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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2018年7月


第53回吉川英治文学賞受賞!
私たちの「先生」はいったい誰だったの?
「聖母」の正体をめぐる、傑作長編サスペンス。

                  (集英社HPより)



少し前の作品。

かなり厚い本だけど、筆力のおかげでスラスラと読める。
けれど・・・かなり重たい。
気が滅入りそうになる。


薬物やアルコール依存、性暴力、DV被害などにより心的外傷を負った
女性たちの社会復帰を手助けするための施設「新アグネス寮」。
そこで先生と呼ばれ慕われていた女性・小野尚子(67歳)と職員の榊原久乃が
寮の火災で亡くなった。
二人は、逃げ遅れた母子を助けるために炎のなかに入り、母子を助けた後
建物と一緒に焼けた。


が・・・榊原久乃と一緒に見つかった遺体は、小野尚子ではないという。
じゃあ誰なんだ?というところから始まるミステリー



フリーランスの記者・山崎知佳は、生前の尚子にインタビューしていた。
小野尚子に成りすましていたのは、半田明美という小野尚子より6歳若い女性。
半田明美とは、どんな人なんだ?

そんな半田のことをとんでもない悪い女だと記事にしていた長島。

長島の意見を参考にしながら、半田明美について調べていく山崎知佳。


身近な存在の男性4人を次々、殺害した半田明美。
そんな人が、小野尚子と出会ってしまった。
自分のことしか考えていない。
そして、小野も亡き者にして、身代わりになって生きていく。
最初は、自分の保身のためにやったことだったけど、アグリス寮のなかでは
正に聖母の言動。
演技でやっていたとしても365日、ずっとやっていたのは、凄い。



う~ん。実際は、こんなこと無理だろうな。
小野に成りすまして、外国から帰国って出来ること?
ま、これがないと物語は成立しないから置いておくけれど・・・


最後の最後に半田明美の日記にようなものが見つかり、彼女の生い立ちとか
明かされる。
でも、この部分を生きていた半田明美の言葉で読みたかった。
一緒に亡くなった久乃との関係ももっと深くしりたい。


二人して母子を助けて焼死してしまったけれど、その道を選ぶまでの
二人の物語を詳しく読みたかったな。


でも、おもしろかった。



                      ★★★★


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発行年月:2020年4月

専業主婦の美佳は、夫の大介がいまだにかつての友人たちと遊んでいることに不満を募らせていた。特にその中にいる吾妻智子の存在は、美佳の心をよけい不安にしていた……。「マドンナのテーブル」。
円満離婚が成立し、実家に戻った亜希子。ある日、同居中の母親の様子がおかしいことに気付き、病院へ連れて行くと、医者から告げられたのは母の「認知症」だった……「夜の森の騎士」。
日常の中にある、男と女の微妙な関係性を描いた5編の短編集。

                           (光文社HPより)






5編のうち最初の2つは繋がっている。
市民吹奏楽団のメンバー内の人間模様。

なかでも、津田孝正が2つの話の中心人物。
端正な容姿で能力もあり、社会的にも大学教授という地位にあるが、
本人は、世事に疎く、およそ悪気がないが空気がよめないばかりに誤解を与えてしまう。

憎めない男なんだけどなぁ~。

最初の話では、ストーカー扱いされちゃって・・・・(/_;)
でも2つ目の話では、遭難した真美の救世主になる。

幸せになってほしいなぁ~。


3つ目の<マドンナのテーブル>は、美佳みたいな女性に共感できず
夫が職場の仲間たちと飲みに行ったり、遊びにいくのが気に入らない。
そのなかに一人いる女性の存在も気になるとか。

そんな場に自分も参加して楽しいはずがないじゃん!と思った。


面白かったのは次の<六時間四十六分>
アメリカ在住の娘に会いにいく。一人は不安なので、友人の女性と、知り合いの男性医師も
同行することになり、楽しい旅になるはずと思っていたら・・・

同行した二人は実はお互い家庭があるのに、不倫関係にあって・・・
それで単独行動した先で、知り合ったハーフの中村。
娘にとって仕事上、実は大事な人とわかる。

このあとの展開もちょっと知りたかったなぁ~。


最後の<夜の森の騎士>は、離婚して実家で母親と暮らすことになった亜希子。
母の認知症が進み、MRIで能に血種が見つかり、手術。
入院中、ほかの人が触れると暴れ拒否するということで泊まり込みになる亜希子。
母はレントゲン技師には抵抗しない。
そして自分も彼の言葉に救われる。

暗い重たい話だけれど、最後は救われた亜希子に良かったなぁ~と思った。



それぞれ、読み応えのある作品でした!


                                ★★★★







発行年月:2019年3月


 人が生きてきた時間を封じ込める――それが、肖像彫刻。芸術の道を諦めて、八ヶ岳山麓で職人彫刻家として再出発した正道。しかし彼の作品には、文字通り魂が宿ってしまうのだった。亡き両親、高名な学者、最愛の恋人……周囲の思惑そっちのけで、銅像たちが語り始めたホンネとは。人間の愚かさと愛しさが胸に迫る人生賛歌。

                     (新潮社HPより)




今までの作風とちょっと違って、ユーモアありちょっとオカルトっぽさもありの
温かい物語だった。

妻と幼い息子と別れ、姉の口利きで山梨県の農村に移り住む。
お金がなくても住むところと時々、お惣菜や食べ物を持って来てくれる
大家家族に助けられる正道。

作品制作しながら、美大時代の仲間・富沢の鋳造書でバイトしながら作品づくりも
手伝って貰えるという好都合の環境。


そして始めた肖像彫刻。
HPで宣伝し、依頼客が来る。
その話が短編連作の形で綴られている。

正道が造った肖像彫刻には、不思議なことが起きる。
まるで生きて居るかのように、会話したり、動いたり・・・。

7つの話のなかでも5話の<最高峰>が傑作だった!
著名な教育者で『日本の智の最高峰』と言われた父親の像を
造ってほしいと依頼したのは娘。


父親は殺されたのだと怒る娘。
殺した相手は、父が介護者として家に入れて親しくしていた女だという。
戸籍にはいつのまにか妻とあり・・・


名誉があって財産があっても、やはり一番、欲しいのは自分を大切に
想ってくれる人の存在なんだなぁ~。
後妻女は、それを誰より満たしてあげた存在だったんだなぁ~。


最後の<寿老人>では、元妻の依頼を受ける正道。
これがキッカケでまた新たなつながりが出来るのもいいかもね~。


どの話も面白くて、さすが篠田さん!というかんじ。



                       ★★★★★



発行年月:2017年3月

「これはこんなもの」「これはこうあるべき」のイメージがひっくり返される楽しい瞬間を味わっていただけたら幸せです。(あとがきより) 

ボルネオの熱帯雨林、イタリアのアグリツーリズモ、地中海の驚きの世界、チベット、先住民のインド、そしてヒトの進化のゆくえまで……小説家が「知の旅」をたどる!

取材旅行の秘話から好奇心にかられての冒険エピソード、生まれて以来住み続ける地元・八王子への思いなど充実のエッセイにテーマも多彩な対談の数々。

おもしろ話満載、著者初のエッセイ&対談集!

創作の秘密、辺境グルメ、クラシック、生物進化学……思わずニヤリ、聞いてうなずく名対談も収録!

夢枕獏/林 望/垣根涼介/瀬名秀明/森本哲郎/桐野夏生/長谷川眞理子(登場順、敬称略)

取材旅行カラー写真も16ページ掲載!


                     (小石川書店HPより)




篠田さんの作品は幾つか読ませて貰っているので楽しく読みました。
こんなに、あちらこちら海外に行っているとは!
しかもチベット高原を鉄道で2千キロの旅とか。

インド人も行かないような田舎まで行って、食べ物もなんだか怪しげで
わたしなら絶対、ムリ!

でもこういう風に色々な体験して、小説のヒントを得るんでしょうね~。


いろんな人との対談も面白かった!

森本哲郎さんと夢枕貘さんとの世界辺境グルメ自慢は、驚きの料理がいっぱい!
ハエとか、血とか・・・・きゃ~な食べ物話で盛り上がる3人。

それと桐野夏生さんとの対談も良かった。
二人とも好きな作家さんなので、会話からまだ読んだことがない作品の話が出て
それは是非、読まなきゃ!なんて思ってφ(..)メモしました。


桐野さんの「残虐記」と篠田さんの「コンタクトゾーン」。
これは近いうちに必ず読みたい!



                         ★★★
 




発行年月:2016年5月


 太平洋に浮かぶ美しい島、ミクロ・タタに棲む愛くるしい両生類。
彼らは島の守り神と言われている。

ところが、インフラ整備のために泉をつぶしてから
島の異変が始まった。

真っ黒で俊敏なトカゲのような生物が、昼となく夜となく島民を襲う。
咬まれると口中の毒でショック状態に陥り、最悪死ぬ者も出てきた。

広がり続ける被害。しかしこれは始まりに過ぎなかった……。

                  (講談社HPより)



表題だけ聞くと、御伽話っぽいSF?と思いましたが・・・
これは恐ろしい話でした~(;O;)


動物の生態系を人が壊すと、こんな恐ろしい事態にもなりかねないという
著者からの警告のような話。
可愛いトカゲのような生き物ウアブ。
島の開発事業により、その生き物が絶滅の危機に陥ることを憂い、池に移動させたあと
可愛かったウワブが驚異的な攻撃力を持つトカゲに変異して、動物や人をも
襲う。
その描写がなんともグロテスク・・・^^;


で結果的に収束したのですが、何やら、また悲劇が繰り返しそうな予感を
抱かせるラストにゾゾ~ッ。


こういうこと、現実にも起こりうる?と考えたら怖くて・・・・。
ヘタなホラー小説より怖い話だと思う。


また、この表紙絵も怖い。
本を読んでいるときも閉じても不気味で表紙を見えないように
置いておきました^^;


                           ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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