発行年月:2013年10月
色とりどりの白昼夢
よく耳にするありきたりなひと言。しかしその言葉の裏にはじつに奇妙な物語が潜んでいるものだ。白昼夢のような短篇25篇が色とりどりにきらめき連なる小説集。
(筑摩書房HPより)
25編から成る短編集。
よく耳にする言葉がお話の題になっているけれど・・・・
表題作であり、一番最初の話<ささみみささめ>は、奇妙なことば。
<ささみみささめ>
これからナイショ話をするぞ-------それは身内だけで通用する隠語。
その言葉を聞いたら、同じ言葉で返す-------承知した、誰にも言わないと約束をして
話を聞く。
父が祖父から亡くなる寸前に聞いたこと。
ちょっとした謎があって、真相はハッキリしないけれど、なるほどと思えた。
他には・・・
<ああどうしよう><ちからしてるけど><あしたは晴れる><行ってらっしゃい>
<おかけになった番号は><ママにはないしょにしておくね!>
<きみは、もう若くない><あなたにあげる><ウチに来る?><名刺をください>
<一生のお願い><ヒントはもう云ったわ><ありそうで、なさそうな>
<もう、うんざりだ><わたしに触らないで><ウチ、うるさくないですか?>
<ドシラソファミレド><すべって転んで><ここだけの話><スモモモモモ>
<春をいただきます!><最後尾はコチラです!><悪いけど、それやめてくれない?>
<こんどいつ来る?>
サスペンスっぽい話、主人公がお気の毒な話、オチが不気味な話、ちょっと心温まる話
いろいろな要素で楽しかった♪
お気に入りは、表題作。
あとは、似たようなシチュエーションなんだけれど、
<ヒントは云ったわ>
祖母から結婚が決まったら、七色の宝石で飾った冠をつけた天女像をあげると云われていた親戚で唯一の女の子だったエリカ。
5歳年下のボーイフレンドに婚約者のふりをさせて祖母に会いに行き、天女像の
ある場所を聞き出そうとする話。
おばあさんの粋な計らいがいいなぁ~。
<ドシラソファミレド>も良かった。
こちらは施設入所している父と娘の物語。
小さいころの優しかった父親の姿って、いくつになっても思い出として
残っているもので、心通う会話が久しぶりに出来てよかったぁ~(;_;)
ちょっと感動の物語。
「もろびとこぞりて」が「ドシラソファミレド」とは、気づかなかったぁ~。
長野さんファンには嬉しい短編集。
長編とは違う魅力が詰まっていました♪
★★★★
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発行年月:2012年11月
祖母が遺した手帖には、激しく秘めやかな愛の日々が克明に記されていた――。

留守がちだった両親にかわって、いつも傍らにいてくれた優しい祖母。挙式を前にしたわたしは、祖母が遺した一冊の手帖を発見する。そこには、結婚後、保養先で出会った「帰還兵」との秘めやかな愛の日々が記されていた。父はいったい誰の子なのか――。注目のイタリア人女性作家による官能とユーモアを湛えた魅力的な物語。
(新潮社HPより)
祖母の手帖に書かれた恋の物語。
語り手は、結婚を控えた祖母の孫。
子どもの頃から、記憶にあるのは、美しく優しい祖母の姿。
しかし、手帖に書かれていたメモは衝撃的なことばかり。
祖父との結婚した理由も変わっている。
二人の間に愛情が全くないのに、両親の決めた結婚を受け入れた祖母。
けれど、語り手の父親は生まれた。
祖母と祖父の夫婦関係にもビックリ!
こんな風に割り切って生活していけるものだろうか????
そして結石の療養に良いという温泉のある場所で暫く暮らす祖母。
そこで、同じような病で療養中の帰還兵と会い、祖母はその帰還兵に惹かれ
二人は恋におちる。
やがて、別れてまた祖父の元に戻り前の生活をするけれど、祖母は帰還兵が
忘れられない。
そして、後半、段々わかってくること、
祖母の病気。
語り手は疑問を持つ。
父は、祖父の子どもだろうか?
もしかしたら、帰還兵との間に出来た子ども?
でもでも、ビックリな事実が最後に・・・
帰還兵からの手紙が出てくるのです!
えぇ~っ!?
そういうことですか・・・
でも、切なく美しい恋愛小説だったと思います。
文章が綺麗でした。
それゆえ、官能的な表現がリアルだった^^;
表紙の絵も雰囲気あって好きだなぁ~。
★★★★
発行年月:2013年10月
「見ている風景は、誰も似たようなものだわ。そこから何を見つけるかは、あなたの心しだい……」
どんな時代にも、どんな場所でも、映画や本のような作られた世界のなかでも、自由自在に行き来できる「旅行者(トラベラー)」である少年が、白馬とともに旅する世界をそれぞれ「箱庭」に見立て、短篇の名手が物語を紡ぐ。
国道四号を悠々と歩きつづけるゾウ(「誰もゾウにはかなわない」)、夕暮れの車窓から見えるオレンジ色の旗(「黄昏の旗」)、ジェフじいさんが壊した機械人形(「ヴォッコ3710」)、幽体離脱して好きな女性の危機を救った男(「人間ボート、あるいは水平移動の夜」)、アンデス山中で見たファニカの正体(「ひとりぼっちのファニカ」)、最果ての岬に響く哀調に満ちたバイオリンの音(「傷心の竜のためのバイオリンソナタ」)、真っ白な水着を着た僕たちの女神(「三十年前の夏休み」)などなど。
笑いあり、涙あり、恐怖あり……直木賞作家が贈る、ちょっと不思議で懐かしい連作短篇集。
(PHP研究所HPより)
箱庭旅団の第二弾ですね。
今回も箱庭的にいろいろな場所でいろいろな時代で起きたちょっと不思議なお話が
満載でした!
15編もあるので、ひとつひとつは短いですが、どれも面白い!
<再び旅立つ友へ>
中2のとき、転校してきた翔は、イケメンで優等生なのに、なぜか中途半端なヤンキーの
俺と一緒に行動することを好む。
あまり出来のよくない俺と同じ高校に行くと言い、トップクラスの高校にも
余裕で合格できる能力がありながら、本当に同じ高校に進学。
けれど、別れるときがきた。
本当に翔は人間じゃなかったのかな?
<誰にもゾウにはかなわない>
ゾウがある日、突然現れる。そして再び消えて行った。
ただそれだけの話なのになんかいい。
<ヴォッコ3710>
ある地区のゲートで入鋏係として雇われているジェフじいさんは、ゲート下の個人書斎
で言葉の研究をしている。なのでゲートを通りたい者はゲートを通過するのに
時間がかかる。そして、ゲート利用者の一人が、入鋏係のロボットを寄付する。
ロボットは女性で、仕事も早く、ゲート利用者は大喜び。
最初は研究に没頭できて喜んでいたジェフじいさんだったけれど・・・
ジェフじいさんの大人げのなさに笑える。
<市長選怪文書>
市長選に立候補している某山〇〇氏は、カラス狐だという怪文書が届く。
その根拠を述べる文が続く。
う~ん、ただのやっかみじゃないか?
こういう人居そうだけど、ホントにカラス狐だったら、どんな風に市長として
働くか逆に見て見たい気もするけれど・・・・
<運命の女、のような>
小4で転校してきたミナコとは、偶然に思わぬところで会うことが度々。
大人になっても、そんなことがあったけれど、お互いに違う人と結婚し
別々の人生を歩む。
けれど、最期は・・・・
こういう偶然、すごい!!
本当にこれは、運命だよ!!
<黄昏の旗>
電車の窓から見えるとある住宅街の一角にあるオレンジ色の旗。
気になり、その街に途中下車して向かってみる。
すると離婚して別々に暮らす、元妻と娘の5年前の姿が・・・
う~ゾッとした。
さみしい心に忍び込む魔の手。
<人間ボート、あるいは水平移動の夜>
この題そのままの話。
幽体離脱して、街をふらふら・・・戻れるとわかっていれば、案外楽しいかも。
<未来人ビストロ>
小学生のころのタイムカプセルにあったミツルの手紙に
30年後八重洲二丁目の「コンコルド」というビストロに来たら、ビフテキを
ご馳走すると。
不思議な話?と思ったら・・・良い話でした♪
友だちっていいな~。
<ひとりぼっちのファンカ>
父親が12歳のときにファンカに出会ったはなし。
ちょっと哀しいファンタジー。ひちりぼっちになったファンカが可哀想。
<僕のおじさんはヒーロー>
悪者を倒しにいくといったまま行方不明のおじさんのことを心配する僕。
どこにいったんだろね?
<時計のまち>
10歳のとき、母に連れられて行った時計のまちの記憶。
母はいつもより華やかに着飾り、待っていてと言い残して一人で何処かへ。
戻らなかったら、この封筒の中を見てと言われ不安になるわたし。
そこに少年が来て、不可解なことを言う。
この置いてけぼりの少女の不安な気持ち・・・なんだかすごくよくわかった。
少年が一番、不思議。
<傷心の竜のための無伴奏バイオリンソナタ>
剣士・ジークは王の命令で、人々を苦しめる竜がいるという噂の真偽を確かめに行く。
そして知った真実は・・・・
ちょっと切ない竜のお話。ジークが奏でるバイオリンで、少しは癒されたのかな?
<三十年前の夏休み>
高校2年の夏、友だちと海に行く。
将来何になりたいか話したり・・・近くにいた女性にじゃんけんで負けた者が
声を掛けようということになる。その人は21歳のユミさん。
話を全部聞かれていた。
ああ、こういう青春の思い出話、いいな。
<アタシたちのステキな家>
家族4人で引っ越した家は快適。
みんななぜか、明るい方に少し変わったかんじがするけれど・・・
前に住んでいたのも同じ家族構成の4人家族だった。
うわ~怖い、
これはホラーですね・・・(;O;)
<カムパネルラの水筒>
夜空を見上げて野原にいたはずが気づくと鉄道の客席で、歩いてきた老人に「カムパネルラ」と呼ばれる。
銀河鉄道の夜を思い出させるステキなファンタジー♪
こういう短編集楽しい!!
是非、また箱庭旅団お願いします!
★★★★★
発行年月:2013年8月
世界に抗う少女の“言葉”を、少年は守りきれるのか。
「ことば」を身につけゆくキリヒトと、「ことば」を操る図書館の魔女・マツリカ。二人だけの秘密が、互いの距離を近付けていく。だが一方で、周囲の強国との緊張関係は高まるばかり。発言力を持つがゆえに、一ノ谷と図書館は国内外から牽制され、マツリカを狙う刺客まで遣わされる。
迫る危険と渦巻く陰謀に、彼らはどう立ち向かうのか。
(講談社HPより)
下巻は上巻より更に厚くて800頁超え。
でも、益々、面白い展開になっていくので、読むのが楽しい♪
下巻では、マツリカに掛けられた呪いを解くためにマツリカとキリヒトは、その呪いを
かけたであろう傀儡師(くぐつし=人形遣い)がニザマからの刺客と考えニザマへと
衛兵集団を伴って海を渡る。
そして、呪いを解くには、傀儡師・双子座の居城に向かわねばと、そちらへ。
疫神たちに襲われる場面では負傷者が出て・・・・
負傷したヴァーシャルヘイに、その後、明かされたことには、ビックリ!
双子座の居城には、気力を失わせるアヘンの煙が漂う。
いろいろな危機をくぐり抜け、皆が力を合わせて、困難に立ち向かい
最後は、マツリカに掛けられた呪いも解かれ、めでたしめでたし。
最初は、性格的に可愛げのないマツリカでしたが、
可愛い女の子に見える場面が増えて良かった!
キリヒトの存在が、変えたんでしょうね~。
しっかりマツリカを守って頼もしい存在でしたからね~。
そして、離れで料理を振舞うイラムが可愛かった♪
一番すきな場面は、イラムの料理を囲んでの図書館メンバーたちの会話。
緊迫した状況にあっても、イラムの料理を囲んでいるときは、和やかな
温かい時間が常に流れていました。
こうして書いているとわたしの語彙力や表現力の乏しさ故、
薄っぺらいファンタジーのようですが、
本書は重厚でとても格調高い大人が楽しむ物語なのです!
図書館本にて、駆け足で読み飛ばした箇所が、あったのが心残り。
時間がある時に、もう一度、一字一字を大切に追いながら、ここに書かれた文章も
楽しみたい。
ラストは、主役の二人の再会がまた読めるのか?と期待させる雰囲気。
その前に、これ、映像化しないかなぁ~?
この雰囲気をそのままアニメでも良いので(アニメじゃなきゃ無理かも?)
映像となったマツリカとキリヒトの物語を観て見たい!!
★★★★★
発行年月:2013年8月
第45回メフィスト賞受賞作
本を愛し、言葉の力を信じるすべての人に!
ファンタジー界を革新する大作、ついに登場!
剣でも、魔法でもない、少女は“言葉”で世界を拓く。
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたないうら若き少女だった――。
(講談社HPより)
上下巻で1冊が650頁という長編中の長編!
先に読んだ主人が「凄い!」「面白かった!」と言うので・・・
じゃあためしに最初だけでも読もうかなぁ~と読み始めた次第。
そしたら・・・・朝から夕方まで読み続けてしまった^^;
面白い!!
あまりパッとしない風貌の少年・キリヒトがどんどん凄い力を見せてくれる。
図書館の魔女を災いから守るために、いろいろな力を受け継いだキリヒト。
ただし、文字を読むことは出来なかった。
最初は、文字を教えられなかったのは何故だろ?
と思ったのですが・・・なるほど。
文字を学ぶよりも大切なことが、あったからですね。
図書館の魔女・マツリカは言葉を発することが出来ない少女。
キリヒトに会った瞬間、その内に秘めた力に興味を持ち、最初から名前を与えた。
ただし、名前はマツリカが指を鳴らすその音。
二人が次第に意思疎通を図り、行動を共にしていく様子が微笑ましい。
ただし、少年と少女と言っても、マツリカの話すことはとっても高尚。
本から得た知識が半端ないから・・・。
上巻の終盤では、キリヒトの力が大いに発揮された場面があり、
勝手に自分の頭のなかで映像化しながらワクワクしながら読みました。
下巻では更に秘めた力をマツリカを守るために発揮するのかな?
物語の行方が気になるので、今すぐ下巻を読み始めます!!
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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