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読んだ本の感想あれこれ。
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51vmC-CIYML__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年12月


息子とともに、幻の祖国へ
16歳年下の同居人男性と、10歳の息子。奇妙な家族で向かった先は----。ベールに包まれた「北朝鮮」を辿るノンフィクション。

わたしは、ただ見る。肯定的にも否定的にも捉えない。見ることによって現実に近づき、想像することによって現実から離れ、また見て、現実の只中に戻り、見て想像した対象を揺すり起こして文章を書く----。


                                           (講談社HPより)


この表題を見たとき、「あれ?柳さんは韓国籍なのに、北朝鮮へ行って何をしたのかな?」なんて思ってしまった。
韓国と北朝鮮は分断されお互いを敵視しているんじゃないか?と思っていたから。

しかし、冒頭に書かれているが、祖父が日本に渡ったときには朝鮮半島は南北に分断されていなかったし、もしかしたら北に居た可能性もあると。
だから朝鮮民主主義人民共和国は幻の祖国なのだと。

柳さんの祖父が長距離ランナ-としてオリンピックを目指していたという話は、以前、著者の「8月の果て」で読み、祖父が祖国を離れることになった経緯も読んだ。
なので、柳さんが北朝鮮に対して抱く感情は理解出来る。

そして、本書では2008年、2009年、2010年と北朝鮮を訪れたときのことが記録されている。
そこに描かれる北朝鮮の人々は、日本人と何ら変わらないかんじ。
笑顔で話し、冗談も言うし・・・考えてみれば当たり前なのかもしれないけれど、テレビで報道される北朝鮮に対しては暗く陰湿なイメ-ジばかりを植えつけられていたので、ちょっとした違和感さえ感じてしまった。
まあ、作家として広く知られている柳さんだから特別な扱いがあったのかもしれないけど。
しかし、柳さんが目で見て感じたここに描かれた北朝鮮も真実なんだろうな・・・・。

朝鮮半島の暗い過去の歴史を振り返ったり、いろいろと興味深いことも書かれていた。
あまり知らなかったポプラ戦争のリ・オッチさんの体験談には、ビックリ!
この方の半生だけでも物語が出来そう(実際あるのかも?)。

最後の章では、息子さんの丈陽(たけはる)君(10歳)と同居人の村上さん(26歳)が一緒。
柳さんの息子さん、こんなに大きくなったんだぁ~。
丈陽くんのお父さんにあたる方は病気で2000年に亡くなっていて、まだ生まれたばかりの息子さんを苦労して育てたのは別の書で読んでいたので、ここで母子が楽しそうに過ごす場面を見れたのは嬉しかった!
母親としての愛情も感じられるエピソ-ドも楽しい。

柳さんに言わせると、「日本こそ、霧の国」なのだそうです。
その言葉について、日本人として考えさせられることが多い書でもありました。


                                                                 ★★★★


 
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