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読んだ本の感想あれこれ。
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7d893c1d.jpeg   発行年月:2012年1月


   小劇団を主宰する大輔と瑞穂夫婦は、児童養護施設に暮らす小学生のひなたを週末だけ里親として預かることなった。天才的子役の才能を持つひなたをめぐり、瑞穂、大輔の三者三様の視点で、現代の新しい家族の在り方をコミカルに描く長編小説。



                              (朝日新聞出版HPより)



大輔・瑞穂の夫婦とひなたの関係が、ほのぼの。

施設で催されていた劇で主役を務めていた、ひなたの演技力に驚嘆して、週末里親に、ひなたを受け入れることに決めた大輔たち。
大輔が依頼人から頼まれた設定の通り、完璧な演技をするひなた。

病気の老人を見舞う孫娘を演じたり・・・・
そして、大輔の主宰する劇団の舞台にも立つようになる。

当初は、子どもの役者が欲しくて、ひなたを預かっていた大輔たちだったけれど、ひなた自身に愛情が沸いてくる。


瑞穂は、無性愛者という変わった設定で、大輔と夫婦ではあるけれど、夫婦という関係を築いていることで世間的に暮らしやすいからという割り切った考え方。

そこにひなたが入ることで、他人からみれば、子どもがいる家族。

ひなたには、母親が居るのだけど、育児放棄の末、施設で暮らすことになった為、母親に対しては嫌悪感しか抱いていない。

終盤、大輔の言った「・・・・俺と瑞穂とひなたは、3人のチ-ムなんです」という言葉はいい!
無理に家族になろうとしなくても、良い人間関係を築いているチームと思えば、ひなたも受け入れ易いでしょう。
10歳のひなたが、大輔夫婦と知り合い、今後も成長しながら、このチ-ムが継続していったら素敵だな。


シェークスピアを愛する大輔のせりふも面白かった♪


                                           ★★★
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417FpcF9QLL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年1月


有人潜水調査船〈しんかい6500〉の女性初のパイロットを目指す深雪。
深海に棲む未確認巨大生物を追い求める浩二。
目的は違えど想いは一つ「深海へ」。
海洋調査をめぐる冒険恋愛小説の傑作!



                         (幻冬舎HPより)



面白かった!

独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の存在を今まで知らなかったけれど、ちゃんと実在する機関で<しんかい6500>で深海の闇を日々、探索しているとか。

この物語の主人公は、天谷美雪。深海を潜る有人潜水調査船のパイロットを目指している。
父親もかつては同じ機関で、海洋調査技術の専門家として、調査船の開発に関わり幼いときから、父の話はよく聞かされていた。そして自分もいつか父の造った船で深海を調査したいと思っていた。

そして、同じような想いで中途採用されてきた高峰浩二。
彼の父親は深海生物学者で、以前、深海に潜り<白い糸>のような生物を見たと言っていた。
その糸の先には閃光があり、新種の生物だと確信したが、ほかの者にはその主張が認められることなく、つい最近、海に転落死している。
自分は父親の見たものを確認する為に、今までの勤め先を辞して来たと言う。

当初、そんな高峰に、訓練をずっと続けている自分ですら深海に潜れるかどうかわからないのに、新参者の身でそんなことを言うのは場違いだと憤りを覚える深雪。

二人の関係が衝突しながらも同じ思いでいる者同士ということで、和解していく様子が良かった。

そして、突如現われた深雪の弟・陽生(小4で10歳)。
深雪の両親は離婚していて陽生は、父の再婚後の息子。

二人はわけあって一緒に暮らすことになる。
この二人の関係も面白かった。


深海探索にかける者たちの思いとともに登場人物たちの人間関係も面白く読めた。

四方を海に囲まれた日本。
深海探索が進めば、いろいろなことがどんどん発見されていきそう。

この物語のなかに登場した新生生物だって、見つからないだけでどこかにいそうな気もするし・・・
なんだか夢が広がるような話だった。

参考文献もたくさんで、いろいろ資料を集めて勉強して書かれた物語なんだと思った!

「マタタビ潔子の猫魂」でダヴィンチ文学賞大賞を受賞してデビュ-。
本作が受賞後第1作目となるらしい。

デビュ-作も是非、読んでみたい!!


                                         ★★★★★

 
5135kRCX0ZL__SX230_.jpg   発行年月:2011年10月


   東京ディズニーランドを舞台に、ウォルト・ディズニーが最も信頼した清掃員、「そうじの神様」ことチャック・ボヤージン氏と、カストーディアル・キャスト(清掃スタッフ)たちが繰り広げる感動物語。「働くことの本当の意味」を問いかける。



                           (ソフトバンククリエィティブHPより)



著者である鎌田氏が体験したことを物語り形式にしている本。

物語は4つ。
「夢の国の落し物」
「月夜のエンタ-ティナ-」
「魔法のポケット」
「夢の、その先」

ディズニ-ランド内の掃除を、夜じゅうかけて行っている人たちの物語。
最初は、掃除の仕事にあまり誇りを持っていなかった者。
家族には仕事内容を偽っていたり・・・・・
また自分は誇りをもってやっているのに、家族から「大学まで出て、そんな仕事をしてるなんて・・・」と思われたり・・・・。

けれど、ちょっとしたことに気づくと、掃除も大切で誇りを持てる立派な仕事なんだと思えるという内容。
最後の話は、著者がディズニ-ランドで働きたいと思ったキッカケかな?と思える内容のものでした。

物語を通して登場するス-パ-バイザ-(管理者)・金田が、著者なんでしょう。

自分が経験したことをそのままでなく物語として書いたことが、面白い。


そして、こんな風に仕事に誇りを持って働く人ばかりのディズニ-ランドって、やっぱり素晴らしいなぁ~と思った。

金田が直接、指導を受けたアメリカのディズニ-ランドの初代カスト-ディアル・マネ-ジャ-であるチャック・ボヤ-ジ氏の言葉には素敵な言葉がいろいろ。

一番、心に残ったのは・・・
「そうじは汚れているからするのではなく、汚さないためにするんだ」

なるほど!!

短い話ですが、良いお話でした(^^)   


★★★
 
41I192DRChL__SX230_.jpg    発行年月:2011年12月


   劣悪の環境から抜け出すため、罪無き少年は恐るべき凶行に及んだ。
   25年後の夜。大人になった彼に訪問者が。
   それは、救いか? 悪夢の再来か?

母に捨てられ、父に殴られ、勉強もできず、リコーダーも吹けない。
そんな俺でも、いつかなにかができるのだろうか。

河口近くの街の、掃き溜めの居酒屋「まつ」の主人、藤太。
客との会話すら拒み、何の希望もなく生きてきた。
ある夏の夜、幼馴染みの小学生の娘が突然現れた。
二人のぎこちない同居生活は彼の心をほぐしてゆく。

しかしそれは、凄惨な半生を送った藤太すら知らなかった、
哀しくもおぞましい過去が甦る序章だった。

今、藤太に何ができるのか?

この切なさ。この高まり。遠田潤子に注目!


                                       (光文社HPより)


なんと切なく哀しい物語なんだろう。
泣けるというより、胸がしめつけられるように辛い。

主人公の中井藤太40歳は、父が営んでいた居酒屋「まつ」を一人でやっている。
店の様子は、うらぶれているかんじ。
けれど、そこに集う常連客たちは、明るく店の雰囲気としては悪くはない。

そこにある日、小学生の女の子・ほづみを連れて、中学の同級生・秋雄が訪れる。
秋雄は、藤太とは違うエリ-トの道を進み、東大卒の弁護士になっていた。
いづみを暫く預かって欲しいと500万円とともに置いて行く。
ほづみは、同じく中学のとき仲のよかった子で3人はいつも一緒だった。
そして、3人には共通する悩みがあった。

それぞれの親は最低な父親。
酒が入ると暴れ、暴力をふるい、3人の父親は、賭けマ-ジャン仲間でもあった。

親が違っていれば、もっと楽しい毎日が送れるのに・・・
ついに秋雄と藤太は、それぞれの父親たちが、とんでもないことをしていることに気づく。


絶対に赦せない!!そして、計画するあること。


大事に思っているいずみのために犯す罪。
けれど。。。。終盤、その犯した罪により、さらに、いずみが辛い目に遭っていたことを知る藤太。

いずみの気持ちを考えると、本当に辛い。

表題の「アンチェル」は、有名な指揮者・カレル・アンチェルを指し、彼はチェコフィルハ-モニ-管弦楽団に属しているが、第二次大戦中、チェコはドイツに占領され、アンチェルはユダヤ系だったため、ポ-ランドの収容所に送られ、家族はそこで全員、亡くなっているそう。
アンチェルが指揮する楽団が奏でる、「新世界から」の曲が3人の思い出の曲になっていて、それを聞いて感銘を受けた藤太たちの気持ちがまた泣ける。

「蝶」についても藤太・秋雄・いずみにとっては、忘れられない思い出がある。


兎に角、暗くて、読んでいるのが辛くなることばかりですが、先が気になるお話です。
デビュ-作久の「月桃夜」を読んだときも衝撃的でしたが、これもまた凄い!!

しかし、辛い話の最後には、今回もちょっと光のようなものが見えたのが救いでした。


この表紙の絵も、儚げでいい。
蝶にも見えるし。

次回作も期待してます!!

★★★★★

 
71esmayEh8L.jpg   発行年月:2011年7月


   わたしは一体、どこから来たのだろう?

   先祖は江戸時代に和歌山から千葉へ逃げてきた漁師で、
   屋号はなぜか「コンニャク屋」----!? 
   気宇壮大なルーツ探しの旅が始まる。


                              (文藝春秋HPより)



著者のおじいちゃん、そのまたおじいちゃん辺りまでを入念に調べて書き上げたノンフィクション。
家族のル-ツをどんどん遡り見えてきたもの。

自分がここに今、存在するのは、その前にず~っと続いてきた物語があるんだということを改めて考えさせられた。

著者の祖父が病気で亡くなり、その前に何やら懸命に書き留めていたものがあったな・・・・というところから、それを見つける。
みるとそれには、祖父の記憶のあれこれが書かれていて、それを元にあちこち(東京、千葉、和歌山)に足を運んで調べていくうちに自身のル-ツも見えてくるという話。

祖父は、漁師の6男だった。名前は量太郎。
その名前のになった経緯も面白かった。
漁師たちの暮らしぶりも粋で、厳しい自然を相手に海の上では床一枚を隔てたところに地獄がある。落ちたらお終いだという考え方も納得。
そんな緊張感があるから、陸の上では明るく元気なノリなのか?

漁がだめなら、おでん屋を・・・という考えもユニ-クで、そんな臨機応変な暮らしぶりも魅力的。
コンニャク屋のおばあちゃん、かんちゃんが凄く可愛い♪



素敵な一族の血をひく自分がいるっていうのは、すごいことだな。

自分のル-ツも知りたくなるけど、既に両親の親は他界してる。
祖父母が生きているうちに、曽祖父母や曽曽祖父母の話を聞いておけばよかったな~。

せめて、子どもたちにはわたしの両親の親の話を今度、聞かせてあげよう!


                                         ★★★★
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