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発行年月:2022年6月


【第168回直木賞受賞作】
【第13回山田風太郎賞受賞作】
「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。
ひとつの都市が現われ、そして消えた。
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。

                    (集英社HPより)


満州の歴史を背景に繰り広げられる物語。

1899年、21歳の大学生・細川が志那語とロシア語が話せる通訳として軍人の高木と共に
船に乗りハルビンへ。
支配しているロシアの懐に潜入調査に入るのが目的。


その後、舞台は満州へ。
満州の理想郷と呼ばれる『季家鎮』に集まる人々。
ロシア人宣教師・クラスニコフは、ロシアから入植してくる者たちのため教会が
造られ、布教活動。

貧しく過酷な暮らしから逃げ出し、『季家鎮』にたどり着いた孫悟空は独自の考えを
説いて人々を魅了し、権力を得る。
沢山の女性と関係を持ち、子どもも多かったが、妊娠中の女性との関係で
生まれた丞琳は、父親のことを恨み、いつかこの手で殺したいと思っていた。

そして、そのために孫悟空が関わっている日本人の炭鉱を潰すことを計画。


軍人の高木はロシア軍との戦いで命を落とす。
最期は持っていた軍刀で部隊の頭の喉をついて 自らの命も落としてしまう。
日本にいる妻-・慶子は細川が引き合わせた須野(東京帝大で気象学を研究)と再婚。
高木との子・正男(5歳)のあとに須野との子・明男が生まれる。

正男と明男は、成長し、それぞれ軍のために働く。
明男は、満州に初めて行ったとき、孫悟空の、娘・丞琳に会い言葉を交わす。
それは、丞琳が日本の炭鉱を潰す計画を実行しようとして失敗した日。
一部の爆破事故だけで終わり、すぐに修繕される。

時代は、日中戦争、日露戦争、世界大戦へと向かっていく時代。

日本が満州にいたロシアを追いやり、理想郷を造り支配しようとしていたが
アメリカ相手に戦争が始まると、満州に築いてきたものも無用の長物と化すことに。



そんな情勢を冷静にみていた、細川はさすがだ。
戦争後の日本のことをちゃんと考えて満州の建材を日本の戦後の復興に使える
手筈を整えていた。
明男も復興の都市計画に関わっているという終盤の結びがいい。

1955年、再び、満州の地を訪れ、当時、整備に関わった季家鎮の公園広場で
丞琳に再会する場面もよかった。
二人でクラスニコフが描いた地図を広げながていく。


存在しない青龍島が、なぜ描かれていたのか?の理由も。


登場する人物たちが魅力的。
架空の話というけれど、史実もまじっているのでリアル。

映像化されたら面白そうだな~。

こんなに長い話なのに、全く飽きずに読めた。
この著者、すごいな。
他の作品もぜひ、読まなきゃ!!



                      ★★★★★
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