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読んだ本の感想あれこれ。
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41BZuMMnVRL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年10月


思い出せない、最愛の人の言葉。脳裏から離れない、ある夜の景色。

記憶を保存する装置を手に入れた認知症の老女。ダムに沈む中国の村の人々。赴任先の朝鮮半島で傷ついたタンチョウヅルに出会う米兵。ナチス政権下の孤児院からアメリカに逃れた少女――。異なる場所や時代に生きる人々と、彼らを世界に繋ぎとめる「記憶」をめぐる六つの物語。英米で絶賛される若手作家による、静謐で雄大な最新短篇集。


                                          (新潮社HPより)


6つのお話から成る短編集。

「メモリ-・ウォ-ル」
認知症と診断された74歳のアルマ。
使用人のフェコに連れられて、アムネスティ医師の元に通っている。
壁には沢山の沢山の紙片と数百のプラスチック製カ-トリッジ。
それらはアルマの記憶の断片を蘇らせるものたち。
亡くなった夫・ハロルドとの思い出。

表題作の作品は、一番最初。
認知症を患う女性が、医師によってされる治療がなんとも不思議なもの。
頭に埋め込まれたものから記憶を回収されそれはカートリッジに収められる。
そして自宅で遠隔記憶刺激装置により、カ-トリッジを頭にはめ込み映像をみるように記憶が再生される。
ちょっとSFの要素のある物語。


次の「生殖せよ、発生せよ」は不妊治療を受ける夫婦の物語。
自然に妊娠するって、凄い神秘的なことなんだなぁ~と改めて思った。
わかったつもりでいたけれど・・・・。


「非武装地帯」は戦地から手紙を送り続ける息子のはなし。
かもめの群れの話やら鳥をみて思うことなどを綴られている。
そして、あるひ、傷ついたツルを見つけ地雷の恐怖に怯えならがもなんとか助けた話なども綴る。
すごく短い話だけれど、なんだか胸に響くものがあった。


「一一三号村」は、ダムが出来ることで、水に沈むことが決まっている中国の村人たちの様子を描いたもの。
村の自然の美しい情景が目に浮かぶような箇所で村一番の長老の言う言葉が印象的。
<これが見納めだと分かっていると、その場所は違って見えるのだよ・・・・二度と人目に触れることがないと分かっていることが、その場所を変えるのかもしれん>


「ネムナス川」両親を15歳で相次いで亡くした少女・アリソンは、リストニアのおじいちゃんの元で暮らすことになる。
家のそばには、ナムナス川が流れていて、昔はチョウザメがよく釣れたと聞く。
チョウザメ釣りに挑戦するアリソンとおじいちゃん。なんだかほのぼの。
隣(?)に住んでるサボおばあちゃんも可愛い。
彼女がずっと幸せでありますように・・・・



「来世」は、ちょっと重い物語の背景。
ナチスドイツが占領下にあった時代を生き延びたユダヤ人のはなし。
そこからなんとか逃れアメリカに来た少女がやがて、孫に囲まれて暮らしている。
過去の思い出と現在を交互に語りながら進む。
暗く苦しい過去も、子どもたちが新しい世界につくりかえてくれたら、嬉しい。


全然、違う雰囲気のお話ですが、そこにあるのは、「記憶」の物語。

数々の賞をもらっているのも納得!!

訳者のあとがきに、著者は長編作品にとりかっかっているとあった。
早く、完成して翻訳されたものが読みたいな~。


★★★★★
 
 
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