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読んだ本の感想あれこれ。
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fe8d84ea.jpg   発行年月:2010年10月


   すべての家庭の床下には、戦争の記憶が眠っている

   謎多き祖父の戸籍----祖母の予期せぬ“帰郷”から
   隠された過去への旅が始まった。
   満州、そして新宿。熱く胸に迫る翡翠飯店三代記

                             (文藝春秋HPより)


読み応え十分の物語でした。
物語は、翡翠飯店という中華料理店を始めた藤代泰造の死から始まる。
泰造の死後、気力を無くしたような祖母・ヤエだが、「帰りたい」とつぶやく。
もしかしたら・・・以前住んでいた、満州に行きたいってことかも?

孫の良嗣とヤエの息子で良嗣の叔父に当たる太二郎とで、祖母を懐かしい地へと連れて行く事になる。
その旅の様子と交互に語られる、藤代家の歴史物語。

日本人の泰造とヤエは、別々な理由で、満州に移り住んでいた。
あるとき、出会い、好きという感情とは別のもので、繋がり共に生きることにする。

日本が戦争に巻き込まれ、また世界もあちこちで争っていた時代。
異国の土地で祖父母は、そんな不穏なものから逃げ続けることで生き抜いていく。

住んでいた満州がまた危機的状況になり、終戦後の日本に引き揚げ船で再び戻る。
日本はその後、高度成長期を向かえ、泰造とヤエは小さな中華料理店を開く。
その後、子どもが生まれ、孫も生まれ、少しずつ家族が増えていくが、それぞれに降りかかる問題。

日本の史実もたびたび登場。
浅間山荘事件、学生運動、神戸の大震災、地下鉄サリン事件・・・・。
史実が家族の生活にも影響していて、その時代をリアルに生きている家族の様子がわかった。

祖母が旅を終えて、帰りつぶやく言葉に、なんとも言えない気持ちになった。

逃げることしか教えられなかったことを申しわけなく思う。あの時代は逃げる以外、時代に抗う方法を知らなかった・・・・・今はそういう時代じゃないけど・・・・・

みたいな言葉。

ラストは、祖母の死後も藤代家の家族が、逞しく生きていくであろう様子が描かれていて
良かった。

結構、厚い本でしたが、なかなか面白かった!!


★★★★

 

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