日本史上、もっとも不名誉な“仕事”を買って出た男-----降伏文書への調印を行ない、戦犯になったことで、不当に低い評価を受けている昭和の外交官・重光葵を描く長篇小説。
1931年、駐華公使だった重光葵は上海で爆弾テロに遭い、右脚を失う。そこからの彼の人生は苦難の連続であったが、目の前に立ちはだかる“階段”を重光はひたすら登り続けた。
外交の第一線に復帰した重光は、日中戦争を終結させて孤立する日本を救おうと奔走するも、対米英戦争へと突入してしまう。外務大臣となった彼は大東亜会議を実現する一方で、戦争終結に向けて動いたが、戦局は悪化の一途を辿った。
敗戦直後に再び外務大臣となった重光は、誰もが尻込みする降伏文書に調印する役目を引き受け、マッカーサーとの交渉も成功させる。戦犯として服役後には外務大臣となり、国際連合への加盟という大仕事をも成し遂げたのだった。
重光葵の激動の生涯を掘り起こして光を当てた力作。
(PHP研究所HPより)
日本のためにこんなに尽力した人なのに、名前しか知らずにすみませんと言いたくなった。
幼いころは貧しく、それでも漢学者として世間で認められていた父からは多くのことを学び、学力は秀でたものがあり、両親は息子たちのために大金を土地の権力者から借り高校進学をさせてくれた。
そして、父親は「これからは漢学でなく外国語を身につけて先々は海外に出て行け」と言っていた。
そして、兄を追って自分も東大に進学し、卒業後、外交官試験に合格。
すぐにベルリン赴任を命じられる。
そして駐華大使としての公務中、命を狙われる。
片足を失うことになったが命は助かった。
でも、それからが過酷なリハビリ。
挫けそうな心を支えたのは、外交官としてまだまだやらなければならないことがあるという思い。
そして、同じように片足を失った後も偉業を成し遂げた大隈重信を思い、自分も負けてたまるかと奮起する。
日本は中国に侵攻し、満州に鉄道を作り、街を繁栄させていった。
そこには多くの日本人も移り住んでいた時代。
日本に侵略されたと恨む中国人もいるが、繁栄させた力も大きかった。
幼いころから漢学者であった父から
日本は太古の昔から中国から文化を取り入れてきた。
彼らの中華思想の誇りをこちらは理解しなくてはうまく付き合っていけないと言われていた。
だからか、片足を奪った中国人を芯から恨めない。
その後、イギリスでチャ-チルと、第二次世界大戦は避けなければならない。
アメリカを戦争に巻き込むの避けなければと共通の考えで話し合うが・・・・・
思い通りにいかずに、その回避しなければと言ってた事態に物事は進んでいってしまう。
もはや自分が留まる意味がないとイギリスを去る重光葵の心中を思うと泣けてきた。
そして第二次世界大戦突入。
アメリカを敵側にして戦わなければならない事態に。
軍の上層部も政府もやりたくないけれど仕方ないという状態だったのか?と考えるとそのために
命を落とした国民は・・・・・と本当にやりきれない気持ちでいっぱい。
終戦を迎えると、そこからも苦悩の日々。
天皇を戦争責任から回避させるためにマッカ-サ-とも交渉。
日本における天皇の存在意味を説く。
それにより天皇の戦争責任は問われず済んだが
重光自身も戦犯として捕らえられ禁固7年の刑。
4年半で仮釈放となってからは政界からの誘いを受け入れ政治家としての生き
日本の国際連合加盟を目標に奔走し、成し遂げた。
亡くなったのは大役であった連合加盟を果たして約1ヶ月後。
狭心症発作のため。
自分のことは二の次にここまで日本の将来を思って行動し大きな成果を挙げた人物だと知ると
頭が下がる。
今の政治家にもこんな志の人が沢山いてほしいなぁ~。
植松さんの小説はいつも読み応えがあり、勉強になります。
(毎回、書いてる?^^;)
★★★★★
もしデブが宿命ならば、甘んじてそれを受けよう。宿命と運命とは違う、と言ったのは誰だろう。
デブは運命と思いたい。運命は変えられるのだ、きっと。
少女の頃からずっとなじみだったこの下腹の重みは、
時には軽くなり薄くなる。恋をした時には消滅したこともある。
恋も運命と同じように、デブも運命に違いない。
だから運命が、私にどれほどの肉を与えても、
いつか笑顔でふり落とそうではないか。(本文より)
贅肉とのネバーエンディングな戦いを繰り広げるマリコの恋とキレイのストーリーは、遂に第10巻。
美女エッセイの金字塔!
(マガジンハウスHPより)
ファッション雑誌anan連載「美女入門」シリ-ズ代10弾ですね。
相変わらず、ファッションの話と良い男の話とダイエットの話。
相変わらずですが、面白いなぁ~。
自分のことをデブと言ってるけれど、ちゃんと努力しているし、いつも綺麗でいなきゃいけないという意識を持っているのは同じ女性として偉いなと思う。
お金があるから、ダイエットの方法もお金をかけたものだけど・・・・^^;
もう林さんなら、嫌味に思えない(笑)。
実際、独身時代よりも今の方が綺麗だと思うし・・・。
公式ブログ「林真理子のあれもこれも日記」も見てみたら面白かったので、
これからは、そちらもちょこちょこチェックしよう♪
林さんが描くこのイラストもとても好きです。
★★★
うちらは、電車通学のことを、キシャツー、って言う。
部活に通う夏休み、車窓から、海辺の真っ赤なテントに住む男子を見つけて……
微炭酸のようにじんわり広がる、それぞれの成長物語。
(河出書房新社HPより)
北海道の片田舎。
電車通学をする高校生たちの夏休みのひとこま。
登場する高校生たちがみんな良い子たち。
明るくて友達思い。
はるか、このみ、あゆみは仲良し同級生トリオで高校2年生。
はるかの幼馴染で一つ上の酒井良夫(通称、よっしー)とは、タメ口OKの仲。
通学途中、電車のなかから見つけた赤いテントが物語の発端になる。
気になり、そのテントのある駅で降りて偵察するのは、人目を惹く美人な先輩・野島沙絵。
そして、同じ頃、偶然、よっしーと赤いテントの住人は出会っていた。
赤いテントの住人は、東京の高校3年生・宮谷光太郎。
なぜ東京からひとり北海道の海岸沿いでテント生活?
はるか達、高校2年生トリオと、3年生のよっしー、その友達・西遼太郎。
そして野島沙絵が、遼太郎のため、奮闘する物語。
高校生たちの会話が愉快。
楽しそう。
けれど、明るい彼らのなかにも生い立ちに、ちょっとした事情を抱えている子達がいる。
はるかは4歳のときに養子に来た子で、よっしーの生みの母は東京にいる。
そして東京から来た光太郎にも・・・・。
物語には、暗いものが一切ない。
みんな高校生活を満喫している様子が清清しい。
友情っていいな~(^^)
物語の最後には、6年後のことが書かれている。
みんなそれぞれの道を進んだんだな。
でも、高校時代、一緒に過ごしたこの夏のことは、それぞれの大切な思い出なんだろうなぁ~。
いつかみなで再会する日もあるといいな(^^)
30代後半の主婦ゆかりは、夫と小学生の長男と1歳半の長女とともに、穏やかで幸せな日々を過ごしていた。あの日、不意に運命が暗転するまでは。
生と死をしずかに見つめなおす傑作中篇4作品。
佐川光晴青春の原点ともいうべき、北大恵迪寮を舞台にした「二月」「八月」も収録。
(左右社HPより)
表題作を含む4つの短編集。
「静かな夜」
小学生3年生の息子を交通事故で亡くし、加害青年に判決が下された直後、夫も急死してしまい、幼い娘と2人の生活が始まった宮本ゆかり。
「崖の上」
中学で教師をしていたとき、職場の人間関係に疲れ、かつての優秀な教え子の突然の訃報と精神的に参ってしまい、うつ病を発症した津田五郎。
「二月」「八月」
北大2年のとき、留年が決定した長谷川和郎。
350名が暮らす学生寮の自治会執行委員長として大学当局との交渉に明け暮れた結果のこと。
授業料を稼ぐ為、与那国島のさとうきび農家に向かう。
その後、フリピィンへ。
4つの話(後ろ2つは同じ話だけど・・・)の主人公達の抱えるものは重たい。
特に最初と二番目の話は、本人たちに何ら落ち度はないのに、どうしようもない状況に置かされてしまう理不尽さに胸が痛くなる。
うしろ二つの話は、著者の学生時代のことが元になっているかんじ。
北大出身で在学中は物語の主人公のように寮生活をしていたらしい。
学生と言えど、寮と言うひとつの組織のなかでリ-ダ-的存在になってしまうと、こんな大変な思いもしなきゃならないのかな?なんてよくわからない世界の話なので、興味深かった。
いずれの主人公達も過酷な状況のなかで、ちょっとした気持ちに変化が置きて、前へ進もうとしているラストはホッと出来るものがあった。
しかし、精神的にかなり疲れました。
自分自身が落ち込んでいるときには、読めないかも・・・。
文章は読みやすく頁をめくる速度は落ちないんだけど・・・。
★★★
おちこんだり、かなしいことがあったとき、
元気をくれるすてきな場所「すずめいろ堂」。
心がわくわくおどりだすような、ふしぎなことがおこります。
(ポプラ社HPより)
朽木さんの作品を幾つか読んで、どれも素敵で、ほかに作品ないかな?と
探していたら、この書を見つけました。
児童書ですが、大人が読んでも癒されます。
バイオリンのレッスンに行きたくない女の子が、ある日、レッスンを休んで、降りた駅。
そこで、「すずめいろ堂」という看板の下がった建物をみつけ・・・
「ためらいは、いりません。すずめいろどきです。中へどうぞ」
と書かれたとびらを開けて中へ入って行きます。
この冒頭部分だけで既にワクワク。
何か待ってるんだろう~と期待が膨らみます。
そして、中で起きる不思議なことの数々。
アッと言う間に読み終えてしまうお話ですが、読んでいる間中、楽しかった♪
バイオリンのレッスンに、その後、嬉しい変化が起きるのもよかった。
不思議な時間を過ごしたからこそ得られた変化ですね。
挿絵も素晴らしい!
可愛らしい絵で、ほのぼのとします(^^)
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;