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読んだ本の感想あれこれ。
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5e537119.jpg発行年月:2010年5月


少年剣士の凛々しさが眩しい時代青春小説

山河豊かな小藩、少年剣士たちは兄の死や身分の葛藤を越え成長してゆく。子供と大人の境にある一瞬の美しい季節を瑞々しく描きだす


                     (文藝春秋HPより)

あさのさんの時代小説。
道場で日夜、強くなりたいと剣術の稽古に励む少年たちが生き生き描かれる。

新里林弥は12歳のとき、尊敬していた兄を何者かに惨殺されている。
剣術に長けていた兄が刀も抜かぬまま背後から斬られたとは、信じられない。
なぜ?誰が?
その疑問を抱えたまま成長し、二年後、兄から剣術を学んでいたという樫井透馬が現れる。
透馬の父親は筆頭家老。
いずれは透馬も父親の役目を継ぐ者かと思われたが、妾の子であり、父親の正室には息子もいるのだとか。

林弥の道場仲間である源吾や和次郎を加えての少年たちの会話は、時代は違っても興味のあることは同じとみえて、ちょっと微笑ましい。
遊女に通う源吾は、お調子者で憎めないキャラクタ-だったけど、後半、ある事件に巻き込まれ悲しいことに。。。。(/_;)

その事件が、林弥の兄を惨殺した事にも繋がっていて、驚きの事実もありで、お役目とはいえ、そんな事が出来るのか!?しなくてはならないのか?と、なんとも言えない虚しさを感じた。


明るく爽やかなだけでなく、その時代の酷な部分も描いていて、読み応えがありました。

それぞれの家の要となるべき少年たちのこれより少し先の話も読みたいな。


★★★★

PR
51KaGJDKu3L__SX230_.jpeg    発行年月:2010年7月

   夏の甲子園の圧倒的な空気に魅せられ、
   中学で本格的に野球を始めた瑞希。
   しかし、地元の小さな中学校では先輩たちの卒業に伴い
   エ-スピッチャ-がいなくなってしまう。
   このままでは、地区大会すら絶望的だ。
   そこに幼なじみでチ-ムメイトの良治が飛び込んでくる。

   「ピッチャ-、見つけたぞ!」
   しかし透哉というその少年は、心に傷を負っていて-------。

                                          (本の帯文より)


あさのさんの有名な野球小説「バッテリ-」から5年後の再び野球に打ち込む少年たちを描いた爽やかな青春小説。

「バッテリ-」は未読ですが、この話は、まだ新たな野球チ-ムが動き出したばかりの物語で、冒頭の中学生の地方大会で優勝したシ-ンから始まる。
そして、その場面から遡り、チ-ムの要であるピッチャ-の透哉と二人の少年・キャッチャ-の瑞希とファ-ストの良治の出会いから語られる。

瑞希と良治は幼い頃からの友達で、二人の会話が楽しい。
明るくて物怖じしない良治と物事を冷静に捉えて行動する瑞希。
性格は違うけど、二人との優しい。

そんな二人がワケありで転校してきた透哉と出会う。
透哉も優しい子。それゆえ、前の学校で辛い経験をしていて、母親の実家で一人暮らしの祖母・美沙子の元に一人で来ている。
学校にも行けず他人と話すのが苦手。

透哉に接し、透哉の心を少しずつ開いていく瑞希と良治。
その過程が自然で優しく、ジ~ンとした。
友達の存在って偉大だ!

まだ、始まったばかりのこのチ-ムが地区大会優勝まで辿った詳しい経緯も書いて欲しいな~。

夏のこの時期にピッタリの青春小説でした!

挿画は佐々木こづえさん。
この挿画も好き♪

★★★★

              

     
36801e0a.jpg   発行年月:2009年12月


   この世に思いを残して死んだ人の姿が見える----
   
   医者の娘おいちを巡る不思議ばなしを
   『バッテリ-』のあさのあつこが江戸を舞台に描く。

 
                           (PHP HPより)

 

町医者の娘・おいちは16歳。
母親を早くに亡くしたが、父親を手伝い長屋周辺にその日暮らしの生活を送る貧しい人たちの怪我や病気の治療に毎日、明るく接し、その働きぶりの評判も上々。

おいちには人にはない能力があり、父の元治療にくる人の気配を予め感じたりする。
が・・・夢のなかに現れ苦痛の表情の女の人は幾ら待っても来ない。
夢には度々出て来て、なにかを訴えている様子。
誰なんだろう?何を苦しんでいるのだろ?気になりつつ過ごすおいち。


ある日、伯母により、おいちに縁談話が舞い込み、その相手である男性の周りに起こっている不可解な死があることがわかる。
その真相は・・・・?

読みやすく、ちょっとミステリ-の要素もあり、なかなか面白かった!

おいちの亡くなった母親の姉・おうたとおいちの父・松庵のやりとりは、漫才のようで楽しかったし・・・
登場する人物たちが個性的で好感が持てる人ばかり(^^)

不可解な死の真相は、なるほど~というかんじで、ラストもすっきり。
最後は、皆が幸せになれたかな?

シリ-ズ化もあるかな?
おいちのその後もまた読みたいなぁ~。

時代物はどうも・・・・と敬遠してる人にも昔の雰囲気を楽しみながら難なく入り込めるお話だと思います。
小学生高学年くらいからなら、理解できそう。


★★★★
8fc7ef16.jpeg   発行年月:2009年12月


   怖い、切ない、あたたかい、多彩な物語が弾きだす

   父が秘めた生涯の恋、消えた女房が見せる奇妙な夢、
   深山に逃げ込んだ盗賊の顛末など今昔の境も
   夢現の境も自在な6つの物語


                        
(文藝春秋HPより)

先に読んだ「朝のこどもの玩具箱」に続いて、新聞掲載されたお話。
今回は、明るい雰囲気の話が多かった「朝の・・・」に比べると、不思議だったり、怖かったり、切なかったり・・・・・。

最初の話「仕舞い夏の海」は、若い頃、一緒に暮らしていたが突然、姿を消した女性・茉莉の事が忘れられない達樹だったが、今はもうすぐ30になる娘も嫁ぎ、妻と暮らしていた。
けれど、病に倒れ、余命も短いようだ。
妻・敏美は、故郷の海を見せてあげたいと娘と供に達樹を思い出の海に連れて行く。
故郷の海で思い出の女性に会わせてあげたいと思う妻の優しさが切ない。

そして、この話は最後「もう一度さようなら」に続いていて、予期せぬ続きが嬉しかった!
達樹と敏美の娘・雛子は夫・修一とやや冷え切った関係でそれをもう修復出来ないものか?と悩んでいた。
修一は過去に哀しい出来事を体験していて、そのためか他者と濃密に結びつこうとしない。
結婚して暫くから、修一との日々は長くは続かないだろうと予感していたが別れという決意はつけられず・・・・・
辛いだろうなぁ~。こんな状況が続いたら・・・・。

雛子もその母親の敏美もなんだか気の毒でした。
切なくて苦しい。


けれど、最後は、それぞれ夫に疎まれていたわけじゃなかった。大事な存在だったんだ!と気づけて良かった!

ほかの話もそれぞれ、文句なし!
時代物の2作「恋女房」と「蛍女」は、ちょっと妖しく怖かった。

「うちの猫は鼠を捕りません」は、SFとホラ-の要素で最後はゾッ!(;O;)

「お花見しましょ」は、ちょっと切ないけど、最後は明るくて良かった。

6つのお話、どれも良い!
やっぱり、あさのさんは凄い!

短編集でひとつひとつがそう長くなく、いろんなテイストが詰まっているので、
今まで敬遠していた人も是非、読んで欲しいな~なんて思う本です(^^)

★★★★★
45e4a822.jpeg発行年月:2009年10月


著者初の神話モチ-フのファンタジ-小説。神様たちの織りなす6編の話と書き下ろしを収録。表紙は大人気コミック作家CLAMPが担当!


                    (学研出版サイトより)



物語は、某国の石窟の中から、大量の羊皮紙が見つかったところから始まる。
その羊皮紙には、遥か昔、神と人とその間にいる箜(クウ)が一緒に暮らしていた頃の記録が綴られていた。

あさのさんって、凄い!
今度は神話の世界をファンジックに書き上げていました!

神だけが登場する神話は他にもあるけど、神と人、そしてその中間的な立場のクウが共に生きる世界は独特でした。
ここではいろいろな神が登場。

主な神は・・・
グドミノアは、美しい瞳を持ち美形の死を支配する神。
フィモットは、容姿はみにくいけれど、優しい心の持ち主で沼とそこに住む生き物を支配する神。
ピチュは自由気ままだけれど、ちょっと憂いもある風の神。

他にも、人間に恋をしてしまう神がいたり、人間を友達にしている神がいたり。。。

神様とは言え、完璧ではない人間と似たような感情を持ち悩んだり苦しんだりしている。

わたしが一番、好きな神は死を司るグドミノアかな?
イケメンだからじゃなくて・・・・^^;
話すことが、結構、哲学的。
死を司る神ということで、現れると、怖れられる神様だけど、
もしも死が訪れなかったら?その方が余程、苦しいという話をする場面はなるほど!と思いました。
死は救済でもあるのだ・・・う~ん、深いはなしだ。

神はいつまでも死なない・・・そんな事を羨む人間の方が本当は楽なのかも。


話としては最初の話
「リュイとシムチャッカの話」とその後日談的話の最後の「終わりと始まり」が好きでした。

シムチャッカは雨と雲を司る神だったが、細工職人のライシに恋をし、ライシの死後、大神に一緒に居られるようにして欲しいと望み、2つの花に姿を変えて貰う。
姉を亡くした箜の弟・リュイはその後、哀しみを越えて成長する。
そして友達が大神の怒りをかったため処刑される窮地を救おうと懸命に知恵を働かせる。

友の窮地を救う手助けとして、姉が生きていてくれたら・・・・と思いながら、沼の神・フィモットの力を借りるリュイの懸命さには打たれました。

短編集ですが、同じ神がいろんな場面に登場してくるので、それぞれの神にも親近感が沸いてきて、もっといろんな場面に登場するこれらの神の話が読みたいなぁ~なんて思いました。
続編書いてくれないかなぁ?

表紙の絵は、人気コミック作家さんのCLAMPさんだそうですが、そちら方面に疎く全く知りませんでした^^;
でも、この表紙の絵はいいですね!
神様たちのイメ-ジが膨らみます。
アニメ化されるのもいいなぁ~なんて勝手な想像したりして・・・。

★★★★

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