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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年9月


埼玉県警のホームページの掲示板に“修正者”を名乗る書き込みがあった。今後、県下で起きる自然死・事故死に企みがないかどうか見極めろという。同日のアイドルの転落死にも言及したため、県警の古手川と浦和医大法医学教室の助教・真琴は再捜査と遺体の解剖に臨んだ。結果、炙り出されたアイドルの秘密と司法解剖制度の脆弱さとは? シリーズ第二弾


                    (発行/祥伝社)



シリーズ、発行の順が前後しても問題なく読めました。

今回は、コレクターを名乗る人物の書き込みに翻弄される警察と法医学教室。

そして、最初の死亡原因が解剖結果により覆される話が6つ


<一 堕ちる>
16歳の人気絶頂のアイドルがコンサート中ステージから落下し死亡。
事故死とされたが解剖の結果、妊娠8週目であり、事故は仕組まれたものだった。



<二 熱中せる(のぼせる)>
3歳の女の子が自宅で亡くなり、熱中症のためと診断。
解剖の結果、高温の車中に長時間、居たことによる熱中症と診断。
両親はパチンコをしていたが自宅に帰り自宅で亡くなったことを偽装。



<三 焼ける>
新興宗教の教祖が火災により焼死。
解剖の結果、教祖は末期がんであり自殺したが信者であり教団の事務局長は
宗教上、許されない自殺を隠すために灯油をまき現場を全焼させた。



<四 停まる>
70歳男性が道路を歩行中、倒れ死亡が確認され心不全と診断。
解剖で、胸のペースメーカーが壊れていたことがわかる。
認知症の妻を抱え自分が先に亡くなったらと考え高額な生命保険を組み
高電圧の電線の下を何度も行き来し、ペースメーカーの作動を自らの
意思で狂わせていた。



<五 吊るす>
公園内で首を吊って亡くなっていた女性。
遺書にはお客様のお金を横領してしまったと
その後、別の女性が会社の金3000万円を着服してしまったことを苦に
自殺したのではないか?と公園内で首を吊った状態で発見される。

その後、二人の女性と関りがあった証券マンの男性の存在が浮かび
殺害後、公園内に吊るしたことが判明する

二番目の被害外女性の弟・時枝継男が姉の死の真相は違うところにあるとして
県警の掲示板に投稿。



<六 暴く>
刑事・古手川の同期・姫川雪絵が飛び降り自殺。
不倫を苦にした内容の遺書が遺される。
警察は事件性なしの自殺とするが、納得がいかない古手川。
上司の渡瀬も同様の違和感を感じていて、9枚の死体写真を光崎教授の元に
送っていた。
そして光崎は解剖が必要だと判断。

姫川は自殺の前日、堕胎手術を受けていた。
その胎児は奇形(無脳症)だったとわかる。
姫川はヒ素中毒でもあった。



コレクターを名乗り投稿されたものに便乗し、更に解剖件数を増やすよう、仕向け
解剖の予算が底をつき、容易に解剖できない状況にするのが目的だった。

犯人・鷲見検視官の狡猾なやり方が許せない。



今回も正しい死因が解明されて良かったと思うと同時に実際、何者かの手が加えられて
亡くなっているのに、自然死や事故死として処理されている遺体もあるのかな?と
考えてしまった。


シリーズ最新作も続けて読もう。



                       ★★★★
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発行年月:2013年8月


夏休み最中の八月四日,向坂香織たち風ヶ丘高校新聞部の面々は,取材で市内の穴場スポットである,丸美水族館に繰り出した。館内を館長の案内で取材していると,B棟の巨大水槽の前で驚愕のシーンを目撃。な,なんとサメが飼育員と思われる男性に喰いついている! 駆けつけた警察が関係者に事情聴取していくと,容疑者は11人にもおよぶことに。しかもそれぞれに強固なアリバイが……。袴田刑事は,仕方なく妹の柚乃へと連絡を取った。あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。“若き平成のエラリー・クイーン"が,今度はアリバイ崩しに挑戦。


                     (発行/東京創元社)




地雷グリコが面白かったので、過去本も読んでみた。


青春小説としての部分はすごくいい。
登場人物たちのキャラもいいし、会話も楽しい。

で、今回は新聞部の取材で水族館を訪れたら、そこでいきなりサメのいる
水槽に人が落ちて喰われて死亡する場面に遭遇。
映像なら、凄い場面だな。


で、そこに警察は来るんだけど、容疑者が多く、皆、アリバイがあり捜査は難航。

刑事は妹に連絡して、前にも事件解決に力を貸した高校2年の裏染天馬が
呼ばれる。
前の事件の話を読んでいないけれど、この裏染くんが、事件の真相を淡々と
解明していく。
学校で暮らしているという変わった子だけれど、それには家族背景に何か
ありそう。
その辺は、今回ではわからなかった。



事件の犯人の動機は・・・「ええっ?そんな理由で人を殺しますか?」と
いうものだった。
殺し方も、そんな複雑じゃなくて良かったんじゃない?と思うもので・・・。


ミステリー作家らしいけれど、青春小説として読むなら面白い・・・かな?




                         ★★★



発行年月:2021年5月


これから一人だけ誰かを殺す。
自然死にしか見えないかたちでー。
斯界の権威・光崎に宛てた犯行予告。悪意に潜む“因縁”とは!?
死者の声なき声を聞く法医学ミステリー「ヒポクラテス」シリーズ 慟哭の第4弾!
斯界の権威・浦和医大法医学教室の光崎藤次郎教授がテレビ番組に出演した。
日本の司法解剖の問題点を厳しく指摘し、「世の中の問題の九割jはカネで解決できる」と言い放つ。
翌朝、放送局のホームページに『親愛なる光崎教授殿』で始まる奇妙な書き込みが。
それは、自然死に見せかけた殺人の犯行予告だった。早速、埼玉県警捜査一課の古手川刑事と
ともに管内の異状死体を調べることになった助教の栂野真琴は、メスを握る光崎がこれまでにない
言動を見せたことに驚く。
光崎は犯人を知っているのか!?
やがて浮かび上がる哀しき“過ち”とは……?


                     (祥伝社HPより)



短篇連作の形で進む。

光崎教授といえば、冷静沈着、社交性なしだけれど、必ず死因究明する天才の
イメージ。

今回は、そんな光崎教授がまだ助教授だったころの苦い体験が元で
起きた事件。


テレビ出演した光崎教授。
そのテレビ局に届いた不気味な犯行声明。
「あなたの死体の声をきく耳とやらを試させてもらおう。絶対に自然死にしか
見えないかたちで一人だけ殺す」と。



それ以降、見た目は自然死に見える遺体も解剖に廻すことに・・・・
そして次々、実は殺されたものだと判明していく。

<老人の声>
90歳で自宅介護中だった桑名卯平は、熱中症による死亡と診断。
が・・・実は、親が仕事に出かけた後、朝食の準備のためレンジを使った小学生の幾花
によりブレーカーが落ちてしまったため、エアコンが停止したことが原因だった。


<異邦人の声>
技能実習生のベトナム人・ホーが勤務中に倒れその後死亡。
肝臓がんであり、腹腔内出血が認められ病死と診断。
が・・・実は日本人従業員と口論になり腹部を殴られたことが死亡原因


<息子の声>
35歳の水口琢朗が400ccのバイク運転中に自損事故死。
が・・・実は定職にも就かない息子を両親が共謀して農薬で毒殺し事故に
見せかけていた。



<妊婦の声>
フィリピン人女性・ステファニーが路上で倒れ救急搬送されるが死亡。
熱中症によるものだと診断。
が・・・実は店のオーナー・久坂部の子を妊娠していて久坂部により
人工妊娠中絶薬を飲ませられ(胃薬として)、それにより感染症を招いたことが
死に結び付いた。


<子供の声>
生後5日の吉住真矢ちゃんが死亡。
父親は浦和医大産婦人科の教授。
突然死と診断されたが、解剖で鼻孔を塞がれたことによる窒息死と診断。

この犯人が、最初の犯行声明を出した、宍戸征爾だった。
真矢の母親は、光崎教授が助教授だったとき、教授だった蜷川教授の娘。
30年以上前、幼女の連続殺人事件があったが、宍戸征爾の姉(本田静夜)
はその二番目の被害者で毒殺だったとわかった。
最初に殺された幼女の死因究明をしっかり蜷川たちがやってくれていたら
姉は殺されなかったかもしれないと恨みを抱き、蜷川家に近づくため
介護士になり、一家に近づき、信頼できる人物と思わせ、復讐の機会を
窺っていたいたという。

宍戸の家族は姉が殺されたあと、被害者家族なのに世間から壮絶な誹謗中傷を
受け一家は離散。
宍戸姓は離婚した母の旧姓だという。



なんとも酷い犯人。
光崎がいうように復讐の相手を生後5日の子にするというのが人として
許せない!
光崎自身の心のなかの悔恨がこんなかたちで増幅されてしまうのかと
思うと怒りでしかない。


今回の話で光崎教授の若い頃のことが知れたけれど
後味はよくない話だったな・・・
ヒポクラテスシリーズ、未読のものも続けて読んでみよう。



                    ★★★






発行年月:2024年9月


私は人生の終着点を見つけてしまった 生と死の尊厳に迫る優しく美しい一冊
おちこぼれの女性ジャーナリストが異国の砂漠の地で掴んだ、
自分しかできない仕事、そして、人間のほんとうの幸せとは
フリージャーナリストとしての活躍の道が拓けずくすぶっていた寿美佳(すみか)は、摂氏六十度を軽く超える砂漠の地で、鉱石を運ぶトラックに乗っていた。
ここはオーストラリアでも「デッドエンド」と呼ばれる地帯。この先の鉱山で、元引きこもりの日本人労働者や、海外の政治犯が強制労働に従事させられているという疑惑を聞きつけて、記事を書いて一山当てようと潜入取材に乗り込んだのだ。金がない寿美佳のスポンサーとなったのは、夫の研究者・クセナキス博士がここに閉じ込められていると訴える博士の夫人だった。
博士を救い出すという任務も帯びながら、命からがら苛酷な砂漠を越え現地にたどり着いた寿美佳だったが、そこで出会った博士をはじめとする3人の労働者が語ったのは、寿美佳が全く思いもよらない背景だった……。
ここは見捨てられた場所、そして、途方もなく自由な土地――
「他の場所では生きられなくても」、今、自分の身体が、能力が、拡張していく。
人生の本質や、生と死の尊厳を、外から判断できるのか。
ほんとうの幸せとは何かに迫る著者の真骨頂。


                   (角川書店HPより)




SF小説?
でも少し先の話?


フリージャーナリストの寿美佳がオーストラリアのとある砂漠に収監されているという
クセナキス博士を連れ戻してきて欲しいと言う奥さんの希望を叶え
自分もジャーナリストとして、その地を実際に取材したいと現地へ向かう。


一歩間違えれば、即死しちゃうような過酷な環境へ。


情報で得ていたのとは少し違う。
仕事は過酷だけれど、自由が全くないというわけでもない。

終身刑の罪でここに送られたブロンドの男も親切で仕事も出来る。
彼は8年前、難民用の臨時施設内で致死率100%のウイルスが広まった際、全世界に
それが広まらないように施設内の人たち2678人の命を奪った罪によりここに。

自分の罪を受け入れているブロンドの男は、寿美佳や博士を手助けしてくれる
ここでは頼りになる存在。


最初は1日、滞在し、すぐに戻る予定だったが、戻るはずのトラックにトラブルが生じ
そのまま、そこに暫く留まることを決めた寿美佳。
一刻も早く帰りたいと言う気持ちが半減している。


昼間は摂氏60度の世界も夜になると気温が下がり、博士と一緒にロブスター釣りを
楽しむ。
実際はほぼサソリが釣れるのだけど、それも焼けば、まあまあの味とか。


酷い環境で働かされている博士を連れ戻してほしいという博士の妻の希望は
伝えるが、博士は、自分の意思でそこに留まっているし、戻る気もないという。
それを妻に話してほしいと寿美佳に伝える。


実際に体験してみないとわからないことは、あるんだな。


博士はここで最期を迎えることも望んでいる。
そして、それがその通りになり、満足だったんじゃないかな?



なかなか、面白かった。
篠田さん、色んな話を書ける人だなと感心。



                        ★★★★



発行年月:2024年8月


「愛の行方」を書きながら、そもそも「愛」ってなんなのだろうとずっと考えていました。 自分にとって大切な小説になりました。                               井上荒野 「姦通」していた男女が熊に殺された—。 閑静な別荘地で起きた事件は、愛に傷ついた管理人の男女と、6組の夫婦に何をもたらしたのか。 愛の行方の複雑さを描く傑作長編! 運命の人からきらわれたり捨てられたりすることもある。 「このふたりは姦通していた」何度読んでも笑ってしまう。まるで私宛の手紙みたいだ。                               —小林七帆 伽倻子と七帆はひと続きなのか? 結局俺は、伽倻子を愛したときから、ずっと同じことをしているだけなのか?                               —小松原慎一 そりゃあそうよね。男と女のことなんて、全部間違いみたいなものよね。                               —柊レイカ ふたりはとんでもなくうまくいっている、幸せな夫婦なのだから、相手の挙動の変化には敏感なのだ。みどりはアトリエに忍び込むことになった。そして知った。                               —神戸みどり テントの外には熊が、人食い熊がいるのだ。だが純一は、再び愛の体に没頭する。そう、愛に没頭するのだ。                                                             —野々山純一 装丁 大久保伸子 装画 杉本さなえ



                   (発行/春陽堂書)


別荘地でクマに殺された男女は、互いに既婚者で不倫関係にあったらしい。

衝撃的な事件があったけれど、その後は、穏やかな日常が続く。

別荘地に暮らしている人たちは、他からの移住者たち。


そこの管理会社の社員として
小松原慎一(28歳)独身。
そして熊騒動のさなか、東京から新たに赴任してきた小林七帆(25歳)。

二人の関係が、段々と近づいていく様子もよかった。
ちょっと似た者同士のかんじ。


住人たち
柊恭一&レイカ夫婦(70歳前後?)・・・・以前は二人で鍼灸院をやっていたが、ここで鍼灸師として働いているのはレイカのみ。
実は夫婦仲は最悪なのに、周りにはおしどり夫婦と思わせている。


扇田充琉&圭夫婦・・・東京から移住したばかりの新婚1年3か月。妻は妊娠中。
夫は広告代理店勤務。妻は<ワンダホー田舎暮らし>というYouTubeチャンネルをもつ。


井口文平&萌子夫婦・・・妻は東雲萌子として名が知られた作家。夫も元は作家だが最近は全く売れていないし執筆活動もしていない。


小副川孝太郎&小百合夫婦・・・夫婦で散歩が日課。仲がいい老夫婦。
夫は、すい臓癌で余命は短い。


野々山純一&愛夫婦・・・夫50歳、妻48歳。ペンション「愛と山」を経営。愛犬、レノン。
息子が大学進学と共に家を出て夫婦二人。妻は夫のギラギラし始めることが
嫌でスマホゲーム・テトリスに逃げる


神戸武生&みどり夫婦・・・60代半ば。週2~3回、ペンションのカフェコーナーに
訪れる。二人とも元は教師で夫は油絵、妻は染色を教えていた。



五味・・・熊に妻を殺された夫。トルコ料理店<kokkai>店主。




仲良し夫婦に見えても、離婚寸前の夫婦だったり、夫には言えない気持ちを抱えていたり・・
人には色々な事情があるものだな。
色々な人のいろいろな心のなかのことが巧く表現されていて面白い。

ちょっとしたいたずら心でクマに襲われた二人をのぞき見していた小副川夫妻が
可笑しい。
癌末期なのに、悲壮感がないのがいい。
病院で入院して迎える最期より、きっと幸せだろう。


突然、亡くなってしまったレイカには、びっくり。
人はいつ何が起きるかわからない。
日々を大切に生きなきゃな・・・と思う。



なかなか面白かった。
本の装丁も素敵!



                         ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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