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4e07918d.jpg   発行年月:2010年9月


   きっと生涯忘れない、子供たちとカミサマの物語

   「ヤドカミ様、僕の願いを叶えて」。
   行き場のない思いを込めた他愛ない儀式がやがて……。
   子供たちの切実な心が胸に迫る俊英の傑作!

                            (文藝春秋HPより)


舞台は鎌倉市にほど近い海辺の町。
小学5年生の慎一は、父親の会社倒産を機に両親と共に2年前、祖父の暮らすこの町に越してきた。
父親が亡くなり、今は祖父と母の3人暮らし。
祖父は、しらす漁をしていたが、海に投げ出される事故で片脚を切断している。

友達がなかなか出来ない慎一だが、唯一仲良くしているのはクラスメイトの春也。
春也も転校生。
酒癖の悪い父親の暴力に耐えている。

そして、クラスで最初に声を掛けてくれた鳴海。
鳴海の母親は、慎一の祖父の事故の際に、亡くなっている。


それぞれの子どもたちが抱えているものが重く暗い。
子ども同士の会話には、子どもらしいものはあるが、閉塞感が始終ある。

慎一と春也の二人の遊びは、ヤドカリを二人の秘密の場所で、神様に見立てて願いを叶えてもらう儀式めいたもの。
少々、残酷な方法だが、二人にとっては、それが抑圧されたものを解き放つ行為なのか?

仲良く一緒に居る二人だが、本音の部分では、お互いに抱く気持ちは、複雑。
途中からこの儀式のような遊びに鳴海が加わったことで、よりそれぞれの気持ちにザワザワしたような不穏な空気感が漂う。

子ども達の心理描写がすごく巧く表現されていた。

慎一たちの親たちの関わりもまた複雑に絡み合っていて、
それが更に慎一たちの心を乱す。

こんな環境に居なければ、きっと楽しい毎日を笑って暮らせていただろうに・・・・
なんだか苦しくなるような話でした。

ミステリ-の要素は、弱いし、道尾さんに期待する伏線が最後に見事に結びついて、アッと驚く結末はないけど、こういう作品も凄くいいな!

最近は、ラストに大どんでん返しのミステリ-から少し離れた作品が続いているけど、いろいろな作品をこれからも読ませて欲しい。


★★★
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