忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[905]  [904]  [903]  [902]  [901]  [900]  [899]  [898]  [897]  [896]  [895
51TTH-uQFvL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年6月


ここは、世界でいちばん小さなア-ケ-ド。
愛するものを失った人々が、想い出を買いにくる。

小川洋子が贈る、切なくも美しい記憶のかけらの物語




                                           (講談社HPより)


世界で一番小さなア-ケ-ドのなかで暮らす人たちとそこに買い物に来る人の物語。
ア-ケ-ドのお店が、ちょっと変わった品物を扱っている。

衣装の端切れを扱うレ-ス屋さん、使用済みの絵葉書などを扱う紙店、義眼、勲章、
遺髪で作られたレ-スなど。
  

ア-ケ-ドで過ごした幼い頃の思い出を振り返りつつ、今現在のア-ケ-ドで暮らす人たちの話が語られていく。
語り手は、既に大人になった私。
父親はア-ケ-ドの大家さんだった。
そして私は16歳のとき、町の半分を焼き尽くす火災により、そのとき、映画館に居た父親を亡くしている。


心に残ったのは2番目の「百科事典少女」。
幼いとき、一緒にア-ケ-ドの一番奥の中庭にある読書休憩室で本を開いて同じときを過ごしたRちゃんとの想い出が語られる。
Rちゃんは数ある本のなかで百科事典を好んで読んでいた。その様子が実に可愛らしい。
第1巻【あいう】の最初のペ-ジからスタ-トし、第10巻の【ん】まで読み終えるのを楽しみにしていたのに・・・
その後、Rちゃんのお父さん(紳士おじさん)が訪れてRちゃんが開いて読んだペ-ジを鉛筆で書き写すという作業を続ける。
子どもを亡くした父親の哀しみが伝わってきて切ない。

ほかの話も、今はもう居ない人を思い出すような話で切ない。
けれど、その人の思い出は、遺された物たちによって、いつまでも残っている。
それが辛いのか、手放しに来る人もいたけれど・・・。
変わった品物を売る店主たちも皆、個性的でした。

現実離れしたお話ではないのに、小川さんの作品は、現在ある世界とはまた違う世界を感じさせる不思議な雰囲気を漂わせる。
やはり小川さんの作品は良いです!!

表紙の酒井絢子さんの絵が、物語の雰囲気を高めてくれている。

ちょっと気になった遺髪でレ-ス編みって、本当に何処かでやっている商売なんだろうか??
かなり魅惑的。


                                       ★★★★★


 
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
7 8 10 12 13
14 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]