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読んだ本の感想あれこれ。
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51-SZ-dxx1L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年7月


疑惑の女性の周囲をとりまく、「噂話」の嵐
「あの事件の犯人、隣の課の城野さんらしいよ…」美女OLが惨殺された不可解な事件を巡り、一人の女に疑惑の目が集まった。噂が噂を増幅する。
果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも-----。



                     (集英社HPより)



しぐれ谷で起きた美人OL殺人事件。
事件の真相を追うフリ-ライタ-の赤星は、被害者の女性が働いていた職場の同僚たちから話を聞く。
そして、その話の流れで一番怪しい女性が浮かび上がってくる。

その怪しい人物とは、殺された三木典子の同僚・城野美姫。
殺された典子とは同期で、学生時代からの友人関係でもあった。
周囲の話では、典子は誰もが認める美人で人柄もよい。
そんな典子を妬んでいたのでは?という意見。

しかし、二人のことをよく知る学生時代の同級生の証言では、二人は仲良しであり、容疑者扱いされている美姫も優しい性格で、天然気質ゆえテンちゃんとあだ名で呼んでいたくらい。
妬んで殺害なんてありえないという。

他にも地元住民や美姫の両親へのインタビュ-の様子などが挙げられ
はて、美姫は果たして本当に犯人だろうか???とわからなくなる。

そして、事件の真相は突然、明かされ・・・・・・・え?そういうことだったの?
事実がわかれば、まあよくありがちなこと。

でも、人から語られる情報って当てにならないなぁ~。
取材を受けるとややオ-バ-に憶測の範疇のことでも実際に見たなんて
言っちゃう人が居たり・・・・。
週刊誌とかあまり読まないけど、マスコミの話は、まともに信じたらいかんなと思った。


新聞からの事件に関する記事を載せたり、事件を追っていた赤星氏のツイッタ-を載せたりと
なかなか面白い方法で楽しませてもらった。


やはり人の心理を描くのが巧い!!

★★★★
 
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61VyjNuLYlL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年7月


3.11後の夏。
伊豆の海を舞台に、ひとりの少女の心の
成長をみずみずしいタッチで描いた生命キラメク物語!



                        (出窓社HPより)



お友達から薦められた本。
舞台は伊東市八幡町。
著者自身がその土地に思い入れがある様子で、物語の主人公・太田翼(通称ツ-ちゃん)と同様
伊東の海を愛しているのがよ~く伝わって来た。

ツバサは、夏休みの自由研究に海女漁をテ-マにする。
父親は漁協に勤めていて海女保存会を作り、海女漁存続のために現役で海女漁をしているエツコ(通称:エッちゃん)に後進を育てるための手助けをして欲しいと交渉中。
しかし、エツコには、30年前、哀しい事故の経験があった。
海女漁で娘を亡くしている。
そして、その漁のとき船に居たのはツバサの祖父であった。

辛いことがあったけれど、今は70を過ぎたけれど漁を続けているエツコ。
ツバサの自由研究にも協力してくれる。
海の話を沢山してくれて、物言いが優しい。

海で知り合った高校生の小川アツコとの出会いもツバサを大きく成長させてくれた。
アツコは環境問題を学ぶために大学に行くと言い、学んだことをこの伊東の海を守ることに役立てたいと思っている。
アツコの先輩のマサルも海洋大学で栽培漁業について勉強しているという。


地元を愛し、自分がそこの環境を守っていくために何が出来るか?を真剣に考えて
行動している若者ばかりが登場する。

これは若者に読んで欲しい!
と著者が強く思って書かれたんだろうな。


磯焼けという言葉、恥ずかしながら初めて知りました。
物語のなかで、ツバサの小学生の弟が「海草が枯れちゃうことだよ」みたいな話をしてましたが
今の小学校では、習っていることなのかな?
日本全国の海で問題になっていることらしいけど、原因がはっきりせず、対策を立てるのが難しいとか。


読んでいて、勉強になることも多かったし
一人の少女の成長を描いた物語としても、とてもよかった!

3.11のことも触れて東北に暮らす人のことは、ずっと忘れず意識し続けていかなくてはいけないとも思った。


ササッと読めるのに、すごく内容の濃い1冊でした!!

多くの人に読まれるべき本です!!
とりあえず、家族に薦めてみよう。

★★★★★

 
 
51HH5Zo6OgL__SX230_.jpg   発行年月:2012年10月


   伍代藩士の楠瀬譲と栞は互いに惹かれ合う仲だが、
   譲は藩主の密命を帯びて京の政情を探ることとなる。
   やがて栞の前には譲に思いを寄せる気丈な女性・五十鈴が現れる――
   激動の幕末維新を背景に、己の思いに忠実に生きた
   男女の清冽な姿を描く長編時代小説。


                          (朝日新聞出版HPより)


国学と和歌を教えていた父・檜垣鉄斎の後を継ぎ、此君堂(しくんどう)で和歌を教える栞。
そこに父の代から通っている楠瀬譲。
父は娘の栞が生前は譲の妻となることを望んでいたが、譲は藩主・伍代忠継の勧めで馬廻り役二百石の杉杉浦家の三女・由里を妻に迎え、鉄斎は落胆した。
そして密かに譲に譲に想いを寄せていた栞も同様だった。
しかし、由里が病で没し、譲は、母・弥生と娘・志穂と暮らしている身。

元々は相思相愛の二人ならば、共に暮らせばよいのでは?と思って読んでいたら・・・・
先妻・由里の妹・五十鈴が登場。
栞とは対象的に気が強そう。
そして藩主・忠継も譲と五十鈴を添わせたいと思っているようだと。

ええ?三角関係?なんて今時の恋愛小説のようなものをこの幕末の時代を背景に物語の軸とするのか??とちょっと焦ったりしたけれど・・・・・
さすがは葉室作品、そんなことが軸ではありませんでした^^;

五十鈴も最初は栞びいきで見ていたので嫌なかんじと思ってしまいましたが、
格好いい!
鋭い洞察力で藩主・忠継の妻になってからは、栞と譲を助ける働きをする。

江戸幕府の倒幕を目指し、尊皇攘夷派が企てにより戦を起こす時代のなかで、新しい国造りをする時期だと思いながらも幕府側で政情を探り奔走する譲の姿に攘夷派にいつか命を狙われてしまわないか?と栞と同様、ハラハラドキドキ。

攘夷派の佐倉健吾の存在は最後まで不気味だったなぁ~。

実際、佐倉の企みのせいである疑いをかけられ投獄されてしまう。
しかし、投獄されても志がぶれることはない。
これからの国造りについて同じく投獄された榎本武揚と熱く議論する姿は格好良い。

最後は恩赦のかたちで家に帰ることが出来、ホッとしたけれど、
この先は開拓使として北海道に一家で移住するというところで物語は終わる。

この先の暮らしも厳しいだろうなぁ~。
でも、愛する者と共に生きていかれたら・・・という思いなんだろうな。

「この君なくば一日もあらじ」・・・・・いつまでも胸に残る言葉です。


今回も良い話をありがとうございますm(__)m
著者の葉室さんに感謝!


★★★★★
 
 
51m3uak75QL__SX230_.jpg    発行年月:2012年9月

   
    近くて遠い異国で、彼女たちは何を見る?

    北京、台湾、上海。
    刻々と変化する隣国を訪れた3人の女達が未知の風景の中で出会う、
    未知の自分。飄々とした異国情緒溢れる中篇集


                           (文藝春秋HPより)



北京、上海、台湾・・・・行ったことないけれど、読みながらなんだか旅をしているような気分になれた。


<北京の春の白い服>
中国服飾美容出版社に唯一の日本人スタッフとして招聘された夏美。
この国で初めてのファッションマガジンを現地スタッフと作り上げるべく働く。
日本式のやり方をバンバン要求し、スタッフたちを圧倒させる夏美。
ふと、自分のやり方は現地スタッフには不快かも?と思ったりする。
休日、偶然知り合った北京で留学しているというコ-ジと共に出かけ、露天のおじさんに言われる
言葉が「マンマン・ゾウ」=慢慢走=のろのろ歩け=のんびり行け
この言葉、なんかいいな。


<時間の向こうの一週間>
夫の赴任先の上海に一緒に住むための家探しに日本から来た亜矢子。
一緒に家探しをする予定だったのに、夫は武漢に1週間の出張になってしまったと言う。
一人で過ごす上海での1週間。
夫が案内人の女性を頼んであるからと言ったが現われたのは男性。
親切にあちらこちらの物件を案内してくれるけど、本当は彼の元恋人が頼まれたことだったらしい。
夫が居なくても結構、面白い一週間だったんじゃないのかな?
お見合い広場が興味深かったなぁ~。


<天鐙幸福>
亡き母親の思い出の地・台湾。
生前、母親が言っていた「美雨には台湾に3人のおじさんがいるのよ」。
そしてそのうちの一人らしいおじさんから台湾に誘われ会いに行く。
電車のなかで、通訳をしてもらったことから現地の青年・トニ-仲良くなり一緒におじさんを訪ねる旅をする。
最後にやっと連絡をくれたおじさん宅へ。
そこで知る母親の台湾でのこと。
みんなが温かく主人公の美雨を受け入れてくれる様子が微笑ましい。
辛い時代もあったというおじさんたちがトニ-と美雨が仲良くしてくれると嬉しいという言葉が
印象的だった。


どの話もよかったなぁ~。
中国とは政治的にいろいろあるけれど、仲良く歩み寄っていけたら最強になれそうなんだけど・・・。
なんてふと思った。


                                          ★★★★




 

 
51vgUXdzPuL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年10月


あたし、月夜は18歳。
紫の瞳を持った、無花果村のもらわれっ子。
誰よりも大好きだったお兄ちゃんに死なれてから、
あたしはどうもおかしくて…
少女の思いが世界を塗り替える。
そのとき村に起こった奇跡とは!?


                                           (角川書店HPより)


主人公・前嶋月夜の語りでどんどん物語が進む。
冒頭から、ひとつ年上の兄・奈落の葬式。
月夜が大好きだったお兄ちゃん。
家族はほかに父親と銀行員の8つ年上の兄・一郎。
月夜は、養女に貰われた子。
でも家族みなに愛されて育った様子。

奈落の死の真相が途中でわかる。
月夜にとっては辛い、その真相。

立ち直るまでには時間を要して当たり前の状況。

そんなとき、月夜の前に現われた密という名の青年。
月夜にだけお兄ちゃんと瓜二つに見える様子。
最初は戸惑う月夜だけど、自然に接し、中身は違う人だと理解する。
そして密も去っていく。

月夜がなんとか自分なりに心の整理をして、奈落の死を受け入れるまでの物語かな?
月夜の純真な想いが切ない。

でも18歳の女の子の日常は、明るく可愛らしかった。
ちょっと変わってる月夜だけれど、可愛いなと思った。

表紙の絵も雰囲気にピッタリ!
酒井絢子さんの絵っていいな。


★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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