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読んだ本の感想あれこれ。
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6365efe9.jpg   発行年月:2010年2月


中学生のころ、特別な存在だった彼との再会。
「死」をふと身近に感じた、あの日から
置き去りにした「過去」へと揺れ動いていく------。


癌と診断されながら、ほぼ完治したように見えるなか、
彩子は夫から勧められた会員制プールに通う。
そこで声をかけられたのが、中学校時代の同級生・光洋だった。

当時は早熟で独特の雰囲気を放っていたのだが、
かつての面影はない。

しかし夫の言葉が、
時を隔てた再会に微妙な色合いを与えるのだった……
(「スターバト・マーテル」)

表題作ほか1編を含む、
悩める女性たちに贈る篠田流スパイシーな恋愛小説。


                                            (光文社HPより)


表題作の「スタ-バト・マ-テル」は、ちょっと重い。
乳がん手術後、卵巣に転移の可能性あり手術を待つ身の主人公・彩子。
夫は妻を励まし、常に前向きな態度でいる。
でも彩子には、その夫の態度がどこかしっくり来ない。
そして、夫の勧めで通い始めたプ-ルでかつて同級生だった男性・光洋と再会。
彼とのちょっとした思い出。
二人は度々会うようになり、クリスマスは夫婦で食事に来て欲しいと光洋に誘われる。
あら?単なる不倫話じゃないんだ?と思ったら・・・
そこからが、面白かった・・・・というかどんどん暗闇に進んでいったかんじ。

重苦しいかんじだったけど、主人公の彩子は、それで幸せだったのかな?
でも、彩子の夫の立場で考えるとちょっと辛いな。


もうひとつの話「エメラルド・アイランド」は
ある一組の結婚式が高級リゾ-トアイランドで催されるため、集った人たちの話。
結婚するカップルのほか、新婦の友人たちと新婦の母親。
そして、ツア-で参加し、同じ島に滞在の井原という中年男性。

新婦・千晶は母離れ出来ていないかんじで新郎・秀樹にちょっと同情しちゃいました^^;
千晶ママは、苦労して千晶を育てているらしく、なかなか愉快で好感持てたけど。

ドタバタした騒動が起きて、大変な目に遇うんだけど、なんだか楽しい。

ちょっと今までの篠田さんの作品とは違うかんじで面白かった。
こういう話もたまにはいいかも。

あまり頭を使わず楽しめる2作だったけど、大きな感動とかはなかったかも。

★★★
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7bc308ed.jpg発行年月:2009年7月


田園を美しく輝かせる一瞬の光が、雪国に厳しい冬の訪れを告げる-----。封印されていた一枚の絵が脚光を浴びたとき、「閉じられた天才画家」は妻の元を離れ、郷土の人々の欲望と疑心がうごめき始める。著者の新境地を示す傑作長編!


                     (日本経済新聞出版社HPより)

読み始めから暫くは、これはどういう話の展開になっていくのか?
と全く、わからず少々、戸惑いましたが、それを過ぎると(1/4くらい?)、面白くなっていきました。

物語は、人気のあるタレント兼エッセイストが書いた書のなかに、世間では知られることなくこの世を去った画家「宮嶋哲郎」の絵を絶賛する件があり、読者の反響を呼び、雑誌に関わる仕事をしている男・橘が画家のことを自分で詳しく探ろうとする。

絵の所有者を訪ねながら絵を実際に見、悪くないと直感し、その画家の画集を出せないものか?と思う。

都会でなくずっと地元に留まり絵を描き続けた宮嶋を郷土の誇りと支え続けた人々にとっても画集により多くの人に認められることは嬉しいこと。
画集出版にも乗り気。

しかし、そこに大きな壁となった人物=画家の妻。

画家・宮嶋哲郎が世に知られ評価されることは嬉しいに違いないが、自分の把握していない絵については贋作と言い張り、画集に載せることを拒む。
その姿には狂気じみた感もあり不気味。

しかし、夫婦の歴史を知り、どれだけ妻・智子が画家・哲郎を献身的に支えてきたのかがわかるとその発言も納得出来る部分もあり・・・。

妻の元を一時離れ、寺にこもるように描き続けた作品が人には素晴らしい物と評価されるのは面白くなかったのでしょう。
「母子像」や「自画像」には特に嫌悪感すら抱く。

画家である夫が自分にとって全てであり、夫も同じであったはずと思いたい妻の強い思い。
その思いが起した事は、何とも身勝手な行動でした。

しかし、考えると結構、ここに出て来る人たちって身勝手な行動してるのね。
橘だって、智子を騙すこと言ってたし、絵を管理してる人たちも、本音の部分では自分たちの利益を考えてるでしょうし・・・
哲郎が世話になった寺の住職の後妻・多津子も結構、したたかで怖いなぁ~と思った。

最後の方、焼失したと思った絵は実は無事だった?の話は「え!?」と驚いた。

1千万で買えば、それは1千万の価値の物になる・・・なるほど・・・。

価値があると信じた物は、他に鑑定など無闇に頼まない方がいいんだろうな。
なんてちょっと思った。

読み応えあったし、面白かったけど、少々、疲れたな・・・^^;

そして・・・・この表紙のは、絵なのかな?写真なのかな?
物語にすごくよく合ってる!
なんだか不思議な魅力を感じます。

★★★

2851ec4d.jpg  発行年月:2008年12月


38歳で国家公務員エリ-トの道を捨てた男・鈴木正彦。
妻からは離婚を言い渡される。
そして、女性関係で人生をしくじった男・矢口とともに宗教を立ち上げた。
金儲けのために立ち上げた宗教だが、彼らの予想を越え、信者が集まり、やがて、二人の手を離れてそのなかの信者たちが暴走を始める。

 

上巻、469ペ-ジ。
下巻、445ペ-ジと、長いです。
が、長さを感じさせない、飽きさせない話の展開でした。

大学の法学部出の主人公・正彦が何故、エリ-トの道を約束されたも同然の人事内示を機に辞職するのかは、本を読めば、わかりますが、これでは、妻から離婚を言い渡されても当然でしょう。

そして、アメリカの貿易センタ-ビルに飛行機が2機突っ込む事件をみて「実業の象徴が宗教によって壊された」と呟き、事業としての宗教を営もうとする・・・・

頭の良い人の考える事はよくわからんわ~というイヤな印象からスタ-ト。

実際に「聖泉真法会」という似非宗教を立ち上げるのだが、予想を超えて、信者がどんどん集まって来ちゃう。
正彦は教祖様として、説法を述べ、それがまた人々の心に響き、世間の評価も上がってくる。
上巻はそんな、トントン拍子に良い方向に向かう教団の様を描いていました。

そして、上巻の最後あたりから、やや不穏な空気がジワジワ。
評判の良い宗教には、自然と名のある事業家、政治家などが絡んで来るのです。
正彦たちの知らないところで、知らないお金が動いたり・・・・
同じような宗教団体が、脱税疑惑で逮捕者を出す、その流れで正彦たちも容疑を掛けられたり・・・

世間にも宗教団体は星の数ほどあるでしょうけど、その中の教祖と呼ばれる人たちは、多かれ少なかれこういう苦労を抱えているんだなぁ~なんて読みながら勉強になりました。

信者が多くなれば、いろいろな人も居て・・・そのなかの信者が暴走。
彼らに罪の意識がないのは、自分たちは良いことをしているのだと信じているから。

正彦は、教祖と言っても、普通の人。一般の常識人。
最初は、詐欺まがいの事を始める変な人の印象が、段々と周りの信者たちが普通でない感覚で行動しようとするなかで自分の常識で、なんとか暴走する信者たちを抑えようとする姿は好感が持てました。
そして、ついに、自分が作った宗教に自身が追い込まれるのですが、その時も逃げずに立ち向かう姿は、なかなか格好良かった!

しかし、宗教に本当にのめり込んだ人たちって恐ろしい。
そうなってしまうまでの背景には同情するべきものが多いのですが、救いを宗教に求める現代社会の闇の部分も感じ、なかなか深い話でした。

篠田さんの作品、久しぶりでしたが、面白かった!

   ★★★★

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