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読んだ本の感想あれこれ。
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41tHN1gfRoL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2009年2月


1616年、北極海。
たったひとりの越冬。

明けない夜。荒れ狂う吹雪。愛した女の幻影。
一冊の日誌-----。
底知れない悲しみを抱えた男の極北での越冬と魂の救済。
400年前の航海日誌から紡ぎだされた、壮大なデビュ-長編。


                                           (本の帯文より)


この寒い時期に読むと、一段とこの本の世界の冷たく凍えるようなかんじがリアルに伝わって来ました。
物語の主人公は、トマス・ケイヴ。
北極海への捕鯨船に乗り組む。
そして、漁を終え、故郷イングランドに戻るというときに、乗り組み員同士の口論に口出ししたことが元で北極海に一人残ることになる。
そんな成り行きで一人置いていく方もひどいと思ったけれど・・・
ケイヴは、淡々としている。
そして、極寒の地での孤独な1年の暮らしが始まる。

物語の語り部は、寡黙でほかの乗り組み員たちと馴染もうとしなかったケイヴが唯一、打ち解けて話をした乗り組み員のなかでは年少のトマス・グ-ドラ-ド。
名前がおなじというところからもお互いに親近感を覚え近づく二人。

グ-ドラ-ド目線で書かれている部分が多いけど、やはりケイヴが一人で過ごしている場面は壮絶で哀しい。
ケイヴの人物像が段々と明かされ、船に乗り組む前に妻と子どもを一度に失っていたのだとわかる。
そして妻・ヨハンネの幻影が時々、目の前に現れる。
かつて妻と会話した場面が蘇る。
そして自分が彼女に寂しい思いをさせていたことに悔いるケイヴ。

現実に戻れば、厳しい自然のなか。孤独。
普通の精神状態を保つだけでも大変な日々を、なんとか耐える。
元々几帳面なケイヴは、いろいろなことを書き留める。
日誌を書くことで精神の平静を保つ。


なんとか1年を一人で生き、再び仲間が船で迎えに来たが、喜びを顔に出すことはなかったケイヴ。

それから年月が経ち、グ-ドラ-ドも成人し結婚し、ケイヴのことを再び探し再会したいと思いその再会は叶うのだけど、そこで彼が言う言葉
「・・・・あそこへは行くべきじゃなかった」
「神が人間を行かせるおつもりのなかったところへ、俺たちは行ってしまったんだ。俺たちは神を超えてしまったんだよ」

自然の脅威を肌で感じたケイヴの言葉が、とても威厳に満ちている。
何か人間離れしたかんじの人だな。


これがデビュ-作らしいけど、今後の作品も是非、読みたい作家さんだ!


★★★★★
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