク
1.Eayly Spring 朝ごはん
2.spring 昼ごはん
3.Early Summer 飲茶パ-ティ
4.Summer ちびっこたちの昼ごはん&おやつ
5.Autumn ピクニック
6.Late Autumn 香ばしいごちそう
7.Earyy Winter お楽しみ会
8.Midwinter 冬ごもりのマキ
チマキとノリマキは幸せだなぁ~。
人間たちの食べ物は勿論、おいしそうだったけど、兄弟のための、ごはんもとっても美味しそうで愛情いっぱいなかんじでした♪
そうそう、これは試してみたいと思ったもの。
納豆に粒マスタ-ドとバルサミコ酢。
ちょっと予測できないけれど、きっと美味しいんでしょう!!
表紙の絵も可愛くていいなぁ~(^^)
いつか、レシピ本も書いて欲しいです♪
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;